【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績分析等
当第3四半期連結累計期間における我が国 及び 海外の経済情勢は、長引くコロナ禍からの正常化に向けた動きが見られる一方、急速な物価高騰や為替変動等もあり、景気回復は鈍く、先行き不透明な状況で推移いたしました。
世界自動車生産台数は、コロナや半導体需給ひっ迫の影響から日本・中国を中心として、未だに生産停止や休止が頻発しており、緩やかな回復に留まりました。
このような状況のもと、当第3四半期連結累計期間における売上高は、日本・中国では減収となりましたが、北米・アジア等の生産回復、新規受注に加え為替換算の影響等により、連結では前年同期に比べ15.0%増収の6,354億円となりました。
利益につきましては、改善合理化を推進したものの、世界的な原材料費や物流費・光熱費など諸費用の高騰、北米・欧州を中心とした雇用情勢ひっ迫による人件費増加、日本・中国での急激な生産変動等により、営業利益は前年同期比16.1%減の321億円、経常利益は同23.9%減の329億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同21.1%減の216億円となりました。
(2)財政状態分析等
当第3四半期末の資産の残高は、設備投資により有形固定資産が増加したこと等から、前期末に比べ65億円増加の8,617億円となりました。
負債の残高は、借入金が減少したこと等から、前期末に比べ161億円減少の2,117億円となりました。
純資産の残高は、親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が増加したこと等から、前期末に比べ227億円増加の6,500億円となりました。
(3)キャッシュ・フロー分析等
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益363億円、減価償却費300億円を主体に557億円となり、法人税等を支払った結果、445億円(前年同期は452億円)の資金を確保いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入1,070億円に対し、定期預金の預入による支出1,165億円、設備投資276億円等を実施した結果、443億円の支出(前年同期は322億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支払い96億円等を実施した結果、192億円の支出(前年同期は77億円の支出)となりました。
以上により、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ187億円減少の1,507億円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきものであると考えております。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、たとえばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えております。
当社は、企業価値の拡大・最大化を実現するため、次の取組みを行っております。
(ⅰ)自動車産業の世界最適生産の拡大に対応すべく、海外における開発・生産・販売部門を更に強化するなど、グローバル5極体制(日本・米州・欧州・中国・アジア)の充実を図る。
(ⅱ)コネクティッド・自動運転・シェアリング・電動化などモビリティ変化への対応をはじめ、お客様・市場ニーズを先取りした先端技術の開発と迅速な商品化を図り、タイムリーに魅力ある商品を提供する。
(ⅲ)高品質・安全性を追求すると共に、環境保全及びコンプライアンス強化を推進する。
(ⅳ)経営資源の確保と有効活用により、収益構造・企業体質の更なる強化を図る。
この取組みを着実に実行することにより、当社グループの持つ経営資源を有効に活用するとともに、様々なステークホルダーとの良好な関係を維持・発展させ、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の向上に資することができると考えております。なお、この取組みは、当社グループの企業価値を継続的かつ持続的に向上させるものとして策定されていることから、上記の基本方針に沿っており、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと、取締役会は判断しております。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、284億円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。