【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(以下、当第3四半期)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に関する活動制限の解除により、経済活動の緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、原材料及びエネルギー価格の高騰、金融資本市場の変動等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループが属する情報サービス産業においては、ソフトウェア・ハードウェア技術の進展、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応やデータ活用に対する取組み等により、データセンター市場、クラウド市場等は今後も中長期的に拡大していくと見込んでおります。このような環境の下、当社グループは、当社グループが展開するコンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業について、事業の変化に対応しながら事業運営をおこなっております。
当第3四半期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
(コンピュータプラットフォーム事業)コンピュータプラットフォーム事業においては、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション、その他に分け、サービスを展開しております。
データセンターでは、昨年(2022年)6月末の段階で契約率90%を超えた新大手町サイトについて、稼働率が継続的に上昇し、本年(2023年)9月末の時点で66%を超えました。なお、昨今の電気料金の増加に伴うコスト増につきましては、利用料金への転嫁を実施しており、事業の収支構造が改善しました。しかしながら、利益率の高い運用受託サービスの終了や第1サイトの一部顧客が新大手町サイトに移行した影響等により、前年比で売り上げが減少しております。売上高につきましては、新大手町サイトにおける顧客の利用状況の進捗による稼働率が、さらに上昇することで上向くことが見込まれます。今後の事業領域の拡大に関しては、本年(2023年)5月に発表いたしました合同会社石狩再エネデータセンター第1号の北海道石狩市での再生可能エネルギー100%で運用されるデータセンターの事業化による新たな市場開拓やビジネススキームの展開を目指しております。またハイパースケールデータセンター事業の早期立ち上げへの活動を含め、継続的な取り組みを行っております。この結果、データセンターの売上高は3,817百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
クラウド・ソリューションでは、クラウド市場の拡大を背景に、当社独自のc9サービス、SaaS(Software as a Service)サービス等の売り上げは堅調に推移し、パブリッククラウドサービス等の売り上げは増加しました。 この結果、クラウド・ソリューションの売上高は1,167百万円(前年同期比10.6%増)となりました。 データ・ソリューションでは、大容量化への対応、安定運用等、お客様のニーズに即したストレージの活用方法を提案しております。当社では、主力であるDell Technologies社製の「Dell PowerScale / Isilon」の提供及びランサムウェア対策としてカナダSuperna社が開発したソフトウェア製品群の日本国内での国内代理店第一号として提供・サポートを行っており、主力プロダクトである「Dell PowerScale / Isilon」は堅調に推移し、売り上げが増加しました。 この結果、データ・ソリューションの売上高は2,078百万円(前年同期比14.0%増)となりました。
なお、デジタル技術やデジタルサービス等の浸透により、企業のDX化(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、当社も事業の変革、社内システムの高度化・連携等、引き続きDXへの取り組みを推進してまいります。 その他では、株式会社ティエスエスリンクが情報漏洩対策ソフトウェア製品の開発、販売等を行っております。第3四半期では新規受注が堅調に推移したものの、期初の第1四半期での売り上げが減少したことにより、結果として、その他の売上高は119百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
以上の結果、コンピュータプラットフォーム事業の売上高の合計は、データセンターにおける第1サイトや利益率の高い運用受託サービスの終了に伴う売り上げ減少があったものの、新大手町サイトの売り上げ増加やデータ・ソリューションの売り上げが堅調に推移し7,181百万円(前年同期比3.3%増)となりました。営業損益は、主にデータセンター関連の売上原価が前年同期比で減少し138百万円の損失(前年同期は307百万円の損失)となりました。
(メディアソリューション事業)メディアソリューション事業では、ジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)がケーブルテレビ事業者向けデジタル多チャンネル配信のプラットフォームサービス「JC-HITS」を中心としたコンテンツプラットフォーム事業、ケーブルテレビ事業者のコミュニティチャンネル向けデータ放送配信サービス「JC-data」、地方自治体向けに「地域防災DXソリューション」を中心としたインフォメーションプラットフォーム事業を行っております。 「JC-HITS」を中心としたコンテンツプラットフォーム事業は、ケーブルテレビ局の多チャンネル放送サービスのユーザー数の減少が影響し、売り上げ減少となりました。インフォメーションプラットフォーム事業である「JC-data」及びHybridcast(注1)技術を活用した関連サービスについて、「JC-data」の売り上げが増加しております。 この結果、メディアソリューション事業の売上高は、昨年10月に沖縄ケーブルネットワーク株式会社の持分法適用関連会社が移行したことにより売上高の減少、「JC-HITS」のユーザー数の減少、自治体DX案件の受注不足により2,688百万円(前年同期比32.6%減)、営業利益は「JC-HITS」のユーザー数の減少、自治体DX案件の受注不足による売り上げ減少により、61百万円(同55.9%減)となりました。
以上の活動により、当第3四半期における当社グループの売上高は9,904百万円(前年同期比9.6%減)、営業損益はメディアソリューション事業の減益により173百万円の損失(前年同期は265百万円の損失)となりました。経常損益は営業損失の計上等により208百万円の損失(前年同期は592百万円の利益)となり、親会社株主に帰属する四半期純損益は169百万円の損失(前年同期は486百万円の利益)となりました。
(注1)Hybridcastとは、放送波の中にインターネット上のコンテンツの取得を指示する制御信号を組み込み、テレビ放送とHTML5で記述されたWebコンテンツとの融合を可能とする次世代放送サービス。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末における総資産は、保有株式の時価上昇等に伴うその他有価証券評価差額金の増加により投資有価証券は増加したものの、現金及び預金の減少、減価償却による有形固定資産及び無形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ388百万円減少し20,134百万円となりました。負債合計は、未払法人税等、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ468百万円減少し8,257百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金は減少したものの、その他有価証券評価差額金、非支配株主持分の増加等により、前連結会計年度末に比べ79百万円増加し11,877百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の39.9%から0.3ポイント増加し40.2%となりました。 なお、当社は、大手町に開設した新データセンターの投資に伴う資金需要に対し、機動的な資金調達を行うため、2018年3月に取引銀行等5社と総額40億円のコミット型シンジケートローン契約を締結しており、当第3四半期連結会計期間末の本契約に基づく借入金残高は25億円であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。なお、当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は56百万円であります。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性に重要な変更はありません。
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