【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日(2023年11月8日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2)財政状態及び経営成績の状況
① 当第2四半期連結累計期間の経営成績の概況及び分析
当第2四半期連結累計期間につきましては、行動制限の解除に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復等、景気は緩やかに回復しております。また、ウクライナ情勢等の影響により高騰した小麦をはじめとした穀物相場が徐々に落ち着きを取り戻しており、一層の円安が進行した為替相場の動向を注視する必要はありますが、当社グループを取り巻く事業環境は好転の兆しが見えてきております。
このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、昨年策定した「日清製粉グループ 中期経営計画
2026」の達成に向けて、当期は、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、食糧インフレへの対応、豪州製粉事業の業績回復、環境政策、デジタル戦略を最優先課題として取り組んでおります。
本年5月には、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進の一環として、製粉事業の子会社である日清製粉株式会社において、国際競争に対応できるローコスト生産体制構築に向け、水島工場の建設に着手しました。当工場は最新の自動化及びデジタル技術を導入し、環境配慮型のスマート工場とする予定であり、2025年5月頃の稼働を目指しております。また、これに伴い、岡山工場及び坂出工場を閉鎖する予定です。
本年8月には、酵母・バイオ事業の子会社であるオリエンタル酵母工業株式会社において、老朽化し稼働率が低下した埼玉工場を本年12月末に閉鎖し、フラワーペーストの生産をびわ工場に集約することを決定しました。これにより、生産効率及び資本効率の一層の改善を図るとともにコスト競争力の強化を図ってまいります。
当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、製粉事業における国内の麦価改定に伴う小麦粉価格改定の実施、熊本製粉株式会社の新規連結効果及び食品事業や中食・惣菜事業での製品価格改定の実施等により、4,268億81百万円(前年同期比109.8%)となりました。営業利益は、各事業において前期にコスト上昇に対して価格転嫁が遅れた部分も含めた価格改定を実施するとともに、製粉事業における熊本製粉株式会社の新規連結効果、国内における副産物のふすま販売価格の堅調な推移、豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少及び中食・惣菜事業の堅調な業績等により、255億11百万円(前年同期比160.3%)、経常利益は265億11百万円(前年同期比153.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は184億46百万円(前年同期は377億95百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
(前年同期比較) (単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
388,742
426,881
38,139
109.8%
営業利益
15,919
25,511
9,591
160.3%
経常利益
17,220
26,511
9,290
153.9%
親会社株主に帰属する
四半期純利益又は
四半期純損失(△)
△37,795
18,446
56,242
-
セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1) 製粉事業
(単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
201,881
227,750
25,869
112.8%
営業利益
7,117
14,731
7,613
207.0%
国内製粉事業につきましては、製品価格改定による小麦粉需要の減退があったものの、行動制限の解除に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復等により、出荷は前年並みとなりました。
また、本年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で5.8%引き上げられたことに加え、前期からエネルギー価格や物流費等が上昇していることも踏まえ、6月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
海外製粉事業につきましては、豪州における製品価格改定及び米国子会社における為替換算の影響等により売上高は前年を上回りました。
この結果、製粉事業の売上高は、国内において昨年及び本年6月に実施した業務用小麦粉の価格改定、本年1月に連結子会社化した熊本製粉株式会社の新規連結効果等も加わり、2,277億50百万円(前年同期比112.8%)となりました。営業利益は、国内製粉事業において、副産物のふすま販売価格の堅調な推移、熊本製粉株式会社の新規連結効果及び豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少等により、147億31百万円(前年同期比207.0%)となりました。
なお、本年10月には、日清製粉株式会社において、製粉工場として日本最大規模を誇る鶴見工場で消費される電力のすべてを実質再生可能エネルギー化してCO2削減につなげるため、丸紅新電力株式会社との間でオフサイトコーポレートPPAの契約を締結しました。
2) 食品事業
(単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
92,486
99,153
6,667
107.2%
営業利益
4,066
4,692
625
115.4%
加工食品事業につきましては、国内において原材料等のコスト上昇に伴う対応として、昨年から製品価格改定を継続して実施したことで、売上高は前年を上回りました。
酵母・バイオ事業につきましては、国内では、原材料価格やエネルギー価格の高騰を受け、昨年7月と11月及び本年4月にイーストの価格改定を実施したこと、海外では、昨年8月にインドイースト事業を開始したことにより、売上高は前年を上回りました。
健康食品事業につきましては、売上高は前年を下回りました。なお、お客様一人ひとりの生活習慣や健康状態にフィットしたサプリメントを提供する「パーソナルニュートリション事業」を本年10月から新たに開始しました。
この結果、食品事業の売上高は、991億53百万円(前年同期比107.2%)となりました。営業利益は、製品価格改定等により、46億92百万円(前年同期比115.4%)となりました。
3) 中食・惣菜事業
(単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
73,285
78,064
4,778
106.5%
営業利益
1,638
3,397
1,758
207.3%
中食・惣菜事業につきましては、行動制限の解除に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復、製品価格改定等により、売上高は、780億64百万円(前年同期比106.5%)と前年を上回りました。営業利益は、製品価格改定や生産性改善等により、33億97百万円(前年同期比207.3%)となりました。
4) その他事業
(単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
21,089
21,912
823
103.9%
営業利益
3,050
2,581
△469
84.6%
エンジニアリング事業につきましては、売上高は前年を上回りました。
メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材の出荷増により、売上高は前年を上回りました。
この結果、その他事業の売上高は219億12百万円(前年同期比103.9%)、営業利益はエンジニアリング事業における大型工事の減少等により、25億81百万円(前年同期比84.6%)となりました。
② 当第2四半期連結会計期間の財政状態の概況及び分析
(単位:百万円)
2023年3月期
2023年9月期
前期末差
流動資産
330,069
343,704
13,634
固定資産
383,805
422,721
38,915
資産合計
713,874
766,425
52,550
流動負債
150,262
146,831
△3,431
固定負債
125,112
134,908
9,796
負債合計
275,375
281,739
6,364
純資産合計
438,499
484,685
46,185
負債純資産合計
713,874
766,425
52,550
当第2四半期連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況及び分析は以下のとおりです。
流動資産は3,437億4百万円で、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等に伴い、前期末に比べ136億34百万円増加しました。固定資産は4,227億21百万円で、保有している投資有価証券の時価評価の増加等に伴い、前期末に比べ389億15百万円増加しました。この結果、資産合計は7,664億25百万円となり、前期末に比べ525億50百万円増加しました。
また、流動負債は1,468億31百万円で、短期借入金の減少等に伴い、前期末に比べ34億31百万円減少しました。固定負債は1,349億8百万円で、繰延税金負債の増加等に伴い、前期末に比べ97億96百万円増加しました。この結果、負債合計は2,817億39百万円となり、前期末に比べ63億64百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加、配当金の支出による減少、その他の包括利益累計額の増加等により、前期末に比べ461億85百万円増加し、4,846億85百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:百万円)
前第2四半期
当第2四半期
前年同期差
営業活動によるキャッシュ・フロー
△1,823
33,766
35,590
投資活動によるキャッシュ・フロー
△6,733
△13,815
△7,082
財務活動によるキャッシュ・フロー
△1,258
△14,953
△13,695
現金及び現金同等物に係る換算差額
1,769
1,742
△27
現金及び現金同等物の増減額
△8,046
6,740
14,786
現金及び現金同等物の四半期末残高
60,682
89,711
29,029
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前四半期純利益253億77百万円、非資金損益項目である減価償却費、棚卸資産の減少等による資金の増加が、売上債権及び契約資産の増加、法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは337億66百万円の資金増加(前第2四半期連結累計期間は18億23百万円の資金減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形及び無形固定資産の取得に134億19百万円を支出したこと等により、当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは138億15百万円の資金減少(前第2四半期連結累計期間は67億33百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の返済により66億6百万円を支出したこと及び株主の皆様への利益還元といたしまして配当に62億47百万円を支出したこと等により、当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは149億53百万円の資金減少(前第2四半期連結累計期間は12億58百万円の資金減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末比67億40百万円増加し、897億11百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の有利子負債(リース債務含む)残高は833億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループの資金は、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」に基づき、小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。持続的成長、EPS成長を実現するために、環境投資、デジタル投資、新規事業開発・M&A投資、研究開発投資、人材育成を含めた成長投資を促進するとともに、株主還元につきましては、連結ベースでの配当性向40%以上を保持して、増配はタイミングを見据えて常に積極的に検討してまいります。投資資金が余剰になった場合などは、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。
そのための資金は、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び政策保有株式の縮減を含めた資産の圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
また、当社は株式会社の支配に関する基本方針を定めておりますが、当第2四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、39億68百万円であります。
(6)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「1 事業等のリスク」に記載のとおり、当第2四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
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