【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は当四半期報告書提出日(2023年2月9日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2)財政状態及び経営成績の状況
① 当第3四半期連結累計期間の経営成績の概況及び分析
当第3四半期連結累計期間につきましては、国内では新型コロナウイルス感染症の再拡大があったものの、感染対策と社会経済活動の両立が進み、景気は緩やかに持ち直しております。一方、原材料価格の高騰、エネルギー価格の上昇、為替相場の円安の影響等もあり、国内では企業物価指数が歴史的な上昇を見せており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、最優先課題である、食糧インフレへの対応に取り組んでおります。昨年10月には、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続していくために、「中期経営計画2026」を策定し、推進しております。持続可能な社会に関わる環境課題等への対応やデジタル技術等の技術革新の活用等は、当社グループの持続的成長に不可欠であり、より一層重要度が高まっております。こうした事業環境の変化を踏まえ、当社グループの目指す姿の実現に向け、3つの基本方針である、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」により、経営を推進してまいります。豪州製粉事業については、今般策定した中期経営計画でも業績改善を重点テーマの1つとしており、コアとなる事業基盤を確保した上で、継続的なコスト削減や強みを活かせる主力製品での売上拡大、収益性の高い市場の選択、ブランド化を図ることで、収益性の向上を図ってまいります。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、国内製粉事業での麦価改定に伴う小麦粉価格改定の実施、海外製粉事業における小麦相場上昇や為替換算の影響等により6,000億5百万円(前年同期比118.7%)となりました。営業利益は、国内製粉事業におけるふすま価格の堅調な推移、海外製粉事業の業績好調等があったものの、食品事業において加工食品や医薬品原薬等の出荷減、原材料等の想定以上のコスト上昇に価格改定が後追いとなったこと、インドイースト事業の立上げ費用の発生等により、254億62百万円(前年同期比97.4%)、経常利益は270億40百万円(前年同期比92.0%)となりました。また、昨年10月19日に「減損損失の計上及び業績予想(第2四半期、通期)の修正に関するお知らせ」で公表のとおり、第2四半期において豪州製粉事業における減損損失を計上したことにより、政策保有株式の売却益の計上はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純損益は、229億12百万円の損失となりました。今期が赤字見通しとなったことにつきましては重く受け止めております。昨年11月から12月にかけて政策保有株式を売却することで125億円の特別利益を計上しており、今期は政策保有株式の縮減をスピードアップして取り組んでおります。
(前年同期比較) (単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
505,310
600,005
94,695
118.7%
営業利益
26,150
25,462
△688
97.4%
経常利益
29,384
27,040
△2,343
92.0%
親会社株主に帰属する
四半期純利益又は
四半期純損失(△)
18,200
△22,912
△41,112
-
セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1) 製粉事業
(単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
229,410
313,345
83,934
136.6%
営業利益
7,704
12,191
4,486
158.2%
国内製粉事業につきましては、外食需要が回復傾向にあり、拡販の取組みも進めたものの、製品価格改定による需要減退の影響や前年の価格改定前の出荷伸長の反動等により出荷は前年を下回りました。また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で17.3%引き上げられたことを受け、6月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。なお、昨年10月は政府の物価対策緊急措置により、政府売渡価格が据え置きとなったため、業務用小麦粉の価格も据え置きました。
海外製粉事業につきましては、出荷の堅調な推移や小麦相場の上昇、為替換算の影響等により売上げは前年を上回りました。
この結果、製粉事業の売上高は、3,133億45百万円(前年同期比136.6%)となりました。営業利益は、出荷減はあったものの、国内製粉事業における副産物のふすま販売価格の堅調な推移や海外製粉事業において、豪州製粉事業における減損損失計上によるのれん等の償却費減少を含め、業績が前期を大幅に上回ったことなどにより、121億91百万円(前年同期比158.2%)となりました。 また、熊本製粉株式会社の発行済株式の85%を取得することにつきまして、関係当局の認可を得られたことから、本年1月に株式を取得しました。
2) 食品事業
(単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
138,343
142,043
3,699
102.7%
営業利益
11,244
5,527
△5,717
49.2%
加工食品事業につきましては、国内では、原材料等のコスト上昇に伴う対応として昨年7月以降に家庭用製品で製品価格改定を実施したこと、海外では、プレミックスの出荷堅調や製品価格改定により、売上げは前年を上回りました。
酵母・バイオ事業につきましては、国内では、原材料価格やエネルギー費の高騰を受け、昨年7月と11月にイーストの価格改定を実施したこと、海外では、昨年8月からインドイースト事業を開始したことにより、売上げは前年を上回りました。
健康食品事業につきましては、医薬品原薬等の出荷減により、売上げは前年を下回りました。
この結果、食品事業の売上高は、1,420億43百万円(前年同期比102.7%)となりました。営業利益は、加工食品や医薬品原薬等の出荷減、原材料等の想定以上のコスト上昇に製品価格改定が後追いとなったこと、インドイースト事業の立上げ費用の発生等により、55億27百万円(前年同期比49.2%)となりました。
3) 中食・惣菜事業
(単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
105,872
113,290
7,417
107.0%
営業利益
3,273
3,264
△8
99.7%
中食・惣菜事業につきましては、行動制限解除に伴う人流の回復により、CVS向けを中心に需要が回復しており、売上げは前年を上回りました。 この結果、売上高は、1,132億90百万円(前年同期比107.0%)となりました。営業利益は、販売増等はあったものの、原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇等により、32億64百万円(前年同期比99.7%)となりました。
また、昨年7月には、成長分野を主力事業に育てるための組織体制強化として、中食・惣菜事業を統括する中間持株会社の株式会社日清製粉デリカフロンティアを設立しました。
4) その他事業
(単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
前年同期差
前年同期比
売上高
31,683
31,326
△356
98.9%
営業利益
3,804
4,338
534
114.0%
エンジニアリング事業につきましては、主力のプラントエンジニアリングにおける大型工事の減少により、売上げは前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材の出荷増により、売上げは前年を上回りました。また、タイにおいて成形フィルタ工場を増設することを、昨年12月に決定しました。
この結果、その他事業の売上高は313億26百万円(前年同期比98.9%)、営業利益はエンジニアリング事業における工事コスト管理の徹底による収益改善やメッシュクロス事業の増収効果等により43億38百万円(前年同期比114.0%)となりました。
② 当第3四半期連結会計期間の財政状態の概況及び分析
(単位:百万円)
2022年3月期
2022年12月期
前期末差
流動資産
280,527
315,755
35,228
固定資産
442,546
379,799
△62,747
資産合計
723,073
695,555
△27,518
流動負債
129,158
140,790
11,632
固定負債
133,272
126,943
△6,329
負債合計
262,430
267,733
5,303
純資産合計
460,643
427,821
△32,821
負債純資産合計
723,073
695,555
△27,518
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、純資産の状況及び分析は以下のとおりです。
流動資産は3,157億55百万円で、原材料価格の上昇等による棚卸資産の増加等に伴い、前期末に比べ352億28百万円増加しました。固定資産は3,797億99百万円で、豪州製粉事業に係る固定資産の減損損失の計上による減少、政策保有株式の縮減等に伴い、前期末に比べ627億47百万円減少しました。この結果、資産合計は6,955億55百万円となり、前期末に比べ275億18百万円減少しました。
また、流動負債は1,407億90百万円で、運転資金目的での短期借入金の増加等に伴い、前期末に比べ116億32百万円増加しました。固定負債は1,269億43百万円で、固定資産の減損損失の計上に伴う繰延税金負債の取崩し等に伴い、前期末に比べ63億29百万円減少しました。この結果、負債合計は2,677億33百万円となり、前期末に比べ53億3百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する四半期純損失の計上による減少、配当金の支出による減少等により、前期末に比べ328億21百万円減少し、4,278億21百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、記載しておりません。
(4)経営方針、経営戦略等
中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、昨年10月、新たな経営体制の下、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」を策定いたしました。最終年度である2026年度の数値目標は、積極的な戦略投資を実行し、売上高9,000億円、営業利益480億円、EPS(1株あたり純利益)110円/1株とし、EPS成長を継続することで、株主の皆様に対して、適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。
「日清製粉グループ 中期経営計画2026」数値目標
(*年平均成長率)
基準年度
(2021年度実績)
次年度
(2023年度)
最終年度
(2026年度)
売上高
6,797億円
8,400億円
9,000億円
5年CAGR*
5.8%
営業利益
294億円
390億円
480億円
5年CAGR
10.3%
EPS
59円
90円
110円
5年CAGR
13.3%
ROE
4.0%
6.4%
7.0%
「日清製粉グループ 中期経営計画2026」概要
「信を万事の本と為す」「時代への適合」を社是に、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念として、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続していく。
① 基本方針
日清製粉グループの目指す姿の実現に向けて、次の3つの基本方針を踏まえ経営を推進していく。
1) 事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進
120年以上の歴史の中で築いてきた、高い技術力と生産性、お客様からの信頼に裏付けされた強固な販売基盤等、当社グループの強みを活かせる事業領域において、今後も事業ポートフォリオの再構築を行い、4つの戦略を柱にグループ全体、及び各事業において競争力を高めていく。
1. 事業競争力強化戦略
『(競争上意義のある区分で)一定の事業領域においてトップであるか、トップになりうる事業』を基準として選択と集中を推進する。
2. 研究開発戦略
「健康機能性素材」、「中食・惣菜加工技術」、「フードテック」、「自動化」を重点研究開発領域とし、事業を通じて社会課題を解決する循環成長を生み出す。
3. 新規事業開発・M&A戦略
既存事業の競争優位の確保や、製粉、加工食品、酵母、中食・惣菜に次ぐ屋台骨となる事業の獲得・育成、更にはフードテックや機能性素材等の新領域における将来のイノベーションを見据え、スタートアップ等との協業やM&Aを通じて新規事業開発を推進する。
4. デジタル戦略
積極的にデジタル技術を取り入れ、生産性の飛躍的向上や、既存事業のモデルチェンジ、新しい事業モデルの創造を図り、競争力を高めていく。また、システム体制の検証、見直しを継続的に行い、サイバー攻撃等への耐性を強化するとともに、デジタル人材の確保・育成を推進する。
2) ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進
主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給が、当社グループの存在意義の1番目にあることを認識し、すべてのステークホルダーを大切にし、世の中から信頼される企業を目指していく。
そのために、持株会社であるグループ本社と全事業会社が一体となって、お客様や取引先の皆様から信頼が得られるように尽力するとともに、人材戦略を推進し、当社グループの総和で最適となる人材配置、経営人材の育成、女性活躍推進、働き方改革等、組織・人材の活性化に取り組む。
株主 長期的企業価値の向上を図り、適切なTSR(株主総利回り)を実現する。
顧客 製品・サービスあらゆる面で期待以上の価値を提供する。
社員 適正な報酬と職場環境を確保し、必要なスキルの習得を支援する。
取引先 公平・公正かつ倫理観を持って対応し、イコールパートナーとなる。
社会 社会との共生を図り、環境にやさしい企業となる。
3) ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行
持株会社であるグループ本社を始め各事業の経営トップの責務として、企業価値の極大化を目指し、社会の動きに合わせESG課題に主体的に取り組んでいく。特に世界の持続性に関わるE(環境)を経営の最重要事項と位置付ける。
E(環境)
2050年に自社拠点におけるCO₂排出実質ゼロ、2030年度までに2013年度比で50%削減することを中長期目標として設定しており、これら環境目標の達成に向けて、最大限の省エネ設備及び再生可能エネルギー設備の導入を行うとともに、オフサイト(当社グループ以外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討する。
S(社会)
ステークホルダーとの関係に対する考え方を遂行し、品質保証を含めた事業活動全般において、「消費者の視点から説明できるのか」を合言葉に、安全で安心な製品を安定的にお届けしていくという社会的な使命を今後も果たしていく。また、サプライチェーンを含む人権デューデリジェンスの実施により、人権課題の把握、人権リスクの軽減に取り組んでいく。
G(ガバナンス)
コーポレートガバナンスのあり方について、今後も経営で議論し必要な改善を行う風土を維持する。リスクについても常に見直し、社内の内部統制制度の運用・強化と併せ、対応策を平時より準備していく。一方、リスクを完全に排除することは出来ないことも念頭に、有事においては、グループ本社社長、事業会社社長が陣頭指揮を執り、最悪事態を回避するべく取り組んでいく。
② 事業競争力強化戦略の重点テーマ
『(競争上意義のある区分で)一定の事業領域においてトップであるか、トップになりうる事業』を基準として事業ポートフォリオの選択と集中を推進し、事業競争力を強化していく。
1) 国内製粉、加工食品、酵母事業のコアビジネス(中核事業)としての継続、発展
各事業で培ってきた強みを発揮し、新たな価値の提供によりシェアを高め、適正な価格を維持する。さらに、異次元のコスト削減を実行することで高い水準の利益を確保し、今後も当社グループの中心的な役割を果たす。
・熊本製粉のPMI推進
九州地区のコスト競争力強化、異種穀粉ビジネス進出に向けて、関係当局による承認が得られることを前提として、買収、PMIを進めていく。
・生産体制の整備
製粉事業は構造改善施策を推進し、加工食品事業は国内拠点を含めたグローバルでの最適生産体制を常に見直し、また酵母事業は生産体制の整備を進め、コスト削減を不断に行い、海外製品に勝てる競争力を確保すると同時に自動化技術を確立させる。
・日清製粉ウェルナブランドの育成・浸透
当社グループ全社員の不断なる努力と浸透させていくとの強い意志と同時に必要な経費投入を行っていく。
2) 海外事業(現地完結型)の成長戦略
国内における当社グループの強みを活かせることを確認した上で投資を進めていく。
・海外製粉事業
豪州製粉事業はコアとなる事業基盤を確保した上で、継続的なコスト削減、強みを活かせる主力製品での売上拡大、収益性の高い市場の選択、ブランド化を図ることで2026年度に2021年度比で42百万豪州ドル(約40億円、1豪州ドル=95円)の増益を目指す。(減損損失の計上に伴うのれんを含む固定資産の償却費負担減少の影響を除く)
米国をはじめとするその他の海外製粉事業は、収益の維持を図るとともに、さらなる事業成長、コスト削減に向けた必要な投資、新たな事業領域への展開を図る。
新規投資についても、これまでの経験を活かして、次なる投資機会を検索し、検討を進める。
・海外加工食品事業
ミックス、パスタ、パスタソース、冷凍食品において、自社ノウハウを活かし、次なる投資を検討、実行するとともに、既存事業における現地販売を進めていく。
・インドイースト事業
事業本格開始を推進し、中期経営計画期間中での工場のフル稼働を目指し、酵母事業への売上、収益貢献を実現する。
3) 中食・惣菜事業の成長戦略
中食・惣菜事業は、食の外部化の進展により国内食品業界における数少ない成長マーケットである。また和惣菜の特長及びチルド流通を活かし、輸入品との競合に脅かされない強みを持ち、当社グループが培ってきた省人化技術を発揮できる領域でもある。事業を統括するため設立した中間持株会社(㈱日清製粉デリカフロンティア)を中心に、競合他社との競争に勝てるコスト競争力の確保を図るとともに、製粉、加工食品事業との連携による小麦粉、ミックス、パスタを始めとする食に関する開発力を背景に当社グループ総和として売上拡大を目指す。
4) 健康・バイオ事業の方向性
「健康」を支える事業領域として、健康食品事業が取り組むパーソナルニュートリション(各個人専用の健康食品等の提案)と、バイオ事業が進めるバイオマーカー(AGEs*等)とのシナジーを図る。M&Aも含め取組む事業領域を明確にして、健康・バイオ事業の成長実現を目指す。
* 終末糖化産物/Advanced Glycation End Products
過剰に摂取した糖がヒトのカラダを主に構成しているタンパク質と結びつくことで体内に生成される最終産物のこと。近年は老化に関わる物質として研究が進んでいる。
5) エンジニアリング・メッシュクロス事業の方向性
世界的に見ても高い技術力、知見を有するエンジニアリング事業(粉体技術及び食品プラント建設技術)とメッシュクロス事業(メッシュ技術)は、外部との連携も念頭にさらなる業容拡大を目指すとともに、最先端の電子部品市場や環境関連市場等、両技術が活用される領域における事業連携を図る。
6) 新規事業へのチャレンジ
既存事業の競争優位の確保や、新たに将来の屋台骨となる事業の獲得・育成、更にはフードテックや機能性素材等の新領域におけるイノベーションを見据え、スタートアップ等との協業やM&Aを通じて、中長期視点での新規事業開発を推進する。
③ 環境政策
当社グループは、CO₂、その他食品廃棄物、容器包装廃棄物、水使用量の削減について「環境課題中長期目標」を設定し、現在、気候変動リスクが事業経営に与える影響等の定量化、及びCO₂削減目標達成に向けたロードマップの作成を進めている。
中期経営計画2026では、基本方針に基づき、その達成に向けて必要なコストを織り込み、具体的な設備投資計画を作成し、着実に実行していく。
<環境課題中長期目標>
1. 気候変動への対応(2013年度比)
・2030年度 グループの自社拠点でCO₂排出量50%削減
・2050年
グループの自社拠点でCO₂排出量実質ゼロ
2. 食品廃棄物削減目標(2016年度比 惣菜子会社3社2019年度比)
・2030年度
原料調達からお客様への納品まで50%以上削減(対象:国内)
3. 容器包装廃棄物削減目標(2019年度比)
・2030年度
化石燃料由来プラスチック使用量25%以上削減(対象:国内)
4. 水使用量削減目標(2021年度比)
・2040年度 工場の水使用量原単位30%削減
④ 資本政策
小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールする。中期経営計画期間5年間で得られる営業キャッシュ・フロー及び政策保有株式売却額を、将来に向けた成長投資及びサステナブル投資、維持更新等の通常投資、株主還元等に適切に配分する。投資予算が不足した場合は負債での調達を基本とし、余剰となった場合は将来の資金需要を勘案したうえで、株主還元への充当を検討する。
1) EPSの成長、適切なTSR実現
稼ぐ力、売る力を高めて事業成長を進め、事業ポートフォリオの再構築による選択と集中を図るため、積極的な戦略投資(設備投資、M&A、研究開発、デジタル、人材育成等)を促進し、EPSの成長を継続していく。
その結果として株主からの信頼を受けた株価を形成し、適切なTSR(株主総利回り)を実現する。
2) 連続増配の旗印は取り下げるものの、増配は常に前向きに検討する
配当性向40%以上を保持し、減配はできる限り回避するものの、常に増配をしていくことを前提にはせず、業績を踏まえて配当水準を決めていく。但し、EPSの成長を目指していく中で、増配はタイミングを見据えて常に積極的に検討していく。
3) 社会的責任を踏まえ、財務安定性を確保
当社グループ事業の社会性を勘案し、激甚災害を踏まえた事業継続等も考慮した財務の安定を図る。政策保有株式については、業務提携や共同事業の強化等の取引関係の構築を踏まえつつ見直しを行う。事業ポートフォリオ再構築とあわせ、適切な投下資本管理を通じ、財務の安定性を確保したうえで、資本効率の向上を目指す。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の「対処すべき課題」について、重要な変更、進捗及び新たに発生した課題は以下のとおりです。(2023年2月9日現在)
① 国内事業戦略
製粉事業の日清製粉株式会社が熊本製粉株式会社の発行済株式の85%を取得することにつきまして、関係当局の認可を得られたことから、本年1月に株式を取得いたしました。シナジー効果によるコスト競争力と市場への適応力の増進を図り、事業競争力を一層高めてまいります。
また、中食・惣菜事業におきまして、中食・惣菜事業の全体最適を考えた機動的な戦略判断を行うとともにマネジメントの一層の強化を図るため、昨年7月に中食・惣菜事業を統括する中間持株会社を設立いたしました。今後は中間持株会社が中心となり、傘下子会社の経営資源の有効活用や各社の経営管理・戦略立案への関与・支援を行うとともに、リスク管理・ガバナンスの強化等、競争力ある事業体制を構築してまいります。
② 海外事業戦略
豪州製粉事業におきまして、足元の豪州における経済環境や豪州製粉事業の状況を精査し、事業計画について再検証を行いました。その結果、事業計画を下方修正することとし、第2四半期にてのれんを含む固定資産の減損損失を計上いたしました。豪州製粉事業の今後につきましては、コアとなる事業基盤を確保した上で、継続的なコスト削減、強みを活かせる主力製品での売上拡大、収益性の高い市場の選択、ブランド化を図ることで収益性の向上を図ってまいります。
また、酵母・バイオ事業におきまして、インドの子会社であるOriental Yeast India Pvt. Ltd.でかねてより建設を進めておりましたイースト工場が完成し、昨年8月より稼働を開始いたしました。日本で長年にわたり培ってきた製造・品質管理ノウハウを最大限活用し、現地市場に高品質な製品を供給することで、事業拡大を目指してまいります。
さらには、メッシュクロス事業のタイ子会社であるNBC Meshtec (Thailand) Co.,Ltd.におきまして、来年4月稼働予定で成形フィルタ工場を増設することを昨年12月に決定いたしました。拡大するタイの内需に対応していくとともに、将来のグローバルな供給拠点となるよう今後の更なる拡張を目指してまいります。
⑤ 企業の社会的責任への取組み
ガバナンスの強化につきまして、資産の効率化と財務体質の強化を図るため、昨年11月から12月に当社グループ保有の政策保有株式8銘柄を売却いたしました。政策保有株式につきましては、業務提携や共同事業の強化等の取引関係の構築を踏まえつつ見直しを行う方針であり、今後も縮減に向け取り組んでまいります。
また、当社は株式会社の支配に関する基本方針を定めておりますが、当第3四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、54億40百万円であります。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、原材料価格の上昇等により、生産実績及び販売実績が著しく増加しております。
なお、受注実績に著しい変動はありません。
(8)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、豪州製粉事業において減損損失を計上したため、当社グループの主要な設備が著しく減少しております。
(9)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「1 事業等のリスク」に記載のとおり、当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
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