【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における世界経済は、製造業では、自動車関連で供給制約が解消に向かった一方で、巣ごもり需要の終息などにより通信デバイスや家電などの需要低迷が顕在化しました。また、OECD諸国の設備投資動向を示す実質総固定資本形成は停滞が続いています。世界の貿易量は、特にデジタル関連の取引が多いアジア諸国を中心に減少傾向となりました。一方、サービス業では、中国のゼロコロナ政策の解除に伴う経済回復が需要を押し上げました。インフレ率はエネルギー価格の高騰が一服したことを背景にピークを脱したものの、依然高い水準が続いています。当社グループの主要顧客である自動車産業におきましては、半導体をはじめとする部品不足に伴う供給制約が解消に向かったことに加え、中国における新エネルギー車を対象とする税優遇措置の影響を受けて、2023年上半期の世界ライトビークルの販売台数は、前年同期比で10.7%増加しました。しかしながら、パワートレインの内訳としては、中国を中心に電動化率の上昇が見られました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高8,325百万円(前年同期比4.9%増、業績予想40,000百万円に対して進捗率20.8%)、販売数量が前年同期比で7.0%減となりました。営業利益は、販売数量の減少、前期に計上した戦略的に積み増しを行った原料市況等の影響を受けていない在庫販売効果の剥落等により437百万円(前年同期比74.6%減、業績予想3,000百万円に対して進捗率14.6%)、経常利益は、外貨建資産の為替差益等により1,464百万円(前年同期比50.5%減、業績予想2,700百万円に対して進捗率54.2%)、親会社株主に帰属する四半期純利益はベトナム子会社の旧工場の減損損失(特別損失)により582百万円(前年同期比69.6%減、業績予想1,750百万円に対して進捗率33.3%)となりました。なお、本減損損失は、当社グループのベトナム事業に良い効果が見込まれる相手との包括的な合意に基づき、ベトナム子会社の旧工場を譲渡する計画によるものです。
分野別の販売状況は、次のとおりです。
・戦略分野(半導体・エレクトロニクス)半導体用途は、販売数量は前年同期に届かなかったものの、付加価値の高い製品の拡販が進み、増収となりました。エレクトロニクス用途は、通信デバイス、家電など最終製品の需要低迷に伴い、販売数量で前年同期を下回りました。これらの結果、半導体・エレクトロニクス分野における当第1四半期連結累計期間の売上高は、435百万円(前年同期比8.8%減、業績予想2,000百万円に対する進捗率21.8%)となりました。
・戦略分野(エネルギー)二次電池用途は、電動車の増加による需要増に伴って販売数量を伸ばし、前年同期比で増収となりました。SOFC(固体酸化物形燃料電池)及びSOEC(固体酸化物形電解装置)用途は、販売数量が前年同期に届かなかったものの、原材料価格の変動に伴う販売価格の上昇により前年同期比で増収となりました。水素関連は、堅調に推移しました。これらの結果、エネルギー分野の当第1四半期連結累計期間の売上高は530百万円(前年同期比15.2%増、業績予想3,800百万円に対する進捗率13.9%)となりました。
・戦略分野(ヘルスケア) 生体材料は、販売数量で前年同期に届かなかったものの、付加価値の高い製品の拡販が進み、増収となりました。医療機器用途は堅調に推移しました。これらの結果、ヘルスケア分野における当第1四半期連結累計期間の売上高は、323百万円(前年同期比22.3%増、業績予想1,500百万円に対する進捗率21.5%)となりました。
・自動車排ガス浄化触媒分野 自動車触媒及び酸素センサーは、半導体をはじめとする部品不足の解消により、世界の自動車販売台数が前年同期を上回ったものの、中国を中心に、電動化に伴う需要減の影響を受け、販売数量は前年同期を下回りました。これらの結果、自動車排ガス浄化触媒分野における当第1四半期連結累計期間の売上高は、5,174百万円(前年同期比1.4%増、業績予想25,100百万円に対する進捗率20.6%)となりました。
・基盤分野 世界的に設備投資並びに粗鋼生産量が低調であった影響を受け、構造部材及び耐火物用途は、販売数量が前年同期を下回りました。ブレーキ用途は、自動車の電動化に伴う仕様変更などの影響を受けました。 一方で、ブレージング(アルミ配管ろう付け)用途は、自動車向けで引き続き内燃機関車が主流となるグローバルサウス市場において旺盛な需要を取り込んだことに加え、家電向けではアルミニウム製熱交換器を搭載したルームエアコンの普及が進み、販売数量を大幅に伸ばしました。これらの結果、基盤分野における当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,861百万円(前年同期比14.1%増、業績予想7,400百万円に対する進捗率25.1%)となりました。
(2) 財政状態の状況 当第1四半期連結会計期間末における総資産は67,364百万円で、前連結会計年度末に比べ1,359百万円増加しました。これは主に、仕掛品の増加(635百万円)、現金及び預金の増加(543百万円)、流動資産その他の増加(242百万円)によるものです。 当第1四半期連結会計期間末における負債は32,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,190百万円増加しました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加(3,272百万円)、支払手形及び買掛金の増加(524百万円)、固定負債その他の増加(328百万円)によるものです。 当第1四半期連結会計期間末における純資産は35,320百万円で、前連結会計年度末に比べ831百万円減少しました。これは主に、為替換算調整勘定の減少(1,102百万円)によるものです。 この結果、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末53.8%から51.5%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は235百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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