【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済ならびに社会の混乱が十分に解消しない中、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う経済制裁、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約などがサプライチェーンの混乱に拍車をかけました。また、高まるインフレ率を抑制するため、金融引き締め政策が主流となり、世界的な景気減速への懸念が高まりました。当社グループの主要顧客である自動車産業におきましては、長引くサプライチェーンの混乱を受けて自動車メーカー各社では計画比で減産を余儀なくされましたが、中国における車両購置税などの減税政策を支えに改善が見られ、2022年の世界ライトビークルの累計販売台数は、前年比で0.6%減となりました。当社グループにおきましては、自動車排ガス浄化触媒、二次電池、酸素センサー、ブレーキなどの車載用途の復調がみられたことに加え、産業用構造部材、キッチンセラミックスなどが堅調を維持しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、販売数量が前年同期比で5.6%減少したものの、原材料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響等により26,469百万円(前年同期比22.5%増、業績予想36,200百万円に対して進捗率73.1%)、営業利益は、前期に戦略的に積み増した原料の市況や円安の影響を受けていない原価上昇前の在庫の販売による効果、為替影響等により4,790百万円(前年同期比64.9%増、業績予想5,100百万円に対して進捗率93.9%)、経常利益は、外貨建資産における為替差益の計上等により5,212百万円(前年同期比29.2%増、業績予想5,500百万円に対して進捗率94.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,474百万円(前年同期比14.4%増、業績予想4,100百万円に対して進捗率84.8%)となりました。
用途別の販売状況は、次のとおりであります。
(触媒用途)当社グループの主力製品である自動車排ガス浄化触媒材料は、半導体不足に端を発した部材・部品の不足による自動車減産の影響に加え、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約の影響を受け、販売数量は前年同期を下回ったものの、自動車販売の復調に伴い、需要回復が進みました。一方、売上高は、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響を受け、増収となりました。その結果、触媒用途の当第3四半期連結累計期間の売上高は、16,629百万円(前年同期比28.8%増、業績予想22,400百万円に対して進捗率74.2%)となりました。
(電子材料・酸素センサー用途)電子材料は、圧電素子や積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの電子部品及び光学用途は世界的にコロナ禍での巣ごもり需要が一巡したことに加え、中国における通信デバイス市場の低迷を反映し、販売数量が前年同期を下回りました。二次電池材料は、中国の「ゼロコロナ」政策などによる在庫調整の影響を受けたものの、米国におけるインフレーション抑制法の成立を追い風に販売数量を伸ばし、前年同期比で増収となりました。酸素センサー材料は、上半期に自動車減産の影響を受けたものの、自動車販売の復調に伴い、当第3四半期連結累計期間の販売数量は前年同期並みとなりました。これらの結果、電子材料・酸素センサー用途の当第3四半期連結累計期間の売上高は、2,308百万円(前年同期比6.1%増、業績予想3,400百万円に対して進捗率67.9%)となりました。
(ファインセラミックス用途)ファインセラミックスは、産業用構造部材は堅調に推移いたしました。歯科材料は、先進国の経済正常化と新興国への市場拡大に伴い、コロナ禍以前を上回る水準で推移しました。キッチンセラミックス材料は、インバウンド需要の回復には時間を要するものの、最終製品の販路拡充などにより、販売数量の増加が続いております。燃料電池材料は、販売数量が堅調に推移したことに加え、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇により、増収となりました。これらの結果、ファインセラミックス用途の当第3四半期連結累計期間の売上高は、2,937百万円(前年同期比15.5%増、業績予想3,900百万円に対して進捗率75.3%)となりました。
(耐火物・ブレーキ用途)耐火物材料は、世界粗鋼生産量が需要を上回り在庫過多となった2021年の影響を受け、サプライチェーン内の在庫調整が行われた結果、販売数量は前年同期並みとなりました。ブレーキ材は、自動車減産の影響に加え、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約の影響を色濃く受け、販売数量は前年同期を下回ったものの、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇により、増収となりました。これらの結果、耐火物・ブレーキ用途の当第3四半期連結累計期間の売上高は、2,910百万円(前年同期比18.8%増、業績予想3,930百万円に対して進捗率74.1%)となりました。
(その他用途)アルミ配管ろう付け用セシウムフラックス含むセシウム化合物は、不透明感があるものの一部を除き復調し前年同期を上回りました。セシウム化合物以外の販売数量は前年同期を下回ったものの、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇の影響を受け、増収となりました。これらの結果、その他用途の当第3四半期連結累計期間の売上高は、1,684百万円(前年同期比9.9%増、業績予想2,570百万円に対して進捗率65.5%)となりました。
なお、2022年5月13日公表の中期経営計画「DK-One Next」では、2026年3月期の売上高構成で、「戦略分野」22.5%、「自動車排ガス浄化触媒」55.0%、「基盤分野」22.5%、売上高40,000百万円を目指しており、当第3四半期連結累計期間は、「戦略分野」13.9%、「自動車排ガス浄化触媒」66.8%、「基盤分野」19.3%、売上高26,469百万円となりました。また、2022年10月28日に公表いたしました通期の連結業績予想では、売上高36,200百万円を見込んでおります。
分野
用途
戦略分野
半導体・エレクトロニクス(電子部品、光学、半導体など)エネルギー(二次電池、燃料電池、水素関連など)ヘルスケア(歯科材料など)
自動車排ガス浄化触媒
自動車排ガス浄化触媒、酸素センサー
基盤分野
工業用触媒、構造部材、耐火物、ブレーキ、ブレージング、表面処理、関連事業
(2) 財政状態の分析 当第3四半期連結会計期間末における総資産は67,857百万円で、前連結会計年度末に比べ9,814百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加(3,113百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(2,344百万円)、製品の増加(1,791百万円)によるものです。 当第3四半期連結会計期間末における負債は30,839百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,612百万円増加しました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加(3,584百万円)によるものです。 当第3四半期連結会計期間末における純資産は37,018百万円で、前連結会計年度末に比べ5,202百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(2,794百万円)によるものです。 この結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末53.7%から53.6%となりました。
(3) 優先的に対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は776百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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