【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況 当第1四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済ならびに社会の混乱が十分に解消しない中、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う経済制裁および物流ルートの制限、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約などがサプライチェーンの混乱に拍車をかけました。さらに40年ぶりともいわれる水準で世界的にインフレが進行しました。当社グループの主要顧客である自動車産業におきましても、長引くサプライチェーンの混乱を受けて自動車メーカー各社では計画比で減産を余儀なくされ、2022年上半期の世界ライトビークルの販売台数は、コロナ禍からの需要回復が旺盛であった前年同期に比べ8.5%減少しました。一方で、先進諸国における脱炭素化ならびにデジタル化への意識は依然高く、電動車へのシフトも加速しています。当社グループにおきましては、自動車排ガス浄化触媒、酸素センサーなどの車載用途で自動車減産の影響を受けたものの、電子材料、光学材料、歯科材料、産業用構造部材などは堅調に推移しました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、販売数量が前年同期比で11.5%減少したものの、原材料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響等により7,938百万円(前年同期比5.9%増、業績予想34,500百万円に対して進捗率23.0%)、営業利益は、在庫販売効果、為替影響等により1,720百万円(前年同期比63.3%増、業績予想4,800百万円に対して進捗率35.9%)、経常利益は、外貨建資産における為替差益の計上等により2,957百万円(前年同期比70.5%増、業績予想4,800百万円に対して進捗率61.6%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,917百万円(前年同期比39.3%増、業績予想3,900百万円に対して進捗率49.2%)となりました。
(注)進捗率は、2022年5月13日公表の連結業績予想と比較しております。
用途別の販売状況は、次のとおりであります。(触媒用途)当社グループの主力製品である自動車排ガス浄化触媒材料は、部品不足による自動車減産の影響を受け、自動車販売台数の急回復に伴う需要を取り込んだ前年同期を販売数量で下回ったものの、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響を受け、増収となりました。その結果、触媒用途の当第1四半期連結累計期間の売上高は、4,772百万円(前年同期比6.6%増、業績予想21,370百万円に対して進捗率22.3%)となりました。
(電子材料・酸素センサー用途)電子材料は、圧電素子や積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの電子部品用途の販売数量が前年同期に届かなかったものの、コロナ禍以前を上回る水準で推移しました。光学材料は、一部の用途で最終製品の在庫調整の影響を受けながらも堅調に推移しました。二次電池材料は在庫調整の影響を受けたものの、新規採用が加わり、販売数量で前年同期を上回りました。酸素センサー材料は、自動車販売台数の急回復に伴う需要を取り込んだ前年同期を下回りました。これらの結果、電子材料・酸素センサー用途の当第1四半期連結累計期間の売上高は、801百万円(前年同期比0.8%増、業績予想3,320百万円に対して進捗率24.1%)となりました。
(ファインセラミックス用途)歯科材料ならびに産業用構造部材は、経済正常化が進む先進主要国が需要を牽引し、コロナ禍以前を上回る水準で推移しました。キッチンセラミックスは、インバウンド需要の回復には時間を要するものの、最終製品の販路拡充等により、増収が続いております。燃料電池材料は、顧客の工場改修に伴う在庫調整の影響を受け、前年同期を下回りました。これらの結果、ファインセラミックス用途の当第1四半期連結累計期間の売上高は、912百万円(前年同期比1.1%増、業績予想3,740百万円に対して進捗率24.4%)となりました。
(耐火物・ブレーキ用途)耐火物材料は、円安の進行等により、国産品と輸入品の価格差が小さくなった結果、当社製品の需要が高まり、前年同期を大きく上回りました。ブレーキ材は、自動車販売台数の急回復に伴う需要を取り込んだ前年同期を販売数量で下回ったものの、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇により、増収となりました。これらの結果、耐火物・ブレーキ用途の当第1四半期連結累計期間の売上高は、939百万円(前年同期比19.6%増、業績予想3,910百万円に対して進捗率24.0%)となりました。
(その他用途)アルミ配管ろう付け用フラックスは、自動車向け、家電向けともに、中国のロックダウンに起因する在庫調整の影響を受け、前年同期を下回りました。フラックス以外についても、一部製品で半導体不足や自動車減産による影響が見られたものの、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇により、売上高は前年同期並みの水準で推移しました。これらの結果、その他用途の当第1四半期連結累計期間の売上高は、512百万円(前年同期比4.3%減、業績予想2,160百万円に対して進捗率23.7%)となりました。
(2) 財政状態の状況 当第1四半期連結会計期間末における総資産は61,265百万円で、前連結会計年度末に比べ3,222百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加(1,298百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(1,028百万円)、仕掛品の増加(990百万円)によるものです。 当第1四半期連結会計期間末における負債は28,153百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,925百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加(900百万円)、流動負債その他の増加(802百万円)、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加(366百万円)によるものです。 当第1四半期連結会計期間末における純資産は33,112百万円で、前連結会計年度末に比べ1,296百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(1,674百万円)によるものです。 この結果、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末53.7%から53.0%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は232百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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