【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当社は2023年5月12日にJISとの間で、当社及びJISが当社のステアリング事業をグローバルに統括する連結子会社であるNS&Cを共同運営すること等を内容とする契約を締結しました。これに伴い、第1四半期連結会計期間より、ステアリング事業を非継続事業に分類しています。売上高、営業利益、税引前四半期利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、四半期利益及び親会社の所有者に帰属する四半期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。なお、当社は2023年8月1日にNS&Cに対する支配を喪失し、当第2四半期連結会計期間よりNS&C及び同社の子会社は当社の持分法適用関連会社となりました。当第2四半期連結累計期間において、支配の喪失に係る損益は非継続事業に、持分法による投資損益は継続事業にそれぞれ含めています。
当社グループは、2022年度から2026年度までの5ヵ年を『中期経営計画2026』と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。当第2四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、景気は欧州と中国において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いています。一方で、各国中央銀行の金融引き締めに伴う影響や中国経済の更なる減速懸念など、経済の先行きは未だ不透明な状況にあります。地域別にみると、日本は物価高の影響を受けて個人消費の回復ペースが鈍化するも、サプライチェーン正常化に伴い部材の供給制約が和らいだことで自動車生産が持ち直すなど緩やかに回復しています。米国では金融引き締めによる利上げで住宅投資が低迷するものの、良好な雇用環境を背景に個人消費が下支えし底堅く推移しました。欧州は長引くインフレや鉱工業生産の減少基調が景況感の悪化につながり景気は足踏み状態にあります。中国では海外需要の伸び悩みを受けた輸出停滞や不動産市場の落ち込みなどで失速感がみられました。このような経済環境において当社グループの業績は、為替が円安に推移したこともあり、非継続事業を除いた継続事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は3,866億91百万円(前年同期比+0.1%)となりました。営業利益は111億23百万円(前年同期比△43.3%)、税引前四半期利益は105億28百万円(前年同期比△44.9%)、継続事業及び非継続事業の合算の親会社の所有者に帰属する四半期利益は6億59百万円(前年同期比△89.1%)となりました。 当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業半導体市場の調整局面に加えて、主要国の金融引き締めを受けて製造業を中心にグローバルで設備投資に慎重な姿勢が強まるなど需要低迷が継続し、当第2四半期連結累計期間は対前年同期比で減収となりました。地域別では、日本及び中国はアフターマーケット、工作機械及び半導体製造装置向けを中心に市況悪化の影響を受けて需要が減少しました。米州では半導体製造装置向けなどの販売が落ち込み減収となりました。欧州はアフターマーケットや電機・電装向けの需要が低迷し減収となりました。この結果、産業機械事業の売上高は1,710億12百万円(前年同期比△12.5%)、営業利益は45億93百万円(前年同期比△76.6%)となりました。当事業では、成長が期待できる電動化、自動化、デジタル化、環境市場での需要増加を取り込むため、供給力の強化と技術サービス体制の強化を進めています。さらに、状態監視システムやアクチュエータなど新たな高付加価値商品の開発と市場投入も推進することで、産業機械事業のビジネス拡大を目指していきます。
② 自動車事業グローバル自動車生産台数は部材の供給制約による生産調整の解消が進んだことで前年から増加し、当第2四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。地域別では、日本、米州及び欧州は前年同期に部品供給停滞などを受けて落ち込んだ自動車生産台数が回復に転じたことで増収となりました。中国は前年同期にゼロコロナ政策に伴う厳格な活動規制により生産活動が停滞した反動により増収となりました。この結果、自動車事業の売上高は1,991億27百万円(前年同期比+13.9%)、営業利益は56億74百万円(前年同期は61百万円の利益)となりました。当事業では、自動車の電動化に対し、低トルク・高速回転・軽量化といった当社グループの技術力を活かすことで競争力を強化し、さらには電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなど将来に向けた新商品の拡大を図ることで事業の成長を目指していきます。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末において、資産合計は、前連結会計年度末に比べて787億32百万円増加した1兆3,119億89百万円となり、負債合計は、582億62百万円増加した6,567億95百万円となりました。資本合計は、自己株式の消却等に伴う資本剰余金の減少等があった一方で、その他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末に比べて204億69百万円増加した6,551億93百万円となりました。なお、上記の資産と負債及び資本には、売却目的保有に分類される処分グループに係る資産114億60百万円、売却目的保有に分類される処分グループに係る負債108億99百万円、売却目的保有に分類される処分グループに係るその他の資本の構成要素△3億47百万円が含まれています。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前四半期利益105億28百万円、非継続事業からの税引前四半期損失29億47百万円、減価償却費及び償却費269億12百万円、運転資本等の加減算に加えて、退職給付信託の一部返還を受けたこと等による退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の増減額331億9百万円により、737億13百万円の収入となりました(前年同期は199億7百万円の収入)。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入75億86百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出275億49百万円、その他の金融資産の取得による支出450億15百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出109億17百万円等により、778億21百万円の支出となりました(前年同期は232億24百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得られたキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額127億40百万円、ステアリング事業における持分法適用前の借入実施等に伴う長期借入れによる収入676億7百万円、長期借入金の返済による支出123億10百万円、社債発行による収入150億円、自己株式の取得による支出217億16百万円、配当金の支払額77億4百万円等により、245億97百万円の収入となりました(前年同期は199億90百万円の収入)。
上記により、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて256億35百万円増加した1,857億44百万円となりました。また、前年同期末に比べて263億91百万円増加しました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間において、当社グループにおける継続事業の研究開発活動の金額は、74億91百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。