【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第1四半期連結会計期間において、当社はジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第参号投資事業有限責任組合(以下「JIS」)との間で、当社及びJISが当社のステアリング事業をグローバルに統括する連結子会社であるNSKステアリング&コントロール株式会社(以下「NS&C」)を共同運営すること等を内容とする契約を締結しました。これに伴い、当第1四半期連結会計期間より、ステアリング事業を非継続事業に分類しています。なお、売上高、営業利益、税引前四半期利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、四半期利益及び親会社の所有者に帰属する四半期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。
当社グループは、2022年度から2026年度までの5ヵ年を『中期経営計画2026』と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。当第1四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いています。一方で、インフレの高止まりや各国中央銀行の金融引き締めに伴う景気後退懸念など、経済の先行きは未だ不透明な状況にあります。地域別にみると、日本は消費者心理の改善による個人消費回復や車載向け半導体の供給制約の緩和を背景に自動車生産が持ち直すなど緩やかに回復しています。米国では長引くインフレや金融引き締めによる下押し圧力が強まるなど景気は減速しました。欧州はインフレの長期化や鉱工業生産の減少基調が景況感の悪化につながり景気は足踏み状態にあります。中国では海外需要の伸び悩みを受けた輸出停滞や不動産市場の低迷などで失速感がみられました。このような経済環境において当社グループの業績は、為替が円安に推移したことに加え、インフレ影響に対して売価転嫁を推し進めた結果、非継続事業を除いた継続事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は1,882億47百万円と前年同期に比べて2.6%の増収となりました。営業利益は41億28百万円(前年同期比△50.7%)、税引前四半期利益は42億77百万円(前年同期比△49.3%)、継続事業及び非継続事業の合算の親会社の所有者に帰属する四半期損失は9億29百万円(前年同期は13億20百万円の利益)となりました。
当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業半導体市場の調整局面に加えて、主要国の金融引き締めを受けて製造業を中心にグローバルで設備投資に慎重な姿勢が見られるなど需要が低迷し、当第1四半期連結累計期間は対前年同期比で減収となりました。地域別では、日本と中国はアフターマーケット、工作機械及び半導体製造装置向けを中心に市況悪化の影響を受けて需要が減少しました。米州では半導体製造装置向けなどの販売が減少し減収となりました。欧州は電機・電装やアフターマーケット向けの需要が低迷し減収となりました。この結果、産業機械事業の売上高は850億65百万円(前年同期比△10.7%)となりました。営業利益は23億9百万円(前年同期比△75.0%)となりました。当事業では、成長が期待できる電動化、自動化、デジタル化、環境市場での需要増加を取り込むため、供給力の強化と技術サービス体制の強化を進めています。さらに、状態監視システムやアクチュエータなど新たな高付加価値商品の開発と市場投入も推進することで、産業機械事業のビジネス拡大を目指していきます。
② 自動車事業グローバル自動車生産台数は半導体等部材の供給制約が和らいだことで前年から増加し、当第1四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。地域別では、日本、米州及び欧州は前年同期に半導体不足や部品供給停滞など自動車の減産を受けて落ち込んだ自動車生産台数が回復に転じたことで増収となりました。中国は前年同期にゼロコロナ政策に伴う厳格な活動規制により生産活動が停滞した反動により増収となりました。この結果、自動車事業の売上高は951億79百万円(前年同期比+19.0%)、営業利益は10億86百万円(前年同期は13億57百万円の損失)となりました。 当事業では、自動車の電動化に対し、低トルク・高速回転・軽量化といった当社グループの技術力を活かすことで競争力を強化し、さらには電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなど将来に向けた新商品の拡大を図ることで事業の成長を目指していきます。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末において、資産合計は、前連結会計年度末に比べて246億20百万円増加した1兆2,578億77百万円となり、負債合計は199億16百万円増加した6,184億48百万円となりました。資本合計は、前連結会計年度末に比べて47億4百万円増加した6,394億28百万円となりました。主な増加はその他の資本の構成要素であり、主な減少は自己株式の取得、剰余金の配当です。なお、上記の資産と負債及び資本には、売却目的保有に分類される処分グループに係る資産957億39百万円、売却目的保有に分類される処分グループに係る負債322億28百万円、売却目的保有に分類される処分グループに係るその他の資本の構成要素51億35百万円が含まれています。
(3) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前四半期利益42億77百万円、非継続事業からの税引前四半期損失14億31百万円、減価償却費及び償却費139億77百万円、運転資本等の加減算に加えて、退職給付信託の一部返還を受けたこと等による退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の増減額347億24百万円により、680億65百万円の収入となりました(前年同期は154億41百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出141億51百万円等により、155億99百万円の支出となりました(前年同期は108億1百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出217億16百万円、長短借入金の純減額48億78百万円、配当金の支払額74億85百万円等により、365億88百万円の支出となりました(前年同期は27億41百万円の支出)。
上記に加えて、売却目的保有に分類される処分グループに係る資産に含まれる現金及び現金同等物208億91百万円の減少により、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて3億65百万円減少した1,597億43百万円となりました。また、前年同期末に比べて158億86百万円増加しました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、36億2百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。