【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当社グループは、“『変わる 超える』で新しい姿の1兆円企業へ”を目指す姿として、2022年度から2026年度までの5ヵ年を『中期経営計画2026』と位置づけ、様々な取り組みを推進しています。「安全・品質・環境・コンプライアンス」の当社コアバリューを、経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。当第3四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いています。一方で、ウクライナ情勢の緊迫化を契機としたエネルギー価格の高騰などによるインフレ進行、中国での経済活動抑制によるサプライチェーンの更なる混乱、各国中央銀行の金融引き締めに伴う景気後退懸念、加えて中国における新型コロナウイルス感染拡大の影響など、経済の先行きは未だ不透明な状況にあります。地域別にみると、日本は海外経済減速に伴う輸出環境の悪化や消費者心理を冷やす物価高など持ち直しの動きに足踏みがみられました。米国では長引くインフレや金融引き締めで需要が減少するなど景気後退懸念が強まりました。欧州はインフレの高止まりやエネルギー供給への懸念が景況感の悪化につながり停滞しました。中国では新型コロナウイルス感染封じ込めを狙うゼロコロナ政策で経済活動が滞り、12月の緩和後は感染急拡大で消費や企業活動が落ち込み景気は減速しました。このような経済環境において当社グループの業績は、材料・エネルギー・物流のインフレが一段と進行した影響を受けたものの、為替が円安に推移した影響や、インフレ影響に対して売価転嫁を推し進めた結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は7,001億80百万円と前年同期に比べて10.7%の増収となりました。営業利益は219億82百万円(前年同期比+5.7%)、税引前四半期利益は215億11百万円(前年同期比+2.8%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は109億26百万円(前年同期比△9.4%)となりました。
当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業半導体市場の拡大と電動化及び自動化関連を中心とした設備投資の牽引に加えて、売価転嫁の推進と為替影響もあり、当第3四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。一方、足元では先行き不透明感を受けて需要が減少しました。地域別では、日本はアフターマーケット、半導体製造装置及び工作機械向けを中心に需要が増加しました。米州ではアフターマーケットや半導体製造装置向けの需要が増加し増収となりました。欧州はアフターマーケットや工作機械向けの販売が増加し増収となりました。中国ではゼロコロナ政策に伴う厳格な活動規制により生産活動が停滞した影響を受けたものの、工作機械向けなどの増加や為替影響により増収となりました。この結果、産業機械事業の売上高は2,917億42百万円(前年同期比+13.5%)、営業利益は292億16百万円(前年同期比+34.2%)となりました。当事業では、成長が期待できる電動化、自動化、デジタル化、環境市場での需要増加を取り込むため、供給力の強化と技術サービス体制の強化を進めています。さらに、状態監視システムやアクチュエータなど新たな高付加価値商品の開発と市場投入も推進することで、産業機械事業のビジネス拡大を目指していきます。
② 自動車事業半導体不足や部品供給停滞で減産が拡大した前年同期からの回復が想定より遅れたものの、売価転嫁の推進と為替影響もあり、当第3四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。なお、売価転嫁と為替の影響を除くと物量は減少しました。地域別では、日本は中国からの部品調達が滞るなど自動車の生産調整が続いた影響を受けて減収となりました。米州及び欧州では前年同期に半導体等部材の供給不足による生産制約の影響を受けて落ち込んだ反動により増収となりました。中国はゼロコロナ政策に伴う厳格な活動規制により生産活動が停滞した影響を受けたものの、減税などの販売促進策による自動車販売増加や為替影響により増収となりました。この結果、自動車事業の売上高は3,841億80百万円(前年同期比+8.8%)、営業損失は66億71百万円(前年同期は129億65百万円の損失)となりました。当事業では、自動車の電動化に対し、低トルク・高速回転・軽量化といった当社グループの技術力を活かすことで競争力を強化し、さらには電動油圧ブレーキシステム用ボールねじやトラクションドライブ減速機など将来に向けた新商品の拡大を図ることで事業の成長を目指していきます。また、ステアリング事業は構造改革による収益力の回復、及び協業によるシナジー創出を目指していきます。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間においては、軟調な株式市場の影響により、退職給付に係る資産、繰延税金負債がそれぞれ減少しました。その結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて332億33百万円減少した1兆2,013億18百万円となり、負債合計は132億33百万円減少した5,838億58百万円となりました。資本合計は、親会社の所有者に帰属する四半期利益があったものの、剰余金の配当による減少、その他の資本の構成要素の減少等により、前連結会計年度末に比べて199億99百万円減少した6,174億60百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて26億36百万円増加した1,401億41百万円となりました。また、前年同期末に比べて42億78百万円減少しました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前四半期利益215億11百万円から減価償却費及び償却費、運転資本等の加減算を行った結果、456億69百万円の収入となりました(前年同期は117億16百万円の収入)。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入24億28百万円、有形固定資産の取得による支出317億38百万円等により、341億81百万円の支出となりました(前年同期は158億8百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、社債の発行による収入250億円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払額151億60百万円、短期借入金の純減額36億62百万円等により、105億35百万円の支出となりました(前年同期は304億39百万円の支出)。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、147億48百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。