【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態に関する説明
(単位:億円)
前連結会計年度末
2022年12月期
第3四半期末
増減
資産
9,219
9,404
185
非流動資産
流動資産
4,036
5,182
4,180
5,224
143
41
負債
1,847
1,775
△72
資本
7,372
7,628
257
親会社所有者帰属持分比率(%)
80.0%
81.1%
1.1%
◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ185億円増加し、9,404億円となりました。
・非流動資産は、繰延税金資産や有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ143億円増加し、4,180億円となりました。
・流動資産は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ41億円増加し、5,224億円となりました。
◎ 負債は、未払法人所得税や契約負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ72億円減少し、1,775億円となりました。
◎ 資本は、配当金の支払いによる減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ257億円増加し、7,628億円となりました。この結果、当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント増加し、81.1%となりました。
(2) 経営成績に関する説明
① 業績の概況
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますことから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しておりますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しております。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しております。
(単位:億円)
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
増減率
%
売上収益
2,540
2,838
298
11.7%
コア営業利益
468
609
140
30.0%
税引前四半期利益
419
604
185
44.2%
親会社の所有者に帰属する四半期利益
329
492
163
49.5%
<期中平均為替レート>
通貨
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
米ドル(USD/円)
108円
126円
18円
英ポンド(GBP/円)
149円
160円
11円
人民元(CNY/円)
16.6円
19.1円
2.5円
当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日から9月30日までの9か月間)の売上収益は2,838億円(前年同期比11.7%増)、コア営業利益は609億円(同30.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は492億円(同49.5%増)となりました。
◎ 売上収益は、日本は減収となったものの、北米及びEMEAにおいてグローバル戦略品が伸長し、技術収入が増加した結果、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は187億円となりました。
◎ コア営業利益は、販売費及び一般管理費や研究開発費が増加したものの、海外売上収益の増収及び技術収入の増加により売上総利益が増益となったため、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は67億円となりました。
◎ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は、法人所得税は増加したものの、コア営業利益の増益に加え、金融収益の増加により、増益となりました。
② 地域統括会社別の売上収益
(単位:億円)
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
増減率
%
日本
1,149
1,092
△56
△4.9%
北米
542
759
217
40.1%
EMEA
398
480
82
20.6%
アジア/オセアニア
221
225
4
1.9%
その他
230
281
51
22.2%
売上収益合計
2,540
2,838
298
11.7%
(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4つの「地域」とグローバル・スペシャリティファーマとして必要な「機能」を軸とするグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しております。
2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等であります。
3.その他は、技術収入及び受託製造等であります。
<主要製品の売上収益(日本)>
(単位:億円)
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
増減率
%
パタノール
92
24
△68
△73.7%
ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」
167
132
△35
△20.8%
ダーブロック
14
44
31
226.2%
ロミプレート
49
75
26
53.3%
ジーラスタ
212
227
15
7.1%
クリースビータ
51
64
13
24.5%
◎ 日本の売上収益は、腎性貧血治療剤ダーブロック等の新製品群が伸長したものの、2021年4月及び2022年4月に実施された薬価基準引下げの影響に加え、抗アレルギー点眼剤パタノールの大幅な減収により、前年同期に比べ減少しました。
・抗アレルギー点眼剤パタノールは、2021年12月に後発医薬品が発売された影響を受け、売上収益が減少しました。
・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。
・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年8月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、前年同期には特約店への出荷調整(2020年6月から2021年3月まで)による影響があったため、売上収益が増加しました。
・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、売上収益を伸ばしております。7月には自動投与デバイスである「ジーラスタ®皮下注 3.6mg ボディーポッド」の承認を取得しました。
・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年12月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
<主要製品の売上収益(海外)>
(単位:億円)
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
増減率
%
Crysvita
551
787
237
43.0%
Poteligeo
110
161
51
46.6%
Nourianz
31
45
14
46.3%
Abstral
63
54
△9
△14.1%
Regpara
67
29
△38
△56.9%
Gran
49
64
15
30.2%
◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前年同期を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、売上収益を伸ばしております。
・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年10月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前年同期を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。8月には腫瘍性骨軟化症(TIO)への適応拡大について欧州委員会(EC)から承認を取得し、ドイツ等での販売を開始しました。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年6月の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。
・癌疼痛治療剤Abstral(日本製品名:アブストラル)は、後発医薬品の浸透の影響により、売上収益が減少しました。
◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前年同期を上回りました。
・二次性副甲状腺機能亢進症治療剤Regpara(日本製品名:レグパラ)は、中国において2021年10月から政府集中購買制度*の対象となった影響を受け、売上収益が減少しました。
* 中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。
・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、韓国を中心に売上収益を伸ばしております。
<その他の売上収益>
◎ その他の売上収益は、前年同期を上回りました。
・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティの増加に加え、ヒト型抗OX40モノクローナル抗体KHK4083のアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約をAmgen社と2021年に締結したことに伴い、その契約一時金400百万ドルを一定期間にわたり収益認識するため、技術収入が増加しました。
③ コア営業利益
◎ コア営業利益は、グローバル戦略品の価値最大化とグローバル事業基盤の早期確立に向けたITデジタル基盤や人材への投資等による販売費及び一般管理費の増加に加えて、次世代戦略品の開発進展等に伴う研究開発費の増加があったものの、グローバル戦略品を中心とした欧米の売上収益及び技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、前年同期に比べ増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は67億円となりました。
(3) キャッシュ・フローに関する説明
(単位:億円)
2021年12月期
第3四半期
2022年12月期
第3四半期
増減
増減率
%
営業活動によるキャッシュ・フロー
812
355
△456
△56.2%
投資活動によるキャッシュ・フロー
△108
△134
△26
24.5%
財務活動によるキャッシュ・フロー
△276
△279
△4
1.4%
現金及び現金同等物の期首残高
2,870
3,351
481
16.7%
現金及び現金同等物の四半期末残高
3,304
3,328
23
0.7%
◎ 当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,351億円に比べ23億円減少し、3,328億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、355億円の収入(前年同期は812億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前四半期利益604億円、減価償却費及び償却費143億円に加えて、営業債権の増減額82億円等であります。一方、主な支出要因は、法人所得税の支払額218億円、棚卸資産の増減額101億円等であります。
◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、134億円の支出(前年同期は108億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出98億円や無形資産の取得による支出49億円等であります。一方、主な収入要因は、投資有価証券の売却による収入20億円等であります。
◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、279億円の支出(前年同期は276億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額253億円等であります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しております。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に”only-one value drug”を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しております。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は441億円であり、主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりであります。(◆は当第3四半期連結会計期間の進捗)
腎領域
KHK7580(日本製品名:オルケディア)
◆7月に中国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請を行いました。
がん領域
KRN125(日本製品名:ジーラスタ)
・2月に日本において同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症として承認されました。
◆7月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とする自動投与デバイスが承認されました。
免疫・アレルギー疾患領域
KHK4827(日本製品名:ルミセフ)
◆9月に日本において掌蹠膿疱症を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。
KHK4083/AMG 451(一般名:rocatinlimab)
・6月にアトピー性皮膚炎を対象とした第Ⅲ相国際共同治験を開始しましたが、症例登録を一時中断し、試験の修正を行っております。
中枢神経領域
KW-6356
◆日本において実施したパーキンソン病を対象とする第Ⅱ相試験において有効性が認められましたが、グローバル開発における規制面での見通しや開発難易度等を含め総合的に検討した結果、7月に開発を中止しました。
その他
AMG531(日本製品名:ロミプレート)
・1月に中国においてコルチコステロイドや免疫グロブリン等の前治療で効果不十分な成人慢性免疫性血小板減少症を適応症として承認されました。
KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)
◆8月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。
開発パイプライン一覧
(注)腎領域のKHK7791については、10月に日本において透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とした製造販売承認申請を行いました。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において新たに確定した重要な設備の新設、拡充等の計画は、次のとおりであります。
会社名
事業所名
(所在地)
セグメントの
名称
設備の内容
投資予定金額
着手及び完了予定
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手
完了
当社
高崎工場
(群馬県高崎市)
医薬
バイオ医薬原薬製造棟建設
未確定
(注)
-
未確定
未確定
(注)上記の投資予定金額は、未確定ではありますが、10,000百万円超となる見込みであります。また、当該所要資金は、自己資金により賄う予定であります。