【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化や外国為替市場での急激な円安・ドル高を原因とする物価の上昇など景気の先行きは依然として不安定な状況がみられます。当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェアやキーボード操作などから機密情報を窃取する遠隔操作型のマルウェアであるAgent Tesla等、多様化するサイバー攻撃被害が激化していることを背景としてセキュリティ製品に対する需要が拡大しております。これらは大規模企業のみならず、相対的にセキュリティ対策が遅れている中堅・中小企業においても新規導入需要が拡大しております。こうした中、当社はトータルセキュリティニーズの高まりに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の連携・機能強化と多様なセキュリティソリューションの追加搭載、「i-FILTER@Cloud」のCASB機能(クラウドサービスの利用状況の可視化や制御を実現する機能)などの新機能追加により、独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の展開に注力しました。さらには、従来のAIでは難しかった文章などを自動的に作り出し注目を集めている「生成AI」をより安全に利活用いただくための制御や利用状況を可視化できる「AIチャットフィルター」機能を2023年8月から「i-FILTER」と「i-FILTER@Cloud」に標準搭載し、ご好評をいただいております。また、トータルセキュリティニーズへの対応をさらに拡大するために中期経営計画において掲げていたビジョン「新しい価値創造と需要拡大」を実現するサービスとして、2023年9月には安心・安全なクラウドサービスの認証やID管理を実現するIDaaS製品「StartIn」の提供を開始いたしました。その一方で、過去にない数の新機能追加・新製品リリースに対して積極的に投資したことや、当社及び子会社デジタルアーツコンサルティングの人員数増加により人件費が増加したことなどにより、売上原価及び販売費及び一般管理費が前年を上回りました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は5,563百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は2,188百万円(同2.6%減)、経常利益は2,201百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,521百万円(同2.4%減)となりました。
各市場の業績は次の通りです。
企業向け市場企業向け市場においては、多様化するサイバー攻撃被害の多発によるトータルセキュリティニーズの高まりを受けてリリースした新機能オプションもあり、新規案件獲得が順調に進みました。また、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策やランサムウェア、Agent Tesla等の標的型攻撃に対応した機能が評価され、「m-FILTER」の新規案件の受注を獲得し、クラウドサービス系製品の売上高が増加しました。さらにセキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、コンサルタント人員の増加に伴い、ISMAP取得関連の案件をはじめ、セキュリティ診断からセキュリティ施策の実行支援まで包括的な支援を行う新規案件の獲得等により売上高を拡大しました。以上の結果、企業向け市場の売上高は、3,014百万円(前年同期比17.2%増)となりました。
公共向け市場公共向け市場においては、「GIGAスクール構想」におけるフィルタリング未導入の学校において新規案件を獲得し、自治体向けのセキュリティ対策強化に対応したソリューションの提案に注力し、新規案件を受注しました。また、官公庁におきましても、従前より当社製品をご評価いただいていることもあり、大型案件を獲得いたしました。以上の結果、公共向け市場の売上高は、2,337百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
家庭向け市場家庭向け市場においては、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルターfor マルチデバイス」の販売に注力しましたが、携帯電話事業者やMVNO事業者等からの売上が減少いたしました。以上の結果、家庭向け市場の売上高は、211百万円(前年同期比5.5%減)となりました。
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ252百万円減少し、20,896百万円となりました。これは主として、現金及び預金が759百万円減少したことによるものであります。当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ341百万円減少し、6,633百万円となりました。これは主として、買掛金が144百万円減少したことによるものであります。当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ89百万円増加し、14,262百万円となりました。これは主として、配当金の支払いによる減少を上回る親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加があったことによるものであります。 (2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、759百万円減少し、16,259百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益2,205百万円及び減価償却費433百万円の計上、また法人税等の支払784百万円等により、1,750百万円の収入(前第2四半期連結累計期間は1,855百万円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得等により、466百万円の支出(前第2四半期連結累計期間は434百万円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得及び配当金の支払等により、2,061百万円の支出(前第2四半期連結累計期間は560百万円の支出)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は11百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
#C2326JP #デジタルアーツ #情報通信業セクター