【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類へと移行しました。それにより社会経済活動の正常化と消費行動の回復が見られる一方で、ウクライナ情勢の長期化や外国為替市場での急激な円安・ドル高を原因とする物価の上昇など景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェア・Emotetに加え、キーボード操作などから機密情報を窃取する遠隔操作型のマルウェアであるAgent Tesla等、多様化するサイバー攻撃被害が激化していることを背景としてセキュリティ製品に対する需要が拡大しており、大規模企業のみならず、相対的にセキュリティ対策が遅れている中堅・中小企業においても新規導入需要が拡大しております。こうした中、当社はトータルセキュリティニーズの高まりに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の連携・機能強化と多様なセキュリティソリューションの追加搭載、さらにi-FILTER@CloudのCASB機能(クラウドサービスの利用状況の可視化や制御を実現する機能)などの新機能追加により、独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の展開に注力しました。また、中期経営計画において掲げていたビジョン「新しい価値創造と需要拡大」を実現するサービスの一つとして、コミュニケーションツールである新製品「Desk」を当初計画から前倒しして展開いたしました。その一方で、クラウドサービス系製品のライセンス数増加と為替影響によりサーバー費用が増加し、子会社デジタルアーツコンサルティングの人員数増加により人件費が増加しました。また、過去にない数の新機能追加・新製品リリースを予定していることから、代理店向け拡販イベントや社内戦略会議に対して積極的に投資したことで、売上原価及び販売費及び一般管理費が前年を上回りました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は2,541百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は872百万円(同13.5%減)、経常利益は885百万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は614百万円(同12.4%減)となりました。
各市場の業績は次の通りです。
企業向け市場企業向け市場においては、多様化するサイバー攻撃被害の多発によるトータルセキュリティニーズの高まりを受けてリリースした新機能オプションによる新規案件獲得が順調に進みました。また、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策やEmotet等の標的型攻撃に対応した機能が評価され、「m-FILTER」の新規案件の受注を獲得し、クラウドサービス系製品の売上高が増加しました。また、セキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、コンサルタント人員の増加に伴い、ISMAP取得関連の案件をはじめ、セキュリティ診断からセキュリティ施策の実行支援まで包括的な支援を行う新規案件の獲得等により売上高を拡大しました。以上の結果、企業向け市場の売上高は、1,418百万円(前年同期比12.3%増)となりました。
公共向け市場公共向け市場においては、「GIGAスクール構想」におけるフィルタリング未導入の学校において新規案件を獲得し、自治体向けのセキュリティ対策強化に対応したソリューションの提案に注力し、新規案件を受注しました。以上の結果、公共向け市場の売上高は、1,016百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
家庭向け市場家庭向け市場においては、携帯電話事業者やMVNO事業者等との連携、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルター for マルチデバイス」の販売に注力しました。以上の結果、家庭向け市場の売上高は、106百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ702百万円減少し、20,446百万円となりました。これは主として、現金及び預金が630百万円、受取手形及び売掛金が220百万円それぞれ減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ438百万円減少し、6,537百万円となりました。これは主として、未払法人税等が542百万円減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ264百万円減少し、13,909百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加を上回る配当金の支払い及び自己株式の取得があったことによるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動 当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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