【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。第1四半期連結会計期間より、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載の通りであります。前第2四半期連結累計期間との比較にあたっては、前第2四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて行っております。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)は、映像事業においては、デジタルカメラ市場は中高級機の販売好調により、出荷数量が増加しました。精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は低調に推移しました。また、半導体関連分野の設備投資は、ロジック向けの需要は堅調に推移したものの、メモリ向けの需要は低調に推移しました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で市況は総じて好調に推移しました。コンポーネント事業においては、デジタルソリューションズ事業では、光学部品やエンコーダ関連市場で、在庫や投資の調整の影響を受けました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場減速の影響を受け、低調に推移しました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、産業機器事業では、半導体、電子部品市場の設備投資は低調に推移しました。また、EV(電気自動車)及び車載用バッテリー(電池)市場の設備投資は好調に推移しました。アドバンストマニュファクチャリング事業では、金属AM市場において、これまでと同様にPBF(Powder Bed Fusion)装置が中心の中、大型で生産効率の高い装置への移行により、台数は減少の一方単価が増加傾向となりました。その結果として、金属AM市場は全体として拡大しました。
当社グループは、中期経営計画(2022~2025年度)のもと、主要事業である映像事業、精機事業での安定収益確保、顧客とのタッチポイントの拡大、高付加価値サービスの提供などを進めました。戦略事業では、市場成長が見込まれる分野での新たな価値創造やM&A、アライアンスにも力を入れ、経営基盤強化のために人材確保やコーポレート・ガバナンスの強化にも取り組みました。事業強化を目的に、日米欧を含むAM事業を統括する Nikon Advanced Manufacturing, Inc.を米国に設立。米国を基盤に事業拡大を図り、豊かで持続可能な社会を実現することを目指します。
このような状況の下、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上収益は3,312億96百万円、前年同期比429億65百万円(14.9%)の増収、営業利益は136億29百万円、前年同期比107億89百万円(44.2%)の減益、税引前四半期利益は152億60百万円、前年同期比107億75百万円(41.4%)の減益、親会社の所有者に帰属する四半期利益は98億1百万円、前年同期比90億79百万円(48.1%)の減益となりました。
セグメント情報は次の通りです。
映像事業では、2023年5月に発売したフルサイズミラーレスカメラ「Z 8」を中心に、プロ・趣味層をターゲットとした中高級機及び交換レンズの拡販に注力しました。平均販売単価の上昇や円安効果もあり、増収増益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は1,376億82百万円、前年同期比20.2%増、営業利益は252億15百万円、前年同期比13.2%増となりました。
精機事業では、FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が減少しました。また、半導体露光装置分野は、ArF露光装置の販売台数が増加したものの、サービスビジネスの収益が減少しました。これらの結果、当事業の売上収益は960億23百万円、前年同期比15.2%増、営業利益は32億42百万円、前年同期比48.2%減となりました。
ヘルスケア事業では、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野での堅調な販売に加え円安効果もあり、事業全体として増収となったものの、一部顧客向け取引等に関する引当金を計上したことにより、事業全体として減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は512億60百万円、前年同期比9.8%増、営業利益は27億54百万円、前年同期比25.0%減となりました。
コンポーネント事業では、デジタルソリューションズ事業は、光学部品やエンコーダの販売が減少したことにより減収減益となりました。カスタムプロダクツ事業は、EUV関連コンポーネントの販売がEUV関連市場減速の影響を受け、減収減益となりました。この結果、これらの事業を含む当事業の売上収益は187億70百万円、前年同期比26.9%減、営業利益は59億43百万円、前年同期比47.6%減となりました。
デジタルマニュファクチャリング事業では、産業機器事業は、画像測定システムや工業用顕微鏡の販売が底堅く推移、またX線/CT検査装置や非接触測定を行うレーザーレーダなどもEV関連顧客等への販売が奏功し増収となりました。アドバンストマニュファクチャリング事業は、SLM社の連結子会社化により増収となりましたが、研究開発などの先行投資に加え、事業立ち上げに伴う一過性費用や、SLM社の連結子会社化による無形資産の償却により赤字幅は拡大しました。この結果、これらの事業を含む当事業の売上収益は261億円、前年同期比60.4%増、営業損失は95億48百万円(前年同期は28億83百万円の営業損失)となりました。
(2) 当第2四半期連結会計期間末の財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて486億19百万円増加し、1兆988億86百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が349億47百万円減少した一方、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が270億84百万円、棚卸資産が237億75百万円、売上債権及びその他の債権が204億92百万円増加したためです。当第2四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて151億60百万円増加し、4,470億76百万円となりました。これは主に、未払法人所得税が29億72百万円減少した一方、仕入債務及びその他の債務が70億92百万円、リース負債の増加等により流動負債及び非流動負債に含まれるその他の金融負債が43億77百万円増加したためです。当第2四半期連結会計期間末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて334億59百万円増加し、6,518億10百万円となりました。これは主に、SLM社等の完全子会社化により資本剰余金が62億46百万円減少した一方、在外営業活動体の換算差額等の増加によりその他の資本の構成要素が404億54百万円増加したためです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前四半期利益152億60百万円、減価償却費及び償却費173億89百万円の計上があった一方、売上債権及びその他の債権の増加、棚卸資産の増加、前受金の減少、法人所得税の支払があり、85億64百万円の支出(前年同期は27億47百万円の収入)となりました。当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却による収入が64億50百万円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が211億96百万円あり、173億70百万円の支出(前年同期は218億23百万円の支出)となりました。当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払が86億42百万円、SLM社等の完全子会社化に伴う非支配持分からの子会社持分取得による支出が78億42百万円あり、217億73百万円の支出(前年同期は245億16百万円の支出)となりました。また、現金及び現金同等物に係る換算差額は127億59百万円の増加となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ349億47百万円減少し、1,763億90百万円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。無形資産に計上された開発費を含む当第2四半期連結累計期間の研究開発投資は356億9百万円であります。