【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。当第1四半期連結累計期間より、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりであります。前第1四半期連結累計期間との比較にあたっては、前第1四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えて行っております。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)は、映像事業においては、デジタルカメラ市場は中高級機の販売好調により、出荷数量が増加しました。精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は低調に推移しました。また、半導体関連分野の設備投資は、ロジック向けの需要は堅調に推移したものの、メモリ向けの需要は低調に推移しました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で市況は総じて好調に推移しました。コンポーネント事業においては、デジタルソリューションズ事業では、光学部品やエンコーダ関連市場で、在庫や投資の調整の影響を受けました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場減速の影響を受け、低調に推移しました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、産業機器事業では、半導体、電子部品市場の設備投資は低調に推移しました。また、EV(電気自動車)及び車載用バッテリー(電池)市場の設備投資は好調に推移しました。アドバンストマニュファクチャリング事業では、金属アディティブマニュファクチャリング市場が拡大しました。
このような状況の下、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益は1,581億46百万円、前年同期比124億98百万円(8.6%)の増収、営業利益は32億90百万円、前年同期比120億67百万円(78.6%)の減益、税引前四半期利益は48億17百万円、前年同期比116億91百万円(70.8%)の減益、親会社の所有者に帰属する四半期利益は25億76百万円、前年同期比92億90百万円(78.3%)の減益となりました。
セグメント情報は次のとおりです。
映像事業では、2023年5月に発売したフルサイズミラーレスカメラ「Z 8」を中心に、プロ・趣味層をターゲットとした中高級機及び交換レンズの拡販に注力しました。平均販売単価の上昇や円安効果もあり、増収増益となりました。精機事業では、FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が減少しました。また、半導体露光装置分野は、ArF露光装置の販売台数が増加したものの、サービスビジネスの収益が減少しました。これらの結果、事業全体では減収となり、営業損失を計上しました。ヘルスケア事業では、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で、一部に電子部品等の需給ひっ迫の影響が残るものの、好調な受注状況に加え、前期からの商品出荷繰り越し及び円安効果により事業全体として増収増益となりました。コンポーネント事業では、デジタルソリューションズ事業は、光学部品やエンコーダの販売が減少したことにより減収減益となりました。カスタムプロダクツ事業は、EUV関連コンポーネントの販売がEUV関連市場減速の影響を受け、減収減益となりました。これらの結果、事業全体は減収減益となりました。デジタルマニュファクチャリング事業では、産業機器事業は、半導体、電子部品市場について足元では市況の悪化が見られるものの、画像測定システムや工業用顕微鏡の販売が底堅く推移し増収となりました。一方で、先行投資や部材高騰の影響により赤字幅は拡大しました。 アドバンストマニュファクチャリング事業は、Nikon SLM Solutions AG(7月24日付で「SLM Solutions Group AG」から改称。以下、「SLM社」)の連結子会社化により増収となりましたが、研究開発などの先行投資に加え、事業立ち上げに伴う一過性費用や、SLM社の連結子会社化による無形資産の償却により赤字幅は拡大しました。これらの結果、事業全体では増収となったものの、赤字幅は拡大しました。
(2) 当第1四半期連結会計期間末の財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて514億50百万円増加し、1兆1,017億17百万円となりました。これは主に、棚卸資産が157億25百万円、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が188億73百万円、売上債権及びその他の債権が88億1百万円増加したためです。当第1四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて261億84百万円増加し、4,581億1百万円となりました。これは主に、未払法人所得税が57億10百万円減少した一方、仕入債務及びその他の債務が121億70百万円、前受金が102億19百万円、デリバティブ債務の増加等により流動負債及び非流動負債に含まれるその他の金融負債が52億52百万円増加したためです。当第1四半期連結会計期間末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて252億66百万円増加し、6,436億17百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上や剰余金の配当処分等により利益剰余金が59億93百万円減少した一方、在外営業活動体の換算差額等の増加によりその他の資本の構成要素が313億88百万円増加したためです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前四半期利益48億17百万円、減価償却費及び償却費84億65百万円の計上に加えて、前受金の増加があった一方、売上債権及びその他の債権の増加、棚卸資産の増加、法人所得税の支払があり、37百万円の収入(前年同期は41億86百万円の収入)となりました。当第1四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却による収入が61億32百万円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が66億93百万円あり、6億38百万円の支出(前年同期は73億47百万円の支出)となりました。当第1四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払が84億47百万円、リース負債の返済による支出が19億67百万円あり、108億66百万円の支出(前年同期は137億36百万円の支出)となりました。また、現金及び現金同等物に係る換算差額は100億89百万円の増加となりました。この結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ13億78百万円減少し、2,099億59百万円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。無形資産に計上された開発費を含む当第1四半期連結累計期間の研究開発投資は177億34百万円であります。