【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。第1四半期連結会計期間より、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりであります。前第2四半期連結累計期間との比較にあたっては、前第2四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えて行っております。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)の世界経済は、世界的なインフレや金利の上昇に加え、長期化するウクライナ情勢に伴う資源高等の影響もあり、厳しい状況となりました。事業別では、映像事業においては、デジタルカメラ市場は半導体不足等による部品調達問題が改善し、出荷数量に回復傾向が見られました。精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれの設備投資も縮小の動きが見られました。また、半導体関連分野の設備投資は堅調に推移しました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で市況は総じて好調に推移しました。コンポーネント事業においては、デジタルソリューションズ事業では、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダ関連市場が堅調に推移し、カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場が好調に推移しました。
当社グループでは、2022年4月に発表した中期経営計画のもと、2025年のありたい姿「お客様の欲しいモノやコトをお客様にとって最適な方法で実現」を目指し、映像、精機の主要事業においては安定収益確保のため、お客様とのタッチポイントの拡大や、顧客ニーズを満たす製品・高付加価値サービスの提供などに向けた取り組みを進めました。また、ヘルスケア、コンポーネント等の戦略事業においては、市場成長が見込まれる有望市場において、新たな価値創造を目指し、ソリューションの提供や新領域、受託事業の拡大に努めるとともに、SLM Solutions Group AGの買収に向けた契約を締結するなどM&Aやアライアンスなどにも取り組み、収益の拡大を図りました。加えて、経営基盤強化のため、人材確保・育成の強化、コーポレートガバナンスの強化等にも積極的に取り組みました。
このような状況の下、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上収益は2,883億30百万円、前年同期比152億81百万円(5.6%)の増収、営業利益は244億19百万円、前年同期比76億86百万円(23.9%)の減益、税引前四半期利益は260億35百万円、前年同期比98億78百万円(27.5%)の減益、親会社の所有者に帰属する四半期利益は188億80百万円、前年同期比75億84百万円(28.7%)の減益となりました。
セグメント情報は次のとおりです。
① 映像事業2022年8月に動画撮影時の使いやすさを追求した「Z シリーズ」最小・最軽量のミラーレスカメラ「Z 30」を発売するとともに、フラッグシップモデルのフルサイズミラーレスカメラ「Z 9」の販売が好調に推移し、中高級機の売上げを伸ばしました。また、円安効果による好影響もありました。これらの結果、当事業の売上収益は1,145億67百万円、前年同期比28.4%増、営業利益は222億70百万円、前年同期比77.1%増となりました。
② 精機事業FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が減少したことにより、減収減益となりました。半導体露光装置分野は、新品装置の販売台数が増加したことにより、増収増益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は833億52百万円、前年同期比30.1%減、営業利益は62億74百万円、前年同期比77.2%減となりました。
③ ヘルスケア事業ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で、半導体をはじめとする電子部品の需給ひっ迫による生産への影響が継続しましたが、その影響を最小限に留めるように努めた結果、好調な受注に加えて円安効果もあり、前年同期に比べ事業全体として大幅な増収増益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は466億68百万円、前年同期比41.2%増、営業利益は36億73百万円、前年同期比291.2%増となりました。
④ コンポーネント事業デジタルソリューションズ事業は、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダの販売が好調に推移し、増収増益となりました。カスタムプロダクツ事業は、EUV関連コンポーネントの販売が大きく伸び、増収増益となりました。この結果、これらの事業を含む当事業の売上収益は260億69百万円、前年同期比55.4%増、営業利益は98億15百万円、前年同期比181.0%増となりました。
⑤ 産業機器・その他産業機器事業では、半導体、電子部品、EV関連市場等の活況を背景に、画像測定システムや工業用顕微鏡、X線/CT検査装置の販売が好調に推移したことにより、増収増益となりました。また、「その他」に含まれる生産子会社の稼働率向上により、大幅な増益となりました。これらの結果、産業機器・その他の売上収益は176億75百万円、前年同期比20.5%増、営業利益は15億35百万円(前年同期は16億25百万円の営業損失)となりました。
(2) 当第2四半期連結会計期間末の財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて548億84百万円増加し、1兆944億51百万円となりました。これは主に、自己株式の取得等により現金及び現金同等物が248億43百万円減少した一方、棚卸資産が410億37百万円、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が150億9百万円、出資額の増加等により非流動資産に含まれるその他の金融資産が91億16百万円それぞれ増加したためです。当第2四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて287億25百万円増加し、4,683億25百万円となりました。これは主に、その他の金融負債が73億81百万円、社債及び借入金が53億7百万円、前受金が51億73百万円、仕入債務及びその他の債務が43億73百万円それぞれ増加したためです。当第2四半期連結会計期間末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて261億60百万円増加し、6,261億26百万円となりました。これは主に、自己株式の取得等により自己株式が118億2百万円増加し、在外営業活動体の換算差額等の増加によりその他の資本の構成要素が278億21百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上等により利益剰余金が115億35百万円それぞれ増加したためです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前四半期利益260億35百万円、減価償却費及び償却費135億71百万円の計上に加えて、売上債権及びその他の債権の減少、仕入債務及びその他の債務の増加があった一方、棚卸資産の増加、前受金の減少、法人所得税の支払があり、27億47百万円の収入(前年同期は117億65百万円の収入)となりました。当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得による支出が97億84百万円、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が126億82百万円あり、218億23百万円の支出(前年同期は90億69百万円の収入)となりました。当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得による支出が129億68百万円、配当金の支払が73億49百万円あり、245億16百万円の支出(前年同期は40億45百万円の支出)となりました。また、現金及び現金同等物に係る換算差額は187億49百万円の増加となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ248億43百万円減少し、3,454億33百万円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。無形資産に計上された開発費を含む当第2四半期連結累計期間の研究開発投資は324億75百万円であります。