【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)当期の経営成績の概況当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済活動が大きく制限されることとなり厳しい状況で推移しました。社会経済活動は段階的に緩やかな回復の兆しがある一方、3回目となる緊急事態宣言が発出される等、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。国内の眼鏡小売市場においては、2020年5月の緊急事態宣言解除による経済活動の再開に伴い、個人消費に回復の兆しが見えたものの、11月からの第3波による感染再拡大懸念や政府および各自治体からの外出自粛要請等により、来店客数が減少するなど、依然として厳しい経営環境が続きました。このような状況のもと、当社グループでは、お客様、取引先並びに従業員の安全確保を最優先課題と位置づけ、徹底した感染予防策を取ることでお客さまや従業員の安全を図り、生活必需品と位置付けられるメガネ・コンタクトレンズ・補聴器等の商品・サービス提供事業者としての責務を果たしてまいりました。加えて、外部環境に適応し、安定的かつ継続的な事業活動を行うため、1店舗あたりの収益力増強に資する店舗の出退店を計画し、当連結会計期間において、17店舗の新規出店を行う一方、64店舗を退店(うち移転9店舗)するなど、より筋肉質な事業体質への転換を図っております。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期が見通せないなか、業務の効率化、管理コストの削減や収束後の事業展開を見据え、より機動的な意思決定を行うためのグループ再編を実施するなど、当社グループ構造の最適化を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は26,059百万円(前年同期比4.7%減)となりましが、損益につきましては、家主交渉による店舗賃料の減免や不要不急の支出の見直しと削減、店舗の採算性を鑑みた営業時間短縮の継続による時間外勤務の減少など、経費管理の徹底に努めた結果、営業利益353百万円(前連結会計年度は212百万円の営業損失)、経常利益は926百万円(前連結会計年度は332百万円の経常損失)となりました。当連結会計年度および次期において移転もしくは退店を予定する店舗の損失額や基幹システムの改修に伴う損失額として、減損損失644百万円と店舗閉鎖損失31百万円及び商品評価損191百万円等を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は67百万円(前連結会計年度は1,166百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。なお、当社グループが経営指標(KPI)として重視するEBITDA(注)は1,276百万円(前年同期比46.8%増)となりました。 (注) EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+長期前払費用償却費+除去債務償却費用+のれん償却費+株式報酬費用
当連結会計年度における事業の種類別セグメント業績の状況は次のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
a. 小売事業当社グループの中核事業である小売事業につきましては、眼の健康寿命の延伸をテーマに、従来の25倍、0.01ステップでの度数決定を可能とする精密測定機器の導入を進めているほか、視力だけでなく生活環境や眼の調節力も考慮した「トータルアイ検査」や、いつでも最適な状態のメガネに調整する「スーパーフィッティング」、購入後の充実したサポートを提供する「HYPER保証システム」、いつでも特別価格でフレーム、レンズを交換いただける「こども安心プラン」、特別価格でレンズやフレームを何度でも交換できるメガネのサブスクリプションプラン「メガスク」、「メガネと補聴器の出張訪問サービス」、頻繁に使うコンタクトレンズ用品をまとめて定期的にご自宅にお届けする「コンタクト定期便」等、多様かつ画期的なサービスを提供しております。また、コロナ禍により外出を控えたい方などに電話でメガネ、コンタクトレンズ、補聴器に関するあらゆる相談に対応する遠隔サービス「お家でコンシェルジュ」を開始したほか、コンパクト検査機器による「リモート視力検査システム」を眼鏡チェーン店として初導入し、完全リモートによる度付きメガネの提供サービスを開始するなど、遠隔接客サービスの強化にも努めております。なお、2020年5月以降、営業時間短縮など店舗採算性を重視した店舗運営を行うほか、1店舗あたりの収益力増強に資する店舗展開を推進しております。期首に計画した53店舗の退店(移転、集約・統合含む)を加えた、計64店舗(うち移転9店舗)の退店を行うとともに、17店舗を新規出店し、2021年4月末時点の店舗数は322店舗(前年同期末比47店舗減)となったことから、売上高合計は前年同期の実績を下回ることになりましたが、1店舗あたりの収益力は増強されました。この結果、小売事業における売上高は24,457百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益は1,270百万円(前年同期比166.4%増)となりました。
b. 卸売事業卸売事業につきましては、世界トップブランドのアイウェアを手掛けるマルコリン社(イタリア)の日本総代理店である株式会社VISIONIZEを中心に市場のアイケア・アイウェアに対する多様なニーズへの対応に取り組んでおります。
この結果、売上高は855百万円(前年同期比18.6%減)、セグメント利益は46百万円百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
c. EC事業EC事業につきましては、当社グループECサイト「メガネスーパー公式通販サイト」をはじめ、Amazon・楽天・yahoo!・ロハコ等のモールECにおいて、お客様の利便性を追求した質の高いサービスを継続的に強化しております。当連結会計年度においては、自社ECサイトにおいてはクーポン施策・コーポレートサイトからの誘導などが功を奏しECサイトへの流入数が増加、コンタクト定期便の新規も大幅増、モールECにおいてはAmazonが引き続き好調に推移しております。また、過去に購入したコンタクトレンズ用品を1タップで注文・配送することができるスマートフォンアプリ「コンタクトかんたん注文アプリ」、「コンタクトレンズ在庫検索&取り置き」、コーポレートサイト及びLINEを利用した来店予約など、実店舗とECサイトを包括するデジタルチャネル、店舗とデジタルそれぞれのチャネル特徴を活かしたオムニチャネル戦略を実現するための基盤構築を推進しております。
この結果、EC事業における売上高は736百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益は126百万円(前年同期比14.5%減)となりました。またオムニチャネル戦略による実店舗等への送客等による小売事業における売上貢献額とEC事業売上高を合算したEC関与売上高は864百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
d. その他事業その他事業におきましては、株式会社Enhanlaboにおいてメガネ型ウェアラブル端末「b.g.」の研究開発・量産化を行っております。「b.g.」の初回製造ロット版について順次納品が進んでおりますが、活用事例の創出や大量受注に向けた営業活動には引き続き一定の時間を要する見通しであります。この結果、その他事業における売上高は8百万円(前年同期比17.7%減)となりましたが、開発諸費用の支出によりセグメント損失が14百万円(前年同期は72百万円のセグメント損失)となりました。
②財政状態の概況
(資産)当連結会計年度末の資産につきましては、19,874百万円(前年同期比299百万円増)となりました。流動資産は12,201百万円(前年同期比476百万円増)となりました。主な内訳は、現預金が6,193百万円、商品が3,863百万円、売掛金が1,463百万円であります。固定資産は7,672百万円(前年同期比177百万円減)となりました。主な内訳は、敷金及び保証金が2,437百万円、建物が1,783百万円、のれんが1,139百万円であります。
(負債)当連結会計年度末の負債につきましては、13,989百万円(前年同期比91百万円減)となりました。流動負債は8,649百万円(前年同期比224百万円増)となりました。主な内訳は、短期借入金が2,100百万円、支払手形及び買掛金が1,852百万円、前受金が1,858百万円であります。固定負債は5,339百万円(前年同期比316百万円減)となりました。主な内訳は、長期借入金が2,716百万円、退職給付に係る負債が1,706百万円であります。
(純資産)当連結会計年度末の純資産につきましては、5,885百万円(前年同期比391百万円増)となりました。主な内訳は資本金が142百万円、資本剰余金が6,053百万円、利益剰余金が△1,018百万円であります。
③キャッシュ・フローの概況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、6,162百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、2,726百万円となりました。これは、減価償却費594百万円、減損損失644百万円の計上およびたな卸資産の減少357百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、611百万円となりました。これは、次世代型店舗のリニューアルオープンに伴う有形固定資産の取得により316百万円、新規出店による敷金及び保証金の差し入れにより126百万円を支出した一方、有形固定資産の売却により4百万円の収入があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は、1,342百万円となりました。これは、主に短期借入金の返済による支出700百万円および長期借入金の返済による支出669百万円があったこと等によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年4月期
2020年4月期
2021年4月期
自己資本比率
10.9
23.8
25.1
時価ベースの自己資本比率
97.5
61.1
72.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
16.5
4.9
2.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ
3.8
15.1
31.4
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※ 営業キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。※ 当社は、2017年11月1日に単独株式移転により設立されたため、2017年4月期以前は記載しておりません。
④販売及び仕入の実績
a.販売状況
ア)商品販売実績
品目別・セグメント別
当連結会計年度(自 2020年5月1日至 2021年4月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
品目別
フレーム
3,649,302
89.9
レンズ
5,770,620
95.9
コンタクトレンズ
10,360,737
95.9
コンタクトレンズ備品
171,689
99.5
その他
4,505,251
99.4
小売事業計
24,457,602
95.6
卸売事業
855,939
81.4
EC事業
736,872
107.6
その他
8,956
82.3
合計
26,059,370
95.3
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。2 小売事業のその他には、サングラス、眼鏡備品、補聴器、補聴器付属品、健康食品等が含まれております。
イ)地域別販売実績
地域別
当連結会計年度(自 2020年5月1日 至 2021年4月30日)
売上高(千円)
構成比(%)
出店(店)
退店(店)
期末(店)
北海道・東北地域計
1,084,847
4.2
1
4
17
関東地域計
13,396,401
51.4
3
31
152
中部地域計
6,167,926
23.7
6
9
93
近畿地域計
1,904,011
7.3
2
11
29
中国地域計
176,549
0.7
0
1
3
四国地域計
166,595
0.6
1
1
3
九州地域計
1,385,109
5.3
4
7
25
店舗計
24,281,441
93.2
17
64
322
その他売上高
176,160
0.7
0
0
0
小売事業計
24,457,602
93.9
17
64
322
卸売事業
855,939
3.3
-
-
-
EC事業
736,872
2.8
-
-
-
その他
8,956
0.0
-
-
-
合計
26,059,370
100.0
17
64
322
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。2 小売事業のその他売上高には、本社の売上高が含まれております。
ウ)単位当たりの売上高
項目
当連結会計年度(自 2020年5月1日
至 2021年4月30日)
前年同期比(%)
売上高
(千円)
24,457,602
95.6
売場面積(期中平均)
(㎡)
27,677.00
95.7
1㎡当たり売上高
(千円)
883
99.9
従業員数(期中平均) (人)
1,454
93.1
1人当たり売上高 (千円)
16,820
102.7
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 2 売上高は小売店舗(小売事業)の売上高のみを表示しております。
3 売場面積は稼動月数により算出しております。4 従業員数は店舗における人員であり、パート社員(1日8時間換算)、準社員及び嘱託社員を含んでおります。
エ)仕入状況
商品仕入実績
品目別・セグメント別
当連結会計年度(自 2020年5月1日至 2021年4月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
品目別
フレーム
455,779
77.9
レンズ
1,385,555
95.8
コンタクトレンズ
5,386,677
95.3
コンタクトレンズ備品
105,142
90.4
その他
903,870
136.9
小売事業計
8,237,025
97.3
卸売事業
568,641
83.2
EC事業
414,966
110.3
その他
7,062
15.0
合計
9,227,696
96.4
(注) 1 上記の金額は、仕入価格によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3 小売事業のその他には、サングラス、眼鏡備品、補聴器、補聴器付属品、健康食品等が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a. 棚卸資産当社グループは、棚卸資産の、推定される将来需要および市場状況に基づく時価の見積額と原価との差異に相当する陳腐化の見積額について、評価減の計上が必要となる可能性があります。実際の将来需要または市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
b. 固定資産の減損固定資産については、資産または資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、固定資産の使用方法を変更した場合もしくは不動産取引相場やその他経営環境が変動した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c. のれんの減損当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
d. 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。将来の課税所得の見通しを含め慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整により費用が減少します。また税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
e. 退職給付債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する認識及び分析・検討内容「(1)当期の経営成績の概況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規出店及びM&A等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、多額な資金需要が発生した場合にはエクイティファイナンス等による調達手段を検討し対応することを基本としております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高6,162,075千円、未使用の当座貸越極度限度額及び貸出コミットメント残高4,100,000千円であり、充分な流動性を確保しているものと考えております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載しております。