【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び当該経営成績等に関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症を背景とした行動制限等の厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられました。当社サービスの対象である外食産業においても飲食店の売上高は業態によってばらつきはあるものの総じて回復基調にありましたが、その一方で原材料価格・光熱費の上昇や人材不足等経営環境には厳しさや先行き不透明感がみられました。
当社は当期、不透明な事業環境の中においても着実に中核事業を回復し第4四半期を黒字とすること、また中長期的な当社の事業成長を牽引する新たな事業・サービスを構築することを目指し、主に下記の取り組みを進めてまいりました。中核事業である飲食店支援の回復と再成長に向けて、販促支援領域においては、加盟飲食店への送客力を高めARPUの向上や解約率の低減を図ることを目的に、ポイント付与やネット予約クーポンの配布を軸としたネット予約促進キャンペーンの展開、より販促効果の高い加盟プランへのプランアップ提案等に注力し、これらの取り組みの結果、当第4四半期におけるストック型サービスのARPUは前年同期より37%上昇いたしました。また業務・経営支援領域においては、モバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」に関し、連携するPOSレジシステムの拡大や「楽天ポイント」との連携をはじめとした機能拡充のほか、導入店舗における円滑な利用促進のためのサポート強化等を通じた契約企業数の拡大に注力し、導入店舗では業務効率化だけでなく客単価向上等の効果が現れています。その他、販促分野に留まらない総合的な飲食店支援サービスの拡充や人材交流を通じた社員の育成等を目的とし5月に株式会社テンポスホールディングスと業務提携契約を、外食産業のDX推進を加速すべく飲食店の様々な業務領域においてデジタルを活用した支援ツールを企画・開発・提供することを目的に12月に株式会社オプティムと資本業務提携契約をそれぞれ締結いたしました。飲食店支援以外の新たな取り組みとして、商業施設の飲食エリアのコンセプト設計から店舗誘致・構築、フロア運営までを総合的にプロデュースする店舗開発事業において4月に鹿児島県、5月に愛知県、11月に東京都の商業施設にそれぞれフードホールをオープンしたほか、食を通じた地域振興施策として総務省の「地域活性化起業人制度」を活用した従業員の派遣を全国13の地域へと拡大、6月には当社が運営するECサイトにおいて「ふるさと納税」サービスの取り扱いを開始いたしました。また9月には予約が困難な飲食店の席確保や予約代行等の付加価値の高い食体験サービスを提供する有料会員制サービス「PREMIUM GOURMET CLUB」を開始いたしました。加えて早期の業績回復と中長期的な利益創出に向け、注力サービスの絞り込みや業務効率化による経営資源配分の見直しにも取り組み、具体的には、7月に「楽天ぐるなびデリバリー」及び「楽天ぐるなびテイクアウト」のサービスを、2月にマルチ決済サービス「ぐるなびPay」を、3月にPOSレジサービス「ぐるなびPOS+(ポスタス)」を終了したほか、12月に連結子会社である株式会社ぐるなびプロモーションコミュニティを解散いたしました。また売上回復にかかる期間における固定費の低減等を目的に業務提携先企業等への従業員の出向を5月以降順次実施いたしました。また、当社はコロナ禍からの業績回復・再成長の実現のため、第三者割当増資により事業推進に係る設備資金や運転資金を調達する等、前期より財務基盤の強化を図ってまいりました。当期においてはより一層の運転資金の充実及び財務基盤の強化のため8月に株式会社商工組合中央金庫より資本性劣後ローンによる2,200百万円の、また1月に上述の資本業務提携に伴う第三者割当増資によりオプティムより300百万円の資金調達を実施いたしました。
以上の活動の結果、当社の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
財政状態について、当連結会計年度末の総資産は、流動資産が上述の資金調達等による現金及び預金の増加を主因に1,369百万円増加した一方で、固定資産が本社オフィスの縮小等による敷金及び保証金の減少を主因に475百万円減少したことから、前連結会計年度末より893百万円増加し13,001百万円となりました。負債については、上述の資本性劣後ローンによる資金調達により長期借入金が増加したことを主因とし、前連結会計年度末より2,846百万円増加し6,102百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失2,286百万円等により前連結会計年度末より1,953百万円減少し6,898百万円となりました。
経営成績について、当連結会計年度の売上高は12,296百万円(前連結会計年度は12,852百万円)となりました。事業区分別の売上高は下表のとおりです。
区分
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
対前期増減率(%)
金額(千円)
金額(千円)
基盤事業
飲食店販促サービス
ストック型サービス
8,412,290
7,863,974
△6.5
スポット型サービス
1,579,564
1,118,196
△29.2
小計
9,991,854
8,982,170
△10.1
プロモーション
1,361,331
1,282,249
△5.8
小計
11,353,185
10,264,419
△9.6
関連事業
1,499,119
2,031,647
+35.5
合計
12,852,305
12,296,066
△4.3
飲食店販促サービスのうちストック型サービスについては、前期において受注の低調により売上の減少が続き、当期の期初におけるベース売上が低水準だったことを主因とし前期を下回りましたが、上述の販促支援領域における取り組み等が奏功し、当期においては第1四半期をボトムに四半期毎に売上が回復いたしました。スポット型サービスについては、2021年9月に新たな加盟プランを開始したことに伴う手数料の改定によりネット予約手数料売上が減少したことのほか、上述のデリバリー及びテイクアウトサービスの終了により、前期を下回りました。関連事業については、上述の店舗開発事業において商業施設からの収益を計上したほか、訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」の回復等により前期を上回りました。
費用面については、採用の抑制及び自然減による従業員の減少と上述の出向施策により人件費が減少したほか、注力サービス・施策の絞り込みによる業務委託費や広宣・販促費の減少等により前期を下回りました。
以上の結果、営業損失は1,724百万円(前連結会計年度は4,786百万円の損失)、経常損失は1,664百万円(前連結会計年度は4,692百万円の損失)となりました。なお当連結会計年度において固定資産の減損処理に伴う減損損失690百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失は2,286百万円(前連結会計年度は5,768百万円の損失)となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失の計上により、1,042百万円の支出(前連結会計年度比3,603百万円の支出減)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、ソフトウェア(442百万円)及び有形固定資産(289百万円)の取得等による支出があった一方、投資有価証券の売却(399百万円)、本社オフィスの縮小に伴う敷金及び保証金の回収(364百万円)等の収入があったことから、123百万円の支出(前連結会計年度比813百万円の支出減)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に上述の長期借入金による収入2,200百万円、第三者割当増資300百万円により、2,449百万円の収入(前連結会計年度は4,994百万円の収入)となりました。
当社グループにおける主な資金需要は、営業活動等に係る人件費やサービスの制作・運用に係る外注費、事務所賃借料等の運転資金のほか、サービスの拡大・強化に係るソフトウェア投資等の設備資金です。資金調達につきましては、基本的に内部資金を活用しておりますが、事業環境の変化を見据え、適宜外部資金の調達を実施しております。
なお、生産実績については、当社グループは飲食店販促支援事業を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。また、当社グループの主たる業務である飲食店販促支援事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
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