【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結会計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)における世界経済は、欧米を中心に高いインフレ率が続いており、その抑制のために政策金利の引き上げが行われ、景気後退が懸念されるなど、先行きが不透明な状況が継続いたしました。
こうした中、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、景気は回復基調で推移いたしました。一方で、エネルギー価格や物価の高騰、急激な円安の進行等、先行きが不透明な状況が継続いたしました。
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における総資産は749億8千2百万円(前連結会計年度末705億9千7百万円)となり43億8千5百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が53億3千3百万円増加、棚卸資産が5億3千9百万円減少したことによるものです。
負債は125億6千5百万円(前連結会計年度末122億5百万円)となり3億5千9百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が9億6千1百万円増加、未払消費税等が4億円増加、買掛金が8億7百万円減少、未払金が2億7千1百万円減少したことによるものです。
純資産は624億1千7百万円(前連結会計年度末583億9千1百万円)となり40億2千6百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が19億8千5百万円増加、為替換算調整勘定が15億1千5百万円増加、その他有価証券評価差額金が4億4千4百万円増加したことによるものです。
②経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は301億5千1百万円(前年同四半期連結累計期間比26.3%増)、営業利益は30億2千万円(同128.1%増)、経常利益は35億4百万円(同108.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は26億3千9百万円(同109.6%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
会社名
日本
アイホン株式会社
北米
アイホンコーポレーション
欧州
アイホンS.A.S.、アイホンUK
タイ
アイホンコミュニケーションズ(タイランド)
ベトナム
アイホンコミュニケーションズ(ベトナム)
その他
アイホンPTY、アイホンPTE.
セグメント
売上高(億円)
営業利益(億円)
第2四半期累計期間
増減率(%)
第2四半期累計期間
増減率(%)
2023年
3月期
2024年
3月期
2023年
3月期
2024年
3月期
日本
203.7
266.0
30.6
9.0
26.1
189.4
北米
46.7
65.0
39.2
0.7
5.7
690.3
欧州
17.0
19.5
14.7
△0.3
0.1
-
タイ
38.1
51.0
33.9
1.2
1.6
31.8
ベトナム
31.3
27.4
△12.6
1.6
1.0
△32.5
その他
6.0
6.6
8.9
0.6
0.1
△76.5
(日本セグメント)
売上高は266億3百万円(前年同四半期連結累計期間比30.6%増)となりました。また、営業利益は売上高の大幅な増加等もあり26億1千万円(同189.4%増)となりました。
戸建住宅市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、新築では当社の納入時期にあたる住宅着工戸数は前年同期から減少する中、部品不足の状況が回復したことにより主力テレビドアホンの販売状況が大きく改善するとともに、前年度に行った価格改定の効果がみられたことによります。また、リニューアルにおいても部品供給の回復とともに、セキュリティ需要の高まりにより主力のテレビドアホンを中心に量販店等への販売の大幅な増加が寄与いたしました。
集合住宅市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、新築では市場競争環境の正常化により、分譲マンション向けの販売が大幅に減少したものの、大手賃貸ディベロッパー等への積極的な受注活動や価格改定の効果もあり、賃貸マンション向けの売上が好調に推移したことによります。また、リニューアルでは部品不足の状況に一定程度の回復がみられたことにより、分譲マンション向け、賃貸マンション向けともに販売が好調に推移いたしました。
ケア市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、新築では病院の着工数は引き続き減少傾向にある中、部品不足の懸念が払拭されたことを追い風に、積極的な受注活動が奏功し病院や高齢者施設への販売が好調に推移したことによります。また、リニューアルでは医療・介護従事者の不足を背景とする「見守り支援」に対する需要が高まりをみせており、病院や施設等への継続的なソリューション提案活動が奏功いたしました。
業務市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、引き続きテナントビルや学校、官公庁案件等への設備投資が好調に推移するとともに、鉄道の駅や商業施設等における省人化・無人化の需要も高水準を維持していることから、IPネットワーク対応インターホンシステムの販売が好調に推移したことによります。また、価格改定も売上の増加に寄与いたしました。
(北米セグメント)
売上高は現地通貨ベースで大幅に増加するとともに、円貨ベースにおいても為替の影響により大幅に増加し、65億2百万円(前年同四半期連結累計期間比39.2%増)となりました。また、営業利益は売上高の大幅な増加等もあり5億7千7百万円(同690.3%増)となりました。
主な要因は、商品供給の正常化に伴い、前年度からのバックオーダーの解消を含め学校案件等の業務市場や集合住宅市場を中心に、IPネットワーク対応インターホンシステムやテレビドアホンの販売が好調に推移したことによります。また、コロナ禍後の働き方の変化に伴い、住宅やオフィスビル等への設備投資需要が高水準を維持しており、テレビドアホン販売の好調な要因となりました。
(欧州セグメント)
売上高は現地通貨ベースで増加するとともに、円貨ベースにおいても為替の影響により大幅に増加し、19億5千9百万円(前年同四半期連結累計期間比14.7%増)となりました。また、営業利益は1千7百万円(前年同四半期連結累計期間は営業損失3千1百万円)となりました。
主な要因は、欧州経済全体が冷え込む中、主要国フランスにおいて集合住宅市場を中心に市況が低迷しているものの、一部商品の供給制限が回復傾向となり、戸建住宅市場への販売が好調に推移したことによります。しかしながら、各販売市場ともに商品の供給制限が限定的であった一昨年度の状況には至っておらず、市況低迷の影響については引き続き注視が必要な状況となっております。
また、イギリスにおいても経済環境の不安定な状況が継続し、集合住宅市場における一部の案件については工期が延期となるなど上半期の業績に影響を与えました。しかしながら、商品の供給制限が回復したことにより、業務市場において主力商品の販売が好調に推移した結果、売上は前年同期より大幅に増加したことが寄与いたしました。
(タイセグメント)
生産拠点として、売上高は生産量の増加や為替の影響等により51億8百万円(前年同四半期連結累計期間比33.9%増)となりました。また、営業利益につきましては、部品価格の高騰があったものの売上高の大幅な増加等もあり1億6千6百万円(同31.8%増)となりました。
主な要因は、部品供給が回復傾向となったことにより、グループ間における生産調整を行った結果、第2四半期における生産量は前年同期を下回ったものの、累計生産量が大幅に増加したことによります。なお、今後の生産状況については、一部の部品を除き供給が安定傾向にあることから、引き続き生産調整を進めてまいります。
(ベトナムセグメント)
生産拠点として、売上高は生産量の減少等により27億4千万円(前年同四半期連結累計期間比12.6%減)となりました。また、営業利益につきましては、部品価格の高騰や売上高の大幅な減少等もあり1億9百万円(同32.5%減)となりました。
主な要因は、昨年度の下半期に実施した一時的な増産に対する生産調整を行った影響により、生産量が前年同期を大幅に下回ったことによります。引き続き、安定的な生産の実施に向けて製品及び部品在庫の正常化を進めてまいります。
(その他)
売上高は6億6千1百万円(前年同四半期連結累計期間比8.9%増)となりました。営業利益につきましては、グループ間取引価格の変更の影響や販管費増加等もあり1千5百万円(同76.5%減)となりました。
主な要因は、オーストラリアを中心とするオセアニアについては、主力商品の供給が回復傾向となったことにより、需要の高いIPネットワーク対応インターホンシステムを中心に業務市場の販売は増加したものの、オーストラリア経済の減速による住宅市場の市況の停滞が影響し、売上は減少したことによります。
シンガポールを中心とする東南アジアについては、一部商品の供給に遅れが生じたことにより上半期の集合住宅市場の販売が鈍化したものの、ケア市場や業務市場を中心に販売が好調に推移し、売上は大幅に増加したことによります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ56億9千7百万円増加し、194億5千3百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は50億1千5百万円(前年同四半期連結累計期間は26億8千万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益36億1千8百万円、棚卸資産の減少額12億9千1百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は9億4千8百万円(前年同四半期連結累計期間は22億7千4百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の売却及び償還による収入6億5千1百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は7億6千2百万円(前年同四半期連結累計期間比23.8%減)となりました。これは主に、配当金の支払額6億5千3百万円などによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、17億5千4百万円であります。