【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における世界経済は、欧米を中心に高いインフレ率が継続しており、その抑制のため世界的に金利の引き上げが行われるなど、先行きが不透明な状況が継続いたしました。こうした中、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除され、景気は回復基調で推移いたしました。一方で、エネルギー価格の高騰や円安の進行に起因する物価の高騰等、先行きが不透明な状況が継続いたしました。
①財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は720億9千3百万円(前連結会計年度末705億9千7百万円)となり14億9千6百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が15億2千1百万円増加、棚卸資産が9億6千4百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が9億3千2百万円減少したことによるものです。
負債は112億6千5百万円(前連結会計年度末122億5百万円)となり9億4千万円減少いたしました。これは主に、未払費用が11億4千6百万円減少、買掛金が6億8千8百万円減少、賞与引当金が5億7千万円増加、未払法人税等が4億7千5百万円増加したことによるものです。
純資産は608億2千8百万円(前連結会計年度末583億9千1百万円)となり24億3千7百万円増加いたしました。これは主に、為替換算調整勘定が11億9千1百万円増加、利益剰余金が8億5千7百万円増加、その他有価証券評価差額金が3億8千5百万円増加したことによるものです。
②経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高140億1千8百万円(前年同四半期連結累計期間比24.7%増)、営業利益は14億8千1百万円(同71.8%増)、経常利益は18億3千万円(同60.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は15億1千1百万円(同75.0%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
会社名
日本
アイホン株式会社
北米
アイホンコーポレーション
欧州
アイホンS.A.S.、アイホンUK
タイ
アイホンコミュニケーションズ(タイランド)
ベトナム
アイホンコミュニケーションズ(ベトナム)
その他
アイホンPTY、アイホンPTE.
(日本セグメント)
国内の住宅市場につきましては、戸建住宅におきまして、新築では当社の納入時期にあたる住宅着工戸数は前年同期から減少しているものの、部品供給の回復により主力テレビドアホンの販売状況が大きく改善するとともに、昨年10月に行った価格改定の効果もあり、売上は大幅に増加いたしました。また、リニューアルにおいても対象商品への部品供給は回復傾向にあり、主力のワイヤレステレビドアホンシリーズを中心に量販店等への販売が大幅に増加いたしました。この結果、戸建住宅市場全体といたしましては、売上は大幅に増加いたしました。
集合住宅につきましては、新築では当社の納入時期にあたる住宅着工戸数は前年同期から増加いたしましたが、市場競争環境の正常化が一段と進んだことにより、分譲マンションにおいては販売が大幅に減少いたしました。一方、賃貸マンションにおいては積極的な採用化活動を継続したことにより、大手賃貸ディベロッパーを中心に販売が好調に推移いたしました。また、リニューアルでは賃貸マンションにおいて継続的な部品の供給不足が大きく影響したものの、分譲マンションにおいては部品供給が大幅に回復したことにより、前年同月比を大きく上回る受内定残を背景に販売が好調に推移し、売上が大幅に増加いたしました。この結果、集合住宅市場全体といたしましては、売上は大幅に増加いたしました。
ケア市場につきましては、新築では病院の着工数は引き続き減少傾向にある中、これまでの受注活動が奏功し病院や高齢者施設への販売が好調に推移したことにより、売上は大幅に増加いたしました。また、リニューアルにおきましては、医療・介護従事者の不足や就業中のコミュニケーション促進等の課題に対するソリューション提案活動を行ったことにより病院等への販売が好調に推移し、売上は大幅に増加いたしました。この結果、ケア市場全体といたしましては、売上は大幅に増加いたしました。
業務市場につきましては、テナントビルや官公庁案件等への設備投資が好調に推移するとともに、継続的な鉄道の駅等の省人化・無人化の需要の高まりを背景に積極的な受注活動を実施したことにより、IPネットワーク対応インターホンシステムの販売が好調に推移いたしました。この結果、業務市場全体といたしましては、売上は大幅に増加いたしました。
これらの結果、日本セグメントの売上高は119億7千万円(前年同四半期連結累計期間比29.0%増)となりました。また、営業利益につきましては、グループ間取引価格の変更の影響等もあり10億4千9百万円(同77.4%増)となりました。
(北米セグメント)
アメリカの販売子会社であるアイホンコーポレーションにつきましては、一部商品の供給制限が回復傾向となったことにより、これまでのバックオーダーが解消するとともに、学校案件等の業務市場や集合住宅市場を中心に、IPネットワーク対応インターホンシステムやテレビドアホンの販売が好調に推移いたしました。また、コロナ禍後の働き方の変化に伴い、引き続き住宅やオフィスビル等への設備投資需要の高まりが継続していることなどから、売上は大幅に増加いたしました。
これらの結果、北米セグメントの売上高は37億6千6百万円(前年同四半期連結累計期間比55.5%増)となりました。また、営業利益につきましては、グループ間取引価格の変更の影響等もあり5億5千8百万円(同429.3%増)となりました。
(欧州セグメント)
フランスの販売子会社であるアイホンS.A.S.につきましては、欧州において景気の低迷が続く中、コロナ禍後の戸建住宅における需要が新築及びリニューアルにおいて継続いたしました。また、部品の供給不足による一部商品の供給制限が回復傾向となったことなどにより、主力テレビドアホンの販売が好調に推移いたしました。しかしながら、集合住宅市場におきましては市況の低迷の影響が大きく、売上は大幅に減少いたしました。
イギリスの販売子会社であるアイホンUKにつきましても、一部商品の供給制限が回復したことにより、住宅市場や業務市場において主力商品の販売が好調に推移した結果、売上は大幅に増加いたしました。
これらの結果、欧州セグメントの売上高は現地通貨ベースにおきましては減少いたしましたが、円貨ベースにおきましては為替の影響により9億4千7百万円(前年同四半期連結累計期間比3.5%増)となりました。また、営業損失につきましては、1千4百万円(前年同四半期連結累計期間は営業損失2千万円)となりました。
(タイセグメント)
当社グループ向けの製品等を生産・出荷している生産子会社であるアイホンコミュニケーションズ(タイランド)につきましては、部品供給が回復傾向となったことにより、一部の受注残への対応に向け計画を上回る生産を実施した結果、累計生産量は前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、タイセグメントの売上高は生産量の増加や為替の影響等により31億9百万円(前年同四半期連結累計期間比60.4%増)となりました。また、営業利益につきましては、グループ間取引価格の変更の影響や売上の大幅な増加等もあり1億5千8百万円(同356.9%増)となりました。
(ベトナムセグメント)
当社グループ向けの製品等を生産・出荷している生産子会社であるアイホンコミュニケーションズ(ベトナム)につきましては、昨年度の下半期に実施した一時的な増産に対する生産調整を行った影響により、生産量は前年同期を大幅に下回りました。
これらの結果、ベトナムセグメントの売上高は、生産量は減少したものの為替の影響等により14億6千4百万円(前年同四半期連結累計期間比11.1%増)となりました。また、営業利益につきましては、部品価格の高騰等もあり5千6百万円(同15.6%減)となりました。
(その他)
報告セグメントに含まれない販売子会社といたしまして、オーストラリアの販売子会社であるアイホンPTYにつきましては、主力商品の供給が回復傾向となったことにより、需要の高いIPネットワーク対応インターホンシステムを中心に販売が拡大し、売上は増加いたしました。
シンガポールの販売子会社であるアイホンPTE.につきましては、一部商品の供給に遅れが生じたものの、ケア市場や業務市場を中心に販売が好調に推移し、売上は大幅に増加いたしました。
これらの結果、セグメントに含まれない販売子会社におきましては、売上高は3億4千7百万円(前年同四半期連結累計期間比23.3%増)となりました。営業利益につきましては、グループ間取引価格の変更の影響や販管費増加等もあり1千8百万円(同39.9%減)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、8億4千3百万円であります。