【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。先行きについては、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要があるものと考えられます。
当社グループの主な事業分野である携帯電話等販売市場では、2022年3月にKDDI㈱が3G(第3世代移動通信システム)のサービスを終了するなど、5G(第5世代移動通信システム)への移行が徐々に進んでおります。一方で、一部の通信事業者においては、前連結会計年度より手数料条件の改定がありました。加えて、オンライン手続きを強化し、中長期的にキャリアショップを統廃合する方針を掲げるなど、当社をはじめ、携帯電話等販売代理店の役割および競争環境に大きな変化が起こっております。また、円安による携帯電話等の端末値上げに伴う買い控えに加え、物価上昇の影響から携帯電話サービスへの支出が減少しております。
このような事業環境において、当社グループは、中期経営計画の全社戦略として掲げた「TG Universe(ティーガイア内エコシステム)の実現」および「TGマテリアリティ(8つの重要課題)への取り組み」を着実に進めることで、モバイル事業に依存しない事業ポートフォリオへの変革を目指しております。2022年4月には、「ソリューション事業、決済サービス事業他を中心とした積極的な成長投資」および「独自商材の更なる拡販や店頭業務の生産性向上」のサポートを目的に、全社横断組織化した専門部署を設置しました。生産性向上を目的としたBPR組織、DX推進組織などの活動が本格化し、成果が出始めております。
また、店舗で初期設定や利用方法等をリモートでサポートする「スマートオンラインサポート」など、生産性向上に向けた具体的な取り組みの効果は出始めておりますが、連結範囲の変更、連結子会社の増加および出張販売が増えたことなどにより、販売費及び一般管理費が増加しました。
この結果、当社グループの当連結会計年度における業績につきましては、売上高4,536億4百万円(前期比4.8%減)、営業利益69億94百万円(同33.8%減)、カード退蔵益が前期に比して減少し、経常利益は116億37百万円(同24.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は79億38百万円(同25.0%減)となりました。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの業績については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、2,460億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億90百万円増加いたしました。主な増減要因は次のとおりであります。
項目別の増減要因
分類項目
前連結会計年度比増減額
主な要因
流動資産
58億78百万円の増加
現金及び預金105億10百万円の減少は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ④連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。また、仕入単価の上昇等により棚卸資産が36億16百万円増加いたしました。連結子会社においてカード預り金の増加に伴う供託金が増加し、差入保証金が118億19百万円増加いたしました。
固定資産
10億87百万円の減少
主として、繰延税金資産の取崩しにより13億36百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,711億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億86百万円増加いたしました。主な増減要因は次のとおりであります。
項目別の増減要因
分類項目
前連結会計年度比増減額
主な要因
流動負債
39億8百万円の増加
カード預り金が126億86百万円増加したものの、1年以内返済予定の長期借入金を返済したことにより90億円減少いたしました。
固定負債
35億22百万円の減少
金融機関に返済する借入金を、固定負債から流動負債に振り替えたことにより37億51百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は748億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億4百万円増加いたしました。主な増減要因は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ③連結株主資本等変動計算書」をご参照ください。この結果、自己資本比率は30.2%(前連結会計年度末は29.2%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ105億10百万円減少し、当連結会計年度末には456億52百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、99億96百万円(前連結会計年度は188億64百万円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益120億34百万円計上したことによるものであります。税金等調整前当期純利益についての詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、35億58百万円(前連結会計年度は24億84百万円の使用)となりました。当社グループは事業価値を高めるため、直営ショップの移転・改装、太陽光パネルの設置(ESG投資)および社内システムのリプレイスや拡充等に投資しており、有形固定資産の取得による支出で15億92百万円、ソフトウエアの取得による支出で12億89百万円を使用しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、171億65百万円(前連結会計年度は79億31百万円の使用)となりました。新規借入はなく約定弁済のみであり、長期借入金の返済が127億51百万円、この他、配当金を41億83百万円支払っております。
④ 仕入および販売の実績
a.商品等仕入実績
当連結会計年度の商品等(支払手数料含む)仕入実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
モバイル事業
330,579
97.0
ソリューション事業
27,148
108.6
決済サービス事業他
28,485
100.3
報告セグメント計
386,213
98.0
その他
247
-
合 計
386,460
98.0
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.販売等実績
当連結会計年度の販売等(受取手数料含む)実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
モバイル事業
381,515
93.7
ソリューション事業
37,651
106.7
決済サービス事業他
34,174
100.4
報告セグメント計
453,341
95.1
その他
262
-
合 計
453,604
95.2
(注1)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(注2)最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
KDDI㈱
66,977
14.0
61,092
13.5
㈱NTTドコモ
65,196
13.7
60,183
13.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、および②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、通通信事業者の事業方針変更、人財の確保、企業買収等があります。
通信事業者の事業方針については、中長期に渡ってオンライン契約の比率を高めていく方針を掲げております。前連結会計年度においては、一部の通信事業者の手数料条件の改定がありました。当社グループの業績にも影響が生じておりますが、これに対し当社グループでは、独自ビジネスのさらなる拡大、全社の業務効率化・生産性向上に取り組んでおります。
人財の確保については、全社業務の見直しによる人員の再配置を進めるとともに、モバイル事業を中心とした更なるお客様満足度や販売品質の向上にむけ、人財の質を高めております。また、ソリューション事業・決済サービス事業他においては、事業拡大および多様化に伴い、デジタル分野等の専門性を有する人財の確保と育成等に注力しております。当社グループでは、働き方の多様性やワークライフバランスの促進等により魅力的な職場環境の構築を進めております。
企業買収等については、引き続き多彩なビジネスモデル、広範な取引関係、全国にある営業拠点等の当社の強みを複合的に活用できる、ソリューション事業、決済サービス事業他および新事業の拡大に資する企業買収等に取り組んでまいります。
その他の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(モバイル事業)
モバイル事業では、不採算店舗を閉鎖する一方で、ショッピングモール等を中心としたサテライト店の出店だけでなく、近隣に店舗がない遠隔地への出張サポートにより販売・サービス提供の機会を創出しております。総務省の「令和4年度利用者向けデジタル活用支援推進事業(地域連携型)」の事業実施団体として採択されるなど、地域社会の活性化にも貢献しました。そのほか、通信事業者等を通じてマイナンバーカードに係る申請サポート事業を受託し、2023年3月の受付終了までに当社直営店舗合計で15万件超の申請をサポートしました。
業績については、商戦期である2023年1~3月において新規契約数が伸長し、収益の改善がみられました。スマートオンラインサポートに対応した店舗を拡大し、効率化を図るとともに、携帯電話等のコーティングサービスやセキュリティ商材等の独自商材の拡販に取り組みました。一方で、上述した手数料条件改定の影響および当連結会計年度を通じて機種変更契約数が伸び悩んだことにより、受取手数料等が前期に比べ減少しました。
この結果、売上高は3,815億15百万円(前期比6.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億83百万円(同53.9%減)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業では、世界的な半導体の供給不足等による一部の商品の納入遅れは解消しつつあり、回線契約数は前年同期に比べ増加しました。
LCM(Life Cycle Management)事業については、商材・サービスを拡充しており、回線管理サービスやヘルプデスク等の管理ID数が前年同期を上回りました。ヘルプデスクについては文教関係の案件および「スマートオンラインサポート」の提供範囲拡充等に対応するため、コールセンターを増床しました。また、エッジ機能を活用したネットワークの構築、運用保守等の新たな事業領域の提案に加え、政府が掲げる「デジタル田園都市国家構想」を背景に、自治体営業にも引き続き注力しております。
固定回線系商材においては、独自ブランドの光アクセスサービス「TG光」の累計保有回線数が前期末から約15%増加するなど、堅調に推移しました。
この結果、売上高は376億51百万円(前期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億32百万円(同9.2%増)となりました。
(決済サービス事業他)
決済サービス事業では、PIN・ギフトカードの取扱高は前期と比べ減少しました。巣ごもり需要等で高まっていたゲームや音楽・動画配信等の様々なデジタルコンテンツの需要は徐々に落ち着きつつあります。
「QUOカード」および「QUOカードPay」は自治体の施策等への採用もあり、発行高は前期に比べ増加しましたが、発送・事務関連の費用が一部先行して発生しました。㈱クオカードでは、利用者の利便性を向上させるため、引き続き加盟店の拡大に注力しております。
その他の新規事業では、コンビニエンスストア等を中心としたスマートフォンアクセサリの卸売り販売が、取扱販路の拡大と商材の拡充により堅調に推移しました。子ども向けICTスクールの運営、eスポーツ事業のオンラインイベント開催などに引き続き注力しました。また、2022年11月には、ウェアラブルディバイスブランド「Fitbit」の国内主要代理店として販売を開始しました。
連結子会社である㈱TGパワーでは、大手飲食チェーン店や家電量販店への太陽光発電システムの設置を進めるなど、再生可能エネルギー事業の拡大を図りつつお客様の気候変動対策にも貢献しました。
この結果、売上高は341億74百万円(前期比0.4%増)、カード退蔵益が前期に比べ減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は29億99百万円(同3.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.財務に関する経営者の考え方
(資金調達について)
当社グループの運転資金および投資資金の確保については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金で充当することを基本としています。更なる資金需要が生じた場合の資金調達に関しては、必要な資金量に見合う金額を適宜判断し、金融機関からの借入による資金調達を想定しております。
グループ会社の資金調達については、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、原則としてグループファイナンスにて対応しておりますが、 金利水準によっては金融機関からの借入により資金調達をしております。
(資金使途について)
各事業セグメントにおけるM&A、携帯電話端末等の棚卸資産の購入、販売費及び一般管理費の支払い、資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済および利息の支払い、配当金の支払い等に資金を充当しています。
当社グループは、ソリューション事業および決済サービス事業他などにおいて、商材開発・M&A・周辺事業への投資を加速してまいります。
ロ.株主還元に関する経営者の考え方
(配当について)
持続的な成長を実現するための事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しながら、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な配当に努めてまいります。
(配当性向について)
親会社株主に帰属する当期純利益をベースに、連結配当性向40%を目途として、利益還元を実施することを基本方針としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しており、この連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の金額および開示に影響を与える見積りや判断を必要としています。
この見積りを検討または決定するにあたっては、過去の実績、将来の見通し、発生可能性および金額の合理性その他様々な要素を考慮して、その時点の状況として合理的と考えられる最適な見積りを行っていますが、実際の結果は見積り特有の不確実性(経営環境の変化や見積もった時点での前提条件等)があるため、将来においてこの見積りとは異なる場合があります。
上記の仮定等のもとで、当連結会計年度末の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては以下のとおりであります。
イ.カード退蔵益の見積り
ロ.㈱TFモバイルソリューションズに係るのれんおよび契約関連無形資産
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
ハ.繰延税金資産の回収可能性
当社グループにおいて、繰延税金資産の回収可能性の判断を行うにあたっては、税効果会計に係る会計基準および繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)に準拠して評価を行っております。しかしながら、繰延税金資産の回収可能性の評価は、将来の業績や課税所得の見積りに依存する部分もあり、以下の事象の発生や状況となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
・当社または連結子会社の業績が著しく悪化した場合
・税率変更を含む税制の改正等があった場合
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、当社グループは2023年4月18日に、2022年5月2日に開示した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想を修正しました。
<連結業績予想の修正理由>
当連結会計年度につきましては、携帯電話等の端末値上げ等により買い替えサイクルが長期化したことに加え、世界的な物価上昇から携帯電話サービスへの支出が減少するなど、携帯電話等販売市場の環境は大きく変化しました。最大の商戦期である当第4四半期においては、市場環境がやや改善したものの、通期累計での携帯電話等の回線契約数が前期実績を大幅に下回りました。当社は、独自収益の拡大や店舗を中心とした生産性向上に努めてまいりましたが、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益において業績予想値を下回る見込みであったため、連結業績予想を修正しました。修正後の連結業績予想と当連結会計年度の経営成績との差分は軽微であります。
なお、当社グループの当連結会計年度の経営成績の前期対比は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(単位:百万円)
2022年
3月期
実績
2023年
3月期
実績
2023年
3月期計画
前期比
計画比
売上高
476,464
453,604
453,750
△4.8%
-
営業利益
10,567
6,994
7,000
△33.8%
△0.1%
経常利益
15,381
11,637
11,650
△24.3%
△0.1%
親会社株主に帰属する当期純利益
10,579
7,938
7,950
△25.0%
△0.1%
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