【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4~12月)におけるわが国経済は、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要があるものと考えられます。
当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の主な事業分野である携帯電話等販売市場では、2022年3月にKDDI㈱が3G(第3世代移動通信システム)のサービスを終了するなど、5G(第5世代移動通信システム)への移行が徐々に進んでおります。一方で、一部の通信事業者においては、前第2四半期連結会計期間(2021年7~9月)より手数料条件の改定がありました。加えて、オンライン手続きを強化し、中長期的にキャリアショップを統廃合する方針を掲げるなど、当社をはじめ、携帯電話等販売代理店の役割および競争環境に大きな変化が起こっております。また、携帯電話等の端末価格上昇に伴う買い控えに加え、物価上昇の影響から携帯電話サービスへの支出が減少しております。
このような事業環境において、当社グループは、中期経営計画の全社戦略として掲げた「TG Universe(ティーガイア内エコシステム)の実現」および「TGマテリアリティ(8つの重要課題)への取り組み」を着実に進めることで、モバイル事業に依存しない事業ポートフォリオへの変革を目指しております。2022年4月には、「ソリューション事業、決済サービス事業他を中心とした積極的な成長投資」および「独自商材の更なる拡販や店頭業務の生産性向上」のサポートを目的に、全社横断組織化した専門部署を設置しました。生産性向上を目的としたBPR組織、DX推進組織などの活動が本格化しております。
当第3四半期連結累計期間の携帯電話等の回線契約数(以下、「回線契約数」といいます。)は、物価上昇等の外部環境の悪化および通信事業者の販売施策の方針変更等に伴う機種変更契約数の減少により、260万回線(前年同期比14.1%減)となりました。独自商材の拡販や過度な端末値引きの抑制により、1回線あたりの収益性を高めておりますが、上述した手数料条件改定の影響および回線契約数の減少による受取手数料等の減収を補うには至りませんでした。
また、店舗で初期設定や利用方法等をリモートでサポートする「スマートオンラインサポート」など、生産性向上に向けた具体的な取り組みの効果は出始めておりますが、連結範囲の変更、連結子会社の増加および出張販売が増えたことなどにより、販売費及び一般管理費が増加しました。
この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績につきましては、売上高は3,283億8百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は46億59百万円(同35.3%減)、カード退蔵益が前年同期に比して減少し、経常利益は78億90百万円(同27.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は54億93百万円(同28.2%減)となりました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントごとの業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
モバイル
事業
ソリューション
事業
決済サービス
事業他
その他・
調整額
合計
売上高
273,997(△5.3%)
27,590(8.9%)
26,667(5.8%)
52
(-)
328,308(△3.4%)
親会社株主に帰属
する四半期純利益
1,608(△57.7%)
1,631(20.5%)
2,069(△17.1%)
184
(-)
5,493(△28.2%)
<参考>営業利益
2,394(△56.4%)
1,980(15.6%)
144(-)
139
(-)
4,659(△35.3%)
※ %表示は、対前年同四半期増減率
(モバイル事業)
通信事業者各社が提供する携帯電話等の通信サービスや各種コンテンツの契約取次と携帯電話等の販売を行っております。当社グループの全国に広がる店舗は、単なる「販売拠点」でなく、「地域のICT拠点」として、質の高いサービスとご要望に沿った利用価値の提案により、お客様に喜ばれ、信頼される店舗を目指しております。
モバイル事業では、上述した手数料条件改定の影響および回線契約数が伸び悩んだことにより、受取手数料等が前年同期に比べ減少するなど、外部環境はさらに厳しさを増しております。一方で、ショッピングモール等を中心としたサテライト店の出店だけでなく、近隣に店舗がない遠隔地への出張サポートにより販売・サービス提供の機会を創出しております。引き続き、スマートオンラインサポートに対応した店舗を拡大し、効率化を図るとともに、携帯電話等のコーティングサービスやセキュリティ商材等の独自商材の拡販に取り組んでおります。
また、総務省の「令和4年度利用者向けデジタル活用支援推進事業(地域連携型)」の事業実施団体として採択されるほか、通信事業者等を通じてマイナンバーカードに係る申請サポート事業を受託するなど、地域社会の活性化にも貢献しております。マイナンバーカードに係る申請サポ―トについては、受付期間が2023年2月末まで延長されており、引き続き注力しております。
この結果、売上高は2,739億97百万円(前年同期比5.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億8百万円(同57.7%減)となりました。
(ソリューション事業)
法人向けの携帯電話の販売や端末・回線管理サービス等のソリューションサービスの提供、法人・個人に対する光回線サービスの販売・契約取次を行っております。当社グループでは、パソコンまで含めたスマートデバイスの調達・提案、導入支援から、環境構築、保守、運用、アップデートまでの一連のライフサイクルの管理・サポートをLCM(Life Cycle Management)事業と呼称しており、お客様のご要望にワンストップで対応すべく、商材・サービスの拡充を行っております。
ソリューション事業では、世界的な半導体の供給不足等による一部の商品の納入遅れは解消しつつあり、回線契約数は前年同期に比べ増加しました。
LCM事業については、商材・サービスを拡充しており、回線管理サービスやヘルプデスク等の管理ID数が前年同期を上回りました。ヘルプデスクについては文教関係の案件および「スマートオンラインサポート」の提供範囲拡充等に対応するため、コールセンターを増床しました。また、エッジソリューションを活用したネットワークの構築、運用保守等の新たな事業領域の提案に加え、政府が掲げる「デジタル田園都市国家構想」を背景に自治体との連携強化にも引き続き注力しております。
固定回線系商材においては、独自ブランドの光アクセスサービス「TG光」の累計保有回線数が前年同期から約1割増加するなど、堅調に推移しております。
この結果、売上高は275億90百万円(前年同期比8.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億31百万円(同20.5%増)となりました。
(決済サービス事業他)
全国の主要コンビニエンスストア等を通じての「PIN(プリペイドコード)」、「ギフトカード」および「スマートフォンアクセサリ」の販売等を行っております。また、連結子会社である㈱クオカードでは、「QUOカード」および「QUOカードPay」の発行・精算業務およびカード関連機器の販売ならびに保守業務等を行っております。
決済サービス事業では、PIN・ギフトカードの取扱高は前年同期と比べ減少しましたが、ゲームや音楽・動画配信等の様々なデジタルコンテンツの需要は引き続き高い水準にあります。
「QUOカード」および「QUOカードPay」は自治体の施策等への採用もあり、発行高は前年同期に比べ増加しましたが、発送・事務関連の費用が一部先行して発生しております。㈱クオカードでは、利用者の利便性を向上させるため、引き続き加盟店の拡大に注力しております。
その他の新規事業では、コンビニエンスストア等を中心としたスマートフォンアクセサリの卸売り販売が、取扱販路の拡大と商材の拡充により堅調に推移しました。子ども向けICTスクールの運営、eスポーツ事業のオンラインイベント開催などに引き続き注力しております。また、2022年11月には、ウェアラブルディバイスブランド「Fitbit」の国内主要代理店として販売を開始しました。
連結子会社である㈱TGパワーでは、大手飲食チェーン店や家電量販店への太陽光発電システムの設置に関する契約を締結するなど、再生可能エネルギー事業の拡大を図りつつお客様の気候変動対策にも貢献しております。
この結果、売上高は266億67百万円(前年同期比5.8%増)、上述したカード退蔵益が前年同期に比べ減少し、親会社株主に帰属する四半期純利益は20億69百万円(同17.1%減)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ24億33百万円増加し、1,969億75百万円となりました。これは主に棚卸資産が44億73百万円、未収入金が14億57百万円、差入保証金が118億19百万円増加したものの、現金及び預金が149億19百万円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ8億73百万円減少し、458億62百万円となりました。これは主に繰延税金資産が14億円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ15億60百万円増加し、2,428億37百万円となりました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ19億88百万円増加し、1,642億79百万円となりました。これは主にカード預り金が94億74百万円、未払金が38億41百万円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が90億円、買掛金が14億23百万円、賞与引当金が11億89百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ26億50百万円減少し、58億53百万円となりました。これは主に長期借入金が28億13百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ6億62百万円減少し、1,701億32百万円となりました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ22億22百万円増加し、727億5百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益を54億93百万円計上し、剰余金の配当を41億83百万円支払ったことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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