【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、創業以来の中核事業であるSMO事業及びCRO事業の拡大を推進するとともに、グループ戦略として、SMO事業及びCRO事業で創出される資金を原資として、先端医療事業における医薬品や先端医療技術の開発、メディカルサポート事業のノウハウを活かした各事業のさらなる拡大のための設備投資等を進めています。各事業においては、引き続き変革と革新に取り組み、グループシナジーの最大化と模倣困難な競争優位性の確立を推進しており、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。
上記グループ戦略に基づき、先端医療事業では、COVID-19ワクチン「IRO-203」等の開発を推進しています。「IRO-203」は国内初のウイルスベクターを用いた経鼻接種ワクチンとして開発を進めており、第Ⅰ相臨床試験を開始し、目標症例数84例への投与が完了しました。将来的にはこの技術を他のワクチン等にも活用することを視野に入れて開発を進めております。
COVID-19ワクチンの臨床試験やその他のパイプラインの研究開発は、開発ステージの進捗に伴い経費が増加するため、当第2四半期連結累計期間では、前年同四半期比において影響が生じております。
一方で、中核事業であるSMO事業及びCRO事業は堅調に推移しており、SMO事業においては、基幹病院との提携拡大及びがんや難治性疾患を含むあらゆる疾患領域の試験の受託が可能な体制の構築を推進することにより、安定した収益拡大の基盤を構築しており、当第2四半期連結累計期間は計画を上回って進捗しています。また、下期に複数の大型案件の受託を予定しており、通期計画についても順調に進捗しています。
CRO事業においても、海外事業が堅調に推移するとともに、国内事業においても受託業務の拡大や統計解析分野のさらなる強化などの取り組みにより、医師主導試験をはじめとした新規試験の受託に繋がっており、下期には複数の新規試験の開始を予定しています。
その結果、当第2四半期連結累計期間においては、売上高は8,678百万円(前年同四半期比10.0%減)、営業利益は790百万円(前年同四半期比67.2%減)、経常利益は1,225百万円(前年同四半期比51.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,092百万円(前年同四半期比44.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① SMO事業
当セグメントにおきましては、引き続きアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等の疾患領域の開発が増加しているため、専門医療センターや大学病院等の基幹病院との提携を拡大し、あらゆる疾患領域 の試験の受託が可能な体制構築を推進しています。一方で、がんや難治性疾患等の試験と比較して1試験あたりの規模が大きいプライマリー領域の試験の受託も推進しており、当第2四半期連結累計期間は計画を上回って進捗するとともに、下期には短期収益型の大型案件の開始を予定しているなど、今期の計画は順調に進捗しています。
また、医薬品・医療機器等の開発はグローバル化や開発期間の短縮化が進むとともに、開発手法の変化により、臨床試験に対するニーズの多様化が続いています。当社グループのSMO事業では、医薬品開発を取り巻く環境の変化及び複雑化・高度化する臨床試験に迅速かつ柔軟に対応するため、より一層の人材教育の徹底を図っています。
なお、前期(2023年3月期)は大型案件の開始が上期に多かったことから、前年同四半期比では売上高及びセグメント利益は減少となっています。
その結果、売上高は4,280百万円(前年同四半期比25.5%減)、営業利益は2,089百万円(前年同四半期比36.2%減)となりました。
② CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、国内外の製薬企業の臨床試験や申請業務等の支援を行うとともに、医師主導治験や臨床研究の支援を行っています。
当第2四半期連結累計期間においては、海外の臨床試験実施施設における新規試験の受託が堅調に推移するとともに、国内の臨床試験実施施設や開発業務支援事業において安定的な収益を確保しています。
国内の臨床試験実施施設や開発業務支援事業では受託業務の拡大や統計解析分野の強化に継続的に取り組んでおり、下期には医師主導試験をはじめとする複数の新規試験の開始を予定しています。
一方で、オーストラリアにおける人件費や物価の上昇の影響等により費用が増加しています。
その結果、売上高は2,801百万円(前年同四半期比2.2%増)、営業利益は66百万円(前年同四半期比19.9%減)となりました。
③ 先端医療事業
当セグメントにおきましては、COVID-19ワクチンの開発において、国内初となる経鼻接種によるウイルスベクターワクチンの実用化を目指し、第Ⅰ相臨床試験を開始いたしました。現在、目標症例数84例への投与が完了し、安全性や有効性等を評価するための観察期間となっています。
また、iPS細胞作製キット「CytoTune-iPS」のライセンス事業が顕著に拡大しており、複数の企業と新規ライセンス契約を締結いたしました。締結済のライセンス契約に基づく当該技術の再実施権が行使されるなど、ライセンス事業により基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いた新たな事業機会の創出に取り組んでいます。
当セグメントでは、前述のとおり臨床試験が開始となったCOVID-19ワクチンをはじめとする研究開発に注力しており、その経費が引き続き発生しております。それに対してライセンス事業や化粧品の販売及びOEM事業などの当セグメントにおける各事業の推進により収益の改善を図っています。
その結果、売上高は844百万円(前年同四半期比42.5%増)、営業損失は23百万円(前年同四半期は営業損失184百万円)となりました。
④ メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益を確保しています。
一方で、当社グループの各事業のさらなる拡大のために、設備投資等を含めたサポートを行っており、それらにかかる費用が発生しています。
その結果、売上高は533百万円(前年同四半期比0.9%増)、営業損失は35百万円(前年同四半期は営業利益28百万円)となりました。
⑤ その他
当セグメントにおきましては、上記以外の事業等により、売上高は219百万円(前年同四半期比656.9%増)、営業損失は542百万円(前年同四半期は営業損失118百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、485百万円減少し、8,886百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、803百万円(前年同四半期は2,533百万円の取得)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益1,414百万円の計上、為替差益481百万円の計上、売上債権の減少291百万円、未払金の減少243百万円及び法人税等の支払額260百万円が主な原因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,318百万円(前年同四半期は2,723百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,982百万円が主な原因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、17百万円(前年同四半期は740百万円の取得)となりました。これは、長期借入れによる収入711百万円及び長期借入金の返済による支出737百万円が主な原因となっております。
(3)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、242百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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