【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の概要当期(2023年4-6月期)の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外)
前年同期
当期
対前年同期
AERベース
CERベース
増減額
増減率
増減率
売上収益
9,725
10,586
862
8.9
%
3.7
%
売上原価
△2,929
△3,211
△282
9.6
%
4.6
%
販売費及び一般管理費
△2,315
△2,481
△166
7.2
%
1.9
%
研究開発費
△1,436
△1,627
△191
13.3
%
6.6
%
製品に係る無形資産償却費及び減損損失
△1,313
△1,294
19
△1.4
%
△8.1
%
その他の営業収益
55
43
△12
△22.4
%
△22.0
%
その他の営業費用
△282
△329
△47
16.8
%
10.0
%
営業利益
1,505
1,686
181
12.0
%
10.0
%
金融収益及び費用(純額)
55
△331
△386
-
-
持分法による投資損益
△5
△4
1
△15.9
%
△51.6
%
税引前四半期利益
1,555
1,350
△204
△13.1
%
△14.0
%
法人所得税費用
△505
△456
48
△9.6
%
△11.2
%
四半期利益
1,050
894
△156
△14.9
%
△15.4
%
本項において、前年同期に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減」の定義については、「当期(2023年4-6月期)におけるCore業績の概要」の「Core財務指標とCERベースの増減の定義」をご参照ください。
〔売上収益〕売上収益は、1兆586億円(+862億円および+8.9% AER、+3.7% CER)となりました。この増収は、為替相場が円安に推移したこと、および5つの主要なビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))において、オンコロジーを除き、事業が好調に推移したことによるものです。オンコロジーにおいては、一部の製品が後発品の参入や競争の激化による影響を受けました。加えて、当社の5つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンによる売上貢献が減少したことによるものです。
地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
売上収益:
前年同期
当期
対前年同期
AERベース
CERベース
増減額
増減率
増減率
日本
1,405
1,248
△157
△11.2
%
△11.3
%
米国
5,011
5,544
533
10.6
%
2.9
%
欧州およびカナダ
2,056
2,243
188
9.1
%
2.8
%
アジア(日本を除く)
461
608
147
32.0
%
29.6
%
中南米
403
437
34
8.5
%
13.9
%
ロシア/CIS
174
174
△0
△0.0
%
0.1
%
その他(注1)
216
332
116
53.9
%
56.4
%
合計
9,725
10,586
862
8.9
%
3.7
%
(注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
ビジネスエリア別売上収益各ビジネスエリアの売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
売上収益:
前年同期
当期
対前年同期
AERベース
CERベース
増減額
増減率
増減率
消化器系疾患
2,704
2,935
232
8.6
%
2.7
%
希少疾患
1,816
1,926
110
6.1
%
2.0
%
希少血液疾患
791
814
22
2.8
%
△1.7
%
希少遺伝子疾患およびその他
1,025
1,113
88
8.5
%
4.9
%
血漿分画製剤(免疫疾患)
1,419
1,865
447
31.5
%
24.3
%
オンコロジー
1,175
1,105
△70
△6.0
%
△8.6
%
ニューロサイエンス
1,424
1,770
346
24.3
%
17.2
%
その他
1,187
984
△203
△17.1
%
△20.3
%
合計
9,725
10,586
862
8.9
%
3.7
%
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年同期からの増減は、主に以下の製品によるものです。・消化器系疾患消化器系疾患の売上収益は、2,935億円(+232億円および+8.6% AER、+2.7% CER)となりました。潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ENTYVIO」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上は、1,920億円(+237億円および+14.1% AER、+7.1% CER)となりました。米国における売上は、1,343億円(+164億円および+13.9% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与の需要、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、440億円(+51億円および+13.2% AER)となりました。この増収は、主に皮下注射が引き続き新たに複数国で上市されたこと、新規投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。短腸症候群治療剤「GATTEX/レベスティブ」の売上は、271億円(+52億円および+23.6% AER、+17.0% CER)となりました。この増収は、主に各地域において需要が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。酸関連疾患治療剤「タケキャブ/VOCINTI」の売上は、298億円(+22億円および+7.9% AER、+7.6% CER)となりました。この増収は、主に中国における本剤の売上が増加したことによるものです。逆流性食道炎治療剤「DEXILANT」の売上は、120億円(△103億円および△46.1% AER、△48.8% CER)となりました。この減収は、米国における独占販売期間満了による影響、およびオーソライズド・ジェネリックのプログラム終了による影響によるものです。
・希少疾患希少疾患の売上収益は、1,926億円(+110億円および+6.1% AER、+2.0% CER)となりました。希少血液疾患の売上収益は、814億円(+22億円および+2.8% AER、△1.7% CER)となりました。血友病A治療剤「アドベイト」の売上は、338億円(+17億円および+5.4% AER、+0.6% CER)となりました。この増収は、円安による増収影響によるものです。血友病Aおよび血友病B治療剤「ファイバ」の売上は、119億円(+13億円および+12.5% AER、+7.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における出荷タイミングによる当期供給量の増加、および円安による増収影響によるものです。血漿由来の血液凝固因子製剤である、血友病A治療剤「HEMOFIL」、血友病A治療剤「IMMUNATE」、および血友病B治療剤「IMMUNINE」の売上合計は、42億円(△12億円および△21.7% AER、△23.3% CER)となりました。この減収は、主に成長新興国における売上が減少したことによるものです。希少遺伝子疾患およびその他の売上収益は、1,113億円(+88億円および+8.5% AER、+4.9% CER)となりました。遺伝性血管性浮腫治療剤「タクザイロ」の売上は、413億円(+73億円および+21.4% AER、+14.7% CER)となりました。この増収は、主に引き続き各地域において需要が増加したこと、およびに円安による増収影響によるものです。移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤「LIVTENCITY」の売上は、41億円(+18億円および+83.4% AER、+70.7% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおいて、本製剤を処方する患者数の増加によるものです。遺伝性血管性浮腫治療剤「フィラジル」の売上は、55億円(△12億円および△18.3% AER、△20.2% CER)となりました。この減収は、主に米国および欧州における製品の独占販売期間満了によるものです。
・血漿分画製剤(免疫疾患)血漿分画製剤(免疫疾患)の売上収益は、1,865億円(+447億円および+31.5% AER、+24.3% CER)となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、1,456億円(+338億円および+30.2% AER、+22.5% CER)となりました。原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」および皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」の三つのグローバル製品の売上は、米国を中心に引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、皮下注製剤は静脈注射に比べ投薬の利便性が高いこと、また円安による増収影響により、前年同期から2桁台の売上収益増加率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、308億円(+88億円および+40.0% AER、+36.0% CER)となりました。この増収は、主に中国における需要が増加したことによるものです。
・オンコロジーオンコロジーの売上収益は、1,105億円(△70億円および△6.0% AER、△8.6% CER)となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、18億円(△147億円および△89.0% AER、△89.8% CER)となりました。この減収は、2022年5月から複数の後発品が米国市場に参入したことによるものです。悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、271億円(+72億円および+35.8% AER、+35.3% CER)となりました。この増収は、成長新興国で好調に伸長したことによるものです。
・ニューロサイエンスニューロサイエンスの売上収益は、1,770億円(+346億円および+24.3% AER、+17.2% CER)となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「VYVANSE/ELVANSE」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、1,232億円(+232億円および+23.2% AER、+16.0% CER)となりました。この増収は、主に米国において「ADDERALL」の後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足の影響もあり、成人向け市場が拡大したこと、および円安による増収影響によるものです。ADHD治療剤「ADDERALL XR」の売上は、135億円(+73億円および+117.7%
AER、+100.8% CER)となりました。この増収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足による本剤に対する増収影響、および円安による増収影響によるものです。
〔売上原価〕売上原価は、3,211億円(+282億円および+9.6% AER、+4.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響、および5つの主要なビジネスエリアの好調な売上によるものです。なお、この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が減少したことにより一部相殺されております。
〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、2,481億円(+166億円および+7.2% AER、+1.9% CER)となりました。この増加要因は主に、円安による為替影響であります。
〔研究開発費〕研究開発費は、1,627億円(+191億円および+13.3% AER、+6.6% CER)となりました。この増加要因は主に、円安による為替影響、およびパイプラインの進展等への研究開発投資によるものです。
〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、1,294億円(△19億円および△1.4% AER、△8.1% CER)となりました。この減少は主に、円安による為替影響に伴い無形資産償却費が増加したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少したことによるものです。
〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、43億円(△12億円および△22.4% AER、△22.0% CER)となりました。
〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、329億円(+47億円および+16.8% AER、+10.0% CER)となりました。この増加は主に、承認前在庫に係る評価損の増加および提携契約に係る特定の資産の評価損を当期に計上したことによるものです。
〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、1,686億円(+181億円および+12.0% AER、+10.0% CER)となりました。
〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は331億円の損失(+386億円、前年同期は55億円の収益)となりました。前年同期からの変動は主に、従来持分法を適用していた会社の買収に伴う投資の再測定に係る利益およびその他の収益を前年同期に計上したことによるものです。
〔持分法による投資損益〕当期の持分法による投資損益は、4億円の損失(△1億円および△15.9% AER、△51.6% CER)となりました。
〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、456億円(△48億円および△9.6% AER、△11.2% CER)となりました。この減少は主に税引前四半期利益の減少によるものであります。
〔四半期利益〕四半期利益は、上記の要因を反映し、894億円(△156億円および△14.9% AER、△15.4% CER)となりました。
当期(2023年4-6月期)におけるCore業績の概要
Core財務指標とCERベースの増減の定義当社は、業績評価において「Core財務指標」の概念を採用しています。本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。
Core営業利益は、当期利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。
Core EPSは、当期利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減は、当期の財務ベースの業績もしくはCore業績について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。
Core業績
(単位:億円、%以外)
前年同期
当期
対前年同期
AERベース
CERベース
増減額
増減率
増減率
Core売上収益
9,725
10,586
862
8.9
%
3.7%
Core営業利益
3,191
3,263
73
2.3
%
△2.0%
Core EPS(円)
145
150
5
3.5
%
0.3%
〔Core売上収益〕当期のCore売上収益は、1兆586億円(+862億円および+8.9% AER、+3.7% CER)となりました。当期および前年同期においては、売上収益から控除した重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響はなかったことから、Core売上収益は財務ベースの売上収益と同額となりました。タケダの成長製品・新製品(注)の売上収益は、4,241億円(+799億円および+23.2% AER、+16.2% CER)となり、好調に推移した事業を牽引しました。
(注)タケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、アロフィセル希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRUを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、EXKIVITYその他:QDENGA
〔Core営業利益〕当期のCore営業利益は、3,263億円(+73億円および+2.3% AER、△2.0% CER)となりました。AERベースの増加は当期における円安の為替影響によるものである一方、CERベースの減少は製品構成の変動による売上原価率の上昇および研究開発やデータとテクノロジーへの投資の増加によるものです。
〔Core EPS〕当期のCore EPSは、150円(+5円および+3.5% AER、+0.3% CER)となりました。
(2) 財政状態の分析前年度末からの実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額を表記しております。
〔資産〕当第1四半期末における資産合計は、14兆7,927億円(+8,350億円)となりました。この増加は、のれん、無形資産および有形固定資産(+3,914億円、+2,444億円および+1,041億円)が、主に為替換算の影響によりそれぞれ増加したことによるものです。加えて、売上債権及びその他の債権が増加(+1,435億円)しております。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少(△2,171億円)と一部相殺されております。
〔負債〕当第1四半期末における負債合計は、7兆8,711億円(+2,680億円)となりました。社債及び借入金は、4兆7,471億円(注)(+3,648億円)となり、この増加は、主に為替換算の影響、および2023年6月にコマーシャル・ペーパーを発行したことによるものです。この増加は、仕入債務及びその他の債務の減少(△2,083億円)と一部相殺されております。(注) 当第1四半期末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆63億円および7,408億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄
(外貨建発行額)
発行時期
償還期限
帳簿価額
米ドル建無担保普通社債(1,301百万米ドル)
2015年6月
2025年6月~2045年6月
1,889億円
米ドル建無担保普通社債(4,000百万米ドル)
2016年9月
2023年9月~2026年9月
5,602億円
ユーロ建無担保普通社債(3,000百万ユーロ)
2018年11月
2026年11月~2030年11月
4,679億円
米ドル建無担保普通社債(2,250百万米ドル)
2018年11月
2023年11月~2028年11月
3,240億円
ハイブリッド社債(劣後特約付社債)
2019年6月
2079年6月
4,991億円
米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)
2020年7月
2030年3月~2060年7月
1兆60億円
ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)
2020年7月
2027年7月~2040年7月
5,608億円
円貨建無担保普通社債
2021年10月
2031年10月
2,494億円
コマーシャル・ペーパー
2023年6月
2023年9月
1,500億円
合計
4兆63億円
借入金:
名称
(外貨建借入額)
借入時期
返済期限
帳簿価額
シンジケートローン
2016年4月
2026年4月
1,000億円
〃
2017年4月
2027年4月
1,135億円
〃 (1,500百万米ドル)
2017年4月
2027年4月
2,168億円
〃
2023年4月
2030年4月
1,000億円
その他のバイラテラルローン
2016年3月~2023年3月
2024年4月~2029年3月
2,100億円
その他
5億円
合計
7,408億円
当社グループは、返済期日を迎えたシンジケートローン1,000億円について、2023年4月26日に返済するとともに、同日に2030年4月26日に返済期日を迎えるシンジケートローン1,000億円を実行しました。さらに、当第1四半期末におけるコマーシャル・ペーパーの発行額は1,500億円となりました。
〔資本〕当第1四半期末における資本合計は、6兆9,217億円(+5,670億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が増加(+6,047億円)したことによるものです。この増加は、四半期利益の計上があったものの、主に配当金の支払いに伴う1,401億円の減少による利益剰余金の減少(△510億円)と一部相殺されております。
〔キャッシュ・フロー〕(単位:億円)
前年同期
当期
営業活動によるキャッシュ・フロー
842
924
投資活動によるキャッシュ・フロー
△947
△2,665
財務活動によるキャッシュ・フロー
△2,157
△578
現金及び現金同等物の増減額
△2,262
△2,319
現金及び現金同等物の期首残高
8,497
5,335
現金及び現金同等物に係る換算差額
225
148
現金及び現金同等物の四半期末残高
6,460
3,164
前年同期からの実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額を表記しております。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、924億円(+82億円)となりました。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の四半期利益の増加に加え、主に仕入債務及びその他の債務およびその他の金融負債における増加影響によるものです。これらの増加は、売上債権及びその他の債権による減少影響、および法人所得税等の支払額の増加により一部相殺されております。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、△2,665億円(△1,718億円)となりました。この減少は、主にNimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)から取得したTAK-279、およびHUTCHMED(China)Limited(以下、「HUTCHMED社」)と締結した独占的ライセンス契約に関連して、無形資産の取得による支出が増加したことによるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、△578億円(+1,579億円)となりました。この増加は、主にコマーシャル・ペーパーが当期に純額で増加(+1,100億円)したことによるものです。
(3) 研究開発活動の内容および成果当第1四半期の研究開発費の総額は1,627億円であります。当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。「革新的なバイオ医薬品」に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。「革新的なバイオ医薬品」における重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患)には未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在し、当社はベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図っています。また、当社はデータとデジタル技術を活用し、イノベーションの質を向上させ、実行を加速させています。 当社のパイプラインは、当社事業の短期的および中長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究開発活動による支援体制が整っています。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。当社の2023年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン消化器系・炎症性疾患消化器系・炎症性疾患において、消化管疾患、肝疾患およびその他の免疫介在性の炎症性疾患の患者さんに革新的で人生を変えうるような治療法をお届けすることにフォーカスしています。炎症性腸疾患(IBD)においては、「ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)」に関する皮下注射製剤の開発および活動性の慢性回腸嚢炎をはじめとする適応症拡大を含め、フランチャイズのポテンシャルを最大化しています。加えて、「GATTEX/レベスティブ」および米国への地理的拡大のために臨床第3相試験を実施中の「アロフィセル」により当社の消化器系疾患におけるポジショニングの拡大を目指しています。また、当社は、自社創製、社外との提携および事業開発を通じて炎症性疾患(IBD、セリアック病、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスおよびその他疾患)、厳選した肝疾患、消化管運動関連疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。そのうち後期開発段階にある「fazirsiran(TAK-999)」は、社外との提携を通じたパイプライン構築の一例であり、α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患に対するファースト・イン・クラスのRNA干渉治療薬となる可能性があります。また、後期開発段階にあり、炎症性疾患治療薬としてベスト・イン・クラスとなる可能性を有する経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬「TAK-279」も、事業開発を通じて獲得した候補物質の一例です。
[ENTYVIO/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]- 2023年4月、当社は、「ENTYVIO」点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法として、「ENTYVIO」皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局(FDA)に再提出し、受理されたことを公表しました。今回の再提出は、2019年12月の審査完了報告通知(CRL)におけるFDAの指摘内容に対応することを目的としています。CRLの受領以降、当社はFDAと緊密に連携し、当局の指摘内容に取り組んでまいりました。今回の再提出パッケージには、「ENTYVIO」皮下注射製剤の使用について検討するために収集した追加データが含まれています。同通知の内容は、「ENTYVIO」点滴静注製剤、臨床安全性および有効性データ、ならびに「ENTYVIO」皮下注射製剤のBLAを支持する検証試験である「VISIBLE1試験」の結論とは関連していませんでした。「VISIBLE1試験」では、0週および2週時点に非盲検下にて「ベドリズマブ」点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者216名を対象に、「ENTYVIO」皮下注射製剤の維持療法としての安全性および有効性を評価しました。主要評価項目は、52週時点における臨床寛解であり、これは完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつすべてのサブスコアが1以下と定義しました。当社は、2023年中にFDAから審査結果の結論が得られるものと見込んでいます。
ニューロサイエンス(神経精神疾患)当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資を集中させ、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2受容体作動薬フランチャイズ(「TAK-861」、「danavorexton(TAK-925)」など)によるナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠・覚醒障害、「soticlestat(TAK-935)」による希少てんかん、および「pabinafusp alfa (TAK-141)」によるハンター症候群の中枢性および身体症状の治療薬の開発に注力しています。当社はさらに、神経筋疾患、神経変性疾患および運動障害のうち患者セグメントを明確に定義できる疾患に特化した投資を行っています。
オンコロジーオンコロジー領域では、患者さんを通じて得られるインスピレーションおよびあらゆるイノベーションを活用することで、がんの治癒を目指しています。本疾患領域では、(1)既発売品(「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」など)およびパイプラインプログラムを通じた血液がん領域におけるさらなるプレゼンスの構築、(2)肺がんを対象とした既発売品(「アルンブリグ」、「EXKIVITY」)および大腸がん治療薬候補「フルキンチニブ(TAK-113)」を含むその他のがんを対象とする開発プログラムによる固形がん領域の拡充、(3)自然免疫を活用した最先端のパイプラインの進捗の3つの分野にフォーカスしています。
[開発コード:TAK-113 一般名:フルキンチニブ]- 2023年5月、当社とHUTCHMED(China)Limited(HUTCHMED社)は、治療歴を有する転移性大腸がん(mCRC)の成人患者の治療薬として、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬である「フルキンチニブ」の新薬承認申請(NDA)が、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査に指定されたことを公表しました。承認された場合、「フルキンチニブ」は治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、3種類のVEGF受容体すべてに対して高い選択性を有する米国で承認された最初で唯一のVEGFR阻害薬となります。本申請には、中国で実施された臨床第3相「FRESCO試験」のデータとともに、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された臨床第3相「FRESCO-2試験」から得られた結果を含めています。本申請において、FDAが設定した処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2023年11月30日です。- 2023年6月、当社とHUTCHMED社は、治療歴を有するmCRCの成人患者の治療薬として、「フルキンチニブ」の製造販売承認申請(MAA)が、欧州医薬品庁(EMA)により受理されたことを公表しました。承認された場合、「フルキンチニブ」は、治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、欧州連合(EU)で承認された最初で唯一のVEGFR1/2/3に高い選択性を有する阻害薬となります。本申請には、臨床第3相「FRESCO試験」からのデータとともに、臨床第3相「FRESCO-2試験」から得られた結果を含めています。- 2023年6月、当社とHUTCHMED社は、治療歴を有するmCRC患者を対象に「フルキンチニブ」を評価する臨床第3相試験「FRESCO-2試験」結果がThe Lancetに掲載されたことを公表しました。「FRESCO-2試験」は、治療歴を有するmCRC患者を対象に、「フルキンチニブ」+最良支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討する、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された国際共同臨床第3相試験です。「FRESCO-2試験」は主要評価項目および重要な副次評価項目を達成し、「フルキンチニブ」の投与により、統計学的に有意で臨床的に意味のある全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の改善が示されました。「FRESCO-2試験」における「フルキンチニブ」の安全性プロファイルは、これまでに報告された「フルキンチニブ」の試験結果と一致しています。
希少遺伝子疾患および血液疾患当社は、希少遺伝子疾患および血液疾患において、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に注力しています。遺伝性血管性浮腫においては、「タクザイロ」をはじめとするライフサイクルマネジメントプログラムへの継続的な研究開発投資を通じて、既存の治療パラダイムの変革を目指します。希少血液疾患においては、「アドベイト」、「アディノベイト/ADYNOVI」に加えて、免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)および先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療に対するパイプラインである「apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa (TAK-755)」の開発を通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しています。また、「LIVTENCITY」においては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指しています。当社は、希少疾患の患者さんに対し革新的な医薬品を届けるという当社のビジョンを実現するための取組みに注力します。
[開発コード:TAK-755 一般名:apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa]- 2023年5月、当社は、ADAMTS13欠乏性疾患の先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)に対する酵素補充療法としての「TAK-755」について、米国食品医薬品局(FDA)により生物学的製剤承認申請(BLA)が受理されたことを公表しました。本申請は5月16日に受理され、FDAにより優先審査指定を受けています。また、「TAK-755」はFDAよりcTTPに対する希少小児疾患(RPD)指定も受けています。本剤は既に、cTTPを対象としたファストトラック指定および希少疾病用医薬品指定も受けています。このたびのBLAは、cTTPを対象とした初の無作為化対照試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスおよび継続試験から得られた長期の安全性と有効性のデータに基づきます。「TAK-755」が承認された場合、大きなアンメット・ニーズが存在するcTTPに対して初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)補充療法薬となります。なお、「TAK-755」については、後天性(免疫性)血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)に対する安全性、有効性および薬物動態に関する臨床評価も実施中です。- 2023年6月、当社は、cTTPに対する予防的治療法として、「TAK-755」補充療法の安全性および有効性を評価する無作為化対照非盲検クロスオーバー国際共同ピボタル臨床第3相試験の中間解析の良好な結果および「TAK-755」の薬物動態(PK)の特性に加えて、臨床第3b相継続試験からの「TAK-755」の予防効果に関する長期データを2023年の国際血栓止血学会(ISTH)で発表しました。本ピボタル試験では、「TAK-755」の予防的治療を受けている期間中に急性TTPイベントが発現した患者はいませんでした。また、「TAK-755」は、血漿製剤を用いた治療(血漿療法)と比較して血小板減少症事象の発現率を60%低減させました(ハザード比[HR]0.40;95%信頼区間[CI]:0.3–0.7)。試験治療下で発現した有害事象は、血漿療法群で50%であったのに対し、「TAK-755」の投与を受けた12歳以上68歳以下の患者において10.3%であり、良好な安全性および忍容性プロファイルが確認されるとともに血漿療法よりも安全性が高い可能性が示されました。加えて、12歳以上のcTTP患者36例を対象に、単回輸注後(0~168時間)のADAMTS13の薬物動態の特性を評価し、血漿療法と比較しました。「TAK-755」による治療を受けた患者は、血漿療法を受けた患者と比較して、ADAMTS13の活性レベルが5倍増加し(Cmax:「TAK-755」群 100% vs. 血漿療法群 19%)、かつ変動が少ないという結果でした(変動係数[CV]:23.8% vs. 56%)。また、cTTP患者29例を対象に「TAK-755」の長期予防投与の安全性および有効性を評価した臨床第3b相継続試験の中間解析の結果、「TAK-755」の予防投与による安全性プロファイルは一貫して良好であり、中和抗体の産生は認められませんでした。「TAK-755」の予防投与期間中に発現した急性TTPイベントはなく、亜急性TTPイベントおよびTTP症状の発現率は、ピボタル試験における「TAK-755」予防投与時の発現率と同程度でした。
[アディノベイト/ADYNOVI 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]- 2023年6月、当社は、「アディノベイト」について、用法および用量に関する製造販売承認事項一部変更承認を日本において取得したことを公表しました。本承認により、患者の臨床状態や活動レベルに応じ、投与量だけではなく投与間隔を含む用法および用量を調整することで、最適な定期投与による個別化治療への貢献が可能となります。今回の承認は、主に国際共同臨床第3相試験である「CONTINUATION試験」および海外臨床第3相試験 「PROPEL試験」の成績に基づくものです。
[OBIZUR 一般名:スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)]- 2023年6月、当社は、「スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)」について、後天性血友病A(AHA)患者における出血抑制を予定される効能・効果として厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、主にAHAの日本人成人患者を対象とした国内臨床第2/3相試験およびAHAの非日本人成人患者を対象とした海外臨床第2/3相試験に基づくものです。
血漿分画製剤当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しています。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(「HYQVIA」、「CUVITRU」、「GAMMAGARD」および「GAMMAGARD S/D」)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しています。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、「PROTHROMPLEX(4F-PCC)」、「ファイバ」、「CEPROTIN」および「ARALAST」における効能追加や剤型追加の開発機会の追求を優先しています。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、「20% fSCIg」(「TAK-881」)や「IgG Low IgA」(「TAK-880」)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補(高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)を含む)の開発を行っています。
[HYQVIA 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]- 2023年4月、当社は、「HYQVIA」について、米国食品医薬品局(FDA)より、原発性免疫不全(PI)治療薬として対象年齢を2歳から16歳までの小児患者へ拡大する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を取得したことを公表しました。FDAによる小児PI患者の治療薬としての「HYQVIA」の承認は、2歳から16歳までの44名の小児PI患者を対象に実施したピボタル前向き非盲検非対照臨床第3相試験のエビデンスに基づきます。「HYQVIA」は、主要評価項目である急性の重篤な細菌感染症(aSBIs)の発現率につき、12ヵ月の治療期間において有効性が確認されました。年間の平均aSBI発現率は0.04であり、事前に設定された達成規準である被験者1名あたりの年間aSBI発現率1未満に対し統計学的に有意に低率(片側上限99%信頼区間 0.21、p<0.001)であったことから、小児PI患者に対する「HYQVIA」の有効性が確認されました。すべての患者が12ヵ月間(1年間の観察期間)の試験参加期間を完了した時点で行われた中間解析の結果では、成人と同様な安全性プロファイルが確認されました。- 2023年6月、当社は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者を対象とした維持療法としての「HYQVIA」を評価するピボタル臨床第3相「ADVANCE-CIDP1試験」の結果を発表しました。「ADVANCE-CIDP1試験」は、前向き無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同臨床第3相試験であり、静注用免疫グロブリン(IVIG)による治療で病勢が安定している成人CIDP患者を1:1の割合でHYQVIA群(n=62)、プラセボ群(n=70)へ無作為に割り付け、再発または試験治療の中止に至らない限り6ヵ月間の治療を行いました。主要評価項目は、CIDPの症状の増悪をInflammatory Neuropathy Cause and Treatment(INCAT)スコアで評価する再発率です。副次評価項目には、機能的悪化、再発までの期間、Rasch-built Overall Disability Scale(R-ODS)スコアの皮下注製剤開始前のベースライン時からの変化および安全性が含まれます。本試験の結果において、「HYQVIA」はプラセボと比較して臨床的に意義のある再発率の低下を示し(9.7% vs. 31.4%、p=0.0045)、その他の解析では「HYQVIA」はプラセボと比較して再発までの期間の延長を示しました。また、その他の評価項目でも良好なデータが得られ、良好な忍容性が確認されました。これらの結果は、2023年6月にデンマークで開催された2023年末梢神経学会(PNS)年次総会で発表され、同時にthe Journal of the Peripheral Nervous System (JPNS)に掲載されました。
[CEPROTIN 一般名:乾燥濃縮ヒトプロテインC(開発コード:TAK-662)] - 2023年4月、当社は「乾燥濃縮ヒトプロテインC(TAK-662)」について、先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症、電撃性紫斑病の治療および血栓形成傾向の抑制を予定される効能・効果として厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の製造販売承認申請は、主に日本人の先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした国内臨床第1/2相試験および先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした2つの海外臨床第2/3相試験(「IMAG-098試験」、「400101試験」)に基づくものです。これらの試験において、「TAK-662」は先天性プロテインC欠乏症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。
ワクチンワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱(「QDENGA(開発コード:TAK-003)」)、新型コロナウイルス感染(COVID-19)(「ヌバキソビッド筋注」)、ジカウイルス感染(「TAK-426」)など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[QDENGA 一般名:4価弱毒生デング熱ワクチン(開発コード:TAK-003)] - 2023年7月、当社は「TAK-003」について、現行の生物学的製剤承認申請(BLA)の審査サイクル内では解決が困難なデータ収集に関する米国食品医薬品局(FDA)との議論の結果、米国における「TAK-003」のBLAを自主的に取り下げたことを公表しました。「TAK-003」の米国における今後の計画は、旅行者およびプエルトリコなどの米国のデング熱流行地域に居住する人々のニーズを考慮し検討される予定です。「TAK-003」の有効性および安全性プロファイルは、8つのデング熱流行地域に居住する2万例を超える小児および成人を対象とした4.5年間の臨床第3相試験を含む強固な臨床試験プログラムにより示されています。この臨床試験は、世界保健機関(WHO)による第二世代のデング熱ワクチンに関するガイダンスに基づいており、デング熱流行地域において被験者脱落防止と治験実施計画書遵守を達成できるようデザインされていました。「TAK-003」は、複数のデング熱の流行国および非流行国で承認されており、今後数年で更なる承認が見込まれています。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
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