【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外渡航等を含む行動制限の緩和をはじめ、経済活動の正常化が顕著化した一方、ロシア・ウクライナ情勢等の海外情勢に起因する物価及びエネルギー価格の高騰や急激な為替変動の影響を強く受けました。
当社グループの属する電子部品業界におきましては、中国経済の停滞による在庫調整が発生するなど不安定な情勢が続き、特に年末以降、スマートフォンをはじめとする民生機器関連部品の需要が大きく落ち込みました。
このような状況下、当社グループは世界的な需要拡大局面にあるパワー半導体用リードフレーム及び、高度な金属と樹脂の複合加工技術力を最大限に活用できる超微細コネクタ用部品の生産技術力と、メッキ工程における技術力や生産能力の強化に特に注力し、収益の向上に努めて参りました。また、収益性の更なる強化を目的として、スマートファクトリー化に向けたシステム構築や作業と管理の自動化・効率化への積極的な投資を推進しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ38億6千5百万円増加し、340億3千9百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億9千9百万円増加し、134億4千4百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億6千6百万円増加し、205億9千4百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は安定的なパワー半導体用リードフレームの需要に加えて、円安による海外子会社の円換算額の増加等の影響から292億6千5百万円(前年同期比7.3%増)となりました。営業利益は生産能力増強に伴う減価償却費及び人件費の増加やエネルギー価格の上昇による経費の増加に加え、スマートフォン市場の調整による製品ミックスの一時的な変化により15億6千1百万円(同22.4%減)となりました。また、経常利益は18億5百万円(同12.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億6千9百万円(同17.8%減)となりました。
製品群別の経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、製品群別の旧分類名「IC・トランジスタ用リードフレーム」につきましては、製品の主な使用先を的確に表現することを目的として、「パワー半導体用リードフレーム」と分類名を変更しております。なお、この分類名の変更が過去の情報に与える影響はありません。
パワー半導体用リードフレーム
当製品群はパワー(電源)系統への使用を中心とする個別(ディスクリート)半導体及びモジュール等に使用されるリードフレームを含んでおります。自動車向けではxEV化の進行やADAS技術の発展と普及、その他の分野においてもDXやGXといった社会革新による追い風を受け、需要は高い水準で推移しております。その結果、当製品群の売上高は119億7千3百万円(前年同期比20.5%増)となりました。
オプト用リードフレーム
当製品群は、LED用リードフレームが主なものであります。海外の交通インフラ向けやアドバタイズメント用途の屋外ディスプレイ向けなどに一定の需要は有りますが、中国経済の停滞などによる在庫調整の影響を受け、横ばいで推移しました。その結果、当製品群の売上高は37億1千9百万円(同0.8%増)となりました。
コネクタ用部品
当製品群は、自動車向け、モバイル端末向けが主なものであります。自動車向けの需要が生産調整等の影響で減少したほか、スマートフォン向け部品も新規モデルの販売が低調であったことから減少しました。その結果、当製品群の売上高は129億1千2百万円(同0.3%減)となりました。
その他
その他の製品群としては、リレー用部品が主なものであります。当製品群の売上高は6億5千9百万円(同2.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億2千4百万円減少し、当連結会計年度末には40億4千1百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は18億1千万円(前年同期は33億3千1百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益16億6千4百万円の計上及び減価償却費17億1千7百万円による資金の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は29億9千8百万円(前年同期は29億6千5百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出28億8百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は5億3千5百万円(前年同期は3億8千6百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金9億円調達による資金増加の一方、配当金の支払4億8百万円による資金の減少であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
製品群別の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
パワー半導体用リードフレーム(千円)
12,121,682
21.25
オプト用リードフレーム(千円)
4,009,092
7.16
コネクタ用部品(千円)
13,396,444
3.69
その他(千円)
686,066
0.09
合計(千円)
30,213,285
10.5
(注)金額は販売価格で表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
製品群別の名称
受注高
受注残高
金額(千円)
前年同期比(%)
金額(千円)
前年同期比(%)
パワー半導体用リードフレーム
11,388,429
9.24
994,147
△37.03
オプト用リードフレーム
3,710,542
△0.4
289,815
△3.04
コネクタ用部品
12,227,104
△8.11
593,681
△53.59
その他
638,784
0.85
19,526
△52.03
合計
27,964,861
△0.44
1,897,170
△40.67
(注)金額は販売価格で表示しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
製品群別の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
パワー半導体用リードフレーム(千円)
11,973,134
20.58
オプト用リードフレーム(千円)
3,719,640
0.88
コネクタ用部品(千円)
12,912,660
△0.33
その他(千円)
659,971
△2.84
合計(千円)
29,265,406
7.39
(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
DDK(THAILAND)Ltd.
3,786,983
13.8
3,607,862
12.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は292億6千5百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。これは主にパワー半導体用リードフレームの安定的な需要に加えて、円安による海外子会社の円換算額の増加等の影響によるものです。営業利益は15億6千1百万円(同22.4%減)となりました。これは、生産能力増強に伴う減価償却費及び人件費の増加やエネルギー価格の上昇による経費の増加に加え、スマートフォン市場の調整による製品ミックスの一時的な変化によるものであります。また、経常利益は18億5百万円(同12.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億6千9百万円(同17.8%減)となりました。
製品群別ごとの認識及び分析
パワー半導体用リードフレームは自動車向けではxEV化の進行やADAS技術の発展と普及、その他の分野においてもDXやGXといった社会革新による追い風を受け、需要は高い水準で推移しております。
オプト用リードフレームは海外の交通インフラ向けやアドバタイズメント用途の屋外ディスプレイ向けなどに一定の需要は有りますが、中国経済の停滞などによる在庫調整の影響を受け、横ばいで推移しました。
コネクタ用部品は自動車向けの需要が生産調整等の影響で減少したほか、スマートフォン向け部品も新規モデルの販売が低調であったことから減少しました。
利益は生産能力増強に伴う減価償却費及び人件費の増加やエネルギー価格の上昇による経費の増加などにより減少しました。
b.財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、総資産は前連結会計年度に比べ38億6千5百万円増加し、340億3千9百万円となりました。
流動資産は、売掛金及び棚卸資産の増加により、前連結会計年度に比べ20億4千4百万円増加の190億5千1百万円となりました。
固定資産は、津軽工場のメッキ関連設備などの増加により、前連結会計年度に比べ18億2千万円増加の149億8千8百万円となりました。
一方、負債合計は、前連結会計年度に比べ18億9千9百万円増加し、134億4千4百万円となりました。これは、主に仕入債務及び津軽工場のメッキ関連設備に係る借入金の増加によるものです。
また、純資産は利益剰余金の増加等により205億9千4百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは生産活動に必要な運転資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては生産性向上のための機械装置等固定資産購入によるものであります。
当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、直接現地金融機関等より調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。