【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況及び分析当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。また、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(2022年1月~12月)における日本国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、まん延防止等重点措置が解除された3月以降、経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより、社会活動の正常化が進み、緩やかな回復の兆しがみられました。一方、依然としてインバウンド需要消失の長期化など厳しい状況が続いております。外食業界におきましては、人との接触機会の少ないテイクアウトやデリバリーサービスが増加するなど、消費者のライフスタイル・消費行動が激変しましたが、消費者の購買行動が新型コロナウイルス感染症拡大前の状態に徐々に戻り始めつつあります。その一方、原材料の高騰及び円安による物価上昇、人件費の高騰などが懸念されています。このため、社会全体に依然として先行きが不透明な状況が続いており、企業も長期的な視点を持ちながら適応が必要とされています。
このような環境のもと、当社グループは“We make people happy.”「アイスクリームを通じて、人々に幸せをお届けします。」を企業理念に、全てのお客様に高品質で美味しいアイスクリームと“FUN(楽しいこと、嬉しいこと、感動すること)”に満ちたひとときを提供し、日本で最も愛され親しまれるチェーンを目指すとともに、企業の継続的成長に努めています。また、引き続き、先ずお客様や従業員の安全を第一に考えた衛生管理の徹底として工場・店舗における感染防止に取り組むとともに、昨年より当社グループの長期経営計画(ブランドパワー強化・デジタル化・スマート31・販売拠点拡大)を推進しています。
<ブランドパワー強化>ブランドパワー強化として、バリュー・プロモーションによる集客キャンペーンからお客様のデマンドに合わせたマーケティングへの方向転換を行う中、他業種では出来ないサーティワンらしいプロモーションを行いました。具体的には毎月の「新作フレーバー」として専門店ならではの魅力的なアイスクリームを新発売し選ぶ楽しさを提供するとともに、商品ラインナップを強化いたしました。「バラエティボックス」では新しいパッケージ、価格設定にすることでより多くの人やより多くの場面で利用していただいた結果、発売以来21ヶ月連続で前年実績を超えております。アイスクリームケーキでは人気の「31デコケーキ」及び、大人気キャラクターの「すみっコぐらしアイスクリームケーキ」等を新発売し、大人気ゲーム「ドラゴンクエストけしケシ!」「スプラトゥーン3」との初コラボも実現しました。また、大人気のサンリオキャラクターとタイアップしたキャンペーンにより、親子で一緒に楽しむ姿で店舗が賑わいました。そして「ハロウィン」や「クリスマス」商戦でも魅力的なオケージョン商品を販売するとともに店舗でも装飾することで更なる店舗体験価値の向上にもつながっております。さらに、新たな二つの店舗デザインである「F1(Flavor 1st)」、「MOMENTS」導入による店舗イメージの刷新を進めるため、店舗の全面改装を243店実施した結果、272店舗が新デザインの店舗となっており、売上にも貢献しはじめております。
<デジタル化>デジタル化施策としては、店頭でキャンペーンやお勧め商品を動画により発信するデジタルサイネージを改装と合わせて導入を促進し、既に543店舗が導入済みとなりました。また、予約受付も取り入れたモバイルオーダーなど店舗のデジタル化を全国規模で拡大し、コミュニケーションにおいては、615万人の会員を有する当社独自の会員制アプリ「31Club」やSNSでの告知を強化して来店促進と売上の向上を図りました。また、次世代型POSレジのテスト導入を実施しており、2023年前半には全店舗導入を予定しております。
<スマート31>スマート31施策として、サプライチェーン・マネジメントの最適化で原価率の抑制を図っております。組織に関しては、引き続きリモートによる就業やペーパーレスなど働き方改革による最適化を行っています。また、オフィスや生産工場、そして店舗でも、エネルギーの効率的な使用に努めており、2工場における食品残渣の削減、電気使用量の削減に加え、プラスチック使用量の削減も図っております。店舗においては、包装材料の見直しによるプラスチックカップから紙カップへの変更を実施いたしました。また、お持ち帰りのお客様にはスプーンのご利用有無の確認をすることで、お客様と一緒にプラスチック削減を進めております。
<販売拠点拡大>店舗戦略として、新規商業施設への出店強化を継続するとともに、大学の学生食堂や社員食堂、野球場や行楽地、水族館やサービスエリアへの出店など消費者とのタッチポイントを増やすよう積極的に取り組み、更に3月には持ち帰りに特化した新業態『To Go 専門店』も初出店をし、当年度は主要都市を中心に9店舗出店いたしました。その結果、新たな販売拠点として、123ヶ所拡大となりました。併せて、当期首より、米国ハワイ州にある子会社31 Aikalima LLCを連結対象にして、海外事業への挑戦をより鮮明に打ち出しております。その結果、当期末販売拠点数は国内海外合わせて1,326ヶ所と前期末に比べ88ヶ所増加となりました。
以上、長期経営計画を推進する中、テイクアウト需要に応え、戻りつつあるイートイン需要にも応えてきた結果、当連結会計期間の売上高は220億38百万円となりました。売上原価は106億82百万円となり、その結果、売上総利益は113億55百万円となりました。販売費及び一般管理費は96億46百万円となり、営業利益は17億9百万円となりました。また、経常利益は16億91百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は12億32百万円となりました。新型コロナウイルス感染症に関しましては、5回目のワクチン接種が始まり、経済活動の早期正常化が望まれるとともに行動制限や外出自粛の緩和に伴い人流回復に向かいつつあります。一方で、新型コロナウィルス感染症の変異株の出現による感染再拡大、ウクライナ情勢等に起因する原材料の高騰や、為替変動によるコスト上昇傾向により、先行きに不透明感を残している状況です。しかしながら、当社グループの業績に与える影響は2022年度を通して軽微に留められました。なお、当社グループはアイスクリーム製品の製造及び販売等を行う単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。
② 財政状態の状況及び分析当連結会計年度末における総資産は199億60百万円となりました。流動資産は106億59百万円で、その主な内訳は、現金及び預金が57億97百万円及び売掛金18億49百万円であります。固定資産は93億円になり、その主な内訳は、有形固定資産57億36百万円、無形固定資産6億20百万円、投資その他の資産29億43百万円であります。総負債は85億62百万円となりました。流動負債は62億32百万円となり、その主な内訳は、未払金28億87百万円、契約負債16億57百万円であります。固定負債は23億29百万円となり、その主な内訳は、長期預り保証金12億90百万円及び長期借入金7億44百万円であります。純資産は113億98百万円となりました。その主な内訳は、資本金7億35百万円、資本剰余金2億41百万円、利益剰余金103億90百万円であります。この結果、1株当たり純資産は1,182円91銭となりました。
③ キャッシュ・フローの状況及び分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物は57億97百万円となり、期首残高からの増加額は1億66百万円でありました。営業活動から得られた資金は、19億57百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16億64百万円、減価償却費が14億39百万円、あったことによるものです。投資活動に使用した資金は、13億1百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が9億16百万円、長期前払費用の取得による支出が2億22百万円あったことによるものです。財務活動に使用した資金は、5億19百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が2億30百万円、配当金の支払いが2億88百万円あったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、アイスクリームの製造・販売等を行う単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況についてはセグメント別に代えて品目別に示しております。
イ 生産実績
品目
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前期比(%)
アイスクリーム(千円)
12,430,431
―
スペシャリティデザート(千円)
3,499,808
―
合計(千円)
15,930,240
―
(注)
1 金額はフランチャイジーに対する卸売価格を使用しております。2 当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比は記載しておりません。
ロ 受注状況当社グループは、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ハ 販売実績
品目
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前期比(%)
製品
―
アイスクリーム(千円)
12,740,432
―
スペシャリティデザート(千円)
3,661,445
―
小計(千円)
16,401,878
―
ロイヤリティー収入(千円)
3,672,476
―
店舗用設備関連収入(千円)
1,964,116
―
合計(千円)
22,038,471
―
(注) 当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年比は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。
② 資本の財源及び資金の流動性当社では、営業活動による資金需要の変化に迅速に対応して、十分な流動性の確保に努めております。資本の財源及び資金の流動性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。重要な設備投資の計画は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載の通りであります。現時点においては、キャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす大型の投資は予定しておりません。株主還元についても経営における重要課題の一つと考えております。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、これらの見積りは当連結会計年度末現在において判断したもので、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するためこれら見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針に関する事項」に記載しています。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「自己資本利益率(ROE)」については多くの上場企業と同様に、当社グループにおいても安定的にROE8%を超える水準を目標に掲げて経営改善に努めてまいりました。2021年度よりスタートしました長期経営計画の4つの柱(ブランドパワー強化・デジタル化・スマート31・販売拠点拡大)がそれぞれに成長を遂げ、2022年度はROE 10.8%と目標水準を大きく上回ることが出来ました。このレベルを維持すべく、引き続き構造改革を進めてまいります。
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