【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第2四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりとなりました。 (1)財政状態及び経営成績の状況(財政状態)
資産合計は、前期末に比べ135億円増加の8,959億円となりました。
流動資産は、その他の金融資産が減少する一方で、売上債権及びその他の債権や現金及び現金同等物が増加したことなどから102億円増加の3,553億円となりました。
非流動資産は、無形資産が減少する一方で、投資有価証券が増加したことなどから33億円増加の5,406億円となりました。負債は、仕入債務及びその他の債務や未払法人所得税の減少などから220億円減少の1,126億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、自己株式の取得や剰余金の配当があった一方で、四半期利益の計上などから354億円増加の7,773億円となりました。
(経営成績)(単位:百万円)
2023年3月期第2四半期連結累計期間
2024年3月期第2四半期連結累計期間
対前年同期増減額
対前年同期増減率
売上収益
216,701
258,713
42,012
19.4%
営業利益
80,270
97,036
16,766
20.9%
税引前四半期利益
81,019
99,296
18,277
22.6%
四半期利益(親会社の所有者帰属)
62,339
74,491
12,153
19.5%
[売上収益]
売上収益は、前年同期比420億円(19.4%)増加の2,587億円となりました。・抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、競争環境が激化する一方、胃がん、食道がん、尿路上皮がんなどでの使用が拡大したことにより、前年同期比51億円(7.3%)増加の750億円となりました。・その他の主要新製品では、糖尿病、慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」は359億円(前年同期比36.1%増)、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は130億円(同4.5%増)、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は108億円(同7.5%減)、抗悪性腫瘍剤「ベレキシブル錠」は50億円(同22.0%増)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は46億円(同3.9%増)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は41億円(同2.9%減)、パーキンソン病治療剤「オンジェンティス錠」は31億円(同27.9%増)となりました。・ロイヤルティ・その他は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、メルク社などからのロイヤルティ収入の増加に加え、アストラゼネカ社との特許関連訴訟の和解に伴う一時金収入170億円を計上したことなどにより、前年同期比270億円(37.6%)増加の988億円となりました。
[営業利益]営業利益は、前年同期比168億円(20.9%)増加の970億円となりました。・売上原価は、製品商品の売上が増加したことに加え、「ジョイクル関節注」および「エドルミズ錠」に係る販売権の減損損失を54億円計上したことなどにより、前年同期比111億円(20.6%)増加の648億円となりました。・研究開発費は、研究に係る費用、創薬提携に係る費用、臨床試験に係る開発費用および導入品等における共同開発費用の増加などにより、前年同期比97億円(24.6%)増加の494億円となりました。・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、「フォシーガ錠」の売上拡大に伴うコ・プロモーション費用やIT・デジタル関連の情報基盤強化に伴う費用などが増加したことにより、前年同期比47億円(10.8%)増加の476億円となりました。
[四半期利益](親会社所有者帰属)親会社の所有者に帰属する四半期利益は、税引前四半期利益の増加に伴い、前年同期比122億円(19.5%)増加の745億円となりました。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況(単位:百万円)
2023年3月期第2四半期連結累計期間
2024年3月期第2四半期連結累計期間
対前年同期増減額
現金及び現金同等物の期首残高
69,112
96,135
営業活動によるキャッシュ・フロー
80,977
36,721
△44,256
投資活動によるキャッシュ・フロー
△37,925
20,713
58,638
財務活動によるキャッシュ・フロー
△15,065
△46,647
△31,582
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
27,987
10,787
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響額
653
782
現金及び現金同等物の四半期末残高
97,752
107,704
当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、108億円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税等の支払額348億円や売上債権及びその他の債権の増加額260億円などがあった一方で、税引前四半期利益993億円などがあった結果、367億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出305億円や無形資産の取得による支出64億円などがあった一方で、定期預金の払戻による収入605億円などがあった結果、207億円の収入となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出272億円や配当金の支払額180億円などがあった結果、466億円の支出となりました。
(3)経営方針・経営戦略等 当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)事業上および財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。現在、開発パイプラインには、オプジーボに加えて、抗体医薬品を含む抗がん剤の新薬候補化合物をはじめ、自己免疫疾患や神経系疾患の治療薬候補などがあり、開発を進めています。なかでも、がん領域は医療ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけています。創薬研究においては、医療ニーズの高いがんや免疫、神経、スペシャリティ領域を重点領域に定め、それぞれの領域でヒト疾患バイオロジーを掘り下げ、医療ニーズを満たし得る新薬の創製を目指して、創薬力の強化に努めています。そして、創薬力を強化するために、当社が得意とするオープンイノベーションを積極的に推進するとともに、独創的な創薬シーズを見出し、インフォマティクスやヒト疾患モデル作製、新薬候補化合物作製など、様々な社内外の最新技術を利用して、医療インパクトのある画期的新薬の創製を目指します。重点領域において、現在、臨床ステージには9品目の自社創製の新薬候補化合物があります。今後さらに創薬のスピードと成功確率を向上させるために、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化しています。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとインフォマティクスを有機的に活用することで、標的分子の疾患との関連性を解析し、新薬候補化合物のヒトにおける有効性をより正確に予測・評価できる生理学的指標(バイオマーカー)を見出せるよう努めています。開発のスピードと成功確率を向上させるために、蓄積した臨床試験データや実際に治験で得られた検体を用いて、様々な解析等を行っています。また、新薬候補化合物の価値を最大化するために、研究段階から研究本部と連携して早期に開発戦略の立案に着手し、複数の疾患を対象に臨床試験を実施しています。欧米の臨床開発機能の充実を図ることで、グローバル(日本、米国、欧州)で臨床試験を実施できる体制を構築しています。また、ライセンス活動による有望な新薬候補化合物の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は49,402百万円であります。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の主な成果(第2四半期連結会計期間末以後のものを含む)は、以下のとおりであります。
[開発品の主な進捗状況]<がん領域>「オプジーボ/ニボルマブ」上皮系皮膚悪性腫瘍・本年6月、国内で「上皮系皮膚悪性腫瘍」を効能・効果とした承認申請を行いました。前立腺がん・本年8月、「オプジーボ」について、日本、韓国および台湾で「前立腺がん」を対象としたフェーズⅢ試験を実施していましたが、有効性が確認できなかったため開発を中止しました。「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」および「メクトビ錠/ビニメチニブ」・本年5月、「ビラフトビカプセル」および「メクトビ錠」について、国内で「2剤併用療法によるBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。「ONO-4686」・本年10月、「オプジーボ」と抗TIGIT抗体「ONO-4686」との併用療法について、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導の「固形がん」を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験に日本から参加していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。「ONO-4578」・「オプジーボ」とプロスタグランジン受容体拮抗薬「ONO-4578」との併用療法について、「胃がん」を対象としたフェーズⅡ試験を、本年8月に国内で、本年10月に韓国および台湾でそれぞれ開始しました。「ONO-4685」・本年9月、PD-1×CD3二重特異性抗体「ONO-4685」について、国内で「T細胞リンパ腫」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-7226」・本年5月、抗ILT4抗体「ONO-7226」と「オプジーボ」との併用療法について、国内で「固形がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。「ONO-7475」・本年8月、Axl/Mer阻害薬「ONO-7475」と「オプジーボ」との併用療法について、国内で「膵がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。「ONO-7913」・本年9月、抗CD47抗体「ONO-7913」について、国内で「骨髄異形成症候群」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、ギリアド社が主導で実施していた同一の患者集団を対象とした海外第Ⅲ相試験(ENHANCE試験)が無益性中止となったことに伴い開発を中止しました。・本年10月、抗CD47抗体「ONO-7913」について、ギリアド社主導の「TP53変異陽性急性骨髄性白血病」を対象とした国際共同フェーズⅢ試験に日本から参加していましたが、有効性が確認できなかったため開発を中止しました。「ONO-7121」・オプジーボと抗LAG-3抗体との配合剤「ONO-7121」について、日本、韓国および台湾で「結腸・直腸がん」を対象としたフェーズⅢ試験を実施しています。「ONO-4482」・抗LAG-3抗体「ONO-4482」と「オプジーボ」との併用療法について、日本、韓国および台湾で「肝細胞がん」を対象としたフェーズⅡ試験を実施しています。
<がん領域以外>「ONO-2910」・本年6月、シュワン細胞分化促進薬「ONO-2910」について、国内で「化学療法誘発末梢神経障害」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。「ONO-2808」・本年7月、S1P5受容体作動薬「ONO-2808」について、米国で「多系統萎縮症」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。「ONO-7684」・本年8月、FXIa阻害薬「ONO-7684」について、日本および欧州で「血栓症」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
[創薬/研究提携活動の状況]・本年8月、米国Twist Bioscience社と、同社独自の抗体ライブラリーを活用して自己免疫疾患に対する抗体医薬品の創製を目指した創薬提携契約を締結しました。・本年9月、米国Adimab社と、同社の治療用医薬品抗体の創製・エンジニアリング技術を活用して、がん領域における二重特異性抗体の医薬品候補の創製を目指した創薬提携契約を締結しました。・本年10月、英国Turbine社と同社のAI駆動型細胞シミュレーションプラットフォームを活用して、がん領域における新規治療標的の同定および検証を実施する研究提携契約を締結しました。
(6)主要な設備 当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。