【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。(1)当期の財政状態の状況当連結会計年度末の総資産については、㈱オトワコーエイの株式取得等により固定資産が3,468百万円増加したことに加え、棚卸資産が1,783百万円増加、電子記録債権が1,670百万円増加したことに対し、預け金を5,800百万円取り崩したこと等により前連結会計年度末に比べ1,233百万円(1.1%)増加し、108,980百万円となりました。負債は、仕入債務が1,014百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ1,558百万円(3.2%)増加し、49,876百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益3,428百万円を計上した一方で、自己株式の取得2,291百万円を実施したことと、剰余金の配当1,274百万円(1株あたり前期末配当20円、中間配当15円)の支払いを実施したこと等により前連結会計年度末に比べ325百万円(0.5%)減少し、59,104百万円となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
重仮設事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、㈱オトワコーエイの株式取得等により固定資産が3,513百万円増加したことに加え、棚卸資産が1,775百万円増加、電子記録債権が1,447百万円増加したことに対し、預け金を5,800百万円取り崩したこと等により前連結会計年度末に比べ789百万円(0.8%)増加し、99,109百万円となりました。建設機械事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、預け金が410百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ736百万円(6.8%)増加し、11,586百万円となりました。
(2)経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況当連結会計年度(2022年度)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症からの経済社会活動正常化が進み、緩やかに持ち直したものの、諸物価高騰が収束する見込みは立っておらず、また世界経済は欧米、中国ともに景気後退懸念が払拭されていないことから、今後も景気の先行きは不透明であると考えます。当社グループの属する建設業界におきましては、公共投資や大型再開発物件は底堅く推移したものの、民間建築分野では資材価格高騰等による着工先送りや採算悪化の傾向が続き、厳しい状況となりました。このような経営環境の中、当社グループでは採算性改善を最重点課題に掲げ、価格適正化をはじめ総合的付加価値向上に取り組み、収益の確保に注力いたしました。しかし当連結会計年度におきましては、売上高は120,521百万円(前年同期比5.7%増)となったものの、営業利益4,503百万円(前年同期比4.3%減)、経常利益4,903百万円(前年同期比6.4%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として政策保有株式の一部を売却したことによる投資有価証券売却益を計上したこと等から、3,428百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
(重仮設事業)重仮設事業におきましては、コストアップ分の価格転嫁と、材料と工事の一括受注を基本とする総合的付加価値向上に重点を置きました。特に工事においては、生産性向上とGHGガス削減に効果を有する新機種(LRB)の導入、子会社化した㈱オトワコーエイとの連携等により、事業領域を拡大しました。また、橋梁インフラメンテナンス事業の中核商品となるH型鋼橋梁GHBを開発・商品化し、今後の展開に道筋をつけました。以上の施策等により、売上高は108,744百万円(前年同期比4.0%増)となったものの、価格適正化が十分に進まなかったことと、活動水準の回復による販管費の増加、子会社取得に伴う一時的費用増等により、経常利益は4,844百万円(前年同期比5.0%減)と減益になりました。
(建設機械事業)建設機械事業におきましては、2022年4月に旧子会社5社を統合した新会社を発足させ、統合効果の早期発現に向けた取り組みを進めました。その結果、売上高は14,254百万円(前年同期比4.1%増)となったものの、競争激化に加え、退職給付会計の適用基準変更等により、経常利益は206百万円(前年同期比40.7%減)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績重仮設事業における工場の主たる業務である、建設仮設材の復元修理作業ならびに鋼製山留材等の建設仮設材及び各種製品の製作加工について記載しております。なお、建設機械事業は、生産に該当する事項はありません。当連結会計年度の製作加工及び修理実績を販売価格により示せば次のとおりであります。
区分
当連結会計年度(自
2022年4月1日至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
製作・加工
建設仮設材(百万円)
1,724
18.1
製品(百万円)
9,266
6.2
小計(百万円)
10,990
7.9
修理
建設仮設材(百万円)
1,580
△4.1
合計(百万円)
12,569
6.2
b. 受注状況当社グループが取り扱う主要な商製品等については、出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注高の集計を行っておりません。
c. 売上実績当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年4月1日至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
重仮設(百万円)
108,744
4.0
建設機械(百万円)
14,254
4.1
計(百万円)
122,998
4.1
調整額(百万円)(注)1
△2,477
合計(百万円)
120,521
5.7
(注)1
調整額は、セグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であります。2
前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上実績は、当該売上実績の総売上実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度と比べ5,519百万円(53.7%)減少し、4,767百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動では、税金等調整前当期純利益が5,102百万円、減価償却費が3,193百万円となった一方、棚卸資産増加による支出が1,796百万円、法人税等の支払額が1,163百万円及び売上債権増加による支出が1,128百万円となったこと等により、2,952百万円の収入(前年同期9,097百万円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動では、㈱オトワコーエイ株式取得による支出が2,049百万円、賃貸用建設機械の取得による支出が1,440百万円及び工場の機械装置等の取得による支出が1,164百万円となったこと等により、4,750百万円の支出(前年同期2,610百万円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動では、自己株式の取得による支出が2,294百万円、前期末及び当期中間配当金の支払額が1,274百万円となったこと等により、3,728百万円の支出(前年同期3,234百万円の支出)となりました。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、建設仮設材及び賃貸用建設機械の仕入費用、仮設工事の外注費、各種製品の製作加工費等営業活動に伴う支出ならびに設備投資に伴う支出であります。また、2021年4月に策定した中期経営計画に基づき、事業領域の拡大及び先端技術の導入等に対する投資を推進しています。必要資金の大半は営業収入により確保し、事業拡大のために増額する投資資金及び一時的に不足する運転資金については金融機関からの借入により調達しています。また、当社及び連結子会社において資金の融通を行い、効率的な資金活用を進めるとともに、資金回収にも十分に留意しています。
⑤重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りについて、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 追加情報」に記載の通りです。