【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 業績の状況当第1四半期累計期間における国内経済は、緩やかに回復しています。当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、個人消費の持ち直しにより、クレジットカード会社の取扱高も、前年の実績を引き続き上回り推移しています。経済産業省の算出によると2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%、キャッシュレス決済金額は111兆円と、初めて100兆円を超えました。経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げています。クレジットカード業界においては、不正検知のニーズが急速に高まっており、システム基盤はモダナイゼーションや費用対効果向上のためにクラウド導入の動きが加速化、また業界を問わずセキュリティに対するIT投資意欲も高まっています。
こうした事業環境の中、当社は2025年6月期を最終年度とする3カ年中期事業計画を推進しています。事業構造の変革や事業領域の拡大による事業基盤の強化、拡大を進めるとともに、自らの持続的成長に向けて、人財基盤と共創基盤の確立に取り組んでいます。事業基盤の強化、拡大においては、当社が強みをもつ決済業務に係るシステム開発事業を基礎として、クラウドサービスの成長によるストックビジネスの拡大と、決済データの利活用や顧客のIT戦略支援による決済事業領域の拡大、及び、決済・金融以外の産業の DX に貢献する IT 基盤の提供による事業領域の拡大を進めています。人財基盤については、人的資本経営推進室を新設し、事業戦略に合致した人財戦略を進め、共創基盤については、ビジネスリライアビリティプロジェクトやIWIらしい新しい働き方プロジェクト等を通して組織横断型、社員全員参加型の取組み、対話を深めています。
当第1四半期累計期間の業績については、前期に大型ハードウェア更改があったため、前期比では売上、利益とも減少しましたが、その影響を除けば、増収増益基調となっています。売上高は、決済・金融分野については、他社製品(ハードウェア等)が前期に大型ハードウェア更改があり減少となりましたが、クレジットカード会社向けの大型案件、及び案件数の伸長により、システム開発は増加しました。クラウドサービスについては、不正検知のクラウドサービス「IFINDS」を中心にユーザー数が伸長し、増加しました。セキュリティについては、製品構成を注力製品に絞って販売活動の効率化を図り、増加しました。その結果、売上高は3,158百万円(前年同期比13.4%減)になりました。売上総利益は、他社製品(ハードウェア等)は、前期に高採算の大型ハードウェア販売があったため減少しましたが、システム開発、クラウドサービスは、増収や開発効率の向上等により利益率が改善し、増加しました。販売管理費は、人的資本投資やオフィス環境整備等により増加しましたが、コストの最適化を図り、計画通りに進捗しています。その結果、営業利益は263百万円(前年同期比45.5%減)、経常利益は259百万円(前年同期比45.9%減)、四半期純利益175百万円(前年同期比46.0%減)となりました。受注については、受注高は4,257百万円(前年同期比36.0%増)、受注残高は12,073百万円(前年同期比33.4%増)となり、上期計画に対して順調に進捗しています。
中期事業計画で拡大を目指しているクラウドサービスについては、売上高592百万円(前年同期比36.4%増)、売上総利益96百万円(前年同期は△4百万円)となり増加しました。クラウドサービスは主に複数年契約の受注となっており、9月末時点で受注残高は6,717百万円となっています。2024年6月期は売上高2,500百万円を計画しており、順調に進捗しています。
当社は、決済領域では主にクレジットカード会社のFEP(Front End Processing)システム※や不正検知システムの開発を行っています。システムの中核は「NET+1(ネットプラスワン)」「ACEPlus(エースプラス)」等の自社製品で構成しており、例えば、FEPシステムの開発では、自社製品販売と、顧客の機能要件に合わせてカスタマイズするシステム開発、開発したソフトウェアを搭載するハードウェア販売の売上がそれぞれ計上されます。 また、セキュリティ領域では、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。 ※ FEPシステム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア
(2) 財政状態の分析(資産)当第1四半期会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ80百万円減少し、13,602百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ526百万円減少し、7,336百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が597百万円減少したためです。固定資産は、前事業年度末に比べ446百万円増加し、6,266百万円となりました。これは主に、無形固定資産のうち、開発中のソフトウェア320百万円、投資有価証券152百万円の増加があったためです。
(負債)当第1四半期会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ233百万円増加し、5,117百万円となりました。これは主に、未払法人税等が135百万円の減少したものの、賞与引当金218百万円、前受金119百万円の増加があったためです。
(純資産)当第1四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ314百万円減少し、8,485百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより525百万円減少した一方で、四半期純利益の計上により175百万円増加したこと等によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は7百万円です。主な内容としては、マルチテナント型不正検知サービスの開発、NET+1の機能更新・メディアデータ分析ソフトの機能開発及び実証実験対応等を行いました。
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