【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおり であります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況が続いております。政府による各種政策の効果や海外経済の改善を背景に、一部に持ち直しの動きがみられるものの、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動など、先行きは不透明な状況にあります。
首都圏のマンション市場におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により販売活動が一時停滞したものの、当連結会計年度のマンションの新規供給戸数は前年同期比1.7%増の2万9,032戸となり、同期間の平均初月契約率においても、前年同期比6.6ポイント増の67.9%となるなど市況は回復基調にあります。(数字は株式会社不動産経済研究所調べ)
当社グループの主要事業領域である資産運用型分譲マンション市場におきましては、単身者を中心とした首都圏の賃貸需要は底堅く、購入需要についても、安定した収益が期待できる運用商品として認知度が高まり、低金利にも後押しされ、堅調な状況が続いているものと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が長期化することによる影響について引き続き注視する必要があります。
このような経営環境のもと、当社グループは、首都圏において、資産運用としての多彩なメリットを提供する「ガーラマンションシリーズ」及びファミリー向けマンションの自社ブランド「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発・販売の拡大、顧客サポート体制の充実、ブランド力の強化を図り、グループ企業価値の向上に全力を尽くしてまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が大きく抑制されるなか、感染症拡大防止のための諸施策を講じながら事業の推進に努めてまいりました。
こうした結果、売上高729億88百万円(前連結会計年度比14.0%減)、営業利益73億51百万円(前連結会計年度比29.4%減)、経常利益73億34百万円(前連結会計年度比29.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益49億83百万円(前連結会計年度比26.0%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(不動産開発事業)
当連結会計年度は、緊急事態宣言発令下における営業活動の一時自粛等、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて前年を下回る業績で推移しましたが、新築マンションを中心に販売は堅調であり、業績は概ね計画どおりとなりました。
以上の結果、新築マンション売上高338億19百万円(1,142戸)、中古マンション売上高214億84百万円(871戸)、その他収入72億84百万円となり、不動産開発事業の合計売上高625億88百万円(前連結会計年度比16.9%減)、セグメント利益58億50百万円(前連結会計年度比35.6%減)となりました。
売上高等内訳
区分
前連結会計年度
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
当連結会計年度
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
戸数
(戸)
金額
(百万円)
戸数
(戸)
金額
(百万円)
前年比
(%)
前年比
(%)
ガーラマンションシリーズ
847
22,837
125.8%
969
26,006
113.9%
ガーラ・レジデンスシリーズ
207
9,012
74.4%
173
7,812
86.7%
中古マンション
1,501
36,468
101.4%
871
21,484
58.9%
その他収入
-
7,038
109.1%
-
7,284
103.5%
合計
2,555
75,356
103.7%
2,013
62,588
83.1%
(不動産管理事業)
当連結会計年度は、自社グループ開発物件の新規管理受託により管理件数が増加し、賃貸管理戸数は17,080戸、建物管理棟数は311棟となりました。
以上の結果、不動産管理事業の売上高は31億62百万円(前連結会計年度比8.7%増)、セグメント利益8億98百万円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。
(建設事業)
当連結会計年度は、マンション建設及び大規模修繕工事を中心に受注は堅調に推移し、また工事についても概ね計画どおりに進捗しました。
以上の結果、建設事業の売上高は62億43百万円(前連結会計年度比12.1%増)、セグメント利益5億92百万円(前連結会計年度比14.4%増)となりました。
(旅館事業)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受け、厳しい事業環境が続きました。緊急事態宣言下において全旅館臨時休業を余儀なくされ、宣言解除後は「Go To トラベルキャンペーン」などの需要喚起施策等により夏から秋にかけて持ち直しの傾向がみられたものの、年末以降の感染症再拡大により、全旅館合算の来館者数は前年を下回る結果となりました。
以上の結果、旅館事業の売上高は9億94百万円(前連結会計年度比0.8%減)、セグメント損失39百万円(前連結会計年度は28百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11億99百万円増加し、229億96百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は80億69百万円(前連結会計年度は9億80百万円の収入)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益73億34百万円、たな卸資産の減少額45億59百万円であり、主な支出は法人税等の支払額33億92百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は89百万円(前連結会計年度は5億2百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は67億80百万円(前連結会計年度は85億64百万円の収入)となりました。主な収入は、事業用地の購入資金対応のための長期借入れによる収入114億60百万円であり、主な支出は、プロジェクトの完成等に伴う長期借入金の返済による支出161億52百万円、配当金の支払額14億38百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
該当事項はありません。
(契約実績)
当連結会計年度における不動産開発事業の契約実績は次のとおりであります。
区分
前連結会計年度
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
当連結会計年度
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
戸数
(戸)
金額
(百万円)
戸数
(戸)
金額
(百万円)
前年比
(%)
前年比
(%)
前年比
(%)
前年比
(%)
ガーラマンションシリーズ
859
128.6
22,519
116.1
992
115.5
22,416
99.5
ガーラ・レジデンスシリーズ
136
60.7
6,287
58.9
247
181.6
10,853
172.6
中古マンション
1,330
81.4
32,368
85.6
856
64.4
18,365
56.7
その他(不動産)
-
-
72
47.8
-
-
53
73.0
合計
2,325
92.0
61,248
90.0
2,095
90.1
51,688
84.4
(注)上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
報告セグメントの名称
区分
前連結会計年度
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
当連結会計年度
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
戸数
(戸)
金額
(百万円)
戸数
(戸)
金額
(百万円)
前年比
(%)
前年比
(%)
前年比
(%)
前年比
(%)
不動産
開発事業
ガーラマンションシリーズ
847
130.7
22,837
125.8
969
114.4
26,006
113.9
ガーラ・レジデンスシリーズ
207
88.8
9,012
74.4
173
83.6
7,812
86.7
中古マンション
1,501
94.9
36,468
101.4
871
58.0
21,484
58.9
その他
-
-
7,038
109.1
-
-
7,284
103.5
小計
2,555
103.8
75,356
103.7
2,013
78.8
62,588
83.1
不動産
管理事業
-
-
-
2,910
111.7
-
-
3,162
108.7
建設事業
-
-
-
5,570
103.8
-
-
6,243
112.1
旅館事業
-
-
-
1,002
118.6
-
-
994
99.2
合計
-
-
-
84,840
104.1
-
-
72,988
86.0
(注)上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は729億88百万円となり、前連結会計年度の848億40百万円に対し14.0%、118億51百万円の減少となりました。これは主に、当社グループ主力の不動産開発事業における売上高が625億88百万円となり、前連結会計年度の753億56百万円に対し16.9%、127億68百万円減少したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は558億82百万円となり、前連結会計年度の647億54百万円に対し13.7%、88億71百万円の減少となりました。これは主に、売上高の減少によるものであります。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度の200億86百万円に対し14.8%、29億80百万円減少の171億5百万円となり、売上高に対する売上総利益率は、前連結会計年度の23.7%から0.3ポイント減少し、23.4%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は97億54百万円となり、前連結会計年度の96億73百万円に対し0.8%、81百万円の増加となりました。これは主に、広告宣伝費等が増加したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度104億12百万円に対し29.4%、30億61百万円減少の73億51百万円となり、売上高に対する営業利益率は、前連結会計年度の12.3%から2.2ポイント減少し、10.1%となりました。
なお、セグメント別の業績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(営業外損益、経常利益、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における営業外収益は1億20百万円となり、前連結会計年度の47百万円に対し153.7%、72百万円の増加となりました。
当連結会計年度における営業外費用は1億37百万円となり、前連結会計年度の1億36百万円に対し0.5%、0百万円の増加となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益及び税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の103億23百万円に対し29.0%、29億89百万円減少の73億34百万円となりました。売上高に対する経常利益率は、前連結会計年度の12.2%から2.2ポイント減少の10.0%となったものの、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として設定している売上高経常利益率10%以上を達成いたしました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は23億51百万円となり、前連結会計年度の35億91百万円に対し34.5%、12億40百万円の減少となりました。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の67億32百万円に対し26.0%、17億49百万円減少の49億83百万円となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は726億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ106億98百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が10億7百万円、受取手形及び営業未収入金が9億96百万円、前渡金が5億5百万円増加した一方、仕掛販売用不動産が94億35百万円、販売用不動産が36億59百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は116億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億54百万円増加いたしました。これは主に、販売用不動産の一部について保有目的を変更したことに伴い、販売用不動産83億37百万円を有形固定資産(建物及び構築物44億95百万円、土地38億41百万円)へ振替えたことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は135億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ104億92百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が2億32百万円、預り金が1億34百万円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が91億12百万円、未払法人税等が10億40百万円、短期借入金が6億50百万円、未払消費税等が2億34百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は169億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億93百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が44億20百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は538億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億55百万円増加いたしました。主な増加は親会社株主に帰属する当期純利益49億83百万円であり、減少は剰余金の配当14億38百万円であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の資金の状況の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要の主なものは不動産開発事業における用地取得費用であり、その調達手段は主として、金融機関からの借入金によっております。用地取得費用以外の運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則とし、金融費用を低減するよう努めております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2017年3月期
2018年3月期
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
自己資本比率(%)
61.1
62.0
61.8
58.0
63.8
時価ベースの自己資本
比率(%)
54.5
44.3
38.4
30.8
43.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
757.7
-
-
2,667.4
258.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
34.5
-
-
16.4
81.6
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.2018年3月期及び2019年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。