【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による経営成績等の状況に関する主な注記は以下のとおりです。
なお、以下、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において判断したものです。
(非GAAP指標について)
当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示しております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
調整後営業利益
営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。
また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。
為替一定ベース
為替一定ベースとは、たばこ事業における当期の自社たばこ製品売上収益又は調整後営業利益から、前年同
期の為替レートを用いて換算・算出した為替影響を除いた指標です。為替一定ベースの実績は、一定の方法を
用いて算出した一部市場のインフレに伴う売上又は利益の増加分を除いております。
自社たばこ製品売上収益
たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を開示しております。自社たばこ製品売上収益に
は、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。
(超インフレの調整について)
当社グループは、超インフレ経済下にある子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、会計上の調整を加えております。
(RRPについて)
RRPは、加熱式たばこ及びE-Vapor製品等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced- Risk Products)を指しております。
加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。当社製品ポートフォリオでは、高温加熱型のHeated tobacco sticks(HTS)、低温加熱型のInfused-tobacco capsules(Infused)があります。
一方、E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
① 全社実績
(単位:億円)
2022年12月期
第2四半期
連結累計期間
2023年12月期
第2四半期
連結累計期間
増減率
売上収益
12,668
13,928
9.9%
調整後営業利益
4,149
4,428
6.7%
営業利益
3,830
4,136
8.0%
四半期利益(親会社所有者帰属)
2,641
2,870
8.7%
<売上収益>
売上収益は、たばこ事業及び医薬事業での増収に加えて、円安によるポジティブな為替影響により、前年同期比9.9%増の1兆3,928億円となりました。為替一定ベースのcore revenue(注1)は、前年同期比6.8%増となりました。
<調整後営業利益>
為替一定ベースの調整後営業利益は、すべての事業での増加により、前年同期比4.7%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、たばこ事業における円安によるポジティブな為替影響により、前年同期比6.7%増の4,428億円となりました。
<営業利益>
営業利益は、調整後営業利益の増益等により、前年同期比8.0%増の4,136億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、金融費用が悪化したものの、営業利益の増益及び法人所得税費用の減少等により、前年同期比8.7%増の2,870億円となりました。
(注1)為替一定ベースのcore revenueは、為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益、医薬事業・加工食品事業・その他の売上収益の合計。
② セグメント別実績
〔たばこ事業〕
(単位:億本、億円)
たばこ事業
2022年12月期
第2四半期
連結累計期間
2023年12月期
第2四半期
連結累計期間
増減率
総販売数量
2,628
2,693
2.5%
Combustibles販売数量(注1)
2,587
2,652
2.5%
RRP販売数量(注2)
40
42
3.9%
自社たばこ製品売上収益
11,053
12,172
10.1%
調整後営業利益
4,251
4,502
5.9%
<総販売数量>(注3)(注4)
総販売数量は、Western Europeにおける総需要の減少があったものの、Asia及びEMAにおける継続的なシェア伸張や一部市場における総需要の増加により、前年同期比2.5%増の2,693億本となりました。Combustibles販売数量は、Asia及びEMAにおける増加により、前年同期比2.5%増となりました。RRP販売数量は、主に日本における継続的なHTSカテゴリ内のシェア伸張及び新たな市場での投入により、前年同期比3.9%増となりました。市場シェアは、主要市場であるイタリア、スペイン、台湾、日本、フィリピン、ロシアを含めた様々な市場で伸張しました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>
自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、Asia及びEMAにおける継続的なシェア伸張、EMA及びWestern Europeを中心とした単価上昇効果及びポジティブな為替影響等により、それぞれ前年同期比10.1%増、5.9%増となりました。RRP関連売上収益(注2)は、前年同期比0.8%増の395億円となりました。
為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、それぞれ前年同期比6.8%増、3.9%増となりました。
(注1)製造受託/水たばこ/加熱式たばこ/無煙たばこ/E-Vaporを除く燃焼性のたばこ製品。
(注2)RRP販売数量にはデバイス・関連アクセサリー等は含まれておりませんが、RRP関連売上収益にはデバイス・関連アクセサリー等に係る売上収益が含まれております。
(注3)総需要及び市場シェアは当社推計です。
(注4)たばこ事業セグメントについては、3つのクラスター(Asia、Western Europe、EMA)に区分けしております。Asiaは日本を含むアジア全域、Western Europeは西欧地域、EMAはアフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカ大陸及びすべての免税市場を含んでおります。Asiaには台湾、日本、フィリピン等、Western Europeにはイタリア、英国、スペイン等、EMAにはトルコ、ルーマニア、ロシア等を含んでおります。詳細は、「第4 経理の状況 1.要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記5.事業セグメント(2)セグメント収益及び業績」をご参照ください。
〔医薬事業〕
(単位:億円)
医薬事業
2022年12月期
第2四半期
連結累計期間
2023年12月期
第2四半期
連結累計期間
増減率
売上収益
393
477
21.3%
調整後営業利益
49
100
106.5%
<売上収益及び調整後営業利益>
売上収益は、導出品のライセンス契約に係る一時金収入及び当社の連結子会社である鳥居薬品株式会社の増収により、前年同期比21.3%増となりました。
調整後営業利益は、研究開発費の増加があったものの、売上収益の増収により、前年同期比106.5%増となりました。
〔加工食品事業〕
(単位:億円)
加工食品事業
2022年12月期
第2四半期
連結累計期間
2023年12月期
第2四半期
連結累計期間
増減率
売上収益
735
734
△0.1%
調整後営業利益
14
29
103.5%
<売上収益及び調整後営業利益>
売上収益は、ベーカリー事業譲渡による売上収益の剥落があるものの、冷食・常温事業における、前年度及び今年度に実施した価格改定に加えて、外食需要の回復による業務用製品の増収により、前年同期と同水準となりました。
調整後営業利益は、前年度と比較して更なる原材料費や物流費、為替影響の悪化があるものの、前年度及び今年度における価格改定効果や業務用製品の増収により、前年同期比103.5%増となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態の状況
〔資産〕
当第2四半期連結会計期間末現在の資産合計は、前年度末に比べ4,263億円増加し、6兆9,744億円となりました。これは、為替影響によるのれんの増加があったこと等によるものです。
〔負債〕
当第2四半期連結会計期間末現在の負債合計は、前年度末に比べ933億円増加し、3兆246億円となりました。これは、営業債務及びその他の債務の減少があったものの、社債の発行に加え、為替影響による社債の増加があったこと等によるものです。
〔資本〕
当第2四半期連結会計期間末現在の資本合計は、前年度末に比べ3,330億円増加し、3兆9,497億円となりました。これは、在外営業活動体の換算差額の増加に加え、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加があったこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末現在の現金及び現金同等物は、前年度末に比べ397億円減少し、8,272億円となりました(前年同期末残高7,487億円)。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,069億円の収入(前年同期は1,102億円の収入)となりました。これは、たばこ税及び法人税の支払い、営業債務及びその他の債務の支払い等があったものの、主にたばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があったこと等によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,027億円の支出(前年同期は388億円の支出)となりました。これは、投資の取得による支出、有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったこと等によるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,633億円の支出(前年同期は1,582億円の支出)となりました。これは、配当金の支払いがあったこと等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当社グループは、当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営環境及び全社利益目標達成に向けた基本戦略 ⅲサステナビリティ戦略」について、以下のとおり見直しを行っております。
ⅲマテリアリティとサステナビリティ
当社グループの長期的な成長には、事業活動を通じ、社会の発展に貢献していくことが必要不可欠であり、事業と社会のサステナビリティ実現に向けた取り組みは、従来から経営の根幹をなすものと考えています。自然や社会と人の暮らしはつながっており、自然や社会の持続性があってはじめて人の暮らしや企業の活動も持続的となるという考えのもと、4Sモデルの追求を経営理念とするJTグループとして、JT Group Purposeの具現化を通じて持続可能な自然や社会づくりに貢献していくために、5つの課題群をJT Group Materialityとして策定しました。JT Group Materialityを踏まえ、全社および事業ごとのサステナビリティの取り組み目標についての見直しを今後実施していくとともに、グループ全体で推進力を持って取り組むことで、事業と社会の持続的な成長を目指してまいります。
<JT Group Materiality>
自然や社会と人の暮らしはつながっており、自然や社会が持続可能であってはじめて、人の暮らしや企業の活動も持続可能となります。
JTグループはJT Group Purposeの具現化を通じて持続可能な自然や社会づくりに貢献していくために、以下のマテリアリティ(重要課題)に取り組んでいきます。
自然との共生
お客様の期待を
超える価値創造
人財への投資と
成長機会の提供
責任ある
サプライチェーン
マネジメント
良質なガバナンス
自然環境に与える影響の改善に向けた取り組みを通じて、自然と人や企業の健全な関係性を保全
お客様の期待を超える多様な製品・サービスを創出
人財の多様性に着目した成長支援を含む人財への投資や、多様な個性がその能力を最大限発揮できる組織風土の醸成を通じた人的資本の拡充
人権尊重や自然環境保全など多様化する社会課題への適切な対応を通じ、事業環境の急激な変化に耐えうる持続可能なサプライチェーンを構築
さまざまなステークホルダーの満足度を高め、信頼される企業体であり続けるためのガバナンスの充実
・気候変動影響の緩和や自然環境保全への取り組み強化
・資源循環への取組推進や環境価値の高いサステナブルな製品開発
・画期的な製品・サービスの開発、製品を楽しむ多様な機会の提供
-リスク低減製(RRP)の
開発・提供
-画期的なオリジナル新薬
の創出
-多様化するお客様の価値
観や関心に対応した食の
開発・提供
等
・「心の豊かさ」を中心概念とした、研究や未来の事業シーズの探索・創出
・公正かつ安全な職場環境の構築、一人ひとりに即した成長機会の提供及びDE&Iの推進
・従業員による社会参画・共創を促す仕組みの構築
・人権・環境デュー・ディリジェンスを通じたサプライヤーとの対話の推進
・サプライヤーとの協業による社会課題解決に向けた施策の実行
・透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組み作りと実践
・さまざまなステークホルダーとの積極的な対話の実施
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、349億円です。
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
② 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。
<キャッシュ・フロー>
「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
<有利子負債>
(長期負債)
社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在7,373億円、当第2四半期連結会計期間末現在8,638億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、前年度末現在1,572億円、当第2四半期連結会計期間末現在1,622億円です。
(短期負債)
金融機関からの短期借入金は、前年度末現在637億円、当第2四半期連結会計期間末現在570億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。
③ 流動性
当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当第2四半期連結会計期間末現在、国内・海外の主要な金融機関からのコミットメント融資枠があります。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。