【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は,当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況①
経営成績
前第2四半期連結累計期間(自
2022年4月1日至
2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自
2023年4月1日至
2023年9月30日)
増
減
金額(億円)
金額(億円)
金額(億円)
増減率(%)
売上高(営業収益)
17,792
18,415
623
3.5
営業利益
612
2,456
1,843
301.0
経常損益
△230
3,773
4,003
―
特別利益
―
64
64
―
特別損失
100
―
△100
―
親会社株主に帰属する四半期純損益
△426
3,115
3,541
―
当第2四半期連結累計期間の収支の状況については,売上高(営業収益)は,燃料費調整額(燃調収入)の増加などから,前第2四半期連結累計期間に比べ623億円増加し1兆8,415億円となった。経常損益は,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損から差益に転じたことや,ミライズにおける電源調達コストの削減,パワーグリッドにおける需給調整にかかる費用の減少などから,前第2四半期連結累計期間に比べ4,003億円改善し3,773億円の利益となった。なお,期ずれを除いた連結経常損益は,2,570億円程度の利益となり,前第2四半期連結累計期間に比べ980億円程度の増益となった。また,政策保有株式の一部を売却したことにより有価証券売却益64億円を特別利益に計上した。この結果,法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する四半期純損益は,前第2四半期連結累計期間に比べ3,541億円改善し3,115億円の利益となった。
中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,中部エリア内での標準メニューの受付再開による契約増加はあったものの,電気機械等の生産減などから,前年同期並みの515億kWhとなった。なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,前第2四半期連結累計期間に比べ17億kWh減少し550億kWhとなった。
また,中部エリアの需要電力量は,夏季の気温影響による冷房設備の稼動増はあるが,電気機械等の生産減や,春先の気温が前年に比べ高めに推移したことによる暖房設備の稼動減などから,前第2四半期連結累計期間に比べ14億kWh減少し611億kWhとなった。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)は以下のとおりである。なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。
[ミライズ]電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入の増加などから,前第2四半期連結累計期間に比べ1,476億円増加し1兆5,093億円となった。経常利益は,期ずれ差益の発生や,電源調達コストの削減などから,前第2四半期連結累計期間に比べ1,166億円増加し1,617億円となった。
[パワーグリッド]電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法に基づく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の低下などから,前第2四半期連結累計期間に比べ1,212億円減少し4,449億円となった。経常損益は,エリア需要の減少に伴う託送収益の減少はあったものの,レベニューキャップ制度導入に伴う託送料金の見直しや,需給調整にかかる費用の減少などから,前第2四半期連結累計期間に比べ708億円改善し568億円の利益となった。
[JERA]燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,期ずれ差損から差益に転じたことなどから,前第2四半期連結累計期間に比べ2,085億円改善し1,363億円の利益となった。
②
財政状態総資産は,㈱JERAなどの関係会社長期投資の増加により投資その他の資産が増加したことなどから,前連結会計年度末に比べ5,040億円増加し6兆9,591億円となった。純資産については,配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や,その他の包括利益累計額の増加などにより,前連結会計年度末に比べ4,805億円増加し2兆6,427億円となった。 この結果,自己資本比率は,前連結会計年度末から4.6ポイント向上し36.5%となった。
(2) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前四半期純利益が増加したことなどから,前第2四半期連結累計期間に比べ185億円増加し1,740億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,投融資による支出が増加したことなどから,前第2四半期連結累計期間に比べ1,416億円支出が増加し2,503億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達が減少したことなどから,前第2四半期連結累計期間に比べ841億円減少し495億円の収入となった。これらにより,当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末に比べ259億円減少した。なお,当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高は,前連結会計年度末に比べ842億円増加し,3兆99億円となった。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題前事業年度の有価証券報告書に記載した「対処すべき課題」について重要な変更が生じている。以下の内容は,変更後の事業上及び財務上の対処すべき課題の全文を一括して記載したものである。なお,文中における将来に関する事項は,当四半期報告書提出日(2023年11月10日)現在において判断したものである。
当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。パワーグリッドにおいては,一層の中立性・公平性を図るとともに,ミライズ・JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスを実現・提供することにより,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。
(安全・安価で安定的なエネルギーのお届け)資源価格のボラティリティの激しさや,為替変動によって,エネルギー市場の不確実性が高まり,不安定な事業環境が継続しております。当社グループとして,あらゆるコストダウンに取り組んできましたが,経営努力だけでは対応できず,お客さまに安定して電気をお届けするため,2023年4月より特別高圧電力及び高圧電力の標準メニューの見直しを実施いたしました。引き続き徹底した経営効率化に取り組むとともに,いかなる状況においても,バリューチェーン全体で良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命」をグループ一丸となって完遂してまいります。このため,燃料調達の安定化を図るとともに,電源調達ポートフォリオの見直しや,電力先物,燃料先物取引などのヘッジ手法を適切に組み合わせてまいります。さらに,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などのサービス拡充にも取り組んでまいります。自然災害の激甚化や送配電設備の高経年化など,レジリエンス向上の取り組みもより一層重要となっております。引き続き,設備のメンテナンスを確実に行いつつ,中長期的な視点から,高経年化設備の更新を計画的に進めてまいります。また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっております。この課題に対し,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整により,周波数や電圧を適切に維持し,中部エリアの安定供給に努めつつ,全国の安定供給にも寄与してまいります。なお,不透明な環境が継続する状況ではありますが,足元の資源価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいるコストダウンなどの経営努力を踏まえ,2023年6月から2024年3月にかけて電気料金の負担軽減をはじめとした施策を実施しております。
(浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,基準地震動・基準津波の確定に向けて着実に進捗しております。これらが概ね確定した後は,プラント関係審査に対応していくとともに,これらにもとづき安全性向上対策の有効性をはじめ浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動を実施してまいります。エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の再稼働に向けて取り組んでまいります。
(脱炭素社会実現に向けた取り組み)中部電力グループは,経営ビジョン2.0,ゼロエミチャレンジ2050及びJERAゼロエミッション2050にもとづき,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指しております。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO2排出量削減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。経営ビジョン2.0で掲げた「2030年頃に,保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの320万kW(80億kWh)以上の拡大に貢献」という目標の達成に向け,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。同時に,小規模分散が主体となる太陽光発電については,グループ会社による設備の保守・施工などに加えて,お客さまのお役立ちにつながる付加価値サービスを提供してまいります。また,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強に努めるなど,再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。
(新しいコミュニティの形の創造に向けた取り組み)中部電力グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指してまいります。不動産事業につきましては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めてまいります。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与してまいります。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦してまいります。
当社及び中部電力ミライズは,2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給に関し,公正取引委員会から独占禁止法にもとづく課徴金納付命令等を受けました。本命令の内容については,当社と公正取引委員会との間で,事実認定及び法解釈に見解の相違があるため,司法の公正な判断を求めることとし,同年9月25日に取消訴訟を提起しております。また,託送業務で知り得たお客さま情報などの不適切な取り扱いにつきましては,公正な競争を阻害するおそれのあるものであり,大変重く受け止めております。本事案を受け,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズにおいて,それぞれ原因の分析や再発防止策を策定するとともに,当社も加えた3社で,再発防止策の妥当性や実施状況を確認しております。中部電力グループは,従前より,企業の社会的責任を果たすため,CSR宣言にもとづき事業活動を進めており,そのことがESGの観点を踏まえた事業経営の深化や,SDGsの課題解決に貢献するものと考えております。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じて,コンプライアンスを徹底することで,CSRを完遂してまいります。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体としての研究開発費の総額は,3,000百万円である。(注) 上記金額には,内部取引を考慮していない。
(5) 生産,受注及び販売の実績 当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。なお,電気事業は,販売電力量が景気動向等の影響を受けることや,夏季と冬季に高い水準となる傾向にあり,四半期ごとの業績に変動が生じることがある。
①
発電実績
種別
当第2四半期連結累計期間(自
2023年4月1日至
2023年9月30日)
対前年同四半期増減率(%)
発電電力量(百万kWh)
水力
5,414
4.0
原子力
―
―
新エネルギー
193
11.2
合計
5,607
4.2
出水率(%)
101.5
―
(注) 1
発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。2
出水率は,1992年度から2021年度までの第2四半期連結累計期間の30カ年平均に対する比である。3
四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。
②
販売実績ア
販売電力量及び料金収入
種別
当第2四半期連結累計期間(自
2023年4月1日
至
2023年9月30日)
対前年同四半期増減率(%)
販売電力量(百万kWh)
低圧
14,036
△2.0
高圧・特別高圧
37,504
0.7
合計
51,540
△0.1
料金収入(百万円)
1,285,893
20.1
(注) 1
販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2
四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。3
料金収入には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づいて受領した電気・ガス価格激変緩和対策補助金収入149,021百万円を含む。
〔参考1〕
グループ合計の販売電力量(百万kWh)
55,018
△3.1
(注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。
〔参考2〕
他社販売電力量(百万kWh)
5,199
△17.8
(注) 1
中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。2
当第2四半期連結会計期間末日現在で把握している電力量を記載している。
イ
中部エリアの需要電力量及び料金収入
種別
当第2四半期連結累計期間(自
2023年4月1日
至
2023年9月30日)
対前年同四半期増減率(%)
中部エリアの需要電力量(百万kWh)
61,060
△2.2
料金収入(百万円)
304,509
5.6
(注) 1
中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。2
料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。
(6) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において,主要な設備に重要な異動はない。また,主要な設備の前連結会計年度末における計画に著しい変更はない。
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