【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴い経済活動は通常状態に戻りつつあるものの、引き続きロシアのウクライナ侵攻に伴う資源や食料品などの価格高騰、インフレ抑制に向けた各国金融政策による景気動向の先行き不透明感に加え、米国中堅銀行の経営破綻に端を発した金融不安の増幅と景気下押し懸念によって、不確実性が高まっております。
このような経済環境のもと当社グループは、オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業及びその他事業(電子科学株式会社)という独自の技術を利用した3つの事業により、経営基盤の強化と拡充に努めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高1,109,299千円(前年同四半期比57.2%増)、営業利益31,803千円(前年同四半期は166,385千円の損失)、経常利益90,477千円(前年同四半期は126,055千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益42,648千円(前年同四半期は95,949千円の損失)となりました。
セグメントの経営成績は、次の通りであります。
(オプティカル事業)
当第3四半期連結累計期間は、国内(施設:SPring-8、NanoTerasu)向け、アメリカ(施設:APS)向け、中国(施設:HEPS、SSRF)向け、ヨーロッパ(施設:ESRF、Eu-XFEL)向け等の売上が業績を牽引しました。アメリカ向けと中国向けに関して前期に売上計上できなかった製品は、当第3四半期にて概ね納品が完了いたしました。
また、Ⅹ線ナノ集光ミラーの主な販売先である国内外の放射光施設やⅩ線自由電子レーザー施設においては概ね通常稼働状態に戻っており、国内の次世代放射光施設NanoTerasuをはじめ、中国及び欧米の放射光施設のバージョンアップや新設計画も順調に進んでいる状況であります。
受注状況に関しましては、中国及び欧米の放射光施設のバージョンアップや新設計画、国内の次世代放射光施設NanoTerasu等から引き続き獲得している状況であります。中国においては、引続き各主要都市で放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設の新設やバージョンアップを進めており、北京市に建設中の世界最大規模の次世代大型放射光施設「HEPS」、上海市に建設中のⅩ線自由電子レーザー施設「SHINE」からの継続的な受注に加え、近年立上げ計画中の合肥市や深圳市の関連施設から複数の問合せを受けている状況であります。欧州に関しましては、エネルギー、半導体に関する最先端研究の活発化に伴い、スペイン、イタリア、フランスの中規模放射光施設においても高精度ミラーの需要が増加傾向にあることから、積極的な市場開拓を進めており、フランスの放射光施設「SOLEIL」から新たな受注に至るなど、その活動成果が順調に得られております。
営業活動につきましては、中国において感染対策の正常化が進んでいることから渡航による営業活動再開も視野に入っており、欧米においては通常通りの渡航による対面営業活動を進めるとともに、海外研究者の来日による商談機会も増加しており、更なる需要の開拓を行っております。
この結果、売上高は724,861千円(前年同四半期比48.2%増)、セグメント利益は244,971千円(前年同四半期比112.6%増)となりました。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
当第3四半期連結累計期間は、SPring-8における光源高度化に必要となる開発品の検証試験受託業務、グラビア印刷試験機(GP-10)用制御基板、水冷式冷却器や単核球分離装置用の消耗品関連による売上を計上いたしました。
今後期末に向けて、機器開発事業の重点新規事業分野として掲げる、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術(触媒基準エッチング法(CARE)関連装置、プラズマ援用研磨法(PAP)、プラズマを用いた化学的気化加工法(PCVM))を搭載した装置の商品化、受注および販売活動を推進しております。既に次世代研磨装置関連の開発機が受注に至っておりますが、第2四半期末に開催された「SEMICOM Japan 2022」への出展の結果、複数企業からテスト加工の依頼を受けているとともに、大手企業との共同開発契約を締結するなど徐々にその成果が得られております。
この結果、売上高は56,446千円(前年同四半期比62.5%減)、セグメント損失は88,109千円(前年同四半期は40,095千円の損失)となりました。
(その他事業)
その他事業は子会社の電子科学株式会社であります。電子科学の売上構成は、装置販売(TDS:昇温脱離分析装置)、装置のメンテナンス業務、受託分析業務の3つに分かれます。当第3四半期連結累計期間の売上には、韓国向け2台、台湾向け1台、国内向け1台の装置販売計4台分を含んでおります。
この結果、売上高は327,991千円(前年同四半期比397.8%増)、セグメント利益は89,983千円(前年同四半期は15,162千円の損失)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,660,711千円となり、前連結会計年度末に比べ359,315千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が221,378千円、売掛金が60,964千円、仕掛品が55,738千円の増加となったことによるものとなります。固定資産は1,868,360千円となり、前連結会計年度末に比べ57,276千円減少いたしました。これは主に、減価償却が進んだことに伴い有形固定資産が14,505千円、無形固定資産が34,497千円(内、のれんが31,787千円)減少したことによるものであります。
この結果、総資産は3,529,071千円となり、前連結会計年度末に比べ302,038千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は692,528千円となり、前連結会計年度末に比べ306,874千円増加いたしました。これは主に短期借入金が200,000千円及び契約負債が65,321千円増加したことによるものであります。固定負債は553,175千円となり、前連結会計年度末に比べ60,486千円減少いたしました。これは主に長期借入金が56,592千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,245,703千円となり、前連結会計年度末に比べ246,388千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,283,367千円となり、前連結会計年度末に比べ55,650千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益を42,648千円計上したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、216,112千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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