【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況当事業年度における総資産は3,857百万円、負債は2,443百万円、純資産は1,414百万円であり、自己資本比率は36.7%となりました。当事業年度における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(流動資産)流動資産につきましては前事業年度末に比べ219百万円減少し、1,395百万円となりました。これは主に現金及び預金が210百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)固定資産につきましては前事業年度末に比べ397百万円減少し、2,462百万円となりました。これは主に土地が271百万円、建物が117百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)流動負債につきましては前事業年度末に比べ170百万円減少し、908百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が113百万円、1年内償還予定の社債が100百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)固定負債につきましては前事業年度末に比べ371百万円減少し、1,534百万円となりました。これは主に長期借入金が389百万円減少したことによるものであります。
(純資産)純資産につきましては前事業年度末に比べ76百万円減少し、1,414百万円となりました。これは主に利益剰余金が84百万円減少したことによるものであります。
② 経営成績の状況当事業年度(2022年8月1日から2023年7月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことや、入国制限などの水際措置が終了したことにより、人流が増加し、個人の消費マインドも回復基調に推移しました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や、円安を背景にした輸入原材料価格の上昇によりあらゆる物価の高止まりが懸念され、先行きは依然として不透明な状態が続くものと予想されます。外食業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の第7波及び第8波による影響が一定程度あったものの、行動制限解除後は営業の制約もなくなり、政府や地方自治体による経済活動促進策やインバウンド消費も後押しして回復基調が強まりました。一方で原材料費や物流費、人件費など様々なコストが上昇するなど厳しい経営環境が続いております。このような状況の中、当社におきましては、ご来店いただくすべてのお客様に安心してお食事をお楽しみいただけるよう努めております。営業面では、お客様のニーズに対応すべく、テイクアウトの充実やデリバリーサービス対応店舗の拡大など、営業力の強化に努め、収益の維持、拡大に向けた様々な販売施策を実施してまいりました。また、定番料理向上宣言として既存の商品をより美味しくブラッシュアップするとともに、少人数よりご利用いただける「お値打ちでおいしい宴会」メニューの導入を行い顧客の獲得に努めております。店舗展開につきましては、当事業年度において新規出店は実施しておりません。一方、退店につきましては「メンヤム 水広橋店」(名古屋市緑区)及び「桃李蹊 春日井東野店」(愛知県春日井市)の計2店舗を実施いたしました。また、2023年3月に「浜木綿 豊田店」(愛知県豊田市)を「中国食堂はまゆう 豊田店」に、同年5月には「桃李蹊 図書館通店」(愛知県長久手市)を「中国食堂はまゆう 図書館通店」へそれぞれ業態変更し、手頃な価格で本格的な味を堪能できる新業態「中国食堂はまゆう」の強化を推進いたしました。今後も引き続き『日常の食事マーケット』に取り組み、経済環境が変化しても安定した売上を確保できるよう努めてまいります。これにより、当事業年度末の店舗数は、「浜木綿」31店舗、「四季亭」3店舗、「桃李蹊」3店舗、「中国食堂はまゆう」3店舗の合計40店舗(すべて直営店)となっております。当事業年度の前半までは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けることとなりましたが、後半からは客足が徐々に回復傾向にあります。この結果、売上高は、前期に比べて726百万円増加し、2期連続で増収となりました。利益面につきましては、売上が段階的に回復する中、食材の仕入価格が高騰し、売上原価率は前期より増加いたしました。一方で徹底的なコストコントロールに努め、売上高販売管理費率は前期に比べ減少しました。これにより、営業利益は黒字化して大幅に増益となりましたが、経常利益は、前期に営業外収益として計上した営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金が当期は計上がなかったため、前期に比べ減益となりました。また、特別利益として固定資産売却益28百万円、特別損失として減損損失172百万円など合計202百万円をそれぞれ計上しております。以上の結果、当事業年度の売上高は5,271百万円(前期比16.0%増)、営業利益は121百万円(前期は営業損失165百万円)、経常利益は122百万円(前期比46.1%減)、当期純損失は62百万円(前期は当期純利益19百万円)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ200百万円減少し、916百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果増加した資金は350百万円(前年同期は373百万円の増加)となりました。これは主に、減価償却費164百万円及び減損損失172百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果増加した資金は117百万円(前年同期は575百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出245百万円により減少した一方、有形固定資産の売却による収入389百万円により増加したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果減少した資金は668百万円(前年同期は186百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出503百万円、社債の償還による支出100百万円を計上したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当事業年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、生産実績につきましては、飲食事業について記載しております。
品目別
生産高(千円)
前年同期比(%)
点心
172,539
119.2
加工材料
103,645
122.0
主菜、スープ
70,117
107.2
嗜好飲料
39,785
124.2
調味料
58,848
143.8
その他
5
56.3
合計
444,941
120.9
(注) 金額は製造原価によっております。
b.受注実績当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.仕入実績当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、仕入実績につきましては、飲食事業について記載しております。
品目別
仕入高(千円)
前年同期比(%)
農産物類
468,463
115.5
海産物類
204,269
124.8
畜産物類
266,583
127.0
嗜好飲料類
134,983
134.5
調味料類
201,759
121.8
その他
37,817
91.1
合計
1,313,876
120.9
(注) 金額は仕入価格によっております。
d.販売実績当事業年度における販売実績を業態別及び都道府県別に示すと、次のとおりであります。なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、販売実績につきましては、飲食事業について記載しております。
業態別
販売高(千円)
構成比(%)
前年同期比(%)
浜木綿業態
4,482,446
85.0
113.4
四季亭業態
373,269
7.1
120.5
桃李蹊業態
199,234
3.8
82.1
中国食堂はまゆう業態
208,921
4.0
3,085.1
その他業態
7,868
0.1
23.3
飲食事業
5,271,739
100.0
116.0
合計
5,271,739
100.0
116.0
都道府県別
販売高(千円)
構成比(%)
前年同期比(%)
愛知県
3,509,625
66.6
114.2
岐阜県
567,791
10.8
116.2
三重県
493,272
9.4
118.1
滋賀県
204,066
3.9
120.4
東京都
158,686
3.0
122.9
静岡県
134,832
2.5
123.6
大阪府
116,594
2.2
126.8
神奈川県
86,869
1.6
131.8
合 計
5,271,739
100.0
116.0
(注) 1.金額は販売価格によっております。2.主要な販売先については、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。3.前事業年度において、その他業態に含めていた「中国食堂はまゆう業態」は、金額的重要性が増したため、当事業年度より独立掲記することとしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。 なお、当社は店舗における客数、売上原価率及び人時売上高を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として捉えております。 客数は、第56期事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の第7波及び第8波の影響を一定程度受けることとなりましたが、後半からは客足が徐々に回復傾向にあり、既存店の客数が11.7%、全店の客数が13.8%それぞれ前事業年度から増加いたしました。 売上原価率は、円安を背景にした輸入原材料価格の上昇により、食材の仕入価格も高騰し、第56期事業年度は前事業年度と比べ、1.5%増となりました。 生産性の指標である人時売上高は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことや、入国制限などの水際措置が終了したことにより、人流が増加し、売上高が段階的に回復する中、人件費の抑制に努め、第56期事業年度は前事業年度から8.3%増加いたしました。 また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、市場規模の変動、消費者の嗜好の変化、他社との競合等が挙げられます。外食産業は、人口減少や少子高齢化によって市場規模の拡大が見込まれ難い一方で、成熟した市場になっており、顧客の嗜好やニーズはますます多様化し、商品・サービスに対する選別が厳しさを増すとともに、企業間・店舗間競争の激化等により、厳しい経営環境となっております。この対応策として、新商品の開発やメニュー改定等により既存店舗の売上高の確保を図るとともに、新規出店による事業拡大を積極的に行ってまいります。消費者のライフスタイルの変化に向けた新たな取り組みを行い、既存店舗の営業強化とビジネスモデルの再構築を図ってまいります。 また、当社の安定的な成長には、人材の確保が必要不可欠であり、当社の経営成績に重要な影響を与えます。近時、多くの業界で人手不足が深刻な問題となっており、当社におきましても予定どおり人材の確保を行うことが困難な場合には、新規出店等が不可能となるため当社の経営成績に影響を与えます。この対応策として、積極的な採用活動とともに、採用後の人材教育に注力し早期戦力化を図っております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。 当社の主な資金需要としては、大きく分けて設備投資資金及び運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」を中心としながらも、新規出店等の設備資金については、長期借入金により資金調達を行っております。 また、銀行借入金につきましては、当座貸越枠350百万円を設定し、手許流動性預金とあわせ、緊急な支出にも対応可能な体制を整えております。 当事業年度においては、新規の資金調達を行っておりません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成に当たって、必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。