【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動縮小から緩やかに持ち直す動きがみられましたが、世界的な金融引き締めを背景とした金融資本市場の変動や継続的な物価上昇の影響により、依然として厳しい状況となりました。このような状況のもと、第10次中期経営計画(2022年6月期から2024年6月期)の目標達成に向けた取り組みを実行してまいりました。「テプラ」やファイルといった基盤事業のさらなる強化を図りつつ、インテリアライフスタイル事業や衛生・健康用品の拡販、M&Aによる事業領域拡大など、成長分野への注力をしております。当連結会計年度の業績につきましては、2021年11月より子会社化したライフオンプロダクツ㈱と2023年2月に吸収合併した㈱エイチアイエムの売上寄与により、売上高は 393億9,389万円(前連結会計年度比 7.5%増)となりました。利益面では、製品の価格改定により収益の確保に努めましたが、急激な円安や物流費等の高騰に加え、原材料価格も依然として高い水準にあることから、営業利益は3億6,830万円(前連結会計年度比 63.4%減)、経常利益は6億3,727万円(前連結会計年度比 52.4%減)、特別利益として政策保有株式の売却による投資有価証券売却益や販売物流システム再構築遅延に伴う受取和解金等があり、親会社株主に帰属する当期純利益は4億1,979万円(前連結会計年度比 46.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。・文具事務用品事業 基盤事業である文具事務用品事業は、新たな用途提案や商品のリニューアルによって需要の掘り起こしを図り、売上拡大に努めました。「テプラ」では、スマホで手軽にラベルを作成できる「SR-R2500P」を発売いたしました。ステーショナリーでは、定番商品をトレンドカラーにリニューアルした「カラーセレクション」シリーズ、“推し活”を楽しむ人向けに8色の豊富なカラーバリエーションから選べる「favluv(ファブラブ)」を発売いたしました。成長分野の各カテゴリにおきましては、世の中のニーズに応える商品を開発し、市場に投入いたしました。デジタル文具では、デジタルメモ「ポメラ」の新機種「DM250」を発売、衛生・健康用品では、会話により発生した飛沫を吸引する「飛沫キャッチャー」を発売いたしました。オフィス・生活環境用品では、道路交通法施行規則の改正により、一般事業者までアルコールチェックが義務化対象となることに先立ち、呼気中のアルコール有無を判別できる「アルコールチェッカー」を発売いたしました。販売拡大のための施策として、新規チャネル開拓を継続するとともに、テレビ通販の活用、教育機関や建設業への衛生・健康用品の提案などを積極的に推進いたしました。関心が高まる節電対策に向けて、エアコンに取りつけて空調効率をアップさせる「ハイブリッドファン」のキャンペーンを行っております。また、防災用品の認知拡大・売上獲得を目指し、2023年5月10日~5月12日にかけて東京ビッグサイトで開催された「第18回 オフィス防災EXPO[春]」に出展したほか、「防災アイテム丸わかりBOOK」と題したパンフレットを作成し、オフィス用品メーカーならではの切り口で新規需要獲得に取り組みました。また、㈱エイチアイエムの吸収合併に伴う売上加算もあり、EC事業が伸長いたしました。しかしながら、昨年好調だった手指消毒器「テッテ」の反動減などの影響により、売上高は 259億3,356万円(前連結会計年度比 0.5%減)、急激な円安や物流費等の高騰に加え、原材料価格の高止まりにより、営業損失は 2,007万円(前連結会計年度は5億2,671万円の営業利益)となりました。・インテリアライフスタイル事業㈱ぼん家具は、収納用品を中心に家具の売上が拡大いたしました。新製品では、主力の組み立て家具に加え、新カテゴリーとしてペンダントライトなどの照明器具やキッズ用収納品の発売を開始し、売上が好調でした。また、主力店舗のゲキカグが、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2022 家具・収納ジャンル賞」を受賞いたしました。ライフオンプロダクツ㈱では、夏物新作商材の襟エアーファンや3WAYアロマハンディファンなどが好調でした。また、社名を冠した新プロダクトブランド「Life on Products」を立ち上げ、発表会を行いました。㈱ラドンナでは、主力のキッチン家電は売上の伸びがやや鈍化し、前年並みとなりました。Toffyブランドの認知が広まり、メディアでの露出やノベルティ案件が増えております。フォトフレームは、主力のカメラ量販店向けの受注が安定しております。㈱アスカ商会では、主力の花類がフォトスタジオ装飾やブライダル需要の復調により好調でした。グリーン・観葉類も、オフィス需要の取り込みにより引き続き好調を維持しております。この結果、㈱ぼん家具と㈱アスカ商会が好調だったことに加え、2021年11月より子会社化したライフオンプロダクツ㈱の加算もあり、売上高は
134億6,033万円(前連結会計年度比 27.3%増)、急激な円安による売上原価率の上昇により、営業利益は3億7,077万円(前連結会計年度比 19.9%減)となりました。
また、財政状態の状況については、次のとおりであります。当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して 22億9,996万円増加し、358億1,214万円となりました。これは主に、商品及び製品が12億2,813万円、投資有価証券が7億7,028万円、㈱エイチアイエムの株式取得によりのれんが2億3,575万円それぞれ増加したことによるものであります。負債は、前連結会計年度末と比較して 16億9,854万円増加し、109億7,881万円となりました。これは主に、運転資金需要として短期借入金が 21億5,000万円増加したことによるものであります。純資産は、前連結会計年度末と比較して6億141万円増加し、248億3,333万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が5億335万円、為替換算調整勘定が2億72万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2億8,636万円増加し、59億2,375万円(前連結会計年度比 5.1%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、1億6,626万円(前連結会計年度は 12億7,830万円の資金使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額8億7,445万円や法人税等の支払額3億4,621万円等があった一方、税金等調整前当期純利益8億1,709万円や減価償却費6億3,163万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 23億4,392万円減少し、12億3,486万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入2億3,250万円があった一方、子会社株式の取得による支出5億5,000万円や有形固定資産の取得による支出3億8,500万円、無形固定資産の取得による支出2億5,165万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 21億4,131万円減少し、10億6,532万円となりました。これは主に、配当金の支払額6億2,616万円や長期借入金の返済による支出4億4,840万円があった一方、
短期借入金の純増額 21億5,000万円等によるものであります。
③ 生産、受注および販売の状況
イ.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、文具事務用品のみ生産活動を行っております。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
文具事務用品事業
電子および生活環境用品
17,916,965
101.1
ステーショナリー
8,126,173
92.1
合計
26,043,138
98.1
(注)1. 金額は標準出荷価格で表示しております。 2. 当連結会計年度より、従来の「電子製品」を「電子および生活環境用品」に名称変更いたしました。当該変更については、名称変更のみであります。
ロ.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
文具事務用品事業 ステーショナリー
1,223,265
97.6
4,010
11.4
(注) 当社および連結子会社においては、大部分は見込生産であり、特注品のみ受注生産であります。
ハ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
文具事務用品事業
電子および生活環境用品
16,863,771
100.8
ステーショナリー
9,069,792
97.2
文具事務用品事業計
25,933,563
99.5
インテリアライフスタイル事業
13,460,335
127.3
合計
39,393,899
107.5
(注)1. 当連結会計年度より、従来の「電子製品」を「電子および生活環境用品」に名称変更いたしました。当該変更については、名称変更のみであります。 2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
アスクル㈱
5,205,827
14.2
5,160,817
13.1
エコール流通グループ㈱
4,539,672
12.4
4,452,259
11.3
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 イ.売上高「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 ロ.売上原価、販売費及び一般管理費当連結会計年度の売上原価につきましては、急激な円安や原材料価格の高騰により、売上原価率は 64.0%となり、前連結会計年度の売上原価率 63.2%より 0.8ポイントの上昇となりました。販売費及び一般管理費につきましては、物流費等の高騰により売上高に対する割合は 35.1%となり、前連結会計年度の 34.0%より 1.1ポイントの上昇となりました。 ハ.営業利益当連結会計年度の営業利益につきましては、売上高は増加しましたが、売上原価率と販売管理費率の上昇により 3億6,830万円(前連結会計年度比 63.4%減)となりました。 ニ.親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益1億8,019万円の計上により、4億1,979万円(前連結会計年度比 46.8%減)となりました。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について 「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報 イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 ロ.資本の財源および資金の流動性に係る情報当社グループの主な資金需要は、原材料調達や製品の製造費用、商品仕入費用、販売費及び一般管理費等の運転資金、企業価値向上を目的とした各種設備投資資金、また、事業拡大の一つの手段として実施しているM&Aのための資金等であります。これらは、自己資金、借入金により調達しております。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
(棚卸資産)「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(固定資産の減損)当社グループは、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を考慮し資産のグルーピングを行い、遊休資産については個別に資産のグルーピングを行っております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、この検討は一定の仮定に基づき見積もった割引前将来キャッシュ・フロー等を基に行っております。対象となる資産または資産グループの帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては、将来キャッシュ・フロー等の見積りやその前提となる仮定を用いており、今後、経営環境等の変化により前提条件や仮定に変動が生じた場合には、固定資産の減損処理に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。市場環境の変化等により、課税所得の見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画において、「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」の方針に基づき、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としておりました。 しかし、想定を上回る需要の変化や為替の変動等もあり、第10次中期経営計画の最終年度である2024年6月期の目標を、売上高 420億円、経常利益9億円、経常利益率 2.1%、自己資本当期純利益率(ROE) 2.4%に修正いたしました。 なお、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題」をご参照ください。
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