【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化が一層進んでいくものと期待される一方、長引くウクライナ情勢の緊迫、資源価格の高騰やインフレ率の上昇に伴う世界的な金融引き締め政策の継続による海外景気の下振れリスク等により、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
外国為替市場において、1ドル=133円台前半で取引が始まった米ドル/円相場は、4月5日には米3月ISM製造業景気指数が弱い結果となったことや米金利が低下したことを受け、米ドルは下落し一時130円台半ば(期中安値)を付けました。28日には日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持が決定されたことや、植田日銀総裁の会見で早期金融政策修正観測が後退したことにより米ドルは前日から約3円上昇し一時136円台半ばを付けました。5月に入ると米3月雇用動態調査(JOLTS)求人件数が市場予想を下回ったこと等があり4日には133円台半ばを付けました。その後の米ドルはじり高の展開となり、25日発表の米1~3月期GDP(改定値)や週間の米新規失業保険申請件数などの強い米経済指標の結果を受けたこと等により、30日には140円台後半を付けました。6月に入っても米ドルはじり高の展開が続き、14日のFOMCで年内に2回の利上げ実施の方針が示唆されたことや、16日には日銀金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持が発表されたことで米ドルは一時141円台後半を付けました。さらに、22日のパウエル議長による追加利上げが必要である旨の発言や27日の米経済指標の良好な結果等により米ドル買いが加速し、米ドルは30日に145円台前半(期中高値)を付け、144円台半ばで期末を迎えました。
一方、米ドル/円以外の主要な取扱通貨である欧州・オセアニア通貨については、各通貨とも円に対して上昇傾向での推移となりました。
また、外国為替相場の変動率は、前年同期に比べ低下したものの2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、相対的に高い水準が続いています。
このような状況の中、当社グループは、主力サービスであるFXについて、引き続きスプレッドの縮小を実行しております。
パートナーズFXnanoにおけるスプレッド0.0銭(売買同値)の提示は、「米ドル/円」のほか「ユーロ/円」「豪ドル/円」「ポンド/円」「メキシコペソ/円」の主要5通貨ペアまで拡大しており、2022年11月にはこの5通貨ペアのスプレッド0.0銭(売買同値)を当社所定の数量まで原則24時間提示することを標準化いたしました。さらに、2023年5月から「米ドル/円」でのスプレッド0.0銭(売買同値)での取引数量上限を1万通貨から5万通貨まで大幅に引き上げるキャンペーンを開始しております。
また、パートナーズFXにおいても、「米ドル/円」0.2銭、「メキシコペソ/円」0.1銭をはじめ、16通貨ペアで業界最狭水準のスプレッドの提示を続行しております。
そのほか、新規口座獲得のためのWeb広告強化や口座開設キャンペーンの拡充を図ること、既存のお客様向けのキャンペーンを充実させることなどにも取り組みました。
このほか、2023年3月にはスマートフォン用FX取引アプリをリニューアルし、お客様の利便性や取引環境の向上を図りました。
資金移動業であるマネパカード事業(以下、「本事業」といいます。)については、2023年3月31日付の取締役会において本事業から2023年9月29日(予定)をもって撤退することを決定しております。これにより、2024年3月期においては、本事業廃止に伴う費用が一時的に見込まれる一方、下記のご参考のとおり、今後は本事業の運転費用及び維持費用の解消によるコスト削減につながり、将来的に当社グループの業績改善に資するものと考えております。
(ご参考)
資金移動業における経営成績
(2023年3月期)
営業収益 22百万円、営業利益 △138百万円
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の外国為替取引高は2,597億通貨単位(前年同期比36.9%減)となりました。また、当第1四半期連結会計期間末の顧客口座数は362,428口座(前年同期末比11,798口座増)、顧客預り証拠金は49,506百万円(同14.0%減)、有価証券による預り資産額は11,323百万円(同0.9%増)となりました。
当第1四半期連結累計期間の営業収益は、トレーディング損益が前年同期比41百万円増加(3.1%増)し、1,437百万円(前年同期比46百万円増加、3.4%増)となりました。金融費用は13百万円(同12百万円減少、48.4%減)、売上原価は23百万円(同2百万円減少、11.3%減)となりました。販売費・一般管理費は、取引高減少に伴うカバー取引関連の支払手数料が減少したことやマネパカード事業からの撤退決定に伴う減損処理により減価償却費が減少した一方、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化に向けた費用として器具・備品費が増加したことに加え、営業上の施策により広告宣伝費が増加したこと等により、1,063百万円(同31百万円増加、3.0%増)となりました。
この結果、営業利益は337百万円(同30百万円増加、10.0%増)、経常利益は336百万円(同31百万円増加、10.2%増)、税金等調整前四半期純利益は336百万円(同31百万円増加、10.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は法人税等合計が102百万円(同7百万円増加、8.1%増)となったことから、233百万円(同23百万円増加、11.2%増)となりました。
2024年3月期は、前期に引き続き「FXを軸とした店頭デリバティブ取引への選択と集中」の方針のもと、全社を挙げてのコスト削減や不採算事業の改善・見直しを推進するとともに、上述のパートナーズFXnanoにおける一定の条件下での原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)の提示の標準化(業界初)などによる差別化によって、今後も厳しい競争環境の中で既存のお客様に一層のご利用をいただくとともに、新たなお客様の獲得に繋げ、収益力の向上に努めてまいります。
引き続き更なるFXの商品性の洗練化やマーケティング施策をより一層強化することで企業価値を向上させ、東証プライム市場の上場維持基準への適合に向けて尽力してまいります。
② 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して1,471百万円減少し、70,938百万円となりました。これは流動資産が1,425百万円、固定資産が46百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して1,415百万円減少し、57,414百万円となりました。これは流動負債が418百万円、固定負債が997百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して55百万円減少し、13,524百万円となりました。
(流動資産)
当第1四半期連結会計期間末における主な流動資産の内訳は、預託金41,790百万円、トレーディング商品(資産)11,359百万円、現金・預金10,456百万円及び短期差入保証金3,239百万円であります。前連結会計年度末と比較して、現金・預金の増加1,283百万円及び未収収益の増加416百万円等の増加要因があった一方、短期差入保証金の減少1,053百万円、約定見返勘定(資産)の減少808百万円、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の減少等に伴うトレーディング商品(資産)の減少688百万円及び外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された財産の減少等に伴う顧客区分管理信託の減少510百万円等の減少要因があり、1,425百万円減少しております。
(固定資産)
当第1四半期連結会計期間末における主な固定資産の内訳は、ソフトウエア368百万円、ソフトウエア仮勘定328百万円、リース資産(無形固定資産)169百万円、繰延税金資産156百万円及び投資有価証券147百万円であります。前連結会計年度末と比較して、基幹システム(外国為替証拠金取引システム)のクラウド化に向けた開発や機能追加等によるソフトウエア仮勘定の計上及びソフトウエアの取得等の増加要因があった一方、ソフトウエア等の減価償却や繰延税金資産の減少により、46百万円減少しております。
(流動負債)
当第1四半期連結会計期間末における主な流動負債の内訳は、受入保証金49,506百万円、トレーディング商品(負債)2,601百万円及び預り金2,092百万円であります。前連結会計年度末と比較して、固定負債からの振替による1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の増加1,000百万円や顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価損の増加等に伴うトレーディング商品(負債)の増加960百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された受入保証金の減少2,144百万円や主としてマネパカード関連の預り金の減少に伴うその他の預り金368百万円の減少等の減少要因があり、418百万円減少しております。
(固定負債)
当第1四半期連結会計期間末における主な固定負債の内訳は、役員株式給付引当金87百万円及びリース債務58百万円であります。前連結会計年度末と比較して、転換社債型新株予約権付社債1,000百万円の流動資産への振替等により997百万円減少しております。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金10,207百万円及び自己株式△881百万円であります。前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上233百万円による利益剰余金の増加があった一方、剰余金の配当による利益剰余金の減少293百万円があったこと等により55百万円減少しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により1,740百万円増加、投資活動により108百万円減少、財務活動により347百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ1,283百万円の増加となり、当第1四半期連結会計期間末における資金の残高は8,281百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,740百万円(前年同期は2,142百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益の計上336百万円、減価償却費の計上106百万円が資金増加要因となったことに加え、外国為替取引関連の資産負債が差引1,879百万円の資金増加要因となった一方、マネパカード事業の撤退に伴い預り金の顧客への返金を進めているため一時的に資金移動業関連の資産負債が差引484百万円の資金減少要因となったほか、法人税等の支払額59百万円の資金減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は108百万円(前年同期は47百万円の支出)となりました。これは、基幹システム(外国為替証拠金取引システム)のクラウド化に向けた開発や機能追加等による無形固定資産の取得による支出107百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は347百万円(前年同期は2,490百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額283百万円及びリース債務の返済による支出64百万円があったことによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(6) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
なお、経営成績に重要な影響を与える主要な要因である外国為替市場の変動率の当第1四半期連結累計期間における状況は、「(1) 財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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