【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)の影響により景気が急速に悪化した後、感染症拡大防止と経済活動の両立を図る動きから、設備投資や企業収益は、総じて持ち直しの動きが見られるものの、個人消費は持ち直しの動きが見られた一方で足元では弱含んでおり、依然として厳しい状況となりました。
外国為替市場において、米ドル/円相場は、1ドル=107円台半ばで取引が始まり、6月5日には米5月雇用統計の結果が市場予想比良化していたことでドルが買われ109円台後半まで上昇しました。7月31日には米4-6月期GDP速報値が過去最大の落ち込みを記録する等の影響からドル売りが優勢となり一時104円台前半まで値を下げましたが、8月13日には米7月雇用統計の強い結果等により107円台前半まで回復しました。その後は、9月16日のFOMCで低金利が長期化するとの見通しからドル売りが続き、11月の米大統領選挙でトランプ候補優勢の報道からドルが買われたものの、その後バイデン候補優勢の報道を受けドル買いは一服し、12月14日には英国とEUの通商交渉継続合意を受けて欧州通貨の上昇等によりドル売りが加速し103円台半ばまで下落しました。1月に入るとOPECプラスにて原油生産量のほぼ据え置きが合意される一方、サウジアラビアは生産量の自主減産を発表するなどリスク志向からドルは更に下落し1月6日には102円台半ばの期中安値を付けました。2月以降はこれまでのドル安の流れからドル高の流れに転じました。米国の良好な経済指標の結果や3月4日にはパウエルFRB議長が米金利上昇抑制策を講じる可能性を特に示唆しなかったことで米金利が急伸しドル買いが加速し、3月9日には一時109円台前半まで上昇しました。3月22日にトルコのエルドアン大統領の中銀総裁解任を受け、トルコリラが急落し、リスクオフの円買いが強まると一時108円台半ばまで下落しましたが、3月30日にはバイデン大統領のインフラ計画発表を控えて経済回復への期待が高まり110円台前半まで上昇し、31日には111円手前の期中高値を付け、110円台後半で期末を迎えました。また、米ドル/円以外の主要な取扱い通貨である欧州・オセアニア通貨については、円安傾向での推移となりました。外国為替相場の変動率は、主要な取扱い通貨について総じて前期並みの低水準となりました。
このような状況の中、当社グループは、空港外貨受取サービスの一時停止(2021年4月17日をもって正式にサービスを終了しました。)や海外渡航需要の蒸発によるマネパカードの利用減少等一部サービスに感染症による影響を受けながらも、感染症拡大防止のため時差出勤や在宅勤務を推奨しながら従業員の安全を最優先としたうえで、お客様のニーズに応えるべく様々な施策を実施してまいりました。
主力サービスであるFXについては、4月から10月にかけては創業15周年を記念した「大還元祭」として既存のお客様を中心とした訴求を実施しました。11月中旬以降は、スプレッドを業界最狭水準とする方針にスプレッド戦略を転換し、キャンペーンを通じて主要取扱通貨のスプレッドの縮小を段階的に実施するとともに、新規顧客獲得にも注力し口座開設キャンペーンを拡充したほか、キャッシュバックキャンペーンにより顧客取引の拡大を図りました。CFD-Metals(金/米ドル、銀/米ドル)においても、FX同様にキャンペーンを通じてスプレッドの縮小を段階的に実施するとともにキャッシュバックキャンペーンにより顧客取引の拡大を図りました。また、9月には米ドル/カナダドルをはじめとする4つの人気ドルストレート通貨ペアを新たに追加したことでお客様の取引の幅を広げ、12月にはスマートフォン用アプリの「チャートの複数画面表示」及び「約定照会期間設定」の実装により利便性向上を図るべく取り組んでまいりました。11月下旬には法人コースのレバレッジを一般社団法人金融先物取引業協会が定める最大値に拡大し、お客様の投資効率の向上に寄与いたしました。加えて11月中旬以降はスワップカバー手法の変更により収益性の向上を図りました。11月以降はこれらの施策が奏功し、月次の営業収益が回復して堅調に推移しております。
これらの収益向上策と合わせて、11月中旬以降は、不採算のサービスの終了や採算性の向上及び全社的なコストの見直しに取り組み、コロナ禍によりニーズが低下した空港外貨受取サービスや外貨引受けサービスを終了、証券取引及びマネパカードの手数料見直しによる採算性の向上を図ったほか、委託業務の見直し等による固定費削減を実施してまいりました。
暗号資産分野においては、連結子会社のコイネージ株式会社(以下「コイネージ」)が2020年7月にビットコイン現物販売所を開業いたしました。しかしながら、暗号資産交換業の登録事業者が増加し競争が激化する中、計画していた顧客獲得、収益を大きく下回る状況が継続し、将来的にも当該事業の業績の改善を図ることは困難であると判断するに至り、連結子会社の株式会社マネーパートナーズ(以下「マネーパートナーズ」)への経営資源の選択と集中を目的として、コイネージは2021年3月末をもって暗号資産交換業を廃業し解散いたしました。
今後はマネーパートナーズにおいて、インターネットによる「暗号資産関連店頭デリバティブ取引」(CFD(差金決済取引))を提供する予定(2021年8月~9月)となっております。既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図り、もって当社グループの企業価値の向上を目指してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の外国為替取引高は9,678億通貨単位(前期比0.9%増)となりました。また、当連結会計年度末の顧客口座数は342,122口座(前期末比1,639口座増)、顧客預り証拠金は59,081百万円(同9.8%減)、有価証券による預り資産額は11,525百万円(同30.3%増)となりました。
当連結会計年度の営業収益は、外国為替取引高は前期比で微増となったものの、感染症による世界的な金利低下の影響を受け、トレーディング損益が1,145百万円減少(前期比21.2%減)、金融収益が58百万円減少(同89.9%減)、海外渡航需要の蒸発によりマネパカードの海外利用を中心に受入手数料が49百万円減少(同58.0%減)したこと等により4,514百万円(同23.1%減)となりました。損益については、金融費用及び売上原価の合計が127百万円減少(同27.8%減)、広告宣伝費の見直しやマネパカードの利用による変動費減少等の減少要因があった一方、新基幹システムの稼働に伴う減価償却費の増加やコイネージの開業に伴う固定費増加等の増加要因があり、販売費・一般管理費が横這いとなったことから、営業損失は609百万円(前期は営業利益622百万円)、経常損失は628百万円(前期は経常利益595百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、前期に基幹システム更新に伴うシステム移行費用80百万円の特別損失の計上があったこと、当期にコイネージの暗号資産交換業からの撤退及び解散に係る損失573百万円、投資有価証券評価損99百万円及び固定資産除却損82百万円等の特別損失を計上したこと、また、繰延税金資産の計上等により法人税等合計が611百万円減少(前期比222.9%減)したこと等により1,050百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益249百万円)となりました。
四半期毎の連結業績については、第3四半期以降トレーディング損益を中心に増加基調となっており、利益水準も回復基調で推移しております。その要因といたしましては、昨年11月後半からのスワップカバー手法の変更に加え、一部の通貨においてスプレッドの価格競争に参入し外国為替取引高が増加したことが功を奏し、収益拡大に寄与しております。
[連結業績四半期推移]
(単位:百万円)
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
営業収益
1,030
902
1,123
1,457
営業利益又は営業損失(△)
△235
△346
△101
73
経常利益又は経常損失(△)
△235
△359
△103
69
以上のような業績の状況、財務状況及び事業環境等を総合的に勘案した結果、当期の期末配当につきましては、誠に遺憾ながら無配とし、中間配当0.5円と合わせ、年間配当を1株当たり0.5円とさせていただきました。株主の皆様に深くお詫び申し上げますとともに、より一層の収益の拡大と不採算事業および当社グループのコストの更なる見直しを推し進めることで利益の確保に注力し、早期に復配できるよう努めてまいります。
2022年3月期につきましては、当社グループの主力サービスである外国為替証拠金取引(FX)を軸とした「店頭デリバティブ取引」へ経営資源を集中させ、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図り、もって当社グループの企業価値の向上を目指してまいります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して9,959百万円減少し、80,825百万円となりました。これは流動資産が9,334百万円、固定資産が625百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して8,820百万円減少し、68,430百万円となりました。これは流動負債が8,416百万円、固定負債が404百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して1,138百万円減少し、12,395百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における主な流動資産の内訳は、預託金50,325百万円、トレーディング商品(資産)12,231百万円、現金・預金11,129百万円及び短期差入保証金2,855百万円であります。前連結会計年度末と比較して、商品CFD取引の顧客金銭信託の増加等によるその他の預託金の増加369百万円等の増加要因があった一方、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の減少等に伴うトレーディング商品(資産)の減少4,554百万円、現金・預金の減少4,524百万円及び外国為替証拠金取引の証拠金として預託された財産の減少等に伴う顧客区分管理信託の減少1,020百万円等の減少要因があり、9,334百万円減少しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における主な固定資産の内訳は、繰延税金資産562百万円、ソフトウエア553百万円、リース資産(無形固定資産)514百万円、リース資産(有形固定資産)385百万円、投資有価証券133百万円及び長期差入保証金121百万円であります。前連結会計年度末と比較して、繰延税金資産の計上、暗号資産販売所取引システムの取得や外国為替取引システムの機能追加開発等によるソフトウエア及び長期前払費用の計上等の増加要因があった一方、暗号資産事業からの撤退に伴うソフトウエアの除却等の減少要因があり、625百万円減少しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における主な流動負債の内訳は、受入保証金59,081百万円、預り金3,625百万円及び未払費用2,043百万円であります。前連結会計年度末と比較して、外国為替証拠金取引の証拠金として預託された受入保証金の減少6,428百万円、短期借入金の減少1,000百万円及び未払費用の減少648百万円等により8,416百万円減少しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における主な固定負債の内訳は、転換社債型新株予約権付社債1,000百万円及びリース債務538百万円であります。前連結会計年度末と比較して、リース債務の返済等により、404百万円減少しております。
(純資産)
当連結会計年度末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金9,104百万円、自己株式△898百万円であります。前連結会計年度末と比較して、その他有価証券評価差額金の増加18百万円及び業績連動型株式報酬による当社株式の交付等に伴う自己株式の減少16百万円の増加要因があった一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上1,050百万円及び剰余金の配当による利益剰余金の減少114百万円等の減少要因があり、1,138百万円減少しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により1,504百万円減少、投資活動により448百万円減少、財務活動により1,445百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ3,399百万円の減少となり、当連結会計年度末における資金の残高は9,254百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は1,504百万円(前期は880百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純損失の計上1,392百万円が資金減少要因となり、減価償却費659百万円、事業撤退損457百万円、投資有価証券評価損99百万円及び固定資産除却損82百万円の計上に加え、担保提供預金の減少額1,125百万円及び未収入金の減少額317百万円が資金増加要因となった一方、外国為替取引関連及び資金移動関連の資産負債がそれぞれ差引1,968百万円及び620百万円となったほか、法人税等の支払額313百万円の資金減少要因となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は448百万円(前期は172百万円の支出)となりました。これは、投資有価証券の清算による収入41百万円及び投資事業組合からの分配による収入4百万円があった一方、暗号資産販売所取引システムの開発や外国為替取引システムの機能追加開発等による無形固定資産459百万円及び新基幹システムにおける追加開発の環境構築等による長期前払費用31百万円の取得による支出があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,445百万円(前期は463百万円の収入)となりました。これは、短期借入金が1,000百万円の純減となったほか、リース債務の返済による支出323百万円、配当金の支払額114百万円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4百万円があったこと等によるものであります。
(2) 業務の状況
① 受入手数料の内訳
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
委託手数料
4
9.4
外国為替取引手数料
2
△36.7
その他の受入手数料
28
△62.8
合計
35
△58.0
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② トレーディング損益の内訳
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
外国為替取引損益
4,254
△21.2
合計
4,254
△21.2
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 金融収益の内訳
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
受取利息
6
△89.9
合計
6
△89.9
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ その他の売上高の内訳
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
システム関係売上高
183
△43.0
暗号資産関係売上高
33
-
合計
217
△32.5
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 外国為替取引売買の状況
区分
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額
対前期増減率(%)
米ドル/円
(百万ドル)
483,007
△1.4
豪ドル/円
(百万ドル)
122,247
26.7
英ポンド/円
(百万ポンド)
77,500
△27.7
ユーロ/米ドル
(百万ユーロ)
73,441
43.6
ユーロ/円
(百万ユーロ)
55,591
△8.6
メキシコペソ/円
(百万ペソ)
36,823
60.1
英ポンド/米ドル
(百万ポンド)
32,634
46.1
トルコリラ/円
(百万トルコリラ)
26,123
△32.6
豪ドル/米ドル
(百万ドル)
15,048
208.0
南アフリカランド/円
(百万ランド)
13,178
△39.3
その他
(百万通貨単位)
32,300
△25.5
合計
(百万通貨単位)
967,894
0.9
(注)1.上記金額は、顧客との相対取引による通貨毎の取引高であります。
2.外国為替取引には、CFD(差金決済取引)を含めており、CFD(差金決済取引)の取引高は、原取引資産を米ドル換算した上で集計しております。
⑥ 自己資本規制比率
前事業年度末
(2020年3月31日)
当事業年度末
(2021年3月31日)
金額(百万円)
金額(百万円)
基本的項目計 ①
11,551
10,330
その他有価証券評価差額金(評価益)等
-
-
金融商品取引責任準備金等
0
0
補完的項目
一般貸倒引当金
-
-
長期劣後債務
-
-
短期劣後債務
-
-
計 ②
0
0
控除資産 ③
6,116
2,785
固定化されていない自己資本 ①+②-③ (A)
5,434
7,545
市場リスク相当額
10
17
リスク相当額
取引先リスク相当額
263
177
基礎的リスク相当額
1,059
868
計 (B)
1,334
1,063
自己資本規制比率 (A)/(B)×100
407.3%
709.5%
(注)金融商品取引業を営む子会社である株式会社マネーパートナーズの自己資本規制比率を記載しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じた合理的と考えられる方法により判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、当社グループは主として外国為替証拠金取引(FX)に係る事業を行っていることから、営業収益は、経常的に当社グループの顧客の外国為替証拠金取引における投資動向に大きな影響を受けます。とりわけ外国為替市場の変動率(ボラティリティ)は、これが高まれば外国為替証拠金取引(FX)は活発に、低下すれば不活発になる傾向があることから、経営成績に重要な影響を与える主要な要因であると考えております。このため、当社グループは、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
当連結会計年度の外国為替市場の変動率の状況は、「(1) 経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、主要な取扱い通貨について総じて前期並みの低水準となりました。
(ⅱ)経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況については、営業収益は4,514百万円(同23.1%減)、営業損失は609百万円(前期は営業利益622百万円)、経常損失は628百万円(前期は経常利益595百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、コイネージ社の暗号資産交換業からの撤退及び解散に係る損失573百万円を計上したこと等から1,050百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益249百万円)となりました。
四半期毎の連結業績については、主力サービスである外国為替証拠金取引(FX)の業績が期初から振るわず、7月に開業したコイネージ株式会社(以下「コイネージ」)も成績不振から抜け出せない状況下でしたが、第3四半期以降トレーディング損益を中心に増加基調となっており、利益水準も回復基調で推移しております。その要因といたしましては、昨年11月後半からのスワップカバー手法の変更に加え、一部の通貨においてスプレッドの価格競争に参入し外国為替取引高が増加したことが功を奏し、収益拡大に寄与しております。
11月中旬以降、外国為替証拠金取引(FX)の営業施策においては、これまでのスプレッド戦略を転換し、主要通貨では業界1位から3位水準でのスプレッドの提示、様々なキャッシュバックキャンペーンによる利益還元、新興国通貨の最低必要証拠金の引き下げや法人レバレッジの効率化など商品性の洗練化を進めてまいりました。また、不採算のサービスの終了や採算性の向上及び全社的なコストの見直しに取り組み、コロナ禍によりニーズが低下した空港外貨受取サービスや外貨引受けサービスを終了、証券取引及びマネパカードの手数料見直しによる採算性の向上を図ったほか、委託業務の見直し等による固定費削減を実施してまいりました。また、連結子会社の株式会社マネーパートナーズ(以下「マネーパートナーズ」)への経営資源の選択と集中を目的として、コイネージは2021年3月末をもって暗号資産交換業を廃業し解散いたしました。コイネージの解散に伴い次期(2022年3月期)の販売費・一般管理費が約7億円強減少する予定であり、大幅な業績改善が見込まれます。
(ⅲ)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、外国為替取引を専門とする事業形態をとっていることから、顧客との外国為替取引に係る資産及び負債がそれぞれの大部分を占めております。これらの資産及び負債は、顧客との外国為替取引及び外国為替相場の動向により日々変動いたしますが、当社グループにおいては、顧客との外国為替取引の結果生じる外国為替ポジションの偏りをカウンターパーティとの外国為替取引により完全にカバーするよう運用を行っているため、顧客及びカウンターパーティとの外国為替取引に係る資産及び負債トータルの増減はほぼ営業収益の額の動きに連動し、これが当社グループのキャッシュ・フローの源泉となっております。一方、主な負のキャッシュ・フローとしては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては、営業費用に係る支出や法人税等の支払に係る支出のほか、増加する外国為替取引に備えて行うカウンターパーティへの差入証拠金の積み増し等への支出があり、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、増加する外国為替取引への対応や競業他社との差別化のために行う外国為替取引システム等への投資のための支出があります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,504百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが448百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1,445百万円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高が前期と比べ3,399百万円減少することとなりましたが、現金及び現金同等物の期末残高は9,254百万円あります。また、外国為替証拠金取引を営む連結子会社のマネーパートナーズは、取引銀行1行とコミットメントライン契約、取引銀行3行と当座貸越契約を締結し、合計で3,800百万円の借入枠を確保しており、期末の借入未実行残高は3,800百万円であります。このため、十分に資金の財源及び流動性が確保されているものと認識、分析しております。
(ⅳ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として重視している自己資本利益率及び営業収益経常利益率については、当連結会計年度は自己資本利益率が△8.1%、営業収益経常利益率が△13.5%となり、それぞれ目標数値を下回りました。なお、当社グループは、業績が外国為替相場の影響を大きく受け、その予測が困難であることから、それぞれの目標数値を公表しておりません。
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