【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、景気は足元一部に弱さがみられるものの持ち直しの動きが継続しました。しかし、ウクライナ情勢の緊迫化、物価上昇や供給面での制約等による下振れリスクを注視する必要があり、先行きが不透明な状況が続いています。
外国為替市場において、1ドル=121円台後半(期中安値)で取引が始まった米ドル/円相場は、ロシアのウクライナ侵攻が続く中、米国の金利先高感や日本のゼロ金利政策を背景に上昇基調で推移し、7月14日には一時139円台半ばまで上昇、約24年ぶりの高値更新となりました。その後は高値更新の達成感から米ドル買いが一巡し、米ドルは下落基調での推移となり、8月2日に一時130円台半ばまで下落しました。しかし、その後FRBの積極的な金融引き締めを背景に再び上昇基調で推移し、9月22日の日銀の金融緩和維持の決定を受け、ドル買い・円売りが加速し、米ドルは1998年8月以来24年ぶりの高値となる一時145円台後半まで上昇しました。しかし、直後に政府・日銀が24年ぶりとなるドル売り・円買い介入を実施したことから、米ドルは一時140円台前半まで急落しました。その後は再び上昇基調で推移し、10月21日には米ドルが約32年ぶりの高値となる一時152円台目前(期中高値)まで急伸するも、政府・日銀のドル売り・円買い介入により一時146円台前半まで急落しました。11月に入ると米国の利上げペース減速観測が広がり、10月までの急激なドル高・円安が反転し下落基調での推移となりました。12月20日には日銀のYCCの許容幅拡大を受けて、米ドルは一時130円台半ばまで下落、翌2023年1月16日には一時127円台前半まで下落しました。その後は米国の金融引き締めの長期化が意識され上昇に転じ3月8日には137円台後半まで値を戻しましたが、期末にかけて米銀の相次ぐ破綻や欧州大手銀行の株価急落による金融システム不安の高まりから米ドルが売られ132円台後半で期末を迎えました。
また、米ドル/円以外の主要な取扱通貨である欧州・オセアニア通貨については、米ドル/円同様に値動きの大きい展開となり、円に対してユーロ及びポンドは10月に、豪ドルは9月にそれぞれ高値を付けた後、下落に転じました。その後は、各通貨まちまちの動きとなり、期末にかけては米ドル/円と同様に金融システム不安を背景に値動きの大きい展開となりました。
なお、外国為替相場の変動率は、2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、総じて高い水準が続いています。
このような状況の中、当社グループは、海外渡航需要の蒸発によるマネパカードの利用減少等一部サービスにコロナ禍による影響を受けながらも、時差出勤・在宅勤務の推奨、飛沫防止パネルの設置などオフィス内の環境整備等による感染症拡大防止策を講じ、従業員の安全を最優先としたうえで、お客様のニーズに応えるべく様々な施策を実施してまいりました。
主力サービスであるFXについては、スプレッドの縮小を更に推し進めるとともに、2022年10月に「人民元/円」、「米ドル/人民元」、「ノルウェークローネ/円」に加え、日本唯一となる「イスラエルシュケル/円」の計4通貨ペアを追加し、お客様の取引の幅を広げたことや充実したキャッシュバックキャンペーン等により、お客様の取引拡大を図りました。また、新規のお客様の獲得のためのWeb広告強化や口座開設キャンペーンの拡充を図り、著名講師によるWebセミナーの実施などSNSによる新規集客にも取り組みました。このほか、2023年3月にはスマートフォン用FX取引アプリをリニューアルし、お客様の利便性や取引環境の向上を図りました。
スプレッドの縮小施策については、2021年5月よりパートナーズFXnanoの「米ドル/円」において時間限定・数量限定でスプレッド0.0銭(売買同値)の提示を開始し、現在では「米ドル/円」のほか、「ユーロ/円」、「豪ドル/円」など主要5通貨ペアで当社所定の数量まで原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)の提示を標準化いたしました。こちらは業界初の取組となります。
このほか、パートナーズFXでは「米ドル/円」0.2銭をはじめ、17通貨ペアで業界最狭水準のスプレッドの提示を続行しております。
マネパカード事業については、2014年9月の事業開始以来、8年以上にわたり本事業の収益基盤を確立すべく企業努力を重ねてまいりました。しかしながら、昨今のコロナ禍の影響により本事業の主要顧客となる海外旅行者が著しく減少し収益の悪化要因となるなか、今後一層のセキュリティ強化にかかるシステム改修などに要するコストの増加が見込まれております。このような状況を総合的に勘案し、2023年3月31日付の取締役会において、将来的にも本事業にかかる業績の改善を図ることは困難であると判断し、本事業から2023年9月29日(予定)をもって撤退することを決定いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の外国為替取引高は14,237億通貨単位(前期比39.8%増)となりました。また、当連結会計年度末の顧客口座数は359,637口座(前期末比11,646口座増)、顧客預り証拠金は51,650百万円(同6.2%減)、有価証券による預り資産額は11,248百万円(同1.0%増)となりました。
当連結会計年度の営業収益は、外国為替取引高が39.8%増加したこと等によりトレーディング損益が前期比508百万円増加(10.0%増)し、5,819百万円(前期比496百万円増加、9.3%増)となりました。金融費用は138百万円(同6百万円減少、4.1%減)、売上原価は112百万円(同35百万円減少、23.9%減)となりました。販売費・一般管理費は、減価償却費が減少したことに加え、営業上の施策効果によるお客様の取引状況などを勘案しつつ広告宣伝費の費用対効果に注力したこと等により広告宣伝費が減少した一方、取引高増加に伴うカバー取引関連の支払手数料が増加したことに加え、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化に向けた費用として器具・備品費や事務委託費が増加したこと等から4,261百万円(同187百万円増加、4.6%増)となりました。
この結果、営業利益は1,306百万円(同350百万円増加、36.6%増)、経常利益は1,292百万円(同294百万円増加、29.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、マネパカード事業からの撤退に伴う費用の一部として、事業撤退損失引当金繰入額106百万円及び当該事業に係るソフトウエア等の減損損失38百万円、合計145百万円を特別損失に計上したことや、法人税等合計が353百万円(同71百万円増加、25.5%増)となったことから、793百万円(同57百万円増加、7.8%増)となりました。
当社は2023年3月15日開催の取締役会において以下のとおり配当方針を変更し、配当性向の目途を従前の親会社株主に帰属する当期純利益の30%から50%へと引き上げる決定を行っております。同日付の期末配当予想における2023年3月期の年間配当は1株当たり12.75円となっており、6月開催予定の定時株主総会において期末配当が承認された場合には配当利回りは4.8%となる見込みです。
《 配当方針の内容 》
当社は、企業価値の長期継続的な創出、向上が株主利益貢献の基本であるとの認識のもと、株主の皆様への継続的かつ適正な利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置づけております。剰余金の配当につきましては、業績の向上に必要な投資のための内部留保と、株主の皆様への継続的かつ適正な利益還元のバランスを考慮しつつ、財務状況及び事業環境等を総合的に勘案した株主還元策の実施に取り組むこととし、通期の連結業績における親会社株主に帰属する当期純利益の50%を配当性向の目途として中間配当及び期末配当の年2回実施することを基本方針としております。
(注)配当利回りは東京証券取引所における各期末の終値を用いて計算しております。
2024年3月期は、前期に引き続き「FXを軸とした店頭デリバティブ取引への選択と集中」の方針のもと、全社を挙げてのコスト削減や不採算事業の改善・見直しを推進するとともに、上述のパートナーズFXnanoにおける一定の条件下での原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)の提示の標準化(業界初)などによる差別化によって、今後も厳しい競争環境の中で既存のお客様に一層のご利用をいただくとともに、新たなお客様の獲得に繋げ、収益力の向上に努めてまいります。
引き続き更なるFXの商品性の洗練化やマーケティング施策をより一層強化することで企業価値を向上させ、東証プライム市場の上場維持基準への適合に向けて尽力してまいります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して6,021百万円減少し、72,409百万円となりました。これは流動資産が5,588百万円、固定資産が433百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して6,579百万円減少し、58,829百万円となりました。これは流動負債が6,429百万円、固定負債が149百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して557百万円増加し、13,580百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における主な流動資産の内訳は、預託金42,511百万円、トレーディング商品(資産)12,048百万円、現金・預金9,172百万円及び短期差入保証金4,293百万円であります。前連結会計年度末と比較して、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の増加等に伴うトレーディング商品(資産)の増加1,602百万円、現金・預金の増加1,140百万円及び証券取引における顧客からの預り金の増加に伴う顧客分別金信託の増加1,000百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された財産の減少等に伴う顧客区分管理信託の減少7,470百万円及びウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えてのカウンターパーティへの差入保証金の積み増しの一部取り崩しに伴う短期差入保証金の減少2,501百万円等の減少要因があり、5,588百万円減少しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における主な固定資産の内訳は、ソフトウエア400百万円、ソフトウエア仮勘定231百万円、リース資産(無形固定資産)201百万円、繰延税金資産198百万円、投資有価証券141百万円、長期前払費用138百万円及びリース資産(有形固定資産)134百万円であります。前連結会計年度末と比較して、外国為替証拠金取引システムの機能追加やクラウド化のためのソフトウエアの取得及びソフトウエア仮勘定の計上等の増加要因があった一方、繰越欠損金の解消に伴う繰延税金資産の減少やソフトウエアの減価償却等の減少要因があり、433百万円減少しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における主な流動負債の内訳は、受入保証金51,650百万円、預り金2,426百万円及びトレーディング商品(負債)1,641百万円及び未払費用1,325百万円であります。前連結会計年度末と比較して、証券取引における顧客からの預り金の増加936百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された受入保証金の減少3,417百万円、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えての借入金を返済したことによる短期借入金の減少2,300百万円、約定見返勘定(負債)の減少723百万円及び顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価損の減少等に伴うトレーディング商品(負債)の減少481百万円等の減少要因があり、6,429百万円減少しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における主な固定負債の内訳は、転換社債型新株予約権付社債1,000百万円、役員株式給付引当金80百万円及びリース債務69百万円であります。前連結会計年度末と比較して、リース債務の返済等により、149百万円減少しております。
(純資産)
当連結会計年度末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金10,267百万円、自己株式△881百万円であります。前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する当期純利益の計上793百万円による利益剰余金の増加があった一方、剰余金の配当による利益剰余金の減少244百万円があったこと等により557百万円増加しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により3,881百万円増加、投資活動により298百万円減少、財務活動により2,843百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ740百万円の増加となり、当連結会計年度末における資金の残高は6,997百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,881百万円(前期は4,573百万円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上1,146百万円、減価償却費の計上479百万円、減損損失の計上38百万円及び事業撤退損失引当金の増加額106百万円が資金増加要因となったことに加え、外国為替取引関連の資産負債が差引2,916百万円の資金増加要因となった一方、資金移動業関連の資産負債が差引318百万円の資金減少要因となったほか、担保提供預金の増加額400百万円及び法人税等の支払額243百万円の資金減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は298百万円(前期は302百万円の支出)となりました。これは、投資事業組合からの分配による収入4百万円があった一方、外国為替証拠金取引システムの機能追加やクラウド化のための開発等による無形固定資産296百万円及び長期前払費用5百万円の取得による支出があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,843百万円(前期は1,878百万円の収入)となりました。これは、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えての借入金を返済したことで短期借入金が2,300百万円の純減となったほか、リース債務の返済による支出299百万円及び配当金の支払額243百万円があったことによるものであります。
(2) 業務の状況
① 受入手数料の内訳
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
委託手数料
3
△46.3
外国為替取引手数料
3
28.4
その他の受入手数料
29
△0.1
合計
36
△6.2
② トレーディング損益の内訳
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
デリバティブ取引損益
5,569
10.0
合計
5,569
10.0
③ 金融収益の内訳
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
受取利息
28
597.8
合計
28
597.8
④ その他の売上高の内訳
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
対前期増減率(%)
システム関連売上高
185
△15.4
合計
185
△15.4
⑤ 外国為替取引売買の状況
区分
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
対前期増減率(%)
米ドル/円
(百万ドル)
858,974
49.9%
豪ドル/円
(百万豪ドル)
135,353
9.8%
メキシコペソ/円
(百万メキシコペソ)
107,580
508.1%
英ポンド/円
(百万ポンド)
91,217
△17.0%
ユーロ/円
(百万ユーロ)
72,614
23.0%
ユーロ/米ドル
(百万ユーロ)
55,146
30.5%
南アフリカランド/円
(百万ランド)
26,033
76.2%
英ポンド/米ドル
(百万ポンド)
25,027
26.1%
豪ドル/米ドル
(百万豪ドル)
18,383
112.8%
ニュージーランドドル/円
(百万ニュージーランドドル)
9,985
41.3%
その他
(百万通貨単位)
23,438
△45.6%
合計
(百万通貨単位)
1,423,754
39.8%
(注)1.上記金額は、顧客との相対取引による通貨毎の取引高であります。
2.外国為替取引には、CFD-Metals取引(差金決済取引)及び暗号資産CFD取引(差金決済取引)を含めており、それぞれの取引高は原取引資産を米ドル換算した上で集計しております。
⑥ 自己資本規制比率
前事業年度末
(2022年3月31日)
当事業年度末
(2023年3月31日)
金額(百万円)
金額(百万円)
基本的項目計 ①
10,615
10,809
その他有価証券評価差額金(評価益)等
-
-
金融商品取引責任準備金等
0
0
補完的項目
一般貸倒引当金
-
-
長期劣後債務
-
-
短期劣後債務
-
-
計 ②
0
0
控除資産 ③
2,645
2,280
固定化されていない自己資本 ①+②-③ (A)
7,971
8,529
市場リスク相当額
15
12
リスク相当額
取引先リスク相当額
187
165
基礎的リスク相当額
964
1,020
計 (B)
1,167
1,198
自己資本規制比率 (A)/(B)×100
682.8%
711.8%
(注)金融商品取引業を営む子会社である株式会社マネーパートナーズの自己資本規制比率を記載しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じた合理的と考えられる方法により判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、当社グループは主として外国為替証拠金取引(FX)に係る事業を行っていることから、営業収益は、経常的に当社グループの顧客の外国為替証拠金取引における投資動向に大きな影響を受けます。とりわけ外国為替市場の変動率(ボラティリティ)は、これが高まれば外国為替証拠金取引(FX)は活発に、低下すれば不活発になる傾向があることから、経営成績に重要な影響を与える主要な要因であると考えております。このため、当社グループは、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
当連結会計年度の外国為替市場の変動率の状況は、「(1) 経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、総じて高い水準が続いています。
(ⅱ)経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況については、営業収益は、トレーディング損益が前期比508百万円増加(10.0%増)し5,819百万円(前期比496百万円増加、9.3%増)となりました。また、金融費用は138百万円(同6百万円減少、4.1%減)、売上原価は112百万円(同35百万円減少、23.9%減)となりました。販売費・一般管理費は、減価償却費が減少したことに加え、営業上の施策効果によるお客様の取引状況などを勘案しつつ広告宣伝費の費用対効果に注力したこと等により広告宣伝費が減少した一方、取引高増加に伴うカバー取引関連の支払手数料が増加したことに加え、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化に向けた費用として器具・備品費や事務委託費が増加したこと等から4,261百万円(同187百万円増加、4.6%増)となりました。
この結果、営業利益は1,306百万円(同350百万円増加、36.6%増)、経常利益は1,292百万円(同294百万円増加、29.6%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、マネパカード事業からの撤退に伴う費用の一部として、事業撤退損失引当金繰入額106百万円及び当該事業に係るソフトウエア等の減損損失38百万円、合計145百万円を特別損失に計上したことや、法人税等合計が353百万円(同71百万円増加、25.5%増)となったことから、793百万円(同57百万円増加、7.8%増)となりました。
当社グループは、基軸事業である外国為替証拠金取引において業界最狭水準のスプレッド提示による顧客基盤の拡大を企図する営業戦略の下、商品性を洗練化し向上させることで、競争力強化と収益性の向上を目指しております。また、不採算事業の見直しや全社的なコストカットの推進による販売費・一般管理費の削減により収益拡大に努めております。
(ⅲ)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、外国為替取引を専門とする事業形態をとっていることから、顧客との外国為替取引に係る資産及び負債がそれぞれの大部分を占めております。これらの資産及び負債は、顧客との外国為替取引及び外国為替相場の動向により日々変動いたしますが、当社グループにおいては、顧客との外国為替取引の結果生じる外国為替ポジションの偏りをカウンターパーティとの外国為替取引により完全にカバーするよう運用を行っているため、顧客及びカウンターパーティとの外国為替取引に係る資産及び負債トータルの増減はほぼ営業収益の額の動きに連動し、これが当社グループのキャッシュ・フローの源泉となっております。一方、主な負のキャッシュ・フローとしては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては、営業費用に係る支出や法人税等の支払に係る支出のほか、増加する外国為替取引に備えて行うカウンターパーティへの差入証拠金の積み増し等への支出があり、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、増加する外国為替取引への対応や競業他社との差別化のために行う外国為替証拠金取引システム等への投資のための支出があります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが3,881百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが298百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが2,843百万円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は前期と比べ740百万円増加し、6,997百万円となりました。また、外国為替証拠金取引を営む連結子会社のマネーパートナーズは、取引銀行1行とコミットメントライン契約、取引銀行3行と当座貸越契約を締結し、合計で3,800百万円の借入枠を確保しており、期末の借入実行残高はございません。このため、十分に資金の財源及び流動性が確保されているものと認識、分析しております。
(ⅳ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2026年3月期までに自己資本利益率8.0%以上、営業収益経常利益率20.0%以上を達成することを目標としています。当連結会計年度は自己資本利益率が6.0%、営業収益経常利益率が22.2%となりました。
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