【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の影響が続く中、ワクチン接種が進むにつれて経済社会活動が段階的に再開され、景気は持ち直しの動きがみられました。しかし、ウクライナ情勢の緊迫化、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、原油などの資源価格の高騰、供給面での制約等による下振れリスクを注視する必要があり、依然として先行きが不透明な状況が続いています。
外国為替市場において、米ドル/円相場は、1ドル=121円台後半(期中安値)で取引が始まり、良好な米経済指標を受けて5月9日に約20年ぶりに一時131円台半ばまで上昇後、インフレや金利上昇の影響を受けた住宅関連指標を中心に市場予想を下回る米経済統計が相次ぎ5月24日に一時126円台半ばまで下落しました。6月に入ると米5月ISM製造業景気指数などの良好な米経済指標を受けて再び上昇傾向で推移し、7月14日には前日に発表された米6月CPIが前月を大きく上回ったことを受け、米ドルは一時139円台半ばまで上昇、約24年ぶりの高値更新となりました。しかし、その後、米7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数の冴えない結果や、台湾問題を巡る米中対立が深まることへの警戒感からリスク回避姿勢の円買いが強まり、米ドルは8月2日に一時130円台半ばまで下落しました。ただ、翌8月3日発表の米7月ISM非製造業景況指数の良好な結果によって反転し、米ドルはFRBの積極的な金融引き締めを背景に上昇基調が続きました。
9月22日には日銀の金融緩和維持の決定を受け、ドル買い・円売りが加速し、米ドルは1998年8月以来24年ぶりの高値となる一時145円台後半まで上昇しました。しかし、直後に政府・日銀が24年ぶりとなるドル売り・円買い介入を実施したことから、米ドルは一時140円台前半まで急落しました。その後は再び米国の金利先高感や日本のゼロ金利政策を背景に上昇を続け、黒田日銀総裁がG20財務相・中央銀行総裁会議で金融緩和を継続する考えを示したことや米国経済指標の良好な結果などを受けて上げ足を速め、10月21日には米ドルが約32年ぶりの高値となる一時152円台目前(期中高値)まで急伸するも、政府・日銀のドル売り・円買い介入により一時146円台前半まで急落しました。
11月に入ると米経済指標の悪化による景気後退懸念に加え、23日に公開された11月FOMC議事要旨で近い時期での利上げペース鈍化が示唆されたことが明らかになったことなどから、米国の利上げペース減速観測が広がり、10月までの急激なドル高・円安が反転し、米ドルは12月2日には一時133円台半ばまで下落しました。その後は、12月14日のFOMCで2023年末の政策金利のターミナルレートの見通しが5%超となったことなどから、米ドルは再び上昇し、15日には138円台前半まで回復しました。しかし、20日には注目された日銀金融政策決定会合にてイールドカーブコントロール(YCC)を一部見直し、長期金利の許容変動幅を±0.5%程度へ拡大することが発表されると、米ドルは一時130円台半ばまで急落しました。その後、米ドルは130円台後半から134円台半ばのレンジで推移し、131円台前半で期末を迎えました。
一方、米ドル/円以外の主要な取扱通貨である欧州・オセアニア通貨については、円に対してユーロ及びポンドは10月に、豪ドルは9月にそれぞれ高値を付けた後、下落に転じました。
また、外国為替相場の変動率は、2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、総じて高い水準が続いています。
このような状況の中、当社グループは、海外渡航需要の蒸発によるマネパカードの利用減少等一部サービスに感染症による影響を受けながらも、時差出勤・在宅勤務の推奨、飛沫防止パネルの設置などオフィス内の環境整備等による感染症拡大防止策を講じ、従業員の安全を最優先としたうえで、お客様のニーズに応えるべく様々な施策を実施してまいりました。
主力サービスであるFXについては、スプレッドの縮小を更に推し進めるとともに、「人民元/円」、「米ドル/人民元」、「ノルウェークローネ/円」、「イスラエルシュケル/円」の計4通貨ペア(以下「新通貨ペア」という。)の追加によりお客様の取引の幅を広げたことや充実したキャッシュバックキャンペーンにより、お客様の取引拡大を図りました。また、新規のお客様の獲得のためのWeb広告強化や口座開設キャンペーンの拡充を図り、著名講師によるWebセミナーの実施などSNSによる新規集客にも取り組みました。このほか、6月にパートナーズFXの個人のお客様の口座において、ロスカット率をお客様ご自身で変更できる機能を追加し、お客様の利便性の向上を図りました。
2021年5月にパートナーズFXnanoの「米ドル/円」において始めた時間限定でのスプレッド0.0銭(売買同値)を提示するキャンペーンは、現在では、「米ドル/円」のほか、「ユーロ/円」、「豪ドル/円」、「ポンド/円」、「メキシコペソ/円」の計5通貨ペアまで拡大し、当社所定の注文数量まで原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)の提示を標準化(業界初)しております。
このほか直近での主な施策としましては、17時~27時の流動性が高く取引量の多い時間帯をゴールデンマネパタイムとし、新通貨ペアを含む「米ドル/円」、「豪ドル/円」をはじめとする計16通貨ペアにて、パートナーズFXnanoでは業界最狭水準のスプレッドを、「約定力100%」のパートナーズFXでは、パートナーズFXnanoに次ぐ業界最狭水準のスプレッドを提示するキャンペーンを続行しております。なお、パートナーズFXでは、「米ドル/円」と「メキシコペソ/円」については、ゴールデンマネパタイムを大幅に拡大して「米ドル/円」は9時から27時までの計18時間、「メキシコペソ/円」は14時から27時の計13時間としています。
「まいにち金・銀(CFD-Metals)」においても、ゴールデンマネパタイムにてスプレッドを業界最狭水準とするキャンペーンや充実したキャッシュバックの実施によりお客様の取引拡大を図っております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の外国為替取引高は11,212億通貨単位(前年同期比54.1%増)となりました。また、当第3四半期連結会計期間末の顧客口座数は355,911口座(前年同期末比9,286口座増)、顧客預り証拠金は53,578百万円(同0.6%減)、有価証券による預り資産額は10,266百万円(同10.3%減)となりました。
当第3四半期連結累計期間の営業収益は、外国為替取引高が前年同期比54.1%増加したこと等によりトレーディング損益が前年同期比309百万円増加(8.1%増)し、4,310百万円(前年同期比328百万円増加、8.3%増)となりました。販売費・一般管理費は、外国為替相場の状況などの外部環境や施策効果によるお客様の取引状況などを勘案しつつ広告宣伝費の費用対効果に注力したこと等により広告宣伝費が減少した一方、取引高増加に伴うカバー取引関連の支払手数料が増加したことに加え、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化に向けた費用として器具・備品費や事務委託費が増加したこと等から3,154百万円(同97百万円増加、3.2%増)となりました。
この結果、営業利益は989百万円(同240百万円増加、32.2%増)、経常利益は980百万円(同193百万円増加、24.6%増)、税金等調整前四半期純利益は980百万円(同164百万円増加、20.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は675百万円(同73百万円増加、12.3%増)となりました。
2023年3月期は、前期に引き続き「FXを軸とした店頭デリバティブ取引への選択と集中」を経営方針の第一に掲げ、全社を挙げてのコスト削減や不採算事業の改善・見直しを推進するとともに、上述のパートナーズFXnanoにおける一定の条件下での原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)の提示の標準化(業界初)などによる差別化によって、今後も厳しい競争環境の中で既存のお客様に一層のご利用をいただくとともに、新たなお客様の獲得に繋げ、収益力の向上に努めてまいります。
引き続き更なるFXの商品性の洗練化やマーケティング施策をより一層強化することで企業価値を向上させ、東証プライム市場の上場維持基準への適合に向けて尽力してまいります。
② 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して2,990百万円減少し、75,441百万円となりました。これは流動資産が2,628百万円、固定資産が362百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して3,430百万円減少し、61,978百万円となりました。これは流動負債が3,291百万円、固定負債が139百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して440百万円増加し、13,463百万円となりました。
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における主な流動資産の内訳は、預託金44,373百万円、トレーディング商品(資産)12,758百万円、現金・預金9,555百万円及び短期差入保証金5,058百万円であります。前連結会計年度末と比較して、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の増加等に伴うトレーディング商品(資産)の増加2,312百万円及び現金・預金等の増加1,522百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された財産の減少等に伴う顧客区分管理信託の減少4,650百万円、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えてのカウンターパーティへの差入保証金の積み増しの一部取り崩しに伴う短期差入保証金の減少1,736百万円等の減少要因があり、2,628百万円減少しております。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における主な固定資産の内訳は、ソフトウエア368百万円、リース資産(無形固定資産)242百万円、ソフトウエア仮勘定232百万円、繰延税金資産191百万円、リース資産(有形固定資産)165百万円及び長期前払費用164百万円であります。前連結会計年度末と比較して、外国為替証拠金取引システムの機能追加によるソフトウエアの取得やクラウド化のためのソフトウエア仮勘定の計上等の増加要因があった一方、ソフトウエアの減価償却等の減少要因があり、362百万円減少しております。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における主な流動負債の内訳は、受入保証金53,578百万円、トレーディング商品(負債)2,526百万円及び預り金1,661百万円であります。前連結会計年度末と比較して、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価損の増加等に伴うトレーディング商品(負債)の増加402百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された受入保証金の減少1,490百万円、期前半にウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えた借入の返済や年末年始の外国為替証拠金取引の決済等に備えた借入の実行による変動の結果としての短期借入金の減少1,200百万円及び約定見返勘定(負債)の減少685百万円等の減少要因があり、3,291百万円減少しております。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における主な固定負債の内訳は、転換社債型新株予約権付社債1,000百万円及びリース債務81百万円であります。前連結会計年度末と比較して、リース債務の返済等により139百万円減少しております。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金10,149百万円及び自己株式△881百万円であります。前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上675百万円による利益剰余金の増加があった一方、剰余金の配当による利益剰余金の減少244百万円があったこと等により440百万円増加しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により3,383百万円増加、投資活動により193百万円減少、財務活動により1,667百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ1,522百万円の増加となり、当第3四半期連結会計期間末における資金の残高は7,780百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,383百万円(前年同期は2,631百万円の支出)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益の計上980百万円、減価償却費の計上359百万円が資金増加要因となったことに加え、外国為替取引関連の資産負債が差引2,246百万円の資金増加要因となった一方、資金移動業関連の資産負債が差引223百万円の資金減少要因となったほか、法人税等の支払額243百万円の資金減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は193百万円(前年同期は247百万円の支出)となりました。これは、外国為替証拠金取引システムの機能追加やクラウド化のための開発等による無形固定資産の取得による支出187百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,667百万円(前年同期は1,254百万円の収入)となりました。これは、期前半にウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えての借入を返済したことや期末にかけて年末年始の外国為替証拠金取引の決済等に備えて借入を行ったことにより短期借入金が1,200百万円の純減となったほか、配当金の支払額242百万円及びリース債務の返済による支出224百万円があったことによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに計画した主要な設備は次のとおりであります。
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容
投資予定金額
資金調達
方法
着手及び完了予定
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手
完了
株式会社マネーパートナーズ
本社
(東京都港区)
基幹システム
クラウド化
フェーズ2
550
109
自己資金及びファイナンスリース
2022年
4月
2023年
3月
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
なお、経営成績に重要な影響を与える主要な要因である外国為替市場の変動率の当第3四半期連結累計期間における状況は、「(1) 財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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