【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、ウィズコロナの下で各種政策の効果等により景気の持ち直しが期待されるものの、地政学的リスクの高まりや物価の高騰、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れ等の懸念により、先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
当社が属するIT業界は、政府によるペーパーレス化や脱ハンコ等のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルス感染の世界的な広がりを背景として、テレワークや在宅勤務等への働き方の変化により、当社が展開するワークフロークラウドサービスの利用拡大が顕著となっていることや、ワークフローソフトウエアについても需要が拡大し堅調に推移いたしました。
このような状況の中で、当社はワークフローソフトウェアメーカーとして、当社初のメタバースでのWebセミナーの開催、全国主要都市でのパートナー企業との共同セミナーの開催及び市場優位性を確保するためのワークフローソフトウエアの機能強化、並びに急速に拡大するクラウドサービス市場のシェア獲得に向けたクラウドビジネスの拡大に注力してまいりました。
これらの結果、当事業年度の売上高は21億67百万円(前期比2.5%増)、営業利益は9億99百万円(同10.1%増)、経常利益は9億99百万円(同10.0%増)、当期純利益は6億70百万円(同10.9%増)となりました。なお、当社の事業はワークフロー事業の単一セグメントのため、製品・サービス別の業績の概要を記載しております。
(パッケージソフト)
X-pointは、新規ライセンス販売の終了に伴い売上高が減少いたしました。AgileWorksは、主に半導体不足の影響により顧客への導入が大幅に遅れたことにより新規導入企業数が減少し売上高が減少いたしました。その結果、当事業年度のX-point売上高は3億26百万円(同15.9%減)、AgileWorks売上高は9億69百万円(同1.7%減)となり、パッケージソフト全体の売上高は、12億95百万円(同5.7%減)となりました。
(クラウドサービス)
クラウドサービスは、クラウドサービス市場の成長及び新型コロナウイルスの感染拡大に伴うワークフロー需要の拡大を背景として、Webを活用したセミナー、無料トライアルの実施等により、新規導入企業数が順調に推移しました。また、パッケージソフトのX-pointからのシフトも徐々に増加いたしました。その結果、当事業年度のクラウドサービス売上高は、8億71百万円(同17.8%増)となりました。
財政状態は、以下のとおりとなりました。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ4億36百万円増加し、50億26百万円となりました。当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ81百万円減少し、9億66百万円となりました。当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ5億17百万円増加し、40億59百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して3億2百万円増加し、40億69百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、8億29百万円(前期は9億85百万円の獲得)となりました。これは、主に税引前当期純利益が9億99百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3億56百万円(前期は2億18百万円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が3億35百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1億71百万円(前期は1億55百万円の使用)となりました。これは、主に配当金の支払が1億72百万円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.受注実績
当社は受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
ハ.販売実績
当社は「ワークフロー事業」の単一セグメントとしておりますが、当事業年度の販売実績を製品・サービス区分ごとに示すと次のとおりであります。
製品・サービス区分の名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
パッケージソフト(千円)
1,295,600
94.3
クラウドサービス(千円)
871,610
117.8
合計(千円)
2,167,211
102.5
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社
374,324
17.7
336,309
15.5
株式会社リコー
287,736
13.6
334,572
15.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ3億30百万円増加し、43億82百万円となりました。これは、主に現金及び預金が3億2百万円、売掛金が30百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ1億5百万円増加し、6億43百万円となりました。これは、主にソフトウエアが1億24百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べて4億36百万円増加し、50億26百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ74百万円減少し、8億24百万円となりました。これは、主に未払金が56百万円、未払法人税等が21百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ6百万円減少し、1億41百万円となりました。これは、主に退職給付引当金が9百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて81百万円減少し、9億66百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ5億17百万円増加し、40億59百万円となりました。これは、主に当期純利益の計上等により利益剰余金が4億98百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の分析
(売上高、売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上高は、前事業年度より53百万円増加し、21億67百万円(前期比2.5%増)となりました。これは、主にパッケージソフト売上高が78百万円減少したものの、クラウドサービス売上高が1億31百万円増加したことによるものであります。
また、売上原価は前事業年度より5百万円減少し、4億95百万円(同1.0%減)となりました。
この結果、売上総利益は58百万円増加し、16億71百万円(同3.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度より32百万円減少し、6億72百万円(前期比4.6%減)となりました。これは、主に前期に発生した研究開発費が減少したためであります。
この結果、営業利益は91百万円増加し、9億99百万円(同10.1%増)、経常利益は91百万円増加し、9億99百万円(同10.0%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は3億29百万円となりました。
この結果、当期純利益は65百万円増加し、6億70百万円(前期比10.9%増)となりました。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載してあるとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、クラウドサービスに関するインフラ費用、情報セキュリティ対策費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、ソフトウエア製品投資等によるものであります。また、次期以降の重要な資本的支出の見通しにつきましては、ソフトウエアの製品機能の強化及び新サービスの充実に注力し、2025年3月期までに6億円投資する予定であります。
当社は、事業運用上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することとともに、株主に対する利益還元を重要事項と認識し、各期の業績に応じた継続的な配当を実施することを基本方針としております。
資金調達については、運転資金、設備資金及び業務・資本提携に伴う所要資金等で、手元資金を上回る資金ニーズが生じた場合、用途、金額、期間、コスト等を総合的に勘案して調達方法(銀行借入(短期・長期)、社債発行、公募増資)を決定する方針であります。
なお、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な運転資金等については当面の間は自己資金を充当してまいります。また、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債はなく、現金及び現金同等物の残高は40億69百万円となっております。
ニ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、市場ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を低減し、適切に対応を行ってまいります。
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