【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して165,384千円減少し、12,135,063千円となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して2,287,207千円減少し、9,229,725千円となりました。これは主に、製品の減少2,320,135千円によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して2,121,823千円増加し、2,905,337千円となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定の増加475,976千円、のれんの増加394,052千円、特許権の増加205,518千円、敷金の増加449,184千円、繰延税金資産の増加437,324千円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して573,223千円増加し、4,525,650千円となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
流動負債は、前連結会計年度末と比較して204,104千円減少し、3,016,436千円となりました。これは主に、未払金の減少397,190千円、短期借入金の増加178,000千円によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して777,327千円増加し、1,509,213千円となりました。これは主に、長期借入金の増加665,313千円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して738,607千円減少し、7,609,413千円となりました。これは主に利益剰余金の減少733,974千円によるものです。
その結果、自己資本比率は62.7%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、経済活動の正常化が徐々に進み、景気は緩やかに回復しました。雇用・所得環境が徐々に改善する中、消費者マインドに持ち直しの動きが見られ、個人消費も回復傾向にあります。このような中、国内化粧品市場についても、5月からの新型コロナウイルス感染症の5類感染症への引き下げにより街中での人流が増加し、日本人、インバウンド向けともに回復が続いています。
こうした状況下、当社グループは、設立以来「Uniqueであること」にこだわりを持ち、当社の強みである「商品企画力」「マーケティング力」に「チャネルミックスモデル」を組み合わせ、主力の化粧品事業の伸長を図るとともに、新たにインナーケア事業やリカバリー事業に進出するなど、アンチエイジングに関わる事業領域の拡大を推進してまいりました。
ブランド別の状況は下記のとおりです。
「デュオ」ブランドは、クレンジング売上4年連続No.1※1を達成しました。ディズニーとのコラボ商品「デュオ ザ マーメイド クレンジングバーム」やインバウンド需要の獲得を目指した新商品「デュオ ザ クレンジングバーム 抹茶」等を投入し、新規顧客の獲得を図るとともに、商品価値の理解を促進するコミュニケーションを通じ、新規及び既存顧客へのアプローチを強化してまいりました。しかしながら、クレンジング市場全体でバーム剤型からオイル剤型へのシフトが継続し、低価格バーム商品への流出も止まらないことから、売上高は通信販売・卸売販売ともに減少しました。
「カナデル」ブランドは、オールインワン市場の競争環境が激化したものの、訴求力の高い医薬部外品の「プレミアバリアフィックス」や「プレミアホワイト」を中心に、前期比で着実に売上を伸ばしました。第4四半期には、「プレミアリフト」を医薬部外品化したリニューアル商品を卸売チャネルに加え通販チャネルに展開し、お客様のお肌の悩みやニーズに対応可能なラインナップが整いました。
「クレイエンス」ブランドは、TVCM等のマスマーケティングを活用したメディアミックス戦略により認知度を高め、通信販売・卸売販売のチャネルを通じて、発売から約1年でカラートリートメント売上No.1※2を獲得し、年間売上高も20億円を上回るなど力強い成長を実現しました。足許では、医薬部外品の泡状白髪カラー「クレイスパクイックカラー」やスカルプケアシリーズのテストマーケティングを開始し、総合的なヘアケアブランドとしての育成を図っています。
財務面では、売上高の減少や一部ブランドの撤退、海外事業の戦略見直しなどに伴い、一部の製品については売上が販売計画を下回り在庫が滞留しておりました。そのため、強固な財務体質を維持し、将来に向けた再成長の基盤を確固たるものとするべく、一部の製品の販売状況を勘案し、第3四半期に続き、第4四半期連結会計期間においても、棚卸資産評価損を計上いたしました。
上記活動の結果、当連結会計年度における売上高は26,400,665千円(前期比7,511,237千円減)、営業損失は611,681千円(前期は営業利益2,414,318千円)、経常損失は631,229千円(前期は経常利益2,572,326千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は733,974千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1,424,422千円)となりました。
なお、当社グループは化粧品の製造・販売事業とその他の事業を行っておりますが、その他の事業については金額的な重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
※1 TPCマーケティングリサーチ(株)によるクレンジングブランド別シェアランキング調査(対象期間:2019年4月~2023年3月/調査時期2023年6月)
※2 「ヘアカラートリートメントに関する調査」(ブランド別売上)TPCマーケティングリサーチ(株)調べ(対象期間:2022年7月~12月)
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、4,659,173千円(前連結会計年度末比1,696,005千円増)となりました。
また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、2,422,540千円となりました。(前年同期は3,322,340千円の使用)主な収入の要因は、売上債権の減少1,174,676千円、棚卸資産の減少2,564,254千円、主な支出の要因は、法人税等の支払額760,763千円、未払金の減少435,814千円、仕入債務の減少223,287千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、900,970千円となりました。(前年同期は297,682千円の使用)主な収入の要因は、敷金保証金の回収による収入5,657千円、主な支出の要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出124,013千円、無形固定資産の取得による支出751,191千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、179,774千円となりました。(前年同期は501,623千円の獲得)主な収入の要因は、長期借入れによる収入500,000千円、主な支出の要因は、長期借入金の返済による支出484,926千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは化粧品の製造・販売事業とその他の事業を行っておりますが、その他の事業については金額的な重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
セグメントの名称
金額(千円)
前年比(%)
化粧品の製造・販売事業
4,783,055
△45.3
合計
4,783,055
△45.3
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.当社グループの生産実績の大半が提出会社によるものであるため、上記の金額は提出会社単独の金額を記載しております。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売チャネル別の販売実績は、次のとおりであります。
販売チャネル別
金額(千円)
前年比(%)
通信販売
18,316,307
△24.2
卸売販売
5,641,134
△32.7
その他
2,443,224
77.2
合計
26,400,665
△22.1
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社井田両国堂
6,683,625
19.7
4,188,392
15.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。
(棚卸資産)
棚卸資産の連結貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法を採用しており、棚卸資産の評価に際して、その判定は個別品目ごとに行っております。営業循環過程から外れた棚卸資産については、収益性の低下の事実を適切に反映するため帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。
営業循環過程から外れた棚卸資産の識別に用いた主要な仮定は、棚卸資産の滞留期間と将来における販売又は使用見込数量です。一定の滞留期間を超える棚卸資産は規則的に帳簿価額を切り下げております。また、一定の滞留期間を超過しない棚卸資産についても、将来の販売又は使用見込数量を超過する場合は当該超過分の帳簿価額を切り下げております。
市場環境が悪化して、営業循環過程から外れた棚卸資産が大幅に増加した場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。
(返金負債)
返金負債の計上にあたっては、売上げた製品が品質上の欠陥等の理由で、返品される損失額を見積って計上しております。返金負債の見込額については、過去の返品実績を勘案の上、合理的に見積り判断しておりますが、実際の返品実績が見積りと異なる場合、返金負債の計上金額が変動する可能性があります。
(契約負債)
契約負債の計上にあたっては、過去の使用実績率に基づき将来使用されると見込まれる金額を計上しております。契約負債の見込み額については、ポイントの使用実績率などから将来の使用見込率を合理的に見積り判断しておりますが、今後、使用実績率に影響を与える変化が生じた場合には、契約負債の計上金額が変動する可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得見込み及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しており、将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した部分についてのみ、繰延税金資産を計上しております。今後、課税所得が見込み通り発生しない場合には、繰延税金資産の回収可能性について再度検討する必要があり、その結果、繰延税金資産の取崩が必要となる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前期比7,511,237千円減の26,400,665千円となりました。これは、訴求力の高い医薬部外品の「プレミアバリアフィックス」や「プレミアホワイト」が好調なオールインワン化粧品の「カナデル」ブランドや、総合的なヘアケアブランドとして育成を図っている「クレイエンス」ブランドが売上を伸ばしたものの、主力の「デュオ」ブランドにおいて、クレンジング市場全体でバーム剤型からオイル剤型へのシフトが継続し、低価格バーム製品への流出が止まらないことから、通信販売・卸売販売ともに売上が減少したことによるものです。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は前期比125,171千円減の7,157,776千円となりました。売上原価は製品原価が大部分を占めて構成されております。当連結会計年度においては、売上高の減少に伴い売上原価も減少しましたが、財務体質の改善を目指した構造的な改革を推進するため棚卸資産の評価損を計上したことから、原価率は上昇しております。
この結果、売上総利益は前期比7,386,065千円減の19,242,889千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業損益)
販売費及び一般管理費は前期比4,360,065千円減の19,854,571千円となりました。これは主に売上高の減少及び棚卸資産の評価損を計上したことに伴い売上総利益が減少したことから、広告宣伝費を中心とした販売費及び一般管理費を抑制したことによるものです。なお、売上高に対する広告宣伝費8,598,927千円の比率は32.6%となり前期の38.1%から5.5ポイント減少しました。
この結果、営業損失は611,681千円となりました。
(営業外損益及び経常損益)
営業外収益は前期比150,831千円減の25,049千円となりました。これは主に前期に発生した為替差益がなくなったことによるものであります。また、営業外費用は前期比26,724千円増の44,597千円となりました。これは主に貸倒引当金を計上したことによるものであります。
この結果、経常損失は631,229千円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損失は28,256千円となりました。これは主に減損損失を計上したことによるものです。また、法人税等については前期比1,073,416千円減の74,488千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は733,974千円となりました。
③ 財政状態の分析
当社グループは、OEMを活用することで工場や研究施設等の設備を保有しない形で事業を運営しておりますので、固定資産の総資産に占める割合が比較的低く抑えられていることが特徴です。一方で、当連結会計年度においては、株式会社ベネクス買収に伴い、のれんや特許権等の無形固定資産が増加しております。
財政状態の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から1,696,005千円増加し4,659,173千円となりました。当社グループにおける広告宣伝費は、新規定期顧客を獲得するための投資に位置付けられる費用であり、投資額を回収するまでには一定の期間を要します。
当社キャッシュ・フローの状況の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは製造費用、販売費及び一般管理費に含まれる広告宣伝費、業務委託費であります。これらの運転資金につきましては内部資金または銀行からの借入により資金調達することとしております。また、一時的な資金の不足については当座貸越枠等により、十分な借入金の与信枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑧ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益並びに売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けております。
前連結会計年度及び当連結会計年度の経営指標は、次のとおりであります。売上高営業利益率は当連結会計年度が△2.3%となり、前連結会計年度を下回ることとなりました。
また、新規顧客獲得において、デジタルマーケティングを主軸に広告宣伝費を投下しておりますが、その大半が成果報酬形式による支出となるため、売上高の変動費と位置付けられ、費用対効果を確保したコントロールを行っております。売上高広告宣伝費率は当連結会計年度が32.6%となり、前連結会計年度を下回っておりますが、多額に計上されております。
今後も引き続き売上原価の低減、費用削減に取り組むことによって、売上高及び営業利益の増加、売上高営業利益率の上昇を目指してまいります。
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
金額(千円)
前年比(%)
売上高
26,400,665
△22.1
営業損失(△)
△611,681
-
当期純損失(親会社株主に帰属する当期純損失)(△)
△733,974
-
売上高営業利益率
△2.3%
△9.4
広告宣伝費
8,598,927
△33.4
売上高広告宣伝費率
32.6%
△5.5
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