【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は25,090百万円と前連結会計年度に比べて7,342百万円(41.4%)の増加となっております。
営業利益は5,245百万円と前連結会計年度に比べて1,049百万円(25.0%)の増加、経常利益は9,194百万円と前連結会計年度に比べて2,115百万円(29.9%)の増加となり、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券評価損1,361百万円を計上したこと等から、6,060百万円と前連結会計年度に比べて1,067百万円(15.0%)の減少となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
(a) CRO事業
売上高は24,000百万円と前連結会計年度に比べて6,952百万円(40.8%)の増加となり、営業利益は、6,336百万円と前連結会計年度に比べて1,300百万円(25.8%)の大幅増加となりました。
(b) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は16百万円と前連結会計年度に比べてほぼ横ばいとなり、営業損失は879百万円(前連結会計年度:営業損失746百万円)となりました。
(c) メディポリス事業
売上高は683百万円と前連結会計年度に比べて120百万円(21.3%)の増加となり、営業損失は203百万円(前連結会計年度:営業損失17百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて4,648百万円(102.2%)増加して、9,197百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,004百万円と前連結会計年度に比べて1,948百万円(32.7%)の減少となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,759百万円、減価償却費1,544百万円、投資有価証券評価損1,361百万円、利息及び配当金の受取額1,744百万円の収入があり、為替差益1,605百万円、持分法による投資利益2,489百万円及び法人税等の支払額1,437百万円の支出があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,930百万円と前連結会計年度に比べて1,662百万円(38.9%)の支出増加となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出4,839百万円に対して定期預金の払出による収入が2,448百万円あったこと等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は6,266百万円(前連結会計年度:4,911百万円の使用)となりました。
主な内訳は、短期借入金の純増加額4,083百万円、長期借入れによる収入10,300百万円に対し、長期借入金の返済による支出5,468百万円を行ったこと、配当金の支払額2,484百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
CRO事業
28,325,579
161.3
トランスレーショナル リサーチ事業
16,480
136.6
メディポリス事業
600,834
113.8
報告セグメント 計
28,942,893
159.9
その他事業
552,790
184.4
合計
29,495,684
160.2
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
CRO事業
25,949,577
111.8
29,114,580
147.6
トランスレーショナル
リサーチ事業
16,480
136.6
-
-
メディポリス事業
600,834
113.8
-
-
報告セグメント 計
26,566,891
111.8
29,114,580
147.6
その他事業
630,767
238.5
134,281
-
合計
27,197,659
113.2
29,248,862
148.3
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
CRO事業
23,924,368
141.2
トランスレーショナル リサーチ事業
16,480
136.6
メディポリス事業
600,834
113.8
報告セグメント 計
24,541,682
140.4
その他事業
549,221
207.7
合計
25,090,903
141.4
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
(a) 概要
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指したアウトソーシングが引き続き堅調です。このようなトレンドを受け、当社は顧客から選ばれ続けるパートナーとなるべく、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上並びに継続的な質の向上に注力しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は軽微であると判断しております。
(b) CRO事業
非臨床事業において国内ナンバーワンCROとして顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼と品質で選ばれるCROを目指すとともに、新しい創薬モダリティに対応した、新しい技術分野におけるサービスも強化しております。当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。
・CROとして唯一構築できている「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増し、世界的な実験用NHPの枯渇により海外顧客からの受注増に繋がっております。
・新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、試験評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、新たな創薬モダリティに関連した受注に繋がっております。
・大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移し、既に複数の企業から創薬段階の研究を受注しております。
2023年3月期受注高につきましては、過去5年間の年次平均成長率が19.9%となり、同期末受注残高とともに過去最高を更新いたしました。当社では長年培ってきた技術とノウハウにより、従来よりも著しいリードタイムの短縮を実現し、臨床試験の早期開始に貢献しております。そうした中、試験室は高稼働となり、内部業務プロセスのイノベーションによる経費節減と合わせて高利益率を維持しております。前連結会計年度は、世界的な実験用NHPの枯渇による実験用NHP確保を目的とした海外大手クライアントの早期委託と新型コロナウイルス関連の試験がありましたが、当連結会計年度はこれらの要因による試験委託は一段落しつつあり、これらの特殊要因を除くと受注は堅調に伸長しております。また、以下の3点の競争優位性を背景にグローバル製薬企業からの継続的受注に成功しております。
・20年間における米国での非臨床事業運営で培ったノウハウと信頼
・米国において勤務経験を積んだ人材資産の活用
・新規創薬モダリティに対応した試験評価系の確立
特に、当社が世界で唯一構築している「自社グループ内での大型実験動物の繁殖・供給体制」とサプライチェーンマネジメントにより安定的な実験動物の供給を実現しており、このことが顧客に高く評価され、大型試験の受注へと繋がっています。今後もサプライチェーンマネジメントを強化するとともに東南アジアにおける当社グループ施設の繁殖体制を強化し、日本国内においても十分な繁殖体制を確立させます。加えて、顧客ニーズに完全に応えられる体制を構築するため、施設の拡張や研究スタッフの増加を進めております。
(c) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための改良技術研究に関わる結果に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化検討を進めてまいりました。併せて、高い噴射性能に加えて、使い勝手の更なる向上や製造コストの更なる低減を目的とした新規投与デバイスの基本設計を概ね完了いたしました。未充足医薬品市場を確実に予測しつつ製剤開発を進め、フィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発品として決定しました。この開発は、2020年10月に設立した連結子会社である株式会社SNLDが引継ぎ、合計21例の健常人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を2023年1月に無事に終了し、臨床開発体制をさらに強化して、次の臨床試験に向けた準備を進めております。また、Satsuma社は、当社からライセンスを受けた経鼻偏頭痛治療薬を米国で開発しており、その臨床第Ⅲ相薬効評価試験では主要評価項目の結果達成には至らなかったものの、痛みの消失と煩わしい随伴症状の抑制が投与後3時間から48時間まで継続してプラセボを統計学的有意に上回る結果が得られており、2023年3月に米国食品医薬品局(FDA)へ新薬承認申請を行いました。鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、その研究成果を科学論文へ投稿申請しました。現在、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めており、臨床研究段階へと進展させるべく、臨床研究施設との協議を進めております。新経鼻ワクチンに関する研究については、呼吸器感染症の流行を抑制し得る新規経鼻ワクチンを世界に先駆けて開発することを目的として、2023年1月に近畿大学生物理工学部と共同研究契約を締結しました。経鼻ワクチンの研究においては、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指しております。さらに、経鼻製剤の製造については、2022年8月に、開発型医薬品受託製造企業であるシオノギファーマ株式会社と経鼻投与製剤等の製造開発推進に向けた業務提携契約を締結しており、製品化を見据えた研究開発体制を強化しております。
また、子会社の株式会社Gemsekiにおいては、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しており、本年度は4社に対して出資を行いました。
(d) メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地(メディポリス指宿)を保有しており、この自然資本(約9割が森林)を活用した環境に配慮した社会的利益創出事業を行っています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)などを行っております。
発電事業は、2015年2月に地熱発電所が稼働以来、順調に発電を継続しております。当連結会計年度は新規発電プロジェクトとして、ホテルで浴用や床暖房に使用している泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所(年間発電量は400万kWh)の建設が完了しました。また、系統接続も2022年10月に完了しており、現在、発電設備の調整段階に入っております。完了次第、FIT(固定価格買取)制度による売電を開始してまいります。
ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形で宿泊施設(合計宿泊部屋数77室)を宿泊棟ごと、機能ごとに3つのホテルに分けており、それぞれヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」、メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」が稼働しております。客室数15室の「別邸 天降る丘」、ならびに客室数33室の指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」はCOVID-19の影響で高級リゾートを好む観光客が一時激減いたしましたが、2022年度は、下半期から再開された国の旅行支援、移動制限緩和によるインバウンドの復調から、業績としてはコロナ禍直前の状態まで回復いたしました。また、患者専用宿泊施設の「HOTELフリージア」は2021年度比で客室を3室増やし、29室となりましたが、メディポリス国際陽子線治療センターの患者数増加に伴って70%以上の高稼働状況となっています。
(e) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ17,929百万円(45.6%)増加し、57,242百万円となりました。流動資産は、「現金及び預金」が増加したことや「棚卸資産」が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ7,765百万円(48.1%)増加して23,899百万円となりました。固定資産は、「有形固定資産」が5,723百万円増加したことや「投資有価証券」が4,900百万円増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ10,164百万円(43.9%)増加して33,342百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ11,293百万円(57.7%)増加し、30,883百万円となりました。「有利子負債」が増加したことや「前受金」が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度に比べ6,635百万円(33.6%)増加し、26,359百万円となりました。「利益剰余金」が増加したことや「その他有価証券評価差額金」が増加したことによるものであります。
(f) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、医薬品開発に係わるGLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(g) 戦略的現状と見通し
CRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件を受託できております。また、新型コロナウイルスに対するワクチンあるいは治療薬の研究・開発についても、当社のリードタイム短縮などの取組みを顧客に評価いただき、多くの案件を受託しております。
TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術を用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発など、パートナー企業とのアライアンス構築を進めており、特に国外の製薬企業との、複数の候補薬剤ライセンスアウト・共同開発交渉を継続します。また、米国で経鼻偏頭痛治療薬の新薬承認申請をしているSatsuma社に対し、支援をしてまいります。
当社連結子会社であるSNLD社では、当社TRカンパニーが業務委託契約を結び、ハンズオンで開発をサポートしています。パーキンソン病のオフ症状治療のための経鼻レスキュー薬の第1相臨床試験は2023年1月に終了しており、次相での薬効を的確に把握するための臨床試験の準備を進めるとともに、それに続くポートフォリオとして、当社の経鼻投与基盤技術に親和性のあるレスキュー薬として主に中枢神経作動薬を調査中です。
経鼻粘膜免疫作用を期待したワクチンの研究開発については、2023年4月に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ちあげて、推進してまいります。
また、子会社Gemseki社は、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、投資事業を推進してまいります。
メディポリス事業では、従来の地熱発電事業に加えて、既存の泉源を活用した温泉発電の設置を進めております。ホテル事業は、サービスの質のさらなる向上に加え、積極的なインバウンドの受け入れ体制強化にも注力し、より強固なブランディングを通して集客力の強化を行ってまいります。その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、地熱由来の電力を使用したグリーン水素製造を含む様々な取組みを検討しております。
(h) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
CRO事業においては、海外顧客からの引き合いは引き続き活発に推移しており、グローバルな大手製薬企業からも継続的な受注に成功しております。この20年間、米国非臨床事業運営で培ったノウハウと米国での勤務経験を積んだ人材資産を活用して、海外顧客からの受託拡大を実現しております。
これら顧客ニーズに応えている大きな要因は、当社が構築している「自社グループ内での実験用NHPの繁殖・供給体制」、サプライチェーンマネジメントであります。新型コロナウイルス感染の蔓延などによる医薬品開発への実験動物需要増加が世界的に顕著となっており、その供給不足がCRO業界の課題となっております。当社では長年にわたり確立してきたサプライチェーンにより、以前と同様に安定的な実験動物の供給を実現しております。今後もこれらサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、中国における実験動物繁殖・供給施設であるSNBL CHINAを中国上場企業のPharmaronグループとの合弁事業とすることで拡充し、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、日本国内の繁殖育成を強化します。今後も効率的かつ効果的に各種実験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。
TR事業では、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおります。新規経鼻ワクチンの研究開発を目的として、2023年1月に共同研究契約を締結した近畿大学と連携強化し、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制も構築しながら、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを計画しております。また、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、臨床研究段階へと進展させるべく、臨脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めております。
昨今の医薬品開発においては、低分子医薬品から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化が進んでおります。当社グループは、こうした業界の動きに一早く対応し、常に新たな創薬ニーズに応えるべく取り組んで参りました。特に再生医療分野においては、京都大学iPS細胞研究所との共同研究に基づくiPS細胞を用いた治療に向けた安全性試験に関する研究開発経験を活かして受託しているほか、重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンスを通じたライセンス事業にも取り組んでおります。
今後とも創薬モダリティの多様化により生じる顧客からの様々な新規ニーズに迅速に対応し、付加価値の高いサービスを効率的に提供してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
(b) 資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は9,197百万円となっております。
(c) 有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は18,931百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
#C2395JP #新日本科学 #サービス業セクター