【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況① 経営成績当第3四半期連結累計期間における世界経済は、先進国においてコロナウイルス変異株(COVID-19)による影響からの持ち直しの動きが進みましたが、昨秋以降は、世界的な金融引き締めや地政学情勢に伴うエネルギー価格上昇の影響により、回復の動きが鈍化しております。半導体・電子部品業界の市場は、パソコン市場において、テレワークやオンライン教育向け及びOS更新に伴う一時的な需要増加が一巡し、夏場以降は調整局面に入りましたが、データセンター向けを中心としたサーバー市場が概ね堅調に推移し、全体として成長傾向で推移しました。自動車業界の排気系部品市場は、世界的な半導体不足による影響に加えて、自動車生産の最大市場である中国都市部においてロックダウンが長期化し、厳しい状況が継続しました。 このような情勢のもと、当社におきましては、今年度は、2018年度から始動した5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の最終年度となります。目標の達成に向け、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力強化と新規事業の拡大による安定した成長の実現に向けた取り組みを進めております。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,166億81百万円と前年同期に比べ174億47百万円(5.8%)増加しました。営業利益は611億75百万円と前年同期に比べ67億45百万円(12.4%)増加しました。経常利益は649億59百万円と前年同期に比べ75億円(13.1%)増加しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は440億55百万円と前年同期に比べ66億12百万円(17.7%)増加しました。
電子事業パッケージ(PKG)事業におきましては、夏場以降はパソコン向けの需要が減速したものの、サーバー向けの需要が概ね堅調に推移したことにより、売上高・営業利益ともに前年同期に比べ増加しました。マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、スマートフォン向け及びモジュール基板の売上が共に堅調に推移した結果、売上高は前年に比べ増加しました。以上の結果、電子事業の売上高は1,960億11百万円となり、前年同期に比べ9.2%増加しました。同事業の営業利益は533億9百万円となり、前年同期に比べ21.8%増加しました。
セラミック事業自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、大型商用車向け製品への受注シフトを進めた結果、売上高は前年同期並みとなりましたが、原材料費や欧州を中心としたエネルギー価格の高騰による影響が継続していることにより、営業利益は前年同期に比べ減少しました。触媒担体保持・シール材(AFP)は、安定量産を継続する揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司を中心に中国市場での拡販を進めた結果、売上高・営業利益ともに前年同期に比べ増加しました。特殊炭素製品(FGM)は、半導体製造装置向け製品を中心に需要の高まりを受け、売上高・営業利益ともに前年同期に比べ増加しました。以上の結果、セラミック事業の売上高は660億40百万円となり、前年同期に比べ1.7%減少しました。同事業の営業利益は47億3百万円となり、前年同期に比べ24.3%減少しました。
その他事業建設部門におきましては、発電プラント事業において、発電設備の建設工事受注が堅調に推移したことに加えて、大型工事が着実に進行したことなどにより、売上高は前年同期に比べ増加しました。建材部門におきましては、原材料費の高騰による影響を受けたものの、販売価格の見直しによる効果に加えて、抗ウイルスメラミン化粧板及びその関連商材の販売が増加したことなどにより、売上高は前年同期に比べ増加しました。その他部門におきましては、法面工事部門において、大型工事物件が減少したことに加え、一部工事の完工が第4四半期以降にずれ込んだことなどにより、売上高は前年同期に比べ減少しました。以上の結果、その他事業の売上高は546億30百万円となり、前年同期に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は、原材料費やエネルギー価格の高騰に加え、人材不足に伴う労務費上昇などの影響により、34億33百万円となり、前年同期に比べ23.3%減少しました。
② 財政状態当第3四半期連結会計期間末における総資産は7,896億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ18.9%増加しました。総資産の増加の主な要因は、有形固定資産が704億33百万円、現金及び預金が568億67百万円増加したことによります。当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,775億82百万円となり、前連結会計年度末に比べて28.6%増加しました。負債合計の増加の主な要因は、社債が300億円、未払金が244億97百万円、設備関係支払手形が199億82百万円増加したことによります。当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は4,120億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ11.1%増加しました。純資産の増加の主な要因は、利益剰余金が370億60百万円増加したことによります。
(2)
キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,424億60百万円となり、前連結会計年度末より568億67百万円増加しました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、958億34百万円(前第3四半期連結累計期間676億93百万円)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益619億86百万円、減価償却費408億24百万円、売上債権の減少190億67百万円等による増加と、法人税等の支払額235億87百万円、棚卸資産の増加140億4百万円等による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用された資金は、632億88百万円(前第3四半期連結累計期間489億26百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出623億72百万円等による減少によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって得られた資金は、226億98百万円(前第3四半期連結累計期間は139億17百万円)となりました。これは主に社債の発行による収入500億円等による増加と、社債の償還による支出200億円及び配当金の支払額69億94百万円等による減少によるものであります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期連結累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 会社の支配に関する基本方針当第3四半期連結累計期間において、会社の支配に関する基本方針に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、149億99百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7) 主要な設備2022年3月31日現在において計画中であった重要な設備計画を次のとおり変更しています。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
イビデン㈱
河間工場(岐阜県大垣市)
電子
生産設備
143,000
1,044
自己資金社債(注)
2022年3月
2025年6月
―
(注) 着手中であった上記の生産設備投資について、資金調達方法を自己資金から自己資金、社債に変更しております。