【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、世界的なエネルギーコストの高騰、資源・原材料価格等の高騰が影響し、消費者物価指数は上昇する等、依然として不透明な状態が続いております。一方で、新型コロナウイルス感染症においては、その拡大に一定の歯止めがかかり、感染法上の分類が第5類へ引き下げられる等、各種規制の緩和により社会活動が回復し、景気は緩やかに持ち直してきました。当社グループの駐車場事業に関連する不動産業界においては、大型新築オフィスビル竣工が増加する中、空室率は減少傾向にあり、需要は堅調に推移しております。また、スキー場事業及びテーマパーク事業に関連するレジャー・観光業界においては、全国旅行支援の開始による国内旅行者の増加、入国制限の大幅緩和によるインバウンド旅行者の増加等、大きく回復基調にあります。このような事業環境の中、当社グループは「ハッピートライアングル:関わる人全てがハッピーなビジネスを」という企業理念のもと、駐車場事業(国内・海外)、スキー場事業、テーマパーク事業の3つの主力事業において、環境変化に応じた顧客ニーズを追求し、常に斬新で、かつ期待されるサービスや商品を提供する事により、事業の改善に取り組んでまいりました。
当第3四半期連結累計期間の概況国内駐車場事業においては、徹底的に駐車場データのDX化を進め、ユーザーデータの分析が可能になった結果、既存物件の収益改善につながり、また、データをべースにビルオーナーへの複合提案等も可能になったことで、新規契約物件が増加しました。海外駐車場事業においては、タイ、韓国ともにコロナ対策の緊急事態宣言が解除され、外国人の入国制限撤廃等により経済が回復基調にあるためオフィステナントが戻り、月極及び時間貸ともに既存物件の収益改善が進みました。スキー場事業においては、新型コロナウイルス蔓延以降、天候、及びインバウンド観光客の有無等に業績が大きく左右されずに、サステナブルな成長ができるオールシーズンリゾートを目標として改善の努力をしてきました。グリーンシーズンの既存施設の収益性向上や新たな収益獲得のための魅力的な施設への投資を進め、また、ウィンターシーズンにおける新たな顧客チャネルを獲得するべく、小学生以下の子供たちやノンスキーヤー集客のための施策に積極的に取り組みました。今シーズンは、努力の結果増加した国内需要に加え、入国制限が緩和されたことで、期待以上に多くの海外のお客様が来場され、3年ぶりにゲレンデに賑わいが戻るシーズンとなり、来場者数は前年同期と比較して大きく増加しました。テーマパーク事業においては、積極的なイべント開催による集客と、宿泊事業においてもグランピング施設の新規オープンや別荘新築に追加投資する等、期待していた宿泊施設と遊園地の相互送客効果が実現し、第3四半期累計期間において過去最高の来場者数となりました。また、グループ会社である㈱ロクヨンを通じて投資してきた不動産について、投資回収の観点からベストな売却タイミングであると判断し、売却を進めました。不動産売却による財務諸表への影響については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照ください。これら各事業の取り組みの結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの経営成績は、以下のとおり、売上高及び全ての段階利益において過去最高となりました。
売上高 25,080百万円(前年同期比25.8%増)営業利益 5,342百万円(前年同期比44.3%増)経常利益 5,347百万円(前年同期比43.2%増)親会社株主に帰属する四半期純利益 3,553百万円(前年同期比45.7%増)
セグメントの業績は次のとおりです。各セグメントの業績数値にはセグメント間の内部取引高を含んでいます。
(駐車場事業)国内駐車場事業においては、徹底的に駐車場データのDX化を進め、ユーザーデータの分析が可能となった結果、既存物件の収益性が改善し、また、ユーザーデータの分析結果に基づいたオーナーへの複合的提案等も可能になり、新規契約物件が増加しました。月極駐車場検索サイトへの掲載物件数や物件情報を強化したこと等により、ユーザーからの月間問合せ数は、2020年3月と比較すると3年間で約6倍まで増加しました。さらに人員体制の強化や、問合せから提案までの対応時間を短縮したことで、成約数も増加しました。ユーザーからの問合せ数の増加により、大量の月極ユーザーデータを入手可能になり、そのデータ分析の結果を基に、最適な駐車場をユーザーにマッチングするスピードとボリュームが圧倒的に向上しました。また、過去の未契約の問合せ情報を蓄積し、新規駐車場がオープンしたり、既存駐車場の空き車室が発生したタイミングで、即時にメール配信による案内を行うことで、需要を掘り起こし、契約率が改善しました。時間貸運営をしている駐車場においても、ユーザーが目的地周辺で空き駐車場を探す手間を解消するため、これまで外部サイトに依存していた事前ネット予約サービスの強化を目的とした内製化を進め、一部エリアにて開始していたサービスを2023年3月より全国エリアへ展開しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間における国内駐車場事業の新規契約物件数は81物件、解約物件数は50物件、前連結会計年度末から31物件の純増となり、国内の運営物件数は1,315物件、運営総台数は45,180台となりました。海外駐車場事業において、タイ、韓国ともにコロナ対策の緊急事態宣言が解除され、外国人の入国制限撤廃等により経済が回復基調にあるため、オフィステナントが戻り、月極及び時間貸ともに既存物件の収益改善が進みました。タイでは、EVトゥクトゥクタクシーでの観光ツアーをH.I.Sタイランド社と組んで企画し、その出発地点や充電ステーションとして駐車場を提供し、運営を開始しました。また新規契約物件では、大型オフィスビルOne City Centre(879台)の駐車場運営を開始しました。これらの結果、海外の運営物件数は67物件、運営総台数は15,922台となりました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は11,599百万円 (前年同期比6.9%増)、営業利益は2,856百万円 (前年同期比8.9%増) となりました。
(スキー場事業)スキー場事業においては、新型コロナウイルス蔓延以降、天候、及びインバウンド観光客の有無等に業績が大きく左右されずに、サステナブルな成長ができる世界水準のオールシーズンリゾートを目標として改善の努力をしてきました。グリーンシーズンの既存施設の収益性向上や新たな収益獲得のための魅力的な施設への投資を進め、また、ウィンターシーズンの新たなチャネルを獲得すべく、ノンスキーヤー集客のためのアトラクションの新設や、将来のスノースポーツを楽しむ愛好者を増やすための「NSDキッズプログラム」等に積極的に取り組みました。当第3四半期累計期間のグリーンシーズンは、新型コロナウイルス感染症蔓延防止のための行動制限のない夏を迎え、9月の連休に台風が相次いで上陸したものの、全国旅行支援等もあり観光需要は高い水準で推移し、当グリーンシーズンの来場者数合計は375千人(前年同期比37.2%増)と、過去最高を達成いたしました。ウィンターシーズンは、全国的に自然降雪が遅れたものの、継続投資してきた降雪機を稼働させることで予定通り安定的にオープンすることができました。3月から4月には気温の上昇で融雪が進み、シーズン終了が早くなったものの、各種の施設創造や取り組みが功を奏し、当ウィンターシーズンの来場者数合計は1,512千人(前年同期比16.8%増)となり、コロナ禍前の2018-2019シーズン(1,676千人)の90.2%まで回復してきております。積極的に取り組んだ内容は、まず、国内のスキー人口創出を目的とした中長期的な取り組みとして始めた「NSDキッズプログラム」(小学生及び未就学児のお子様のシーズン券が無料となる)も今シーズンで2年目を迎え、たくさんのファミリーがスキー場に来場された結果、会員数は2万人と前シーズンの1万人から倍増し、当期のグループスキー場の同プログラム利用者数は58千人(前年同期比65.6%増)となりました。さらに、スノーリゾートでは初の試みとなる競技型デジタルアート「LIMITS(リミッツ)」のエキシビジョンマッチの開催や、初心者から上級者まで誰もが楽しめるオールジャンル対応のフルスペックスノーパーク「TGPARKS」の整備し、パークライドを楽しんでいただきました。また、飲食メニューとクオリティのさらなる改善を進め、専用ラウンジやファーストトラックサービスが受けられるS-Classの導入等によりサービスを向上し、コスト高騰でやむを得ず全社的にリフト券の値上げを行ったことで、売上単価も改善できました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は6,110百万円(前年同期比25.1%増)、営業利益は1,450百万円(前年同期比135.2%増)と、大幅に改善しました。
(テーマパーク事業)テーマパーク事業においては、積極的なイべント開催による集客と宿泊事業においてもグランピング施設の増設や別荘新築に追加投資する等、期待していた宿泊施設と遊園地の相互送客効果が加速し、第3四半期累計期間の来場者数は636千人(前年同期比13.5%増)と、過去最高を達成しました。集客においては、これまでに反響の高かったキャラクターやアイドルイベントの開催、さらにMUSIC×CAMP×AMUSEMENT PARKをコンセプトとした音楽フェス「EN FESTIVAL」を、那須ハイランドパークにて開催いたしました。りんどう湖ファミリー牧場では、0歳~6歳のお子様に向けた「はじめて体験応援ブック」をリニューアルし、乳しぼり等の動物とのふれあいや、お子様向け通貨「りんどる」を導入する等、様々な体験メニューを用意し、多くのお客様にご来場いただきました。2023年3月には、「那須アルパカ牧場」との業務提携により、170頭を超えるアルパカを受け入れ、アルパカの放牧場にネットアドベンチャーを設置した「あるぱーく」や、アルパカの群れの中に設置したグランピング等の新しい施設がオープンしました。宿泊事業においては、投資を積極的に進め、別荘型の宿泊施設やグランピング施設を増設する等、貸出可能な室数は258室となり、宿泊施設と遊園地の相互送客効果が功を奏しました。中でも、夏に新しくオープンした「ソランピング」はTVやWeb等、各種メディアで紹介され、多くのお客様にご宿泊いただきました。また、これまで先端技術分野の実装実験・社会実装の場として別荘地を提供することで、その後の研修利用やワーケーションプランへの加入、社員旅行でのご利用及びご家族でお越しいただく等、リピート滞在や那須エリア全体の魅力発信を積極的に進めてまいりました。これらの取り組みにより、当第3四半期累計期間の宿泊者数は99千人(前年同期比39.7%増)と、大幅に増加しました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は4,857百万円(前年同期比29.7%増)、営業利益は888百万円(前年同期比27.2%増)と、大幅に増加しました。
SDGsの取り組みにおいては、グループの2030年カーボンニュートラルの実現を目指し、新会社「スマートグリーンエネルギー株式会社」を2022年5月に立ち上げました。那須ハイランドの別荘地の間伐材を活用した、地産地消の循環型バイオマス発電に取り組み、持続可能な経済社会の実現を目指します。また、2017年より取り組んでいる保護犬の里親探しを行う「SOS活動」では、取り組み開始以来の累計里親譲渡数が140頭となりました。さらに子ども食堂は、JR東日本との共同事業として、JR那須塩原駅高架下に新店を開業しました。その他にも、SDGs活動を主体事業に組み込むことで、更なる社会貢献に取り組んでまいります。
② 財政状態の状況(資産)当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比べて1,854百万円増加し、29,452百万円となりました。主な要因は、配当金の支払いがあった一方で土地の売却収入や四半期純利益の獲得等により現金及び預金が1,708百万円増加、さらに別荘の新築等により建物及び構築物が890百万円増加したものの、売却により土地が1,472百万円減少したこと等によるものです。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末と比べて77百万円減少し、15,787百万円となりました。主な要因は、未払法人税等が161百万円増加したものの、買掛金が143百万円減少、返済により借入金が89百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べて1,931百万円増加し、13,664百万円となりました。主な要因は、1,604百万円の配当を実施したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益を3,553百万円計上したこと等によるものです。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。