【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態
(資産)当事業年度末における資産総額は、5,020,119千円と前事業年度末に比べて2,032,883千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が1,951,256千円、商品が20,071千円増加したこと、及び倉庫投資等に関連して固定資産が34,600千円増加したことによるものであります。
(負債)当事業年度末における負債総額は、742,527千円と前事業年度末に比べて69,869千円の増加となりました。これは主に、未払金が35,752千円増加したこと、及び長期借入金(1年内返済予定含む)が36,689千円増加したことによるものであります。
(純資産)当事業年度末における純資産は、4,277,592千円と前事業年度末に比べて1,963,013千円の増加となりました。これは主に、株式上場による新株発行及び自己株式の処分により資本金が424,841千円、資本剰余金が706,189千円増加したこと、及び当期純利益695,339千円を計上したことによるものであります。自己資本比率は85.2%と財務的健全性を維持しております。
② 経営成績の状況当事業年度は、国内の社会経済活動の正常化が進み、財とサービスの消費の偏りは解消してきているものの、物価上昇が続いている事から、毎月勤労統計調査によると実質賃金はマイナスが続いており、家計調査(2人以上の世帯)の月次結果からは、2023年3月以降は実質消費支出もマイナスが続いているため、今後の消費動向については予断を許さない状況となっております。海外においては、アメリカでの銀行破綻や中国の景気不安などがあり、金融政策の相違などによる円安も長期化するなど、先行き不透明な状況が続いております。このような状況にはありますが、ミッションと真摯に向き合い、堅実な経営を行ってまいりました。
「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎え、当店を訪れてくださるユーザーの皆様に心からの感謝の気持ちをこめて、15周年のさまざまな企画を用意し運営してまいりました。15周年記念のコンテンツの配信や、D2Cドメインにおける15周年記念商品の展開、送料無料キャンペーンなどをきっかけに多くのユーザーが当店を訪れてくださり、オリジナルブランド「KURASHI & Trips PUBLISHING」の新作商品等が好評で、売上高は好調に推移しました。4月には報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただき、放送後は大きな反響を呼びました。春夏アパレルをはじめとした人気の定番商品、コラボ商品を、これまで以上に多くの新規ユーザー、既存ユーザーの皆様にご購入いただける機会となりました。第4四半期にかけては、アパレルカテゴリにおける週末発売や豊富なサイズ展開、コスメカテゴリの育成等にも注力し、ユーザーの潜在的な需要に応える商品展開を行いました。これらの取り組みやエンゲージメントチャネルへの継続投資によって、エンゲージメントアカウント数は順調に増加し、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。ブランドソリューションドメインでは、パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により案件数、売上高はともに堅調に推移しました。
以上の理由から、売上高についてはD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインともに堅調に推移し6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。売上総利益は2,628,041千円(前期比16.2%増)となり、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)ダウンロード訴求のための広告施策等の結果、販売費及び一般管理費を1,662,361千円(前期比17.1%増)計上したものの、営業利益は965,680千円(前期比14.7%増)、経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。今後もコンテンツを拡大し、「ひとさじの非日常(Trips)」を「私たち」みたいな「誰か」に届けることを進めてまいります。なお、当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ1,951,256千円増加し、4,336,738千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において営業活動により獲得した資金は、732,814千円(前事業年度は535,533千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上968,145千円、未払金の増加額65,114千円等による増加要因と、法人税等の支払額296,050千円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において投資活動により支出した資金は、65,338千円(前事業年度は99,468千円の支出)となりました。これは主に、倉庫投資等に関連した有形固定資産の取得による支出16,994千円、無形固定資産の取得による支出23,335千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において財務活動により獲得した資金は、1,283,781千円(前事業年度は70,142千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入849,682千円、自己株式の処分による収入418,048千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、以下の販売実績については、事業ドメイン区分で記載しております。
a 生産実績当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
ドメインの名称
販売高(千円)
前期増減率(%)
D2Cドメイン
5,851,254
20.4
ブランドソリューションドメイン
209,582
△30.8
合計
6,060,836
17.4
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績
(売上高)当事業年度における売上高は、6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、D2Cドメインとブランドソリューションドメインの2ドメインに区分しております。
ドメインの名称
前事業年度(千円)
当事業年度(千円)
D2Cドメイン
4,860,060
5,851,254
ブランドソリューションドメイン
303,075
209,582
合計
5,163,136
6,060,836
(D2Cドメイン)「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎えました。15周年記念のコンテンツの配信や記念商品の展開、送料無料キャンペーン等をきっかけにオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の新作商品が好評を博したこと、また、2023年4月に報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただいき認知拡大に繋がったこと等により、当事業年度における売上高は5,851,254千円(前期比20.4%増)となりました。また、流入経路においても「北欧、暮らしの道具店」の公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。
(ブランドソリューションドメイン)パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により、当事業年度における売上高は209,582千円(前期比30.8%減)となりました。
(売上総利益)アパレルを中心にオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」が成長しており、売上高が堅調に推移していること、仕入商品より相対的に原価率の低いオリジナル商品取扱高の増加等により、原価率が改善したことにより、売上総利益率が43.4%(前期比0.4%減)となりました。そのため、売上総利益は前事業年度から366,073千円増加し、2,628,041千円(前期比16.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)ユーザビリティの向上・システムの安定性のためのエンジニアの採用等で給料手当及び賞与を473,978千円(前年同期395,600千円)、アプリダウンロード訴求等のための広告宣伝費を458,455千円(前年同期391,826千円)計上し、事業規模の拡大に合わせた健全な体制、環境の整備を図ったことで、販売費及び一般管理費は1,662,361千円(前期比17.1%増)となりました。そのため、営業利益は前事業年度から123,825千円増加し、965,680千円(前期比14.7%増)となりました。
(経常利益、法人税等、当期純利益)経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)と増加したのに対し、賃上げ・生産性向上のための税制による税額控除が適用となったことや外形標準課税の適用等により法定実効税率が下がったことから法人税等は272,806千円(前期比5.6%減)と減少しました。以上の結果、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。
③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容財政状態の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。当社は、事業運営上、必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本方針としております。当社の主な資金需要は、仕入資金、事業規模の拡大に係る人件費、物流費及び広告宣伝費に係る運転資金となります。これらの資金需要につきましては、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入で調達する方針であります。成長投資については、本社移転を計画しております。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。また、株主還元については、安定した経営に必要なキャッシュポジションの観点から還元可否及び還元規模の判断を行っております。株主還元方針の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業のさらなる拡大、知名度向上のための広告活動の展開、新規事業及び新サービスの開発が必要であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めていく所存であります。
⑥ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社はユーザーとの関係の蓄積を判断するための指標として、エンゲージメントアカウント数、累積会員数及び年間購入者数といった指標を利用しております。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益率、営業利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率なども重要指標を位置付けております。当該指標については、2023年7月末時点でエンゲージメントアカウント数は686万人(前期比21.5%増)、累積会員数は60万人(前期比17.6%増)、年間購入者数も20万人(前期比8.6%増)となり、売上高は6,060,836千円(前期比17.4%増)、売上総利益率は43.4%(前期比0.4%減)、営業利益率は15.9%(前期比0.4%減)、経常利益率は16.0%(前期比0.5%減)、商品回転率は10.2回(前事業年度末は10.1回)、自己資本比率は85.2%(前事業年度末は77.5%)となっております。これらの指標は、堅調に推移しているものと認識しております。