【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでいるため、セグメント別の記載は行っておりません。
(1)経営成績の状況
当社は、2023年度から2025年度までの中期経営戦略「中期経営戦略2025~国内線で経営基盤を確立し、次の飛躍へ」の実現に取り組んでおります。「中期経営戦略2025」では、目指すものとして、「コロナ禍前水準以上の回復と成長」を掲げております。
今回策定した中期経営戦略の3カ年はその先の「次の飛躍」への助走期間でもあります。この3カ年で国内線を主体にしっかりとした“基盤作り”と“成長への準備”を行ってまいります。
当第1四半期累計期間における当社を取り巻く環境は、依然として厳しい競争環境が続いております。
市場の動向については、原油価格は前年同期と比較すると低水準となりましたが、為替相場は前年同期と比較すると円安水準となりました。
(就航路線の状況)
就航路線の状況につきまして、当第1四半期会計期間末における路線便数は、国内定期便1日当たり5路線32往復64便、国際定期便1日当たり2路線2往復4便であります。
なお、2020年3月より国際線を運休しております。
(2023年6月30日現在)
路線
便数(1日当たり)(注)
備考
国内定期路線
北九州-羽田線
11往復22便
関西-羽田線
4往復8便
福岡-羽田線
8往復16便
福岡-中部線
6往復12便
山口宇部-羽田線
3往復6便
国内定期路線 計
32往復64便
国際定期路線
北九州-台北(台湾桃園)線
1往復2便
2020年3月11日から運休
中部-台北(台湾桃園)線
1往復2便
2020年3月11日から運休
国際定期路線 計
2往復4便
合計
34往復68便
飛行時間につきましては、航空需要の回復に伴い、国内定期便を復便したことにより、当第1四半期累計期間の飛行時間は8,964時間(前年同期比19.8%増)となりました。
(就航率、定時出発率)
就航率、定時出発率につきましては、社内で継続して就航率・定時性向上プロジェクト(ON TIME FLYER活動)を推進しておりますが、当第1四半期累計期間の就航率、定時出発率は前年同期を下回る結果となりました。
項目
前第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減
就航率(%)
99.5
99.5
△0.1pt
定時出発率(%)
97.7
93.2
△4.4pt
(注)就航率の算出において、新型コロナウイルス感染症の拡大による航空需要減退に伴う減便および運休を含めておりません。
旅客状況につきましては、航空需要の回復に伴い、一部減便を実施していた国内定期便を復便したことにより、自社提供座席キロは460百万席・km(前年同期比34.2%増)となり、旅客数は34万人(前年同期比52.9%増)、座席利用率は70.9%(同9.5ポイント増)となりました。
上記により、生産量(総提供座席キロ)および有償旅客数は前年同期と比べ著しく増加し、航空運送事業収入は8,826百万円(前年同期比30.4%増)となりました。また、附帯事業収入は15百万円(前年同期比35.3%減)となり、これらの結果として、当第1四半期累計期間の営業収入は8,841百万円(前年同期比30.2%増)となりました。
一方、費用面につきましては、前年同期と比較して、円安水準であったことにより外貨建ての機材費および整備費等が増加しました。また、将来の航空機材の定期整備費用に備えるための定期整備引当金は米ドル建てで金額を見積もっていることにより、円安進行に伴い引当金の追加繰入額も増加しました。さらに、生産量の増加に伴う変動費(燃油費など)が増加しました。それらに加えて、当第1四半期累計期間ではリース満了に伴う機材(JA06MC)の返還整備ならびに複数台のエンジン整備が集中して発生したことにより整備費が大幅に増加しました。
結果として、事業費ならびに販売費及び一般管理費の合計額である営業費用は、10,993百万円(前年同期比29.3%増)となりました。
これらにより、当第1四半期累計期間の営業損失は2,151百万円(前年同期は営業損失1,713百万円)、経常損失は2,034百万円(前年同期は経常損失1,448百万円)、四半期純損失は1,894百万円(前年同期は四半期純損失1,415百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期会計期間末の資産合計は20,698百万円となり、前事業年度末に比べ671百万円減少しました。
流動資産合計は789百万円減少しましたが、これは主として、営業未収入金が540百万円減少したことなどによるものです。一方で、固定資産合計は117百万円増加しましたが、減価償却による減少の一方で、繰延税金資産を計上したことなどによるものです。
当第1四半期会計期間末の負債合計は20,248百万円となり、前事業年度末に比べ638百万円増加しました。
これは主として、借入金(流動負債および固定負債合計)およびリース債務(流動負債および固定負債合計)が約定返済により354百万円減少、定期整備引当金が318百万円減少した一方で、短期借入金が1,000百万円増加、長期借入金が200百万円増加したことなどによるものです。なお、当第1四半期会計期間末の有利子負債残高は4,429百万円となりました。
当第1四半期会計期間末の純資産合計は449百万円となり、前事業年度末に比べ1,309百万円減少しました。
これは、デリバティブ取引に係る繰延ヘッジ損益が584百万円増加した一方で、四半期純損失の計上により1,894百万円の利益剰余金が減少したことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 営業実績
前第1四半期累計期間および当第1四半期累計期間の営業実績の状況は、次のとおりであります。
なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおりますので、提供するサービス別に記載をしております。
科目
前第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
航空運送
事業収入
定期旅客運送収入
6,721
99.0
8,788
99.4
貨物運送収入
37
0.6
38
0.4
不定期旅客運送収入
6
0.1
-
-
小計
6,766
99.7
8,826
99.8
附帯事業収入
23
0.3
15
0.2
合計
6,789
100.0
8,841
100.0
(注)1 定期旅客運送収入および貨物運送収入には、全日本空輸株式会社への座席販売および貨物輸送分を含めております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、当該取引の内容は、コードシェアによる座席販売および貨物輸送分であります。
相手先
前第1四半期累計期間
当第1四半期累計期間
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
全日本空輸株式会社
3,265
48.1
3,664
41.4
② 輸送実績
前第1四半期累計期間および当第1四半期累計期間の輸送実績の状況は、次のとおりであります。
項目
前第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減率
有償旅客数(千人)
223
341
+52.9%
有償旅客キロ(百万人・km)
210
326
+55.0%
提供座席キロ(百万席・km)
343
460
+34.2%
座席利用率(%)
61.4
70.9
+9.5pt
(注)1 上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。
2 有償旅客キロは、路線区間の有償旅客数に区間距離を乗じたものであります。
3 提供座席キロは、路線区間の提供座席数に区間距離を乗じたものであります。
③ 運航実績
前第1四半期累計期間および当第1四半期累計期間の運航実績は、次のとおりであります。
項目
前第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
運航回数(回)
4,786
5,614
飛行距離(千km)
4,172
5,049
飛行時間(時間)
7,479
8,964
(4)主要な設備
前事業年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第1四半期累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
2023年6月に航空機材1機(JA28MC)をリースにより導入しました。
この結果、当第1四半期会計期間末における保有機材数は12機となっております。なお、当社の航空機材は、すべてエアバス社A320シリーズを使用しております。
(5)事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・内容検討及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社には、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社は、このような事象又は状況を解消するために、徹底的なコスト削減の取り組みや事業構造改革による収支改善に努めるとともに、財務状況の安定化を図るべく下記を推進し、事業の継続、その後の回復を目指しております。
事業継続のための取り組み
・運転資金の安定的確保
・迅速に生産調整を行える弾力的な体制の構築
・プロジェクト体制での収支改善・生産性向上の取り組み
また、これらの当社における対応策を実施することと併せて、金融機関との緊密な連携関係を強めており、当面(今後1年間)の資金繰りには問題なく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。