【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、日本政府の経済政策や日本銀行による金融政策の継続により、緩やかな景気回復が続いていたものの、新型コロナウイルス感染症拡大にともなう経済活動の停滞等により景気動向は急速に悪化し、厳しい経済環境となりました。緊急事態宣言の解除やGoToキャンペーンの効果で一部回復の兆しがみられるものの、再び新型コロナウイルス感染者数が増加しており、依然として予断を許さない状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境においては、福祉業界では障害者数全体は増加傾向にあり、その内、障害福祉サービス及び障害児サービスの利用者数も2020年9月時点で128.3万人と前年同月と比べ4.4%増加(出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況」)しており、この増加は継続していくものと考えております。介護業界では「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者世代となる2025年には65歳以上人口は3,677万人、「団塊の世代ジュニア」が全員65歳以上となる2040年には65歳以上人口は3,920万人に達すると推計(出典:内閣府「令和2年版高齢社会白書」)され、高齢者人口の増加にともない、今後も需要の増加と拡大が想定されています。一方で、介護職員の人材不足という課題があります。外食業界では新型コロナウイルス感染症拡大防止にともない、政府・各自治体からの外出自粛要請や営業時間短縮要請等の影響もあり、店内飲食店の利用が減少し、テイクアウトやデリバリーの利用が急増しております。このような状況の下、当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大防止対策に取り組みながら、積極的に新規事業所の開設を行ってまいりました。福祉事業では放課後等デイサービスを新規に1事業所、共同生活援助(グループホーム)を新規に10事業所(69居室)開設、介護事業ではデイサービスを新規に3事業所開設、外食事業では1店舗閉店し、当連結会計年度末の各事業の拠点数は福祉事業51事業所、介護事業36事業所、外食事業8店舗となりました。以上の結果、売上高4,086,602千円と前連結会計年度と比べ33,531千円(0.8%)の減収、営業利益106,823千円と前連結会計年度と比べ136,399千円(56.1%)の減益、経常利益197,862千円と前連結会計年度と比べ57,606千円(22.5%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益102,757千円と前連結会計年度と比べ75,935千円(42.5%)の減益となりました。また、資産は新株発行や運転資金の新規借入により、現金及び預金が1,623,518千円増加、福祉・介護事業所の新設及び不動産の購入により、建物が54,361千円増加、建物附属設備が9,882千円増加、土地が80,646千円増加、役員生命保険等の解約により、保険積立金が56,882千円減少しました。負債は借入金返済により短期借入金が127,000千円減少した一方、運転資金等の取得により1年以内長期借入金が65,776千円増加、長期借入金が812,036千円増加しました。純資産は新規株式の発行等により資本金及び資本準備金がそれぞれ491,352千円増加しております。以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、3,838,894千円と前年同期と比べ1,798,170千円(88.1%)の増加、負債の部は2,483,502千円と前年同期と比べ712,707千円(40.2%)の増加、純資産は1,355,391千円と前年同期と比べ1,085,462千円(402.1%)の増加となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(福祉事業)福祉事業におきましては、放課後等デイサービスを三重県に1事業所、共同生活援助(グループホーム)を千葉県に5事業所(40居室)、新たに埼玉県に3事業所(18居室)、三重県に2事業所(11居室)を開設する等、積極的な事業展開を図りました。これらにより、当連結会計年度末時点で51事業所(87居室)となり、売上高1,858,956千円と前連結会計年度と比べ240,360千円(14.8%)の増収、営業利益272,267千円と前連結会計年度と比べ15,374千円(6.0%)の増益となりました。
(介護事業)介護事業におきましては、事業譲受により5月にデイサービスを1事業所、9月にデイサービスを2事業所開設しております。これらにより、当連結会計年度末時点で36事業所となり、売上高1,578,773千円と前連結会計年度と比べ93,601千円(6.3%)の増収、営業利益139,120千円と前連結会計年度と比べ27,540千円(24.7%)の増益となりました。
(外食事業)外食事業におきましては、緊急事態宣言は解除されたものの、度重なる営業時間短縮要請に応じながら営業をしてまいりました。また、新たな試みとして居酒屋2店舗にてランチ営業、カツカレー専門店にてデリバリーを始めました。これらにより、当連結会計年度末時点で8店舗となり、売上高648,872千円と前連結会計年度と比べ367,494千円(36.2%)の減収、営業損失56,405千円(前連結会計年度は営業利益80,116千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、2,291,293千円と前連結会計年度末と比べ1,623,518千円増加(前連結会計年度末は667,774千円)しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、得られた資金は8,374千円と前連結会計年度と比べ261,269千円減少(前連結会計年度は269,644千円の獲得)しました。これは主に、収入として税金等調整前当期純利益187,675千円(同251,649千円)、減価償却費50,840千円(同51,393千円)、前払費用償却10,688千円(同11,200千円)、保険解約収益47,200千円を計上した一方、支出として売上債権の増加35,918千円(同102,025千円)、法人税等の支払85,240千円(同16,302千円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は93,961千円と前連結会計年度と比べ24,334千円減少(前連結会計年度は118,295千円の支出)しました。これは主に、保険積立金の解約による収入88,166千円があった一方で、支出として新規事業所開設等にともなう有形固定資産の取得167,222千円(同87,772千円)、事業譲受による支出16,600千円、敷金及び保証金の差入8,317千円(同12,546千円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、得られた資金は1,709,105千円と前連結会計年度と比べ1,550,393千円増加(前連結会計年度は158,711千円の獲得)しました。これは主に、長期借入れ1,300,000千円(同560,000千円)、株式の発行974,640千円による収入があった一方で、支出として長期借入金の返済422,188千円(同369,040千円)、リース債務の返済8,425千円(同8,247千円)、上場関連費用の支出7,621千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績該当事項はありません。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
外食事業
273,169
65.6
合計
273,169
65.6
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績該当事項はありません。
d.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
福祉事業
1,858,956
114.8
介護事業
1,578,773
106.3
外食事業
648,872
63.8
合計
4,086,602
99.2
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
東京都国民健康保険団体連合会
1,667,086
40.46
1,637,249
40.06
千葉県国民健康保険団体連合会
575,901
13.98
669,331
16.38
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社の連結財務諸表作成に当って採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
a.売上高売上高につきましては、4,086,602千円と前連結会計年度と比べ33,531千円(0.8%)減少しました。この主な要因は、福祉・介護事業では2018年11月期開設事業所の立ち上がり、並びに2019年11月期開設事業所の通期稼働により増加したが、外食事業で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、外食店舗及び加工・物流センターの売上高が大きく減少したことによるものです。
b.売上原価及び売上総利益売上原価につきましては、3,622,223千円と前連結会計年度と比べ43,167千円(1.2%)増加しました。この主な要因は、福祉事業で新たに11事業所、事業譲受により介護事業で3事業所を開設したため、人件費や事業所運営費が増大したことによるものです。この結果、売上総利益は464,379千円と前連結会計年度と比べ76,699千円(14.2%)の減益となりました。
c.販売費及び一般管理費並びに営業利益販売費及び一般管理費につきましては、357,555千円と前連結会計年度と比べ59,700千円(20.0%)増加しました。この主な要因は、本部管理部門の人員増員による人件費の増加や外形標準課税の発生、上場維持費用の増加によるものです。この結果、営業利益は106,823千円と前連結会計年度と比べ136,399千円(56.1%)の減益となりました。
d.営業外収益、営業外費用及び経常利益営業外収益につきましては、127,363千円と前連結会計年度と比べ94,643千円(289.2%)増収しました。この主な要因は、役員生命保険の解約返戻金及び新型コロナウイルス感染症関連の給付金によるものです。営業外費用につきましては、36,325千円と前連結会計年度と比べ15,849千円(77.4%)増加しました。この主な要因は、株式発行費用及び上場関連費用の発生によるものです。この結果、経常利益は197,862千円と前連結会計年度と比べ57,606千円(22.5%)の減益となりました。
e.特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益特別損失につきましては、外食3店舗の減損損失等を計上した結果、10,186千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は102,757千円と前連結会計年度と比べ75,935千円(42.5%)の減益となりました。
f.資産の部資産につきましては、3,838,894千円と前連結会計年度と比べ1,798,170千円(88.1%)増加しました。この主な要因は、新株発行や運転資金の借入金が増加したことにより現金及び預金が1,623,518千円(243.1%)増加、福祉・介護事業所の新設及び不動産の購入により、建物が54,361千円(31.4%)増加、建物附属設備が9,882千円(3.4%)増加、土地が80,646千円増加したことによるものです。
g.負債の部負債につきましては、2,483,502千円と前連結会計年度と比べ712,707千円(40.2%)増加しました。この主な要因は、借入金返済により短期借入金が127,000千円(100.0%)減少した一方、新規事業所の運転資金等の取得により1年以内長期借入金が65,776千円(18.9%)増加、長期借入金が812,036千円(103.5%)増加したことによるものです。
h.純資産の部純資産につきましては、1,355,391千円と前連結会計年度と比べ1,085,462千円(402.1%)増加しました。この主な要因は、新規株式の発行等により資本金及び資本準備金がそれぞれ491,352千円増加したことによるものです。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループは、各種法規制、市場環境の変化、他社との競合、自然災害、出店計画、人材の確保等の影響を受けます。これらの要因が発生し、当社グループによる対応策が功を奏さなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。具体的な内容につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報当社グループの資金需要の主なものは、当社グループが運営する事業所の運転資金、新規事業所の設備投資資金、新規事業開拓及びM&Aにともなう資金等であります。資金需要に対しては、手元資金から充当することを基本としますが、資金需要が発生した場合は、金融機関等からの借入等、状況に応じた最適な資金の調達をしてまいります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、収益性の向上と資産効率の向上を目指しており、重要な経営指標として「売上高伸長率15%」「経常利益率10%」「ROE20%」を当面の目標としております。当連結会計年度の売上高は4,086,602千円と前連結会計年度と比べ0.8%減、経常利益率は4.8%となりました。今後は、福祉事業で共同生活援助(グループホーム)を中心に新規開設を進めていく一方、既存事業所では適正な運営、業務効率の改善等により、売上高及び経常利益率の向上を目指してまいります。また、当連結会計年度のROEは12.6%となりました。今後は、必要な成長投資を強化しつつ、収益力を底上げすることにより、ROEを高めてまいりたいと考えております。引き続き、企業価値の向上を図るとともに、持続的な成長を目指してまいります。
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