【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに関する感染症法上の分類が5類に移行したことに伴い、景気は緩やかな回復基調となりましたが、原材料価格やエネルギーコストの上昇により、依然として先行き不透明な状況で推移しております。菓子・食品業界におきましても、原材料費、エネルギーコストが上昇する中、物価上昇に対するお客様の節約志向の高まりなどの消費行動の変化もあり、厳しい経営環境が続いております。このような状況のもと、当社グループは2023年度、中期3カ年計画「Be Resilient 2023 ~新しい時代をしなやかに生きる~」の最終年度を迎え、財務目標並びに非財務目標の達成と今後の中長期プランを策定する重要な年次となります。活動テーマを「倦まず・弛まず・積極果敢」として、パーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」を追求して、サステナブル経営を目指し、目標達成に向けたイノベーションの実行に取り組んでおります。グループ全体の成長戦略の一環として三重県津市中勢北部サイエンスシティ内に竣工した井村屋株式会社「あのつFACTORY」は輸出やEC販売強化に向け、計画に沿って順調に稼働しております。また、井村屋株式会社で販売している三重県大台山系有数の渓谷である香肌峡から採水されたミネラルウォーター香肌峡のやさしい水「めぐるる」の採水地を井村屋グループ株式会社にて取得しました。採水したミネラルウォーターは日本酒ブランド「福和蔵」の仕込み水にも活用しており、今後、貴重な水資源の更なる活用を進めてまいります。当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高については、井村屋株式会社の冷菓カテゴリーや井村屋フーズ株式会社におけるOEM受託商品の売上が順調に推移しました。その結果、連結売上高は、91億21百万円(前年同期比4.0%増)となりました。損益面では、原材料価格、エネルギーコスト、物流費用が上昇する中、商品価格の改定を行うとともに、継続して生産性向上活動に取り組みました。第1四半期においては設備投資に伴う減価償却費の回収に至っておりませんが、今後、公表数値に沿った利益の確保を見込んでおります。以上の結果、営業損失は92百万円(前年同期は87百万円の営業利益)、経常利益は1億円(前年同期比69.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39百万円(同82.4%減)となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
① 流通事業流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、冷菓カテゴリーや点心・デリカテゴリーの売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が順調に推移しました。以上の結果、流通事業の売上高は80億5百万円(前年同期比4.4%増)となり、セグメント利益は1億17百万円(同54.4%減)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)「片手で食べられる小さなようかん」や「もっちりぷるんわらびもち 黒糖」は順調に推移しましたが、鶏卵不足により生産調整を行ったカステラ商品の売上が減少しました。以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は18億62百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
(食品カテゴリー)チューブ入りの使い勝手の良さが好評をいただいております「トッピング」シリーズの「かけるご褒美 あん×バター」が順調に推移しました。冷凍食品では「4個入冷凍パックまん」シリーズや「ゴールドまん」シリーズの売上が増加し、新商品「井村屋謹製Pizzaぱん」も好評を得ました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、屋外活動の活発化に伴いスパウチ商品の受託加工が順調に推移しました。以上の結果、食品カテゴリーの売上高は12億27百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)「豆腐類」では「硬め豆腐」や「そのまま食べて美味しい豆腐」が順調に推移し、前年同期と同様の売上となりました。以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は3億3百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
(冷菓カテゴリー)発売50周年を迎えた「あずきバー」シリーズが順調に推移し、売上金額は前年同期比106.2%となりました。7月1日の「井村屋あずきバーの日」には全国3会場(東京、大阪、名古屋)において、無料で「あずきバー」を配布するサンプリングイベントを4年ぶりに開催し、大きな反響をいただいております。また、「やわもちアイス」シリーズでは、初めてかき氷に着目した新商品「やわもちアイス 抹茶氷」が好評をいただき売上増加に貢献しました。米国のIMURAYA USA, INC.とマレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.においても、海外市場での販路拡大とブランド価値向上を目指すとともに、「あずきバー」発売50周年の販売促進活動を積極的に展開し、更なる成長戦略に取り組んでおります。以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は39億58百万円(前年同期比5.9%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、4月~6月が需要の最も少ない期間でありますが、高付加価値商品を中心にコンビニエンスストアでのスチーマー販売が増加しました。以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は5億22百万円(前年同期比55.2%増)となりました。
(スイーツカテゴリー)スイーツカテゴリーでは、コロナ禍からの個人消費の回復とともに集客数も増加し、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」各店舗の売上は前年同期を上回りました。「アンナミラーズ」では前年の8月31日に「アンナミラーズ高輪店」を閉店した影響により売上は減少しましたが、2023年6月13日にアンナミラーズ日本上陸50周年を迎えるにあたって、横浜高島屋において6月に期間限定でポップアップショップを出店しました。また、6月13日にはバーチャルショップをグランドオープンし、お客様に感謝の気持ちをお伝えするとともに様々なブランドの活用を展開しております。以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は1億1百万円(前年同期比19.4%減)となりました。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)VISON(ヴィソン)カテゴリーでは、三重県の水と酒米、酵母を使用し、テロワール*に根差した日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内にて運営しております。「福和蔵」においては、「福和蔵 純米大吟醸」が5月に世界的に最も権威のある審査会の一つであるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023 SAKE(日本酒)部門「純米大吟醸酒」カテゴリーにおいてゴールドメダルを受賞し、高い評価をいただきました。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」や特色のある季節限定商品を店舗にて販売し、好評を得ております。以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は28百万円となりました。
*テロワールはワイン等の生産に関わる生育地の「土地の要素」「気候の要素」「人的要素」を総合した生産環境のことを指し、味覚を決定する重要な要素とされています。
② 調味料事業国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、家庭内食向けの商材と機能性素材のOEMが順調に推移しました。中国での調味料事業は、コロナ禍からの経済回復の遅れもあり、中国国内の売上が減少しました。以上の結果、調味料事業の売上高は10億62百万円(前年同期比1.2%増)となり、セグメント利益は1億51百万円(同9.0%減)となりました。
③ その他事業イムラ株式会社においてSDGsの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、引き続き地域のお客様に好評いただいております。また、「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、「アンナミラーズ」の「アップルパイ」や季節のデザートなども販売し売場の活性化を図りました。以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は53百万円(前年同期比4.7%増)となり、セグメント利益は10百万円(同54.6%増)となりました。
(2) 財政状態の状況当第1四半期連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。総資産は355億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億19百万円の増加となりました。流動資産は、販売増加に伴う売掛金や棚卸資産の増加などにより、9億98百万円増の137億34百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価の増加などにより、4億20百万円増の217億92百万円となりました。負債は171億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億10百万円の増加となりました。流動負債は、短期借入金の増加などにより、16億17百万円増の145億38百万円となりました。固定負債は、長期繰延税金負債の増加などにより、92百万円増の25億94百万円となりました。純資産は配当金の支払いなどにより、2億91百万円減の183億93百万円となりました。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末54.7%から51.7%へ減少しました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題第2四半期に向けて、夏場の主力商品である「あずきバー」の売上増加など、順調に推移する見込みであり、また、冬場の点心・デリ商品の導入計画も順調に進捗しておりますので、2023年5月11日付の「2023年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。ただし、景気の停滞や世界的な経済状況の変動、原材料の高騰などの環境変化によって業績予想の修正が必要であると判断される場合は、速やかに開示いたします。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億29百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。