【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、行動制限の緩和等により経済活動の正常化への動きがみられた一方、長期化するロシア・ウクライナ情勢や為替相場の影響により依然として先行き不透明な状況が続いております。 菓子・食品業界におきましても、原材料費やエネルギーコストの高騰により物価が上昇する中、消費者の生活意識の変化もあって、厳しい市場環境は続くものと想定されます。このような状況のもと、本年当社グループは創業125年 会社設立75周年を迎えました。また、中期3カ年計画「Be Resilient 2023 ~新しい時代をしなやかに生きる~」の2年目にあたり目標達成に向けた重要な年度となります。2022年度は何事にも果敢に挑戦する「進取」をテーマとし、サステナビリティの高い企業体質構築と収益構造の変革に向け活動しております。井村屋株式会社ではグループ全体の成長戦略の一環として、三重県津市の中勢北部サイエンスシティ内に市場競争力向上を目指した新工場「あのつFACTORY」の建設を進めており、2023年3月竣工を予定しております。当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高は、井村屋株式会社において冷菓カテゴリーが順調に推移するとともに冬物商品の主力となる「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーの売上が伸長し、全カテゴリーで売上が増加しました。米国で事業展開しているIMURAYA USA, INC. (以下「IMURAYA USA」と記載)において日本から輸入した井村屋商品の販売が大きく伸長し、また、井村屋フーズ株式会社においてはOEM受託商品の売上が増加しました。その結果、連結売上高は、344億11百万円(前年同期比7.5%増)となりました。損益面では、原材料価格、エネルギーコストが高騰する中、生産性向上活動の継続によりコストの抑制を図ったことで営業利益が増加しました。また、海外取引における為替差益や、建設中の井村屋株式会社の新工場「あのつFACTORY」の輸出促進に関する補助金収入により四半期純利益も増加しました。以上の結果、営業利益は18億37百万円(前年同期比20.1%増)、経常利益は21億円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は17億14百万円(同48.0%増)となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益において第3四半期連結累計期間で過去最高の業績となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。① 流通事業流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では上期のスタート時より「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーの売上が伸長するとともに、菓子カテゴリーや食品カテゴリーの売上が順調に推移し、全カテゴリーで前年同期から売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が順調に推移しました。また、IMURAYA USAでは日本からの輸入商品の販売が大きく伸長しました。以上の結果、流通事業の売上高は309億29百万円(前年同期比8.1%増)となり、セグメント利益は25億55百万円(同17.5%増)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)災害用備蓄商品として評価の高い「えいようかん」や片手で食べられる「スポーツようかん」の売上が伸長しました。冷凍和菓子では季節限定商品「4コ入 よもぎ草餅(つぶあん)」、「4コ入 黒ごまクリーム大福」が順調に推移し、売上増加に貢献しました。また、IMURAYA USAでは日本から輸入したカステラの売上が大きく増加しました。以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は52億73百万円(前年同期比26.0%増)となりました。
(食品カテゴリー)今年発売60周年を迎えた「ゆであずき」や「お赤飯の素」が堅調に推移し、新商品の「かけるご褒美 あん×バター」「日本酒香るあんこ」「ラム酒香るあんこ」も好評をいただいております。冷凍食品では「4個入冷凍パックまん」シリーズや「ゴールドまん」シリーズが好調に推移し、「井村屋謹製カリーぱん」やコレステロールゼロの「2コ入 大豆ミートまん」も売上を伸ばしました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、高粘性タンパク入りゼリーや固形入りゼリーの生産技術を活用したスパウチ商品の受託加工が引き続き堅調に推移しました。以上の結果、食品カテゴリーの売上高は56億61百万円(前年同期比8.9%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)「豆腐類」では「美し豆腐」が順調に推移し、長期保存が可能な「大豆屋和蔵 大豆ッ子」の売上が大きく伸長しました。また、「チルドパックまん」では「3コ入チルドまん」シリーズの売上が増加しました。以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は15億65百万円(前年同期比17.4%増)となりました。
(冷菓カテゴリー)「あずきバー」シリーズが順調に推移しました。「あずきバー」が2023年に発売50周年を迎えることを記念して、希少な白小豆を使用し、数量限定で発売した「白あずきバー」が好評を得ました。今年で発売10周年を迎えた「やわもちアイス」シリーズでは、限定商品「やわもちアイス 焦がしみたらし」、「やわもちアイス パフェ いちご大福味」が順調に推移しました。IMURAYA USAでは「やわもちアイス」や「あずきバー」など日本からの輸入商品の売上が増加しました。また、マレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN.BHD.(IMM)では「あずきバー」シリーズの特徴を生かしつつ、現地向けに対応した「AZUKI BAR(RED BEAN)・(MATCHA)・(MILK)」に続き、アイスクリームを餅生地で包んだ新商品「Mochi Mochi (VANILLA & MANGO)・(CHOCOLATE & CHOCOLATE)・(MATCHA & RED BEAN)」を発売し、販路拡大に取り組みました。以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は120億38百万円(前年同期比0.7%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、コンビニエンスストアにおける即食性のある商品が売上を伸ばしました。また、販売店様と共同で企画した新商品も好評をいただきました。以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は59億29百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
(スイーツカテゴリー)「アンナミラーズ」は2022年8月31日に40年間ご愛顧いただいた「高輪店」を閉店しましたが、催事販売として12月にJR高円寺駅1F改札外「コレもう食べた?」へ期間限定で出店しました。アップルパイやチェリーパイが好評を得て、売上増加に貢献しました。今後も「アンナミラーズ」ブランドの価値を守り、継続して商品をお買い求めいただけるよう、企画や機会を創出してまいります。「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」では「KITTE名古屋店」や「ジェイアール京都伊勢丹店」の売上が増加し、上質でスタイリッシュな居住地として注目される「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」2階に出店した「虎ノ門ヒルズ店」においても「カヌレ」や「ロカイユ」が好評をいただき、集客数も着実に増加しております。以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は3億73百万円(前年同期比26.4%増)となりました。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)国内新規事業として2年目を迎えるVISONカテゴリーでは、三重県多気町の大型商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内にて三重県の水と酒米、酵母を使用し、テロワール*に根差した日本酒「福和蔵(ふくわぐら)」の製造・販売と、「菓子舗井村屋」として「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」など特色のある商品を販売しており、飲食スペースでは「ぜんざい」や「和風モンブランパフェ」が好評をいただき、売上が共に伸長しました。「福和蔵」においては、「福和蔵 純米大吟醸」が三重県新酒品評会での優等賞受賞に続き、全国新酒鑑評会においても入賞しました。また、「福和蔵 純米酒」も全国燗酒コンテスト2022において金賞を受賞し、高い評価をいただいております。以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は87百万円(前年同期比58.7%増)となりました。
*テロワールはワイン等の生産に関わる生育地の「土地の要素」「気候の要素」「人的要素」を総合した生産環境のことを指し、味覚を決定する重要な要素とされています。
② 調味料事業国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、家庭内食向けの調味料と機能性素材のOEMが堅調に推移しました。中国での調味料事業は、新型コロナウイルス感染対策強化の影響により、中国国内の売上が減少しましたが、ゼロコロナ政策が撤廃され、今後の展開には期待が持てる段階に入ります。以上の結果、調味料事業の売上高は33億17百万円(前年同期比2.3%増)となりました。セグメント利益は5億61百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
③ その他事業イムラ株式会社において井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、感染防止対策の徹底とお客様へのサービス向上に取り組みました。「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、「アップルパイ」「チェリーパイ」の取扱いを開始し、好評を得ております。以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億63百万円(前年同期比4.2%増)となりました。セグメント利益は20百万円(同346.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。 総資産は347億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億16百万円の増加となりました。流動資産は、冬物商品の販売増に伴う売掛金の増加などにより、46億39百万円増の153億78百万円となりました。固定資産は、新工場建設に伴う建設仮勘定の増加などにより、6億76百万円増の193億59百万円となりました。負債は159億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億89百万円の増加となりました。流動負債は、未払金や冬物商品の生産に連動した買掛金の増加などにより、38億2百万円増の141億80百万円となりました。固定負債は、長期繰延税金負債の増加などにより、87百万円増の17億38百万円となりました。純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上などにより、14億26百万円増の188億18百万円となりました。 その結果、自己資本比率は前連結会計年度末59.0%から54.1%へ減少しました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2023年3月期通期の連結業績予想につきましては、「おしるこ」や「ぜんざい」などの冬物商品に加え、冷菓商品が好調に推移しておりますが、不安定な世界情勢を背景に原材料価格や物流コストの上昇が続いており、消費動向も依然として先行き不透明な状況にあることを慎重に考慮し、2022年5月12日付の「2022年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億72百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。