【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における経済環境は、急激な為替変動、食料品や資源・原材料価格高騰によるインフレ圧力、ウクライナ情勢長期化等により、先行き不透明な状況が続いているものの、新型コロナウイルスに関わる行動制限の緩和を受けて、国内旅行や外食等の個人消費拡大による後押し効果もあり、全体としては緩やかな景気回復基調で推移いたしました。
当社が属する情報通信・エレクトロニクス業界におきましては、世界的な半導体供給不足や資源・原材料価格高騰の影響を受けつつも、自動車の電動化や産業機器の自動化に向けた設備投資意欲は、引き続き旺盛な状態が続いております。
このような事業環境の下、当社では、継続的で安定した事業基盤の構築に向けて、長年培ったストリーミング技術を基に、要件定義から設計・実装、各種標準規格提案、アプリケーション開発、検証環境構築まで一気通貫で技術提供可能なエンジニアリング・サービスを展開し、ストリーミング製品(ソフトウェア製品、システムプラットフォーム製品)を組み合わせた付加価値の高いソリューション提案活動に注力してまいりました。
以上のような取り組みの結果、需要先各社における新規開発プロジェクトの受注獲得に繋がり、売上高は9億25百万円(前年同期比15.4%増加)となりました。また損益面では、プロジェクトマネジメント強化に伴う開発原価低減や経費削減により、営業利益1億71百万円(前年同期比87.1%増加)、経常利益1億71百万円(前年同期比98.7%増加)を計上し、更に繰延税金資産の計上により、当期純利益は1億76百万円(前年同期比154.1%増加)となりました。
当事業年度末の資産につきまして、流動資産は9億20百万円(前年同期比1億47百万円増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加46百万円、売掛金の増加1億28百万円、電子記録債権の減少22百万円、仕掛品の減少5百万円等によるものであります。固定資産は63百万円(前年同期比30百万円増加)となりました。これは主に、繰延税金資産の増加32百万円等によるものであります。この結果、資産合計は9億84百万円(前年同期比1億77百万円増加)となりました。
負債につきまして、流動負債は1億84百万円(前年同期比3百万円増加)となりました。これは主に、未払費用の増加10百万円、未払消費税等の増加2百万円、賞与引当金の増加2百万円、役員賞与引当金の増加2百万円、買掛金の減少9百万円、前受収益の減少5百万円等によるものであります。固定負債は11百万円(前年同期比2百万円減少)となりました。これは主に、長期前受収益の減少2百万円等によるものであります。この結果、負債合計は1億96百万円(前年同期比1百万円増加)となりました。
純資産合計につきましては7億87百万円となり、前事業年度末の純資産合計と比べ、1億76百万円の増加となりました。これは、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加1億76百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益1億71百万円、売上債権の増加額1億5百万円、法人税等の支払額25百万円等により、前事業年度末に比べ46百万円増加し、当事業年度末には6億39百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は64百万円(前年同期比65.2%減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益1億71百万円(前年同期比98.7%増加)、売上債権の増加額1億5百万円(前事業年度は売上債権の減少額41百万円)等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13百万円(前年同期比21.9%増加)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出7百万円(前年同期比62.4%増加)、無形固定資産の取得による支出5百万円(前年同期比11.4%減少)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4百万円(前年同期比5.4%減少)となりました。これは、リース債務の返済による支出4百万円(前年同期比5.4%減少)によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
自己資本比率(%)
78.6
75.9
77.7
75.7
80.0
時価ベースの自己資本比率(%)
261.2
178.1
290.6
246.3
253.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
0.1
0.8
-
0.1
0.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
602.9
72.8
-
906.7
507.6
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注4)2021年3月期は「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
製品
開発サービス (千円)
716,159
125.5
標準製品 (千円)
43,609
21.6
その他 (千円)
71,775
117.9
合計 (千円)
831,544
99.8
(注)1.当社は、通信ミドルウェア事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
製品
開発サービス
771,509
124.2
221,865
133.2
標準製品
122,430
73.6
2,500
14.1
その他
58,599
71.4
41,489
75.9
小計
952,539
109.5
265,855
111.3
商品
その他
-
-
-
-
合計
952,539
109.4
265,855
111.3
(注)1.当社は、通信ミドルウェア事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.金額は、販売価格によっております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
製品
開発サービス (千円)
716,159
125.5
標準製品 (千円)
137,309
81.3
その他 (千円)
71,775
117.9
小計 (千円)
925,245
115.6
商品
その他 (千円)
-
-
合計 (千円)
925,245
115.4
(注)1.当社は、通信ミドルウェア事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.前事業年度及び当事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
118,749
14.8
147,862
16.0
ファナック株式会社
13,271
1.7
95,824
10.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産、負債の計上金額及び会計期間における収益、費用の計上金額に影響を与えるような見積りや判断を必要とします。これらの見積りや判断は、当社が継続的に過去の実績、あるいは状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により様々な検討を行い、その見積りと予測を評価して、これらの評価結果を資産、負債、収益及び費用の計上金額についての判断の基礎としております。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
繰延税金資産の回収可能性について当社は、企業会計上の資産及び負債と、課税所得計算上の資産及び負債の間に生じる一時差異の影響を、法定実効税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金負債に計上しており、かつ繰延税金資産について回収可能性がないと見込まれる金額まで評価性引当額を計上しております。つまり、評価性引当額の計上に際しては、将来の収益予想、課税所得予測を考慮しておりますが、当社が繰延税金資産を回収するには、十分な課税所得を計上する必要があります。
当事業年度末においては、経済情勢や市場環境の急激な変化等の要因により、顧客における開発プロジェクトの延期や見直しが生じる場合等も想定し、事業計画に一定のストレスを負荷した課税所得見積額とすることが、合理的な算定に寄与すると判断し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
また、当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動により見直しが必要となった場合は、翌事業年度の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与えることとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 当事業年度の財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当事業年度の売上高は、強みであるストリーミング技術を基に、ネットワークからメディア配信/管理まで一気通貫で技術を提供できるエンジニアリング・サービスを中心に営業活動を展開し、お客様の製品開発におけるパートナーの位置づけを目指して、エンジニアリング・サービス、ストリーミング製品(ソフトウェア製品、システムプラットフォーム製品)を組み合わせた付加価値の高いソリューション提案活動を推進してきた結果、9億25百万円(前年同期比15.4%増加)となりました。
b.売上原価
当事業年度の売上原価は4億30百万円(前年同期比2.7%増加)となりました。これは主に、労務費の増加によるものです。
c.販売費及び一般管理費
当事業年度の販売費及び一般管理費は3億23百万円(前年同期比11.2%増加)となりました。これは主に、人件費、研修費、販売促進費、広告宣伝費、旅費及び交通費の増加によるものです。
d.営業利益
当事業年度の営業利益は1億71百万円(前年同期比87.1%増加)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う売上総利益の増加によるものです。
e.経常利益
当事業年度の経常利益は1億71百万円(前年同期比98.7%増加)となりました。これは主に、営業利益の増加及び営業外費用(固定資産除却損)の減少によるものです。
f.当期純利益
当事業年度の当期純利益は1億76百万円(前年同期比154.1%増加)となりました。これは主に、経常利益の増加及び繰延税金資産の計上による法人税等調整額の減少によるものです。この結果、1株当たり当期純利益は28.11円となりました。
g.財務状況
当事業年度末における総資産は9億84百万円(前年同期比22.0%増加)となりました。これは主に、現金及び預金、売掛金、繰延税金資産の増加、電子記録債権、仕掛品の減少によるものです。また、当事業年度末における純資産は、7億87百万円(前年同期比28.9%増加)となりました。これは、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。
h.キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
i.当社の資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要の主なものは、人件費、外注加工費等の運転資金及び機材購入費等の設備投資資金であり、高度化する情報通信技術や変化の激しい市場環境に対応するためには、継続的な投資が不可欠であると認識しております。また、不測の事態が発生した場合でも、お客様や株主の皆様にご安心いただけるように、強固な財務体質を維持することが重要であると考え、収益力向上と営業キャッシュ・フローを重視した経営を徹底しております。
運転資金及び設備投資資金には自己資金を充当することを基本としており、また、当該資金は手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持する方針であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は6億39百万円であります。
j.当社の経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因に関しては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
k.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、売上高総利益率とROE(自己資本利益率)であります。当社では、事業環境・社会情勢の変化を踏まえ、強みであるストリーミング技術を基に、ネットワークからメディア配信/管理まで一気通貫で技術を提供できるエンジニアリング・サービス(受託開発)を中心に、財務体質の健全性を維持しながら、継続的で安定した事業基盤の構築を目指しております。また、収益性を重視し、毎事業年度において売上高総利益率50%を目標とするとともに、ROEの向上にも注力しております。なお、当事業年度における売上高総利益率は53.5%となりました。
(3)経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、継続的で安定した事業基盤の構築に向けて、当社の強みであるストリーミング技術を中心とした付加価値の高いエンジニアリング・サービスの提供に注力し、経営の安定化を進めてまいりました。今後の事業規模拡大に向けては、お客様固有の開発ニーズに即したソリューション提案力強化が重要であると認識しております。また、高度化する情報通信技術や変化の激しい市場環境に対応するため、エンジニアの継続的な採用・育成に取り組んでまいります。
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